水稲冷害研究チーム
1999年宮城県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは宮城県にお願いいたします.
稲作情報第4号
平成11年7月12日
宮城県農業センター
【気象経過】
梅雨入り後1週間ほどは晴天が続き,気温も高めに経過した。6月第4半旬以降は梅雨空になり,気温は平年並に近づき,日照時間は少なくなった。6月末には梅雨前線の活動が活発になり,県内各地で100ミリを超える大雨となった。
6月の気温は,上旬・中旬が平年より1〜2℃高かった。下旬は平年並に近づいた。(表1)。
日照時間は,上旬は平年比149%と多照であったが,中旬・下旬はそれぞれ86%,100%と平年並からやや少なめであった。
【作況試験圃の生育状況】
田植え後から気温が平年より高く,日照時間も多かったことから作況試験圃の生育量は平年を上回り,生育ステージも早まっている。
7月1日現在の農業センターのひとめぼれ(稚苗)の生育は,草丈56cm(平年比120%),u当たり茎数906本(平年比140%),葉数9.6枚(平年より0.6枚多い)と平年を大きく上回った。葉色は平年比86%と淡い。
各品種とも,草丈は平年比120〜130%,茎数は平年比120〜150%,葉数は平年差+0.5〜1枚で,葉色は平年より淡い傾向である。
【作況試験圃の分げつ発生状況】
農業センターのひとめぼれとササニシキ(5月10日植え,稚苗)の茎数の推移は、6月10日及び20日(本年は21日)調査時は,平年・前年を大きく上回る増加数を示したが,その後は横ばいとなり,7月1日現在のu当たり茎数は,ひとめぼれ906本,ササニシキ1112本であった。ひとめぼれ・ササニシキともに6月25日頃に最高分げつ期に達したと推定される。また,7月6日時点で幼穂長が0.5mmであったことから,幼穂形成期も平年の7月12日より早まると予想される。
【生育調査圃の地帯別生育状況】
7月1日現在の地帯別生育状況は、全般的には作況試験圃同様,平年・前年を上回る生育を維持している。
北部平坦地帯は,草丈52cm(平年比115%),u当たり茎数666本(平年比116%),葉数9.9枚で平年より0.4枚多い。葉色は平年よりやや淡い。南部平坦地帯では,草丈57cm(平年比121%),u当たり茎数832本(平年比134%)と多く,葉数9.8枚で平年より0.7枚多い。葉色は平年より淡い傾向であった。県全体では4〜5日程度生育が進んでいると推定される。
【作土中のアンモニア態窒素量】
作土中のアンモニア態窒素残存量は,いずれの調査地点においても前回(6月21日)調査時から大きく低下している。なかでも,農業センター・中田・角田のひとめぼれでは土壌窒素の低下が早く,6月21日時点で,すでに1mg以下になっている。
これは,乾土効果による窒素発現量が少ないこと,それに生育が旺盛で,稲体の窒素吸収が促進されたためと推察される。
施肥窒素の消失時期は6月26〜27日頃と推定され,平年より11日早い。
【稲体窒素栄養】
乾物重・窒素吸収量は一部の調査地点を除き,平年・前年を大幅に上回った。稲体の窒素濃度は,平年の90%程度と低めである。
<これからの栽培管理の要点>
【追 肥】
本年は,ほ場ごとの生育量の差が大きいことから,次の事項に留意し,生育予想,穂肥要否判定指標値及び施用量を参考にして,穂肥を施用する。
・草丈が長く茎数が多い生育の過剰なほ場や,葉色の濃いほ場では,倒伏や品質低下の恐れがあるので,追肥は控える。
・基肥に緩効性肥料(100日型やL型被覆尿素等の長期溶出型肥料)を施用した場合は,原則として穂肥はしない。
・カリは根の健全化にも役立つので,基肥施用量や土壌条件等を考慮しながら施用する。
【いもち防除】
・追肥後は,一時的にいもち病抵抗力が弱まるので,いもち病の発生に注意する。
・葉いもちの予防粒剤を施用したほ場でも,薬剤効果が低下する7月中旬以降の発生に注意し,葉いもちの発病を認めたら,ただちに薬剤を散布する。
・ 穂いもち予防粒剤を使用する場合は,本年は出穂期が早まる見込みなので,使用時期が遅れないようにする。
【水害後の対応】
・浸水・冠水による被害は,水温が高かったり水が汚濁している場合,浸水・冠水の時間が長い場合に増大する。災害に見舞われた場合はできるだけ早く排水し,被害の軽減に努める。
・ 6月29日から30日にかけての大雨により,浸水や冠水の被害にあったほ場では,白葉枯病,黄化萎縮病が発生する恐れがあるので注意すること。
【出穂前の水管理】
幼穂形成期から減数分裂期にかけては,気象変動に対して非常に敏感な時期である。この時期は気象情報に注意し,低温時(最低気温17℃以下)の深水など,気象変動に対応した水管理の徹底により,幼穂の保護と稲体の活力維持に努める。
<通常の水管理>
・中干し終了後は,間断かんがいを行う。
・穂ばらみ期から出穂開花期にかけては,水を多く必要とする時期なので,水を切らさないようにする。
・根腐れが発生しやすく,倒伏の危険のあるほ場では,飽水(田面の足跡に水が残る程度)管理を行う。
<低温時の水管理>
・仙台管区気象台7月9日発表の1ケ月予報によれば,向こう1ヶ月の平均気温は「平年並」か「低い」可能性が大きいと予想されているが,幼穂形成期以降の低温時には幼穂保護のため深水管理を行う。
○幼穂形成期(幼穂長1mm〜):幼穂の伸長に合わせ段階的に水深を5〜10cm程度にする(前歴深水)。
○減数分裂期(幼穂長3〜12cm):頴花の50〜80%以上を保護できる水深17〜20cmを確保。この水深が確保できない場合でも,深水とすることで,水稲群落内の気温は1〜2℃高まることが期待されるので,可能な限り深水とする。
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