水稲冷害研究チーム
1999年宮城県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは宮城県にお願いいたします.
宮城県稲作情報
平成11年9月7日
宮城県農業センター
【気象経過】
梅雨が明けた7月下旬からは,太平洋高気圧に覆われて晴れて気温が高い状態が続いた。7月22日から14日間連続して最高気温が30℃を超え,その後も気温の高い日が続いた。また,7月下旬から8月上旬にかけてはほとんど降水がなく,8月10日に気象台から「少雨に関する宮城県気象情報第1号」が発表されるなど,高温多照少雨で推移した。8月中旬になっても引き続き気温の高い日が多く,日照も多かったが,13日から15日にかけてまとまった雨が降り,仙台では15日に97.5ミリ,3日間合計雨量171.5ミリの大雨となった。
県内各地の気温の平年差は,7月下旬は+4℃,8月上旬は+3℃,中旬は+2℃前後であった。なかでも,三陸沿岸の志津川で平年差・前年差が大きいが,これは低温少照の原因となるヤマセ(偏東風)の発生が例年に比べ少なかったことによるものと推察される。
【県平均出穂期と出穂前後の気象】
県平均出穂期は8月1日で,平年より6日早かった。これは,5月上旬の田植え以降,気温・日照が平年を上回る日が多く生育が順調だったことに加え,7月下旬以降,高温多照で経過したことなどによる。
出穂前後の気象は,出穂前25日間(幼穂伸長期間相当)は,気温・日照時間ともにほぼ平年並であったが,出穂前10日ほどは気温がかなり高く日照も多かった。出穂後25日間(登熟前半)は,気温は,最高・最低気温とも平年を上回り,最低気温は23.4℃で,平成6年以降では最も高い。このため,日較差は小さくなり平年を下回った。日照時間は161.5時間で平成6年には及ばないものの,平年を大きく上回った。
【作況試験圃の生育ステージ】
農業センターのひとめぼれ(稚苗)の出穂期は8月1日で,平年より5日早かった。ササニシキ(稚苗)は7月31日で平年より6日早かった。古川農試では,ひとめぼれ・ササニシキともに8月3日に出穂期に達した。出穂前後は高温多照であったことから,穂揃日数も短かった。
【作況試験圃の茎数穂数の推移】
農業センターのひとめぼれとササニシキ(5月10日植え,稚苗)の茎数の推移をみると、最高分げつ期の茎数はひとめぼれ 922本/u,ササニシキ 1121本/uで,それぞれ平年比136%,151%であった。出穂後の穂数は,ひとめぼれ 544本/u,ササニシキ 564本/uで,それぞれ平年比111%,121%であった。
【作況試験圃の出穂後の状況】
作況試験圃における出穂後の生育状況を下表に示した。稈長・穂長はほぼ平年並からやや長めであった。u当たりの穂数は,農業センターのひとめぼれ(稚苗)が544本で平年比111%,ササニシキ(稚苗)が564本で平年比121%と平年を大きく上回った。中苗も同様な傾向であった。
1穂当たりの籾数は,農業センターのひとめぼれ(稚苗)が63.1粒で平年比106%,ササニシキ(稚苗)は65.9粒で平年比97%であった。中苗は平年を大きく上回り,ひとめぼれ 67.7粒で平年比111%,ササニシキ 80.3粒で平年比115%であった。総じて,稚苗・中苗とも穂数及び1穂籾数が平年より多かったことから,u当たり籾数は平年を20%ほど上回った。出穂後25日に調査した沈下粒数歩合は,ひとめぼれ(稚苗)が77.9%で平年を6%下回った。
<直播栽培 出穂期大幅に早まる>
梅雨明け後の高温多照により,農業センターの直播稲の出穂は大幅に早まり,出穂期は8月10日で,前年より12日早かった。穂揃期は8月12日で,前年より13日早かった。
**これからの栽培管理の要点**
本年は出穂が早く,出穂後も高温多照で経過したことから,平坦部の中生品種(ひとめぼれ・ササニシキ)の刈取り適期は9月9〜18日頃となり,平年より10日程度早まる見込みである。早めに農機具を点検し,適期に刈取る。刈遅れは,立毛中の胴割粒・穂発芽・茶米などの着色粒の発生が多くなり,玄米品質が低下し,一等米にならないので避ける。
【刈取り準備】
・収穫用機械や乾燥調製施設の点検整備は早めに行ない,秋作業に備える。
・台風や大雨に備え,円滑に排水できるよう排水路の草刈りや整備を行う。
【適期刈取り】
刈取り適期は,籾の90%程度が完全に成熟して黄色になり,穂軸が先端から3分の1程度黄変したときである。ほ場全体をよく観察し,葉色にまどわされないよう穂を良く観察する。
○出穂後の積算気温による刈取り適期判定の目安
出穂後の毎日の平均気温を積算し,おおむね1000℃の頃が刈取り適期となる。ただし,刈取り始期に達する積算温度は品種によって異なり,ひとめぼれでは920℃程度,ササニシキでは960℃程度が目安である。下表は,県平均出穂期(8月1日)からの地点別積算気温で,各地点いずれも9月10日から15日頃に950〜1000℃に達する。
刈取り適期は,品種・栽培法・地力・籾数の多少などによって異なるので,以上の判定基準に基づき判断する。
【収穫・乾燥・籾摺】
・収穫した生籾を放置すると発熱して変質米の原因になるので,刈取り後すみやかに乾燥機に張り込み送風する。
・火力乾燥における籾水分の測定は,乾燥時間の決定や乾燥終了時の判定などに関わる重要な作業であり正確に行う。
・正確な水分測定のためには,測定サンプルから未熟粒を除くとともに,測定回数を多く(3回以上)する。また,乾燥後の籾水分は,室温(常温)にまで下がってから測定する。
・生籾を循環型乾燥機を利用して乾燥するときは,仕上がり玄米水分は15.5%を目標とする。
・過乾燥は,胴割米の発生・砕粒の増加・光沢の低下等品質低下のもととなるほか,灯油や電気代等生産コストが増加するので,きめ細かい水分測定により極力防止する。
・籾摺は肌ずれ防止のため,籾の温度を室温まで下げてから行う。また,ロール式籾摺機の場合は,籾(品種)に見合った適正なロール間隔に調整する。
【共同施設の利用】
・大規模共同乾燥調製施設(カントリーエレベーター)を積極的に活用し,利用率向上と品質の確保に努める。
reigai@tnaes.affrc.go.jp