水稲冷害研究チーム
1996年青森県「発生予察情報」
なお、詳しい内容に関する問い合わせは、津軽地域病害虫防除所(電話 0172−52−6500)または南部地域病害虫防除所(電話 0176−23−4290)にお願いいたします。
発生予報第4号(平成8年7月1日)
【概要】
水稲では、県内全域でイネカラバエの発生が多いと予想され、葉いもちおよびコバネイナゴの発生がやや多いと予想される。また、津軽地域では稲こうじ病の発生が多く、ニカメイガの発生もやや多いと予想される。
1.葉いもち
○発生地域:県内全域
○発生時期:(初発時期)平年並
○発生量 :やや多い
〔予報の根拠〕
@7月は気温が平年並の見込みである。
A南部地域の3地点で補植用残苗に、1地点で苗からの持ち込みと見られる葉いもちが認められたが、本田株での発生は確認されていない。
B7月は平年と同様に曇りや雨の日が多いと見込まれる。
〔防除のポイント〕
@ 初発時期は平年並と見込まれるが、南部地域で補植用残苗や、苗からの持ち込みと見られる葉いもちが確認されていることから、早期発見につとめ、発生を認めたら直ちに薬剤を散布する。
A 薬剤散布1週間後においても病勢進展が止まっていないようであれば、再度散布する。
B 窒素施肥量が多いといもち病に対する抵抗力が低下するので、適正な施肥管理を行う。
2.稲こうじ病
○発生地域:津軽地域
○発生量 :多い
○発生地域:南部地域
○発生量 :やや少ない
〔予報の根拠〕
@津軽地域では前年の発生量が多く、発生地域も拡大しており、伝染源量も多いと見込まれる。
一方、南部地域では前年の発生量がやや少なく、伝染源量もやや少ないと見込まれる。
A7月は気温、降水量とも平年並の見込みである。
〔防除のポイント〕
@ 稲こうじ病は、出穂後の籾に病徴が出るが、防除の適期は穂ばらみ期であり、出穂10日〜20日前に薬剤を散布する。
A 本年の穂ばらみ期頃の気温、降水量は平年並と見込まれるが、前年発生が認められた水田では、必ず、県農作物病害虫防除等基準に準じて防除する。
B 窒素施肥量が多いと発生が多くなる傾向があるので、適正な施肥管理を行う。
3.イネカラバエ
○発生地域:県内全域
○発生時期:産卵最盛期遅い
○発生量:多い
〔予報の根拠〕
@5、6月は気温が低く経過し、6月20日現在、各地域とも、初産卵は認められていない。
A例年、産卵が多くなる6月下旬以降の気温、降水量とも平年並の見込みである。
B前年の傷穂の発生が多かったので、雑草における次世代の幼虫越冬量も多いと考えられる。
〔防除のポイント〕
@ 発生量が多いと予想されるので、2〜3日毎に産卵状況を調査し、産卵株率が80%を越えた日(産卵最盛期)に防除する。産卵状況を調査できない場合は、下表の例年の産卵最盛期を目安に適期防除に努めるが、本年は気温が低く経過していることから、およそ5〜7日程度遅めとする。
A イネカラバエに対する茎葉散布の防除効果は、防除適期である産卵最盛期を失すると著しく低下するので散布時期に注意する。
B 昨年、傷穂の発生が多かった地域では、防除適期の幅が広く(産卵最盛期〜10日後)効果が高いジメトエート粒剤を10アール当たり2kg水面施用して防除する。
4.コバネイナゴ
○発生地域:県内全域
○発生時期:(ふ化終期)遅い
○発生量 :やや多い
〔予報の根拠〕
@ふ化幼虫の初発期は6月下旬で平年より遅めであった。
A7月は気温が平年並の見込みである。
B前年の発生量が多く、多発地域も拡大している。
〔防除のポイント〕
@ 出穂期前後の薬剤散布の際に本種にも効果の高い殺虫剤を含む殺虫・殺菌混合剤を散布し、他病害虫と同時防除する。
A 7月4〜5半旬のふ化終期に防除する場合は、畦畔(農道、水路の雑草も含む)及び水田の畦畔際2〜3mに薬剤を散布する。
B 本種は移動、分散が激しいので、広域一斉防除に努める。
5.ニカメイガ
○発生地域:津軽地域
○発生時期:(産卵最盛期)遅い
○発生量 :やや多い
○発生地域:南部地域
○発生時期:(産卵最盛期)遅い
○発生量 :平年並
〔予報の根拠〕
@成虫の初飛来期は遅く、7月は気温が平年並の見込みである。
A前年の発生面積は、津軽地域では多く、越冬幼虫密度が平年より高いと考えられるが、南部地域では発生面積が少なく、越冬幼虫密度が低いと考えられ。
〔防除のポイント〕
ニカメイガは、近年の発生状況から、本種単独の防除が必要となるほ場はきわめて少ないと思われる。しかし、局地的には被害程度の高い地点がみられ、それら地点ではやや増加する傾向もみられる。したがって、前年の発生が目立ったほ場では、出穂10日前に連続50株5か所程度を調査し、被害率が4%以上の場合には出穂10日前と出穂初め〜出穂期の2回防除する。被害株率が4%未満の場合には、出穂初め〜出穂期に1回、他害虫と同時防除する。
【その他の病害虫】
@ フタオビコヤガ第2世代幼虫の発生は津軽地域では平年並、南部地域ではやや少ないと見込まれるが、例年発生の多いほ場では、県農産物病害虫防除等基準に準じて適期防除に努める。本年は発生時期が遅れる見込みであり、防除適期は7月3〜4半旬の見込みである。
A ばか苗病の発生は全般に少ない見込みであるが、徒長あるいは枯死した罹病株がみられる場合は、罹病株を出穂前に抜取り、土中に埋めるか焼却して、出穂後の籾への感染を防止する。
B 長距離移動性害虫であるセジロウンカ、コブノメイガの飛来時期は、例年、7月中旬以降であり、今のところ発生時期、発生量の予測はできないが、今後、発表される予察情報に注意し、適期防除に努める。
C イネハモグリバエ第2世代幼虫の発生は、全般に少ない見込みであり、ほとんどの地域で防除は不要と思われるが、例年発生の多い地帯では、県農作物病害虫防除等基準に準じて適期防除に努める。
●防除上注意すべき事項
@ 当該ほ場の防除対象となる病害虫を見極め、同時防除により効率化をはかる。
A 粒剤を水面施用した場合は、散布後4〜5日間は水を流さないようにする。
B いもち病が多発して、散布回数が多くなり、散布間隔も5日ごと位に短くする場合には次の点に注意する。
同一薬剤を連用すると、耐性菌がでる恐れがある。また、同一農薬の散布間隔は、作物への農薬残留の点から7日以上としなければならない。したがって、異なる薬剤を組み合わせて防除する。
C 稲こうじ病対象のカスミンボルドー粉剤3DL、ラブサイドベフラン粉剤DLは葉いもちを同時防除できるが、穂いもちの防除は出穂期前後に必ず実施する。また、出穂10日前以降の銅剤散布は、薬害の恐れがあるので、散布時期を厳守する。
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