水稲冷害研究チーム

1997年宮城県「発生予察情報」

 情報提供は宮城県病害虫防除所.詳細に関する問い合わせは企画指導課(TEL直通:022-275-8960, FAX:022-276-0429)にお願いいたします.

○病害虫発生予報第2号(5月22日)

<概要>
 水稲のイネドロオイムシの発生は平年より早いと予想されますので、防除時期に注意して下さい。
  1. イネミズゾウムシ:発生時期はやや早い (成虫本田侵入盛期5月第5半旬)、発生量はやや少ない
    1. 予報の根拠
      1. 成虫本田侵入は、平年よりやや早い。
      2. 5月第3半旬の巡回調査の結果、成虫数はやや少なかった。
    2. 防除上の注意事項
      1. 育苗箱施用を実施していない水田での防除要否の目安は、畦畔際2m程度の成虫密度が100株当たり130頭程度(技術資料参照)とするが、水中に潜伏している成虫もいるのでこのことも勘案して判断する。
      2. 同一地域内でも地形によって発生量が著しく異なることがあるので(越冬場所に近いところや畦畔寄りに多い)、成虫数や食害程度をよく観察する。
      3. 上記の要防除密度に達している水田では、第1表を参照のうえ、合成ピレスロイド系薬剤を5月第5半旬、その他系統薬剤を5月第6半旬に施用する。ただし山間地や三陸沿岸地帯では、防除時期を1半旬遅らせる。なお、合成ピレスロイド系薬剤は、桑園の近く(100m以内)では使用しない。
      <技術資料>:イネミズゾウムシ要防除密度の見直しについて、防除を必要とする100株当たり成虫密度次のように変更する。
             40頭以上(従来) → 130頭以上(新規)
       すでにイネミズゾウムシの要防除密度については、許容する減収率を5%として100株当たり成虫密度が約40頭以上という値を目安としてきた。しかし、その根拠となった試験が低温でイネの初期生育が遅延した年次のもので、また、通常年の侵入最盛期より成虫放飼を早めに行っており、被害を助長しやすい条件の試験だったことから、農業センターで見直し試験を実施してきた。本県は東北地方でも最も田植時期が早いことから、特に田植時期による要防除密度の違いについて検討し一定の結論が得られたので、以下にその結果と考え方について解説する。
      • 田植えを5月第2半旬、第4半旬、第6半旬に行い、それぞれ5月末日(ほぼ平年の侵入最盛期)にイネミズゾウムシを様々な密度で放飼して、密度と収量比無処理区を100としたときの各密度区の収量割合)の関係を調べた。5年間の結果のうち、障害不稔が多発した平成5年の値を除外すると、成虫密度の対数値と収量比の間には一定の関係が認められ、田植時期別の減収予測式が得られた。
      • 減収予測式から、例えば減収率5%を被害許容水準として(つまり収量比で95)要防除密度を求めると、1株当たりの成虫密度で5月第2半旬植えでは5.7頭、5月第4半旬植えでは1.4頭、5月第6半旬植えでは0.7頭となる。このことから田植時期が遅い場合にはこれで設定してきた要防除密度とあまり大きく違わない値であるが、本県の田植最盛期である5月第2半旬田植えは、要防除密度がかなり高い値となることが判明した。
      • 減収率5%が金額的にどのくらいになるかというと、被害が全くない場合に10アール当たり480kgの収量が見込める水田では、24kgの減収ということになり約8000円に相当する。イネミズゾウムシだけを問題にしたときに、この金額を投入する価値があるかどうかを判断することになるが、農薬代や散布方法(労力)も様々なものがあり、散布器具を必要としない水面施用剤も開発されていることから、一律に5%以外の減収を許容してよいかどうか判断が難しい場合がある。ここでは田植時期別に、減収率5%以外に、3%、1%、0%(全く減収させたくない場合)を許容する場合の要防除水準を求め、その中間値もおよそ判断できるようにした。
      • 本県で最も標準的な要防除水準を定めることとした。宮城県の田植最盛期は5月第2半旬なので減収予測式はその時期に田植えした試験結果を利用する。散布器具や労力の金額換算は難しい面があるので、ここでは農薬代だけを考えると、農薬代は10アール当たり1500円程度のものが多いことから収量480kgの水田では減収率でほぼ1%の金額に相当する。以上から、おむむね標準的な田植時期、農薬代及び反収を前提とすると、要防除水準は株当たり成虫密度で株当たり1.3頭(100株当たり130頭)となる。この値は、これまで設定値より3倍程度高いが、今後はこれをイネミズゾウムシの一般的な要防除水準にする。

  2. イネドロオイムシ:発生時期は早い(本田産卵盛期5月6半旬)、発生量は平年並み
    1. 予報の根拠
      1. 越冬後成虫の飛来が活発になる最高気温25度程度の日が5月に入ってから   数日間隔で出現している。
      2. 前年の発生量は平年並みであった。
      3. 5月第3半旬の巡回調査の結果、成虫数は平年並みであった。
    2. 防除上の注意事項
      1. 防除要否の判断は、成虫発生盛期の密度が100株当たり25頭程度か産卵盛期の卵塊密度が100株当たり80個程度を目安とする。
      2. 上記の要防除密度に達している水田では、第1表を参照のうえ、合成ピレスロイド系薬剤を5月第6半旬、その他系統薬剤を6月第1半旬の幼虫ふ化盛期に施用する。なお、合成ピレスロイド系薬剤は、桑園の近く100m以内)では使用しない。
      3. サンサイド剤などカーバメート系薬剤に対する抵抗性の発達している個体群が県内の一部地域で確認されているので、本剤を使用している場合は効果に十分注意する。

  3. ニカメイチュウ(第1世代):発生量平年並み(平年並みに少ない)
    1. 予報の根拠
      • 発傾向が続いており、前年の発生量は少なかった。
    2. 防除上の注意事項
      • 平年並みに少なく、県下全般に防除を要するところはない。

 
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