東北農業試験場

水稲冷害研究チーム通信

No.13


目次

  1. ホームページの開設
  2. 本年度早期警戒態勢
  3. 3ヶ月予報(5〜7月)
  4. エルニーニョと東北の夏
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1.水稲冷害研究チームのホームページ開設

 チームのホームページを東北農試のホームページ(http://ss.tnaes.affrc.go.jp)のなかに開設しました.本ページは水稲冷害早期警戒システム情報と地域に発信する情報とはどのようなものかを試験する意味があります.
 なお,情報提供等には,仙台管区気象台,東北農政局,ならびに東北6県の関係機関の協力を得ています.現在の情報提供内容は以下の通りです.

 1)
水稲冷害研究チーム通信(公開)
 現在配布している本通信を掲載.11,12,13号が掲載されています.
 2)図説 東北の冷害(公開)
 「冷害の型」「深水管理の目標水深」「冷害危険度地帯区分」,「最近の暖候期天候の特徴」が掲載されています.今後充実する予定です.
 3)東北地域の収量分布・作柄地図(一部公開)
 1972年から1994年までの市町村別収量分布図,平均収量,変動係数を各県単位で図示したもの.気象予報の類似年の作柄を知るのに有効です.
 4)市町村別収量推移(作業中)
 1972年から1994年までの市町村別収量の推移を図示したものです.
 5)宇宙から見た東北稲作(作業中)
 東北農試所蔵衛星データ等を用いて,東北の冷害危険度地帯別にみた稲作立地環境と稲作を概説する予定です.
 6)早期警戒地点の気象経過(公開)
 1996年度の61アメダス指標地点の日別気象経過(気温,降水量,日照時間)の監視図を掲載予定です.更新は旬単位.現在,1995年のものが掲載されています.今後は1993年以降のものも作成する予定にしています.
 7)1996年仙台管区気象台発表予報(公開)
 3ヶ月と1ヶ月予報が掲載されています.更新は週単位.
 8)1996年アメダス指標地点の気象概況(公開)
 61アメダス地点の日別監視における概況を要約したもの.4月20日から開始.更新は週単位.
 9)1996年東北稲作概況(新聞記事等から)(公開)
 新聞記事等から得られる東北稲作・冷害関連の概況を把握するもの.更新は週単位.
 10)1996年東北6県技術情報(公開)
 各県から入手した水稲作技術指導情報の最新のものを掲載します.
 11)1996年東北6県病害虫予察情報(公開)
 各県から入手した水稲の病害虫発生予察情報の最新のものを掲載します.
 12)事務局からのお知らせ
 事務局からのお知らせを掲載しています.
 今後は,「早期警戒情報」「早期警戒地点の水温経過」「作柄診断情報」「読者との意見交換の場」等を新たに加える予定にしています.
 一度,情報ネットワークで接続し,ご意見等をメール・ファクシミリ・電話・手紙等でお寄せ下さい.本ページの改良等に役立てたいと思っています.


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2.本年度の気象・作柄監視態勢

 水稲冷害の早期警戒がいよいよ,5月1日から始まります.本年で3年目になります.今までの気象経過は予報によると1980年(大平洋側で著しい不作)に類似するようであり,気の抜けない監視態勢が求められる.本年の監視態勢は次の通りです.
 1)気象監視
 気象監視業務は4月が異常低温のため既に監視態勢に入っているが,5月1日から日別監視体制を昨年同様に進める.また,61アメダス地点の日別概況と気象経過図はホームページに公開する.更新は週単位.
 2)生育・作柄予測
 本年度から,アメダス旬別データを用いた61地点の作柄診断業務を新たに開始する.使用する収量予測モデルの概要は次の通り.
 基礎とする冷害危険度地帯区分は市町村別収量(399市町村,東北6県作物統計),1972年〜1994年(生産調整後の23年間)のデータを用いて,クラスター分析(Ward法)による8分類
(図1)
 冷害危険度地帯別収量推定モデルは日照時間の測器が切り替わった1986年〜1994年間のアメダスの5月〜9月の旬別最高気温,最低気温および日照時間を使用する.なお,日照時間は回転式日照計の値に変換.本モデルは,アメダス地点の水稲収量を推定するための比較的精度の高い重回帰モデルである.(表1)
 このモデルを用いると,昨年度の作柄における気象3要素が収量の増減に及ぼす影響を数量的に評価できる(図2).また,平均的気象データをデフォルトとして,1995年と1993年における旬経過に伴う収量の概況を把握でき,また平均的収量(対象期間の最低・最高収量を除いた平均値)に対する作柄指数で動向を追跡できる(図3)
 留意点は過去のデータに基づく統計モデルであるため,現行の生育調査と照合して利用するのが基本.この情報は早期警戒システムWGの1つの参考情報として位置づけ,他の情報とも照らして作柄を診断する予定です.

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3.3ヶ月予報(5月〜7月)

 仙台管区気象台は4月18日に5月〜7月までの3ヶ月の予報を発表しました.予報の内容をまとめて解説すると次のようになります.

 1)予想される天候
 5月は,高気圧や低気圧が交互に通り,天気は周期的に変わるでしょう.6月から7月は前線や低気圧の影響を受けやすく,曇りや雨の日が多い見込みです.この期間の平均気温は平年並みでしょう.降水量は平年並みの見込みです.
 5月:天気は周期的に変わりますが,高気圧に覆われて晴れに日が多いでしょう
    気温・降水量共に平年並みの見込みです.
 6月:梅雨前線や低気圧の影響で,曇りや雨の日が多いでしょう.
    気温・降水量は共に平年並みの見込みです.
 7月:梅雨前線や低気圧の影響で,曇りや雨の日が多いでしょう.
    気温・降水量は共に平年並みの見込みです.

 2)予想される大気の流れ
 ・極東東西指数:極東域における偏西風蛇行の指標は4〜5ヶ月周期で低指数が現れていることから,7〜8月が次の低極とみる.すなわち,南北流型となり,熱の南北交換(南から北に暖気が運ばれ,北から南に寒気が運ばれる)が大きく,低気圧や高気圧の動きは遅くなります.低気圧が発達し,荒れた天気が生じやすくなります.
 ・東方海上高度指数:日本の東海上の高度の指標は5,7月が負偏差,6月が正偏差と予想されています.負偏差は東海上に寒気が南下しやすいことを意味します.この指標は北日本の気温との対応がよいといわれます.
 ・北緯30度西谷指数:日本付近30度の気圧の谷の指標は3ヶ月周期から西谷は3月〜4月,次は6〜7月と予想されています.

 3)予報期間内の類似年と参考年
 類似年:1980年と1965年.
 参考年:5月は1988年,6月は1972年,7月は1957,1980年.
 4)前回3ヶ月予報からの変更点
 なし.

この予報の内容で気になるのは,類似年に1980年と1965年が挙げられている点です.1980年は東北の作況指数が78の平成5年に次ぐ大冷害であった年です.また,1965年は盛夏が短く冷夏であった年です.
 また,大気の流れの予想では,偏西風は南北流型で,西谷となり北から寒気が流入する可能性もあることを指摘しています.
 もし,6月に大平洋高気圧が張り出し暑くなりようですと,7月の天候に十分注意する必要があるようです.

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4.エルニーニョ現象と東北の夏(図説 東北の冷害)

 エルニーニョ現象は長期予報で注目される大気と海洋の運動の一つのものです.
 ペルー沖合(
図4のNINO.1+2)の海面水温は9月に最も低く,クリスマスの頃から急上昇し,3月に最も高くなります.この海面水温が上昇する現象を現地の人はエル・ニーニョと呼んでいます.この言葉はスペイン語で'El Nino'と書き,神の子イエス・キリストを意味します.この名前の由来は,海面水温上昇がちょうどクリスマス前後に発生することの他,おりからの降水によりバナナやココナッツが収穫期を迎えるなどの天の恵みに対して感謝の意味を込めたものといわれています.しかし時としてこの高温状態が3月以上も続き,かたくちいわし漁が不漁となり,地元の漁民の間では一種の天災と恐れられています.
 気象庁では図4のNINO.3(北緯4度〜南緯4度,西経150度〜90度)を監視海域とし,「この海域の月平均海面温度の5ヶ月移動平均が摂氏+0.5度以上の月が,6ヶ月程度継続した場合」をエルニーニョ現象と定義しています.(以上仙台管区気象台技術部予報課調査係「長期予報の解説資料 第2版−長期予報で使用する用語の解説−,1995年6月による)

 このエルニーニョが発生中の東北地方の夏期の平均気温の平年偏差は図5に示す通りです.
 1951年から夏期に同現象が発生した年は通算14年です.
 6月では,14年のうち,平年より低いのが6年,並みが5年,高いが3年です.
 7月では,同様に,平年より低いが5年,並みが7年,高いが2年です.
 8月では,同様に,平年より低いが8年,並みが5年,高いが1年です.
 このように,エルニーニョ発生中における東北地方の夏期平均気温は並みから低いの傾向が読みとれます.
 なお,1996年4月末現在エルニーニョは発生していません.
 
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