水稲冷害研究チーム

1998年編集長日誌


この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。


4月


 
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○4月1日(水) 日本作物学会出席
・ 宮城県以南の新幹線沿いの水田では耕起作業が始まる。桜の開花は宇都宮付近まで達している。低気圧が発達し、寒気が入り気温は下がる。大雪の注意報が関東内陸から東北太平洋側に出される。

○4月2日(木) 日本作物学会出席
・ 今回の講演会には冷害関連の研究成果が多く目立つ。
・ 農業環境技術研究所地球環境研究チームの山川さんを訪ね、本年の夏の天候予測についてご指導頂く。エルニーニョ現象が5月に終わるかどうかが、この夏の天候に大きく影響するとのことだ。
・ NOAAのエルニーニョ監視ホームページ(http://www.elnino.noaa.gov/)によると、南米チリ沖と赤道上の海面水温は高い状態が続いている。
・ 東北農政局から、本年度の活動計画に関する問い合わせがある。4月1日の人事異動で構成メンバーが一部変更となる予定だ。


○4月4日(土) 低アミロース米の資料送付
・ 山形県最上町のモニターの方に、低アミロース米の品種特性と栽培上の注意事項に関する資料を送付する。
・ 山形県最上町のモニターからメールがくる。
「 先日の大雪にはびっくりしました。 好天が続いた後だけに、最上町でも、数件ハウス等で被害が有ったようです。太平洋側がひどかったとか、何とも不思議な雪でしたね。稲作は、お天気勝負の所"大"ですから、心配な所も有ります。先般、「食糧ジャーナル」に最上町の減農薬米の記事が載っていました。 ランダム抽出した、"あきたこまち"の食味値が最上町では82点の特Aになり今年も期待されております。けれど、規格は・・・昨年以上に厳しい防除制限になりそうです。」


○4月6日(月) いよいよ早期警戒の業務が始まる!
・ 青森県稲作指導情報第2号と発生予報第1号が届く。
・ 山形県発生予報第1号が届く。
・ 東北農政局から「農業生産の技術指針」が送られてくる。
・ 岩手県種市町のモニターから春のたよりが来る。
「お久しぶりです、此方ももう日陰にしか雪は見えず、春本番です。コガラが5日ほど前から営巣活動を始め、今日今年始めてうぐいすの初鳴きを聞きました。まだ営巣活動までは入っていないけれど・・・・。其れと共に家の中を越冬地にしている、カメムシもそろそろ動き出してきたようで、山に行くまで10日ぐらいの間憂鬱な匂いに悩まされそうです。一昨年は5月13日がピークでした。蓬蓮草も3月26日に播種した物が、(他の家はもっと早く2月中旬には播種しています)一寸程度に為りました。久慈では早い所では田起しの作業に入っている所も散見されました。でも鶯が来たのが嬉しい・・・・。(桜の便りが聞こえてくる頃やって来ますから )」


○4月8日(水) 研究打ち合わせ
宮城県松山町において、宮城県農業センター、小牛田地域農業改良普及センター、松山町、JA関係者と本年度の研究計画の詳細について打ち合わせる。早期警戒システムの有効性実証のモニター農家候補3名を決定する。水田では耕起作業が本格的に行われている。

○4月10日(金) アメダス監視システムのバージョンアップ
・ 山形県最上町のモニターから次のような助言を頂き、早速PDFファイルでの提供の方向で改善を図ることにする。
「使っているブラウザのせいか?HP各種の添付表のデータですが、鮮明な印刷は無理なようで・・・こまい所不鮮明であります。出来れば、別にPDFファイル等でダウンロード出来る体制ならもっと良いかと思いました。鮮明さはもっと段違いでしょうから・・・検討してみてください。」
・ ウェザーニューズ来室。アメダス監視システムのバージョンアップを行う。本年度から東北全域のメッシュ気温データによる監視が行える。


 
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○4月11日(土) 
・ モニターからPDFファイルによる情報提供の次のような感想が来る。
「>>(先にご指摘があったPDF版を図説「苗立枯病」で作成してみました。このような形でよろしいでしょうか。今後は、各種情報にPDF版をつけるようにいたします。)
非常に鮮明で、大変良かったです。通常は、印刷してそれを参考にしていますので・・・見えてて見えにくい文字に「残念だ!」と日頃思っていました。HPでは、減色GIFでスピード優先、必要なデータはPDF版でしっかり参考にすれば、レスポンスの良いHPが出来ると思います。PDFファイルは、優れた情報形式なのですが使用している所が少ないのが現状でして、早速取り入れて戴き大変うれしく思っています。"紹介するHPから、実用するHP"には、これからどこの公的機関でも使用して欲しいと思っているのですが・・・。」


○4月13日(月) 監視態勢の準備
・ アメダス指標地点の気象経過とNOAA画像の監視準備にとりかかる。
・ 現在、最低気温が平年より2〜4度高い状態が続いている。


○4月14日(火) 種まき始まる
・寒冷前線の接近で、暖かい空気が入る。このところ最低気温が2〜4度高く推移している。場内の桜がほころび始めた。例年より1週間程度早いようだ。
・ 東北基幹品種の生育・作柄監視試験区の種まきを行う。本年度は次の12品種を栽培する。青森県:むつほまれ、つがるロマン、岩手県:かけはし、ゆめさんさ、宮城県:ササニシキ、ひとめぼれ、じょうでき、秋田県:あきたこまち、山形県:どまんなか、はえぬき、福島県:コシヒカリ。


○4月15日(水) 種まき
・ 寒冷前線の通過に伴って、風と雨が強い。寒冷前線の通過後に寒気が入るためか、盛岡の最高気温は10度と予想されている。気温は高いものの、日照不足が続く。
・ 他の試験区の種まきも無事終わる。
・ 場内の桜が開花し始めた。


○4月16日(木) 松山町研究打ち合わせ
・寒冷前線の通過後、移動性高気圧に覆われ久々に日差しが戻る。日照不足が続く。
・ 宮城県小牛田町JAみどりと生産農家2戸に早期警戒システムの正式モニターの依頼をする。営農指導と生産者の立場から、早期警戒のホームページによる情報提供に関して積極的なご意見を頂ければと思う。当地では稲作作業が本格化し、来週から早いところで施肥・代かきが始まるようだ。
・ 福島県農業試験場から稲作情報がファクシミリで届く。


○4月17日(金) 
・ 移動性高気圧の影響で日本海側は気温が上がったが、太平洋側は気温が上がらなかった。太平洋が南部では降雨があった。日照不足が続く。
・ 宮城県松山町農家がモニターを引き受けてくれるとの電話が入る。
・ システム農学会春季大会の発表申し込みが来る。


○4月18日(土) 播種のたよりが来る
・ 1か月予報によると、4月下旬に寒気団が南下する可能性を指摘している。
・ 山形県最上町のモニターから次のような種まきのたよりが来る。
「 今日、一回目の播種をしました。つい先日の、夏日の日差しとはうって変わり肌寒い一日でした。「やっぱり異常気象なのかな?」って感じです。好天の時期が、いつもより早かったので・・・それのしわよせかな? 北海道では、雪が降ったとか!? 気象変動の大きい年になるのか、心配しています。一つ思ったのですが、緊急的な予報等でましたら・・・メールサービスなんて可能でしょうか?(または、定期メールニュース)モニター会員は、いっぱい居ると思いますので定期的な返信も可能だと思います。是非、検討してみてください。忙しくなってくると、なかなかパソコンの前にこれなくなる日もあるもんで、(メールだけは見てる)インターネットアクセスが鈍くなってしまいます。」


○4月20日(月) 
・ 太平洋にある高気圧に覆われて、晴れて気温は高かった。日照不足は徐々に解消され始めた。
・ 3か月予報を入手。この夏の平均気温、降水量とも平年並の予測となっている。しかし、気象の変動が大きいことが予想される。


 
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○4月21日(火) 宮城県松山町へ
・ 太平洋にある高気圧の覆われ、真夏の天気となる。フェーン現象で三陸沿岸などでは30度を超えた。
・ 宮城県亘理の友人から次のようなメールが来る。
「メール有難うございました。今シーズンも有益な情報を利用させて頂きますので、よろしくお願いします。
 シーズンオフの間も水稲冷害研究チームのホームページの新着情報のところを時々覗かせて頂いておりました。鳥越さんからのメールが届いてから改めてホームページを少し詳しく覗いてみました。以前に比べ、ホームページに含まれる情報が大幅に増えていることを実感しました!技術系の情報の中で水温と不稔率の関係は興味深く読ませて頂きました。不稔率の温度感受性があれほど大きいものであることを初めて知りました。品種によっては、1℃の温度の違いで不稔率が約60%も変化するのには驚きました。また、生育監視圃場の結果報告にも興味をひかれました。栽植密度30cm×20cm(1坪あたり55株程度でしょうか?)で1株3本植えの疎植で収量が600kg前後を達成、しかも穂数も1坪あたり1000〜1350本でには感心しました。農場の慣行施肥法にでも特徴があるのでしょうか?差し支えありませんでしたら、ご紹介ください。 東北のような寒冷地では密植で多穂を達成して収量を上げるのが常識と聞いていましたが。
さて、私の方の農作業の進捗状況をお知らせします。播種は4月5日に行いました。現在、1.5〜2葉期といったところです。今年は寒暖の差が大きいので苗の管理が厄介です。4月に入ってからは雨が多く、圃場が乾かないので代掻き前の砕土作業等は不可能になってしまいました。田植えは5月3〜5日あたりを予定しています。簡単ですが、近況報告まで」
・宮城県松山町のJA、生産者の方にモームページを実用的なものにするため積極的な提言を頂くためのモニターをお願いに行く。数名の方が快く引き受けてくれた。現地では早いところで代かきが始まり。普及センターや松山町関係者によると、田植えは連休中に行われる見込み。


○4月22日(水) 
・太平洋の高気圧の影響で、晴れて暑い日となる。異常高温が続く。
・ 東北農政局から「東北地域農業気象協議会」出席依頼が来る。この会議は仙台管区気象台と東北農政局の情報交換の場となっている。


○4月23日(木) 種まきの便り
・太平洋の高気圧の影響で、晴れて暑い日となる。異常高温が続く。
・ 岩手県種市のモニターから次のような種まきのたよりが届く。
「近火見舞い有り難う御座います。家から軽米、八戸共に半径40kmの範囲で、又町内鹿糠でも同時多発的に山火事が発生し心配な一日でした。一つには町場の人が山菜取りに山に分け入る時期と重なる事も原因だと思います。マナーの悪さに閉口しています。町内大沢の育苗ハウスでは、ハウスの移動なども有り一週間程前に終わったばかりです。虫の発生が今年は早いですね。今年は悩まされそうです。」
・ 青森県から技術情報が届く。
・ ウエザーニューズ来室。アメダス新システムのセットアップと改良を行う。
・日別平均気温の区分を田植えの可否を考慮して変更する。



○4月24日(金) 東北地域農業気象協議会
・ 深い気圧の谷の接近でほぼ全域で雨となり、南からの暖かい空気が入りほぼ全域で雨となり気温は上がる。異常な高温が続く。
・ 本日は東北農業試験の開場記念日。記念講演会等の行事がある。
・ 異常な高温が続いているため、生育・作柄監視用の12品種の苗が伸びすぎている。田植え予定日に合わせて、生育調節が必要となった。
・ 東北農政局で開催された「東北地域農業気象協議会」に出席する。今の異常高温とこの夏の天候について仙台管区気象台の予報官と情報交換を行う。現在の異常高温は大気の循環場が変わりつつあるので、北にある寒冷前線が通過した後に平年並かやや低くなる可能性があるとのこと。また、夏の天候については、寒暖の変動が大きいと予想されているので、油断できないとのことだ。



○4月25日(土) 
・ 寒冷前線の通過で、ぼぼ全域で雨が降る。北部は気温が下がる。
・ 早期警戒情報のフォーマットを検討する。


○4月26日(日) 
・ 北に偏った高気圧の影響で、太平洋側は北東の海風で雲が発生し気温は上がらなかった。
・ NOAAのエルニーニョホームページの海面水温偏差画像によると、依然としてエルニーニョ監視域の海面温度は高く、また日本周辺の海面水温が平年よりかなり高く、その範囲も広がりつつある。この異常高温とも関係するのか。


○4月27日(月) 研究打ち合わせ
・ オホーツク海にある高気圧から北東の海風が入り、ほぼ全域で雲がかかる。太平洋側は平均気温が10度を下回る寒い一日となった。
・ 宮城県農業センターと岩手県農業研究センター銘柄米研究室を訪問し、昨年度の研究結果と本年度の研究計画について打ち合わせを行う。


○4月28日(火) 岩手県農業気象協議会
・ 高気圧に覆われてほぼ全域で晴れ、気温も上がる。一時気温は下がったが、依然として高温・日照不足の状態が続く。
・ 岩手県農業気象協議会に出席する。農作物の生育が平年より1〜2週間程度進んでいる実態が紹介される。また、今後晩霜に対する警戒が必要だと−盛岡地方気象台の予報官が指摘する。5月3から5日頃が要注意とのことだ。水稲苗の生育は高温のため軟弱徒長気味に経過し、同時に細菌病の発生が心配されている。


○4月29日(水) 
・ 寒冷前線の通過で、天気が崩れる。その後、北に偏った高気圧に覆われるため、また北東気流が流れ込む見込み。

○4月30日(木) 
・ 北に偏った高気圧に覆われ、全般に晴れて気温は上がる。
・ 育苗中の苗が高温・日照不足のため徒長軟弱となる。第2葉の葉鞘が著しく徒長している。田植えを当初の予定から1週間早めることにする。5月12日手植えの予定。
・ 早期警戒情報の第1号をまとめる。高温による軟弱徒長、過繁茂による苗の老化、細菌病の発生等がポイントとなる。
・ 山形県の予察情報が届く。
・ 各地の霜注意報が出される。




 

 

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