水稲冷害研究チーム
1998年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
11月
−−−−−−−−− 上旬 −−−−−−−−−
○11月1日(日)
・ 東北農政局発表10月15日現在の作柄概況をまとめる。収量は東北全体では、昨年に比べて34kgの減収であった。作柄地帯別にみた減収は、青森県南部104kg、同下北77kg、同青森69kg、岩手県北部81kg、同下閉伊75kg、宮城県南部66kg、福島県中通り62kgとなっている。唯一昨年より増収した地帯は青森県津軽で、平均収量は616kgとなっている。
・ 10月中旬と下旬の気象表をまとめる。依然として高温傾向が続いている。
○11月2日(月)
・ 初氷が盛岡で平年より12日遅く観測される。
・ 宮城県松山町の航空機写真が納品された。倒伏や成熟期に違いに基盤整備後の年数が大きく影響している実態がよく分かる。
・ 宮城県亘理町の友人から、次のようなお礼のメールが届く。
「システム農学会春季シンポシウム論文集を送付頂きまして有り難うございました。早速拝読させて頂きました。特に、秋田農試の児玉さんの生育診断システムに関する論文は生産者の立場からは大変興味深く感じました。モデルの予測精度をさらに高め、適用限界を明らかにするための実証試験等の積み重ねに期待したいところです。秋田県のあきたこまち以外の品種にも適用可能になればすばらしいと思います。また、研究機関における種々の成果を実用に供するためには、生産者への迅速な情報伝達の実現、気象予測の飛躍的な精度向上、および生産者が作物管理を行う上での意志決定等が特に重要であることも理解できました。取り急ぎ、お礼まで。」
・ 福島県棚倉町の生コンクリート会社の友人から次のようなメールが届く。
「先日もメールいたしました者ですが、気温表が10月18日より更新されていないようですがどうしたのでしょうか?いつも参考にさせていただいておりますので
今後も情報を発信していた頂けると助かるのですが、今後の状況をお知らせください。」
* ご要望を受け、地帯別・日別気象表を復活することにする。
○11月3日(火)
・ 山形県最上町の友人から、次のようなお礼のメールが届く。
「 おはようございます。昨日、資料届きました。昨夜、会合がありまして遅くなり
まだ目を通していませんが、ゆっくりと見させてもらいます。本当に、ありがとうございました。やっと、一通りの作業を終え新米を食べました。異常気象の時は、不味いのが常ですが・・・新米は美味しく自信を持って出荷でき「ホッ!」としています。試験を兼ねて栽培した"スノーパール"も食しましたが、評判通り大変美味しくいただきました。
今年の反省をふまえ、土壌分析の結果と合わせ、来年に向けて少しずつ準備していくつもりです。」
・ 山形県鶴岡市の友人から、次のようなお礼のメールが届く。
「いつもお世話になっております。学会の資料受け取りました。私には難しすぎる内容のようですが,毎日の仕事に関する分野だけに興味もあります。これからの時期自分の時間も十分取れますから,ゆっくり読ませていただきます。ありがとうございます。
資料の最後のディスカッションのところは特に興味がありました。情報を発信する側の人たちの苦労がうかがえます。私は,これからもっと農業試験場,普及センターなどの公的機関がそこで研究している情報などをインターネット上で公開して頂きたいと思います。
必ずそれらを必要としている農家があるはずです。それを受け取る農家が,最終的に判断,実行し初めてその情報が生きてくる訳ですが,受け手側は地域,年齢,立場など千差万別ですから、発信側が意図したとおりに伝わらない場合もあるかもしれません。しかし、それを恐れて情報を出し控える事だけはしないで欲しいものです。大量にある情報から自分の必要とするものだけを選択することは、受け手側の問題とも言えると思うからです。
今まで農家が手にする情報はほとんど全てJA発またはJA経由でした。ある意味でJAというフィルターを通った情報だけ伝えられていたとも言えます。1つの物でも違う角度から見ると別の物に見える事があります。農家の情報源も複数必要な時代になってきているのではと考えています。それを可能にするのがインターネットだと思います。
そのような理由もあり鳥越さんチームのHPは気に入ってます。農業新聞の記事有り,気象情報有り,東北6件の技術情報有りと内容豊富です。しかし、そこで得た情報の関連でその地域の農業試験場,普及センターのHPを探しても満足の行く結果を得られないことの方が多いのが現状です。この事を改善する意味でも,公的機関はもっと色々な分野で大量の情報を公開して頂きたいと思います。
これからもっとインターネットを活用していきたいと思っている農家の独り言を書いてしまいました。これからもお世話になると思いますが,よろしくお願い致します。」
○11月4日(水)
・ 土壌の分光計測に関して岩手県農業研究センターと打ち合わせる。
・ 大阪の寿司屋さんから、次のようなお礼のメールが届く。
「お久しぶりです 資料、有り難うございます。 私のインターネット接続は興味本位の趣味の域を出ないが、農家にこそインターネットは電話やFAXより役に立つ道具で仕事の手助けになり、農業がやり甲斐のある仕事に変わる道具かも知れない。 農業は人間の感を頼りにして長い間作物を作ってきたが、これからはネットワークを農家自身が作り上げ、 JAの下請けみたい状況から抜け出し、自立、独立しなければ後継者問題も解決しないでしょう。 農家によるネットワークが確立すれば農作物の価格が流通業者(全農も含む)の手から農家に移り、 農業がやり甲斐のある仕事、夢がある仕事と感じれば、若者は何処へも行きません、行ってもすぐ戻ってきます。 鳥越チームの早期警戒システムは東北地方の農家のネットワーク作りの一翼を担うのでは。というのは 早期警戒システムの情報はそれを見て農家自身が判断し、どうするかは自分で決めなければいけない。JAの指導ではなく、自分の責任である点が、仕事にやる気が出てくる重要な要素と思います。 なんだか、まとまりのない文章で申し訳ありません、 農業の将来は見捨てたものではない事を云いたいのですが 鳥越チームの活躍を期待しています。」
○11月5日(木)
・ 気象経過図が冬のものに変更される。
・ 生研機構プレシジョン・ファーミング関係の研究者が来室し、研究開発計画に関して意見を交換する。
○11月6日(金)
・ 岩手大学・岩手県農業研究センターと共同で、雫石地区で昨年収集した土壌サンプルの分光計測を行う。ランドサットTMデータ解析の基礎情報となる。
○11月9日(月)
・ 生育・作柄試験区と水管理試験区の収量構成要素調査を始める。
・ 71監視地点の稲穂が各県から届く。
−−−−−−−−− 中旬 −−−−−−−−−
○11月12日(木)
・ 恩師の京都大学名誉教授渡部忠世先生の企画した技術情報交流セミナー「21世紀を展望した水田農業の確立」(於:秋田県仙北町)に参加する。講演内容は次の通り。
・ 基調講演「21世紀を展望した日本の農業・農村の課題」(農耕文化研究振興会代表 渡部忠世)
・ 特別講演「大区画圃場における水田農業の展開方向−水稲を基幹とした輪作体系の展開−」(秋田県農業試験場長 長野間 宏)
・ 特別講演「稲作農家に野菜を導入するための条件−地域特性を活かした無理のない取り組み」(東北農業試験場研究室長 小沢 聖)
・ 地域からの話題「仙北地方における水田複合化の課題」(秋田県農業試験場 渋谷 功)
・ 地域からの話題「子供の農業観と担い手」(秋田JA中央会 阿部健一郎)
・ この講演会は農林水産技術情報協会・秋田県・おばこ農業共同組合・農耕文化研究振興会が主催したもので、地元の生産者・JA関係者・行政関係者など200名を超える聴衆が集まり、盛況なものであった。
○11月13日(金)
・ 昨日に続き、農業フォーラム−豊かで多様な農業をめざして−「食と農の原点から考える」が100名を超える聴衆を集めて開かれる。地元仙北地方の生産、消費者や農業教育関係者による討論会で、話題は次の通り。
・ 地域特産物を活かした民宿で結ぶ都市と農村」(西木村 門脇昭子)
・ 加工・特産作物の直売で手をつなぐ地域の女性(太田町 佐々木フミ子)
・ 定年後の農業で生きがいを拡げる(仙北町 進藤勇吉)
・ Uターン農業にかけた夢(太田町 田村健郎)
・ 教育現場で食と農を考える(県立大曲農業高校 佐々木晃一郎)
・ 地域を活かした転作野菜で広がる農業(六郷町 田口勝久)
・ 新たな視点で稲作経営の拡大をはかる(大曲市 大槻四郎)
・ 消費者サイドから見た農産物生産・流通への提言(大曲市 斎藤紀子)
・ 役所の定式化された会議に食傷気味な私にとって、生産者・消費者の生の声を聞くことができて、とても興味深い討論会であった。このような討論会を、冷害をキーワードで開くのも興味深いと感じた。両日のセミナーとフォーラムが仙北地方の新たなる動きにつながることを期待したい。
○11月14日(土)
・ 松山町のモニターから秋作業の様子が届く。転作作物の大豆収穫、冬作物の播種や植え付けで忙しくしているとのこと。
・ 県から集められた稲穂試料を整理し、調査の準備に入る。
○11月19日(木)
・ 各県の生育診断圃場から集められた穂の調査を始める。
○11月20日(金)
・ 東京で開かれた地理情報システム(GIS)に関する研究会に講演を依頼され、「農業分野におけるGISの利用現状と将来展望、と水稲冷害早期警戒システム」を中心に話題を提供する。
−−−−−−−−− 下旬 −−−−−−−−−
○11月24日(火)
・ 岩手大学横山教授の依頼で、国際協力事業団のリモートセンシング研修員5名に研究活動を紹介する。
・ アメダス監視システムのバージョンアップ計画の詳細を打ち合わせる。
○11月25日(水)
・ 松山町のモニターからパソコンにトラブルが発生したとの連絡が入る。早急に対応を検討する。
torigoe@tnaes.affrc.go.jp