この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
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・ 弱い寒冷前線が通過するが、天気は概ね良好である。 ・ 早期警戒情報第3号を作成する。いよいよ田植えが本格的に進む時期となる。気温は平年並みである。 ・ 週間予報支援図(7日)によると、北日本上空への強い寒気の南下は予想されていない。 ・ 500hPa高度場(12日)予測によると、偏西風は大きな蛇行ではなくなる予想となっている。 ・ 生育・作柄診断試験用の苗の生育状況をみる。概ね順調で、現在の葉齢3.2程度となっている。 ・ 品種解説「スノーパール」を作成する。 ・ 山形県鶴岡のモニターから調査協力の次のようなメールが届く。 「茎数、葉令の件 了解です。不完全葉を第1葉と数える事とします。鳥越さんのお役に立てるかどうかわかりませんが、協力させて頂きます。解らない事がありましたら又質問させて頂きます。昨日は天気は良かったのですが風がとても強く、田植にはあまり好条件とは言えませんでしたが、日曜日まで家の分を終わらせなければなりませんのでそのまま植ました。月曜からは田植機を共同購入した、隣の人が使う予定になっています。6条の機械で、2人の分で約9haほど植える事になります。疲れも溜まってきていますが、もうひとがんばりです。田植が終わったら報告します。」 ・ 山形県最上町のモニターから調査協力の次のようなメールが届く。 「メールが遅くなりまして、すみません。オーバークロックの弊害で、PCがダウンしていました。忙しくて、パーツをそろえるのにしばらくかかってしまいました。コンビニみたいに、パーツショップが24h開いていたら復帰早かったのに。こちらは、耕耘が終盤を迎えています。田植えは、16日辺りからでしょうか? 作付け品種は、“あきたこまち”です。今年から、“どまんなか”に換え“はえぬき”を作付けします。生育調査の件ですが、病害虫予防箱処理剤(4種類)の、試験圃場を設ける予定ですので生育調査も行う予定です。報告は、葉齢だけで良いのでしょうか? 項目が少なくて良いとすれば、HP上での 自動予測化への弾みになりますね!協力します。朝夕の気温の下がりと、風が強いのを田植え時期に心配しています。もっと、マイルドな気候なら良いのですが! リアルタイムな、情報提供をよろしくお願いします。」 ・ 稲育種研究室の友人から、ラムシュ育種法の回答が届く。早々にモニターに転送する。内容は次の通り。 「お尋ねのラムシュ育種法につきまして、これは”集団育種法(bulk method)”と呼ばれる手法の別名です。交配後、F1個体を栽培して得られたF2種子の(遺伝的には均一でない)集団を、二世代または三世代程度、個体選抜を行わず雑種集団のまま自殖させ、ある程度、個体内での遺伝的固定が進んだ(各個体内でホモ型になった遺伝子座が増えた)F4〜F6世代で、個体選抜を行い、以後はその個体から得た種子を”系統”として、自殖と系統内での個体選抜とを繰り返して遺伝的固定をはかる、というものです。F2集団の段階ですぐに個体選抜を行う方法(系統育種法)に比べ、系統内での形質の分離が少なくなるので、選抜の手間が楽になります。また、例えば障害型冷害や穂いもち病の常発地で雑種集団の育成を行うと、いもちや冷害に弱い個体が次第に淘汰されていくので、個体選抜の時に耐冷性や耐病性の強い個体の出現頻度が高まる、という利点もあります。集団育種法で育成された日本の稲品種の最初の例はフジミノリ(藤坂育成)です。なお、当研究室では、一年に複数世代の稲の採種が可能な宮崎農試などに依頼して、雑種集団の育成を一年に2ないし3世代ぶん行って育種年限を短縮する、世代促進育種法(集団育種法の改良型)を主に用いております。上に書いたのは教科書的なことなので、もしこれでわかりづらい、ということであれば、改めて説明し直しますので御連絡いただきたいと存じます。」 |
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・ 移動性高気圧に覆われて、比較的良好な天気となる。 ・ 500hPaの大気循環場の予測(11日)によると、偏西風の流れには大きな蛇行は予想されていない。 ・ アクセス数が、26,000件を超え、最近4週間のアクセス数は昨年比で175%。 ・ 松山町のモニターから田植えが終わったとの連絡が届く。田植え期間中はひげを剃る暇もなく、戦争のような状況だという。 |
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・ 移動性高気圧の覆われて、天気は良好。早朝、冷え込む。今日は快晴、岩手山がきれいに見える。残雪が残る岩手山を背景に、他の試験区の代かきが始まる。直播には大敵の“かもの夫婦”が例年通り現れる。 ・ 午前4時現在、気温は内陸部を中心に5度以下となる。 ・ NOAAの海面水温平年偏差図(11日)によると、大きな海面水温の変化はみられない。 ・ 500hPa高度場の予測(15日)によると、偏西風は日本付近で大きく蛇行し、オホーツク海に気圧の峰が明瞭に形成される予想となっている。オホーツク海高気圧が形成される可能性を示す。 ・ 苗の生育状況をチェックする。まずまずの出来である。やや色が抜け始めているように見える。19日手植えのため臨時職員の動員をお願いする。 ・ 青森県と岩手県の収量分布図を更新する。作図ソフトが新しくなったので、以前のものよりは比較的見やすくなる。収量データ一覧もpdfファイルで掲載する。 ・ 東北農政局から、早期警戒システムを同局ホームページのトップページにリンクしてくれるとの連絡が入る。これは望外の喜びである。 |
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・ 居座っていた移動性高気圧が東に去り、天気は徐々に下り坂に進む。明日から大荒れの天気となりそうだ。 ・ 気温は、午前4時現在、5度以下の地点が多数分布する。北海道や岩手県内陸部では氷点下の地点もある。果樹などへの晩霜害が心配される。 ・ 500hPa高度場の予測(22日)によると、偏西風は東西流となる予想である。 ・ 週間予報支援図を提供しているホームページでは、最近更新されない状態が続くので、情報の更新をメールでお願いする。 ・ 水管理・施肥・いもち病予察試験区の機械移植を行う。天気は良く、順調に作業が進む。 ・ 一般の方から、次のような質問がメールで届く。 「初歩的なことで申し訳ないのですが、変動係数の使い方、またそれによって何が分かるのかを具体的に教えていただきたいのですが。お願いします。」 <回答> ホームページをご覧頂きありがとうございます。ご質問の変動係数の件についてお答えします。変動係数は統計学の分野でよく使われる指標で、標準偏差を平均値で割って、100倍したものです。したがって、平均値からのバラツキの程度を示す指標として広く利用されています。ご質問は、最近更新した各県地町村別収量や冷害危険度地帯区分にこの指標が示されているためだと拝察致します。たとえば、冷害危険度地帯区分の図を見ていただきますと、危険度地帯5(図中赤の市町村)は平均収量596、その変動係数4.8%で高収量で変動が小さく、安定していることを示します。一方、地帯8や6(図中青・水色の市町村)は収量400kg弱で、変動係数が30%を超え、収量レベルも低く、不安定なことを示します。この点を市町村別収量推移で確認頂ければと思います。さらにご質問があれば、ご連絡下さい。 ・ 宮城県石巻のモニターから、生育調査のデータが届く。 「おはようございます.先日はお忙しいところをお立ち寄りくださいましてありがとうございます.お借りしました、<庄内稲作農業の発展の歴史と展望>及び<イネを作った人々> 一気に読ませていただきました.亀の尾に関すること、それから、明治時代からの稲作の歴史が詳しく書いてあり過去の農業人の健闘ぶりがしのばれました.さて、我が家のインターネット環境ですが、あれから改善したように思えたのですが、このごろ又、文字化けが生じてきました.システムの競合が原因と思われますので余りひどくならないうちにシステムの再インストールをします。今後とも宜しくお願いします.」 |
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・ 低気圧が接近し、天気は崩れる。午前9時頃から風雨が強まる。 ・ 週間予報支援図(17日)によると、低気圧が通過したのちに、弱い寒気の南下が予想されている。その後は高温傾向になる予想だ。 ・ 500hPa高度場の予測(23日)によると、偏西風は東西流となる予想である。 ・ NOAAの海面水温平年偏差図(18日)によると、大きな変化は認められないが、南シナ海の海面水温が負偏差から正偏差に変わる傾向が伺える。 ・ 生育・作柄診断圃場の手植えを行う。32名が風雨の中集まり、12品種(40a)を手植えする。昨年に引き続き雨の中の田植えとなる。夏の天候の平安を祈る。いよいよシーズンインとなり、身が引き締まる思いがする。 ・ 夜は早乙女とともに、『早苗ぶり』で祝杯を上げる。 |
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・ 低気圧が発達しながら、東北地方を通過する。各地でまとまった降雨となる。 ・ 山形県最上町のモニターY氏を訪ねる。生育調査圃場を見学後、同町の営農対策室を訪ねる。昨年秋から訪問することが話題となっていたが、それが実現でき感激である。やはり、ご本人の印象は私がイメージした人物と一致した。町の営農対策室では、関係者と生産者の営農指導にはリアルタイムの情報の必要性が一致する意見となり、その一例として『早期警戒システム』を携帯電話とノートパソコンを利用して紹介した。関係者の方々は今後インターネット環境の整備等について積極的に考えてみたいとのことだ。営農指導の立場からモニターになって頂けると、私たちにはとても勉強になる。 ・ 昨日から、車で盛岡−沢内−横手−新庄−鶴岡−尾花沢−最上−古川−盛岡と約600kmの旅をし、モニターの訪問と田植えの進捗状況を調査した。田植えが5月の連休に行われる庄内平野や古川周辺では苗はすでに分げつ始め直前の生育に達しているが、他の地域では田植え直後ないしは田植え中である。田植えがほぼ終わるのは、東北地域では5月末日頃であろう。われわれ3人にとっては、新しい出会いと感動の調査旅行となった。 ・ 26日にお会いした山形県鶴岡のモニターK氏からメールが届く。「昨日は遠路お出で頂きありがとうございました。鳥越さんはじめチームの皆様にお会いでき本当に楽しい時間を過ごす事が出来ました。毎日の作業に追われて忘れがちになってしまいますが、人との出会いの有り難さに感謝です。」 |
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