水稲冷害研究チーム

1999年編集長日誌


この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。


9月

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○9月1日(水) 
・ 昨日の気温は南部で晴れて上がる。北部ではまとまった雨となり、気温は上がらなかった。秋田県大館、青森県五所川原・弘前では50ミリを超える降雨があった。盛岡ではお日様が待ち遠しい。
・ 熱帯性低気圧が南海上で大きな雲の渦を形成し始める。台風に生長するか。
・ 秋雨前線が東北地方を南下し、北部を中心に強い雨となる。倒伏が心配される。
・ NOAAの海面水温平年偏差図(8月30日)によると、日本東海上にある平年に比べ海面水温がかなり高い領域が小さくなる。一方、九州南海上の海面水温は平年より高くなる。赤道海域の海面水温は平年よりさらに低くなる傾向が出てきた。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(31日)によると、青森県太平洋側、岩手県、宮城県、秋田県、山形県でやや日射量不足の傾向が現れる。特に岩手県中部は強度の日射量不足が続く。
・ 山形県最上町のモニターの「あきたこまち」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 青森県むつの「かけはし」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 秋田県大曲の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県雫石の「あきたこまち」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 山形県山形の「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県川内の「コシヒカリ」が糊熟期に達したものと推定される。
・ 石巻のモニターから刈り取りの予定がメールで届く。
・ 生育作柄診断試験区の「むつほまれ」「つがるロマン」は、このところの低温・日照不足で成熟直前で止まっている。
「我が家の稲作の総決算がもうじき始まります.亀の尾は11日に刈り取りする予定です. ひとめぼれは16日頃の予定です.減反豆後で心配しましたが近年にないほどのまれに見る姿です.」
・ 意見交換の広場に次のような質問が来る。
「最近の田んぼの耕作状況を見ていて疑問に思うことがあり、教えていただけないかと思いました。昔は田んぼの畦畔に代掻きのとき表土を盛っていた(いわゆるクロ)と思いますが最近はそういう状況を見ません.ビニールシートで代用している人もいますが、まったくほったらかしの畦畔も見かけます。そこで,
1 クロの役割は、遮水以外にあるのでしょうか.
2 クロを作るのは,農業の利益追求に障害になるのでしょうか 」
 (取り急ぎ、私の回答を個別にお送りしたが、モニターの方々の助けを求めるメールを送る。漏水防止以外に雑草や病害虫の管理上意味があるのかも知れない。返事を待って公開で回答することにする。)
・ 亘理町の友人から、早々に適切な回答が次のように届く。
「クロ塗りをするのは鳥越さんの回答にあるように漏水防止が第一目的であると私も思います。昔は現在のように用水路が整備されておらず、天水だけが頼りであったと思われます。そこで貴重な水をできるだけ有効に利用するために、こまめにクロ塗りをしていたものと思います。現在は比較的自由に水が引けるため、極端な漏水田以外ではクロ塗りが廃れたものと思います(現在では樹脂製の畦波あるいはシートで代用)。
 クロ塗りが利益追求の障害になるかについては、クロを塗ったことによる田んぼの水管理の労力費低減、抑草効果による除草費低減および水温上昇等による収量増とクロ塗りの労力費(および資材費等)とのトレードオフ(相殺)になるのではないでしょうか。」


○9月2日(木) 
・ 昨日は秋雨前線が北から南に通過し、ほぼ全域でまとまった雨となる。秋田県・山形県では60ミリ超える降雨のあった監視地点もある。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(1日)によると、青森県太平洋側、岩手県、宮城県、秋田県、山形県で強度の日射量不足となる。
・ 鶴岡のモニターの「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 青森県六ヶ所の「かけはし」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 秋田県角館・本荘の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県宮古の「あきたこまち」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 山形県狩川の「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県若松の「コシヒカリ」、白河の「ひとめぼれ」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 生育作柄診断試験区の「むつほまれ」「つがるロマン」が成熟期に達する。昨年に比較すると「むつほまれ」は15日、「つがるロマン」は17日それぞれ早い。
・ 同試験区の「おきにいり」が黄熟期に達する。昨年よりも11日早い。
・ 同試験区の「かけはし」の坪刈り穂数調査を行う。平方メートル当たり穂数は380本で昨年比98.7%。登熟は良好で粒の張りも良い。明日坪刈りの予定。
・ オーストラリアの農学研究者が当場の別のプロジェクト研究で来て、早期警戒システムを紹介する。編集長の似顔絵アイコンがとても気に入っておられた。
・ 仙台管区気象台から、8月の気象と夏の気象に関する資料がメールで届く。この夏は「夏平均気温は記録的な高温、東北大平洋側で多雨」に要約されるようだ。
・ 松山町のモニターから、会津に研修に行った感想がメールで届く。
「昨日、会津若松に研修にいってきました。鳥越さんに聞いてはいましたがササ、ひとめ、コシで12俵前後、酒米の華吹雪で11俵(最高14俵)、五百万石で10俵と収量、等級の差をまたも実感させられました。」
・ 松山町のモニターの一人から、クロ塗りに関するコメントがメールで届く。
「畦畔(基盤整備していない田圃)の役割は、保水のほかに農作業の専用道路の意味あいがあるかと思います。例えば、追肥、薬剤散布、観察等々。その作業道路も、風化や物理的に消耗していくことと思います。ですから畦畔の手入れは毎年の作業の1つになっていると思います。しかし、最近の基盤整備され、田圃の畦畔は従来のものよりも何倍も大きくなっているために、少々のことでは、手をかける必要はありませんが、いずれは崩壊または消耗していくはずなので、手をかけざるを得なくなるかと思います。よって、利益追求如何に関わらず、なすべき作業ではないかと思われます。」(要は基本技術である)
・ 松山町のモニターの一人から、クロ塗りに関するコメントがメールで届く。
「当地方(昔)では漏水防止のために水苗代(春)にだけにしたようです。本田ではほぼしなかったようです。今は機械があるので、畦畔の補修(漏水防止)のため本田で数年ごと行うようにしています。また、多少の雑草発生の抑制効果も期待します。」
・ 石巻のモニターから、クロ塗りに関するコメントがメールで届く。
「イネを水田で栽培するとき、畦畔は是非とも必要です.在来の畦畔は、用排水の適時利用の確保、幼穂形成期の深水管理、病害虫防除のために重要な意味をもちます。漏水対策ですが、水入れ前に出来るだけ高さと幅を確保し、耕起のときにトラクターなどで転圧をして固めると良いです.水張り後の漏水防止には、毎日の見回りによる足転圧がイネのためには一番良いのではないでしょうか。ちなみに、3年越しの機械によるくろ整形と、日々の見回りで漏水が防げて水掛が楽になり、イネの生育を観察できる余裕が出来ました.水稲は、水の駆け引きが一番大切だと思います。そのためには、くろを作ることが必要です.」


○9月3日(金) 生育作柄診断試験区「かけはし」坪刈り
・ 昨日の気温は、地帯1の岩手松尾、地帯3の肘折、地帯4の十和田・鹿角、地帯6の「軽米」、地帯7の猪苗代、地帯8の小田野沢で20度を下回る。久々にほぼ全域で日射がある。
・ 盛岡では秋らしい青空が広がる。赤トンボが舞い始める。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(2日)によると、岩手県の強度の日射量不足はやや改善される。福島県は日射が豊富となる傾向。
・ 秋田県の大館・大潟・湯沢の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。
・ 宮城県仙台の「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 山形県米沢の「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県郡山の「コシヒカリ」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 生育作柄診断試験区の「ひとめぼれ」「はえぬき」が黄熟期に達する。昨年に比べて「ひとめぼれ」は11日、「はえぬき」は10日早い。
・ 同試験区の「かけはし」の坪刈りを行う(写真参照)。本年度初めての収穫である。稲穂は重い。
・ 東北農政局から、最終の水温データが届く。
・ 仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。今後とも気温は高い予想となっている。稲刈りがさらに早まる可能性がある。週末には稲刈りの便りが届くようになりそうだ。
・ クロ塗りについてモニターから次のような意見が戻ってくる。大変勉強になる。
・ 岩出山町のモニターから
「1、先ずは漏水防止:水を溜めて、稲の成育温度を上げる、そこに施した肥料を流さない。深く水をためるとヒエなどの雑草が生えなくなる。
 2、クロを作って土地の保全をする:昔ながらの田んぼ(棚田)などは自然の高低差を利用して上流から下流に水を流すので、自然と上から下へ土が流れるのでそれを防ぐためようするにダム機能をはたす。
 クロは日本の風景の一部です。早苗の頃の田んぼはとても美しいです。代かきの頃に咲く名前はわかりませんが小さな草花にいつも感動します。」
・ 最上町のモニターから:
「一番の目的は、漏水防止ですが、基盤整備されている水田でも、そのままですと漏水と共に畦畔がくずれ現状維持が難しくなります。最近は、耕耘時にロータリーに土寄せ用のデスクを付けていますのでますます細くなります。水に維持と共に、作業面のためにも畦畔は必要ですし、抑草と併せて畦畔保護のためにも必要と考えます。」

稲穂は重い

○9月4日(土) 
・ 昨日は全般的に秋晴れとなり、気温は日較差が大きく、登熟に良好な条件となる。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(3日)によると、日射量不足はやや改善される。
・ 青森県五所川原と三戸の「むつほまれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 秋田県平坦部の「あきたこまち」はほぼ成熟期に達したものと推定される。
・ 宮城県築館・米山の「ひとめぼれ」「ササニシキ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県相馬・喜多方・二本松の「コシヒカリ」が黄熟期に達したものと推定される。平年的な温度経過より8〜12日程度早まる。
・ 生育作柄診断試験区の「ササニシキ」が黄熟期に達する。
・ 鶴岡のモニターからクロ塗りについて意見が届く。
「くろ塗りは畦畔の維持管理作業の1つと考えます。畦畔の役割としては、1つは遮水、もうひとつは稲の観察や管理作業のための通路です。その為には、水を通さない事はもちろん人が重い機械などを背負って歩いても大丈夫なほどしっかりしてなくてはいけません。 
しっかりしていた畦畔も秋になるとかなり低くなります、そこで次の年の春にくろ塗りをし、十分な高さを確保します。また、その事により雑草が生え難くなったり穴を開ける野鼠が少なくなる利点も有ります。くろを塗る事で漏水も大体防げるのですが、十分でない場合は、ビニールフィルムを張り出来る限り遮水します。水稲を栽培する場合、水を制御する事は何よりも大切だからです。しかし、春のくろ塗り作業ほどきつい作業もありません。1日300mくらいが限界でしょう。この時期は、他にもしなければ行けない作業が沢山あり、体が幾つあっても足りない程です。しかし最近は良い作業機が出来てくろ塗り作業をトラクタで出来るようになり本当に助かっています。」
・ 松山町のモニターの一人からクロ塗りに関する意見が届く。
「クロ塗りしないと、漏水により肥料の吸収も悪くなると思います。私の場合は、基盤整備後ですので、今のところ心配はありませんが、水を多くかけていますのでなるべくなら、幅広でしっかりしたものがいいです。深水の難点は、今の時点でぬかるということですね。
稲刈り開始は、20日前後になりそうです。」


○9月5日(日) 
・ 好天が続く。昨日の気温は内陸部で30度を超す。
・ 高気圧に覆われ、概ね晴れの好天となる。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(4日)によると、日射量不足はほぼ改善される。
・ 宮城県白石の「まなむすめ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県浪江・東白川・小名浜の「コシヒカリ」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 生育作柄診断試験区の「あきたこまち」「ゆめさんさ」が成熟期に達する。それぞれ昨年に比べて16日、17日早まる。
・ クロ塗りについてモニターの方々から、いろいろの意見を頂いた。それらを要約して公開質問に回答する。この一つの作業には本当に深い意味があることを痛感し、大変勉強になった。また、モニターの方々は本当に心強い先生である。今後とも素朴な質問が来ることを期待したい。
・ 岩出山町・鶴岡のモニターは10日頃から稲刈りに入るとメールが届く。10,11日の刈り取り調査の日程を調整する。刈り取り前の稲を見るのが楽しみである。
・ 開設以来のアクセスが34,000件を超す。


○9月6日(月) 坪刈り穂数調査
・ 好天が続く。昨日の気温は内陸部で30度を超す。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(5日)によると、日射量不足は全域で改善される。
・ 鶴岡のモニターの「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ 青森県青森・鰺ヶ沢の「むつほまれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県一関の「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 宮城県亘理の「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県猪苗代の「初星」、石川の「コシヒカリ」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 生育作柄診断試験区の「むつほまれ」「つがるロマン」「あきたこまち」の坪刈り穂数調査を行う。「むつほまれ」「つがるロマン」「あきたこまち」の平方メートル当たり穂数は337本、356本、369本で、昨年比110%、117%、97%であった。
・ 岩手県から稲作技術情報が届く。
・ 秋田県から生育情報が届く。
・ 鶴岡のモニターから刈り取り準備のメールが届く。
「今日午後でようやく枝豆の収穫が終わりました。明日はその袋詰め作業です。終了次第稲倉の片付け、機械の点検をして稲刈りの準備です。10日には刈り始めていたいのですがどうなる事やら、と言う状態です。」


○9月7日(火) 「むつほまれ」「つがるロマン」坪刈り
・秋雨前線が日本海を北上し、日本海側を中心に雨となる。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(5日)によると、日射量不足はほぼ改善される。
・ 岩手県若柳・江刺の「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県船引の「コシヒカリ」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県北部で「かけはし」の収穫が始まったとのテレビ報道が昨日ある。
・ 生育作柄診断試験区の「むつほまれ」「つがるロマン」の坪刈りを行う。まずまずの出来だ。茎葉がまだ青く、稲束は非常に重い。
・ 同試験区の「じょうでき」が成熟期に達する。昨年より15日早まる。
・ 明日の場公開日に予定されているパネルディスカッション「これからの農業研究−21世紀に向け」の話題提供(情報活用型農業)の発表準備を行う。早期警戒システムを運営し、モニターの方々との交流から学ぶことを中心に話題を提供したい。要は、研究者と生産者の方が生産現場で一緒になって相互に勉強することのおもしろさ。


○9月8日(水) 一般公開
・ 秋雨前線が東北地方に停滞し、日本海側を中心に雨となる。
・ NOAAの海面水温平年偏差図(7日)によると、日本東海上の海面水温が平年より著しく高い状態はややおさまる傾向が認められる。一方、赤道付近の海面水温は平年より低くなる傾向がみられる。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(7日)によると、やや日射量不足の傾向が全域的に現れ始める。
・ 山形県最上町のモニターの「はえぬき」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 青森県弘前の「つがるロマン」と三沢の「かけはし」が成熟期に達したものと推定される。
・ 秋田県阿仁合の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県北上の「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 宮城県大衡・鹿島台の「ササニシキ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 山形県新庄の「どまんなか」、楯岡の「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県福島の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 東北大学大型計算機センサーのNOAA画像の提供が停止する。
・ 場公開のパネルディスカッション「これからの農業研究−21世紀に向け」で情報活用型農業について発表する。聴衆者のなかには、生産者の方々らしい人も多く見られた。
・ 東北農業試験場50周年事業に来場された、農林水産技術会議事務局会長と総合研究チーム長など関係者との懇談会がある。早期警戒システムの開発状況についてご説明する。
・ 明日は、50周年事業が行われ、懐かしい先輩たちが多数来場される予定。

研究者の責任は重い

○9月9日(木) 50周年事業
・ 昨日は山形県本荘・酒田・狩川で60ミリを超す降雨がある。倒伏が心配される。
・ 高気圧の覆われ、全般に晴れの良い天気となる。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(8日)によると、やや日射量不足の傾向が全域的に現れる。
・ 秋田県鹿角の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。これで、秋田県の監視全地点で成熟期となる。積算平均気温メッシュでみると、8月1日出穂の水稲は能代・秋田・大曲・横手周辺で1000度を超え、刈り取り時期が近いものと思われる。
・ 岩手県盛岡の「あきたこまち」、千厩の「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 宮城県の全監視地点は成熟期に達したが、平坦部の積算平均気温は950度〜1000度の間にあり、収穫適期が近づいた模様。
・ 山形県肘折の「どまんなか」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 生育作柄診断試験区の「どまんなか」が成熟期に達する。
・ 青森県から稲作指導情報がメールで届く。
・ 50周年記念式典・祝賀会、さらには場内で諸先輩方との交流親睦会が夜遅くまで開催される。


○9月10日(金) モニター圃場坪刈り調査
・ 全般に好天となる。気温は高い状態が続く。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(9日)によると、やや日射量不足の傾向が全域的に現れる。
・ 松山町のモニターの「ひとめぼれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 青森県十和田・八戸の「むつほまれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県久慈・松尾の「かけはし」が成熟期に達したものと推定される。
・ 山形県長井の「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県飯舘の「コシヒカリ」が黄熟期に達したものと推定される。
・ 宮城県から稲作情報が届く。
・ 宮城県岩出山町、山形県最上町と鶴岡のモニターを訪問し、調査圃場の坪刈りを行う。久しぶりに再会し、作柄について話し合う。
・ 岩出山と鶴岡のモニターは昨日から採種用「ひとめぼれ」の収穫を始めていた。

稲刈り始める(鶴岡モニター)

 
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○9月11日(土) モニター圃場坪刈り調査
・ 宮城県石巻と松山町のモニターを訪ね、調査圃場の坪刈りを行う。モニターの方々は収穫準備に忙しい。明日から収穫に入る予定と聞く。
・ 長い調査旅行が終わる。車窓から見ると、収穫が各地で一斉に始まる。今年ほど、収穫時期が東北全域でほぼ一斉に始まるようなことは珍しい。
・ 好天が今後続くことを期待したい。


○9月12日(日) 
・ 天気は回復に向かう。稲刈りが本格化することを期待したい。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(11日)によると、北三県でやや日射量不足が続く。
・ 最上町のモニターの「あきたこまち」が成熟期に達する。予測とほぼ一致する。
・ 青森県黒石の「つがるロマン」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県軽米の「かけはし」、紫波・遠野の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。
・ 山形県尾花沢の「どまんなか」が成熟期に達したものと推定される。山間地の水稲を除いて、ほぼ全域で成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県若松・郡山の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 鶴岡のモニターからメールが届く。
「昨日の午後から稲刈を開始しました。今月いっぱいで刈取は終了できると思います。」


○9月13日(月) 
・ 気温の高い状態が続く。平均気温は平年より4度程度高い。
・ 南海上の熱帯性低気圧の動きが注目される。
・ アメダス監視システムにトラブル発生。
・ NOAAの海面水温平年偏差図(11日)によると、日本東海上の海面水温が平年より著しく高い領域に変化は認められない。赤道域の海面水温は平年より低い状態が続く。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(12日)によると、青森・秋田県でやや日射量不足が続く。
・ 久慈のモニターの「かけはし」が成熟期に達したものと推定される。
・ 青森県むつの「かけはし」、蟹田の「むつほまれ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 岩手県雫石と宮古の「あきたこまち」が成熟期に達したものと推定される。岩手県の全監視において成熟期を過ぎる。
・ 福島県相馬・喜多方・二本松・小名浜の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 生育作柄診断試験区の「おきにいり」「ひとめぼれ」「はえぬき」が成熟期に達する。昨年に比較して、12日、13日、12日それぞれ早い。
・ 同試験区の「コシヒカリ」が黄熟期に達する。昨年より9日早い。
・ 河北新報のニュースに、宮城県で行われた米の初検査結果の記事が出る。「ひとめぼれ」で一等米比率は68.9%であった。高温の影響で乳白米が発生したのが原因といわれる。
・ 岩出山のモニターから作柄に関してメールが届く。
「今年のお米を初めてもみすりしました。ひとめぼれは品質は予測通り良く、一等米になりそうです。今年のお米の特徴は千粒重が重いが、全体量は期待ほど取れない感じがします。この調子で稲刈りが進むと10月までには終わりそうです。毎日そちらのアメダス画像を参考にしながら稲刈りを頑張っています。」
・ 種市のモニターから稲刈りについてメールが届く。
「稲刈りは早い人で10日遅くても15日には終わるかと思います(かけはし)。たかねみのりは15日以降の模様です。」


○9月14日(火) 
・ 昨日は所々で降雨がある。気温は依然として高い状態が続く。刈り取りが順調に進むことを期待したいが、秋雨前線が東北南部に停滞する。
・ 熱帯性低気圧は発達した雨雲を伴って、九州地方に進む。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(13日)によると、秋田県でやや日射量不足の状態が残る。
・ 青森県六ヶ所の「かけはし」が成熟期に達したものと推定される。残る小田野沢の「かけはし」も数日中に成熟期に達する模様。青森県ではほぼ全域で成熟期を過ぎたものと推定される。
・ 福島県浪江の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 最上町のモニターから刈り取りを始めたとの次のようなメールが届く。
「9月12日より、刈り取り開始しました(ヒメノモチ)。今年は、収量的には100〜110%の出来と感じています(まだ、製品にしていませんのでハッキリとはしませんが・・・)。ただ、病害虫の被害粒が少なく大変きれいな米で、かつ充実度も優れていますので食味も期待しています。出穂後の高温で、通常ですと退化する籾まで実入りしましたので、通常の未熟粒の割合では、刈り取り判断が難しい所です。判断は、積算温度と実際の穂の状態との判断でしょう。適正刈り取り幅は、かなり狭くなりそうです。遅れないように、心がけたいと感じています。心配なところは、未熟粒の混入による水分の戻りと、秋とは思えない好天のしわ寄せが、有るのか無いのか?今年の総精算、厳しい価格低迷の中・・・食味に自信を持って刈り取り中です!」
・ 京都大学大学院の学生さんから次のようなメールが届く。
「貴ホームページを非常に興味深く拝見させていただきました。私は研究で水田の水収支をコンピューター上で簡単にモデル化をしようと考えています。そこで、水田の規模や地方特性にもよるのかも知れませんが、灌漑水の取水量や排水量のルールや規則性、地盤浸透の特性などをお教えいただけないでしょうか?また、このようなモデルは実在しているのでしょうか?で、もし実在しているなら、どのようなものなのでしょうか?かなり素人なので、少し抽象的な質問で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。」
(問い合わせの内容を十分に整理して、時間を頂いてご返事することにする。ルールや規則性については、モニターの先生方に教わる必要があるかもしれない。)


○9月15日(水) 
・ 台風16号と秋雨前線の影響で、ほぼ全域で強い雨となる。稲刈りの遅れが心配される。
・ 次の熱帯性低気圧が南海上で発達した雨雲を伴って日本をうかがう。
・ NOAAの海面水温平年偏差図(14日)によると、日本東海上の平年より水温の高い領域に変化は認められない。太平洋高気圧が今までと同じように居座り、南から暖湿気流が入りやすい状態が続く模様。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(14日)によると、青森県太平洋側・岩手県・秋田県・山形県庄内でやや日射量不足の状態となる。
・ 福島県東白川の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 鶴岡のモニターから「ひとめぼれ」の収穫が終わったとのメールが届く。


○9月16日(木) 坪刈り穂数調査
・ 昨日は台風16号と秋雨前線の影響で、山形・宮城・福島で100ミリを超える降雨があった。倒伏が心配される。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(15日)によると、岩手県・秋田県で強度の日射量不足の状態となる。
・ 福島県石川の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 警戒メッシュ作成システムにトラブル発生する。復旧を依頼する。
・ 穂数調査の結果は、昨年に比較すると次の通りであった。「かけはし」98.7%、「むつほまれ」110%、「つがるロマン」117%、「あきたこまち」97%、「ゆめさんさ」96%、「じょうでき」93.4%、「おきにいり」93.5%、「どまんなか」96.3%、「ひとめぼれ」83.4%、「ササニシキ」95.1%、「はえぬき」87.4%、「コシヒカリ」86.5%。早晩性と猛暑時期との関係が顕著に現れているものと推定され、興味深いデータである。盛岡の基幹品種「あきたこまち」では昨年に比較してやや穂数が少ない傾向。
・ 宮城県迫地域農業改良普及センターから調査用の稲穂が届く。


○9月17日(金) 坪刈り2回目
・ 台風17号は九州の西海上で停滞。一方、南海上には次の熱帯性低気圧になりような2つの大きな渦が形成され始める。北部は秋晴れが期待でき、刈り取りが進むことを期待したい。一方、南部は秋雨前線の影響でぐずついた天気となる。
・ 警戒メッシュ作成システムが復旧する。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(16日)によると、岩手県中部・秋田県南部で強度の日射量不足の状態が続く。
・ 福島県船引の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。
・ 水管理試験区と生育作柄診断試験区の「あきたこまち」の坪刈りを行う。診断試験区の「あきたこまち」は出来が良いように感じる。
・ 仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。今後とも曇雨天が続きそうなので、稲刈りが早く終わることを気遣うメッセイジが付されている。
・ 稲刈りの進捗状況が心配になり、モニターの方々にメールで問い合わせる。
・ 宮城県亘理の友人から、稲刈りの進捗状況に関するメールが届く。天候がぐずついているため、思うように進まないとのこと。収量も見た目ほどではないようだ。心配していた乳白粒も若干例年よりは若干目に付く程度とのこと。
・ 宮城県岩出山町のモニターから、稲刈りの進捗状況に関するメールが届く。
「稲刈りは今週にはいり、雨のため遅れています。早めに稲刈りに入って良かったと思っています。私の家では上から雨が降ってこなければ稲刈りをしており、今日も午前中に4反くらい刈り取りました。予測のとおり、ササニシキは取れそうです。今年の新米はとてもつやがあり、おいしいお米です。」
・宮城県松山町のモニターから稲刈りが進んでいないとのメールが届く。


○9月18日(土) 早期警戒情報第23号
・秋雨前線の影響で南部を中心に降雨がある。
・ 早期警戒情報第23号を作成する。刈り取りは遅れているが、ほとんどの地帯で刈り取り適期に入っているものと思われる。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(17日)によると、岩手県・秋田県南部・宮城県・山形県・福島県会津で強度の日射量不足の状態になる。
・ 青森県小田野沢の「かけはし」が成熟期に達したものと推定される。
・ 福島県猪苗代の「初星」が成熟期に達したものと推定される。福島県では平坦部の「コシヒカリ」がほとんど成熟期に入ったものと推察される。


○9月19日(日) 
・ NOAAの海面水温平年偏差図(18日)によると、日本東海上の水温が平年より高い地帯は依然として高い状態が続く。
・ 最上町のモニターの「はえぬき」が成熟期に達したものと推定される。
・ モニターから稲刈りの進捗状況がメールで届く。このところのぐずついた天候で稲刈りは順調に進んでいるとは言えないようだ。


○9月20日(月) 坪刈り
・ 秋雨前線が北部に停滞し、北部を中心にかなりの降雨がある。収穫の遅れが懸念される。
・ 台風18号が南海上で発達し、巨大な雲の渦を形成し始める。予測進路は日本方向。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(19日)によると、青森県を除いて強度の日射量不足の状態になる。
・ 生育作柄診断試験区の「コシヒカリ」を除く、全品種の坪刈りが終わる。どうにか天気がもち、一安心といったところ。しかし、コンバインによる当場の収穫作業はまだ本格的に始まらない。
・ 秋田県の「あきたこまち」の新米検査が始まり、品質が心配されているようだ。
・ 仙台管区気象台から3か月予報の解説がメールで届く。
・ 東北農政局から水温データが届く。
・ 意見交換の広場に、またまた難しい質問が来る。質問の内容が良くわからないが、太平洋側のモニター諸先生方の協力を求めることにする。
「こんにちは。わたしたちは、社会の勉強で、冷害について調べています。 その中で、冷害の被害を示す立て札に興味を持ちました。立て札が何の役に立っているのか、どんなことを書くのか、教えてください。 お願いします。」


 
−−−−−−−−−   下旬   −−−−−−−−−


○9月21日(火) 岩手県農業気象協議会
・ 昨日は青森県を中心に50ミリを超える降雨がある。ほぼ全域で降雨があり、稲の刈り取りがさらに遅れる。穂発芽などの品質の低下が懸念される。
・ 台風18号は宮古島付近に停滞し、さらに発達する。今後の動きが注目される。
・ 仙台リサーチセンターの日射量画像(20日)によると、岩手県・宮城県・山形県で強度の日射量不足の状態が続く。
・ 松山町のモニターと電話で連絡を取る。一部品種に立毛状態で穂発芽が発生し始めているとこと。雨が続き、収穫作業も思うようにはかどらないとのこと。明日モニターの一人のパソコン修理のため松山町に行くことにする。刈り取り状況や玄米の品質について確認してみたい。
・ 岩手県農業気象協議会に出席する。稲刈りが進んでいない状況にあり、今後の台風18号の動きが注目される。関係者一同、一日も早く稲刈りが進むことを期待する。
・ 一般からの質問の「立て札」の件で、岩手県種市町のモニターから詳細な説明を頂く。モニターは本当に私の先生である。
「 この問題について、岩手県種市町(冷害を度々被る地域のひとつ)の生産者モニターの方が丁寧に説明していただいていますので、それを紹介します。参考になれば幸いです。
「20アール以上お米を作っている農家の皆さんは、必ず国の制度である「農業災害補償制度」に加入しなければなりません。それでは「農業災害補償制度」にはどのような事業があるかと申しますと、1・農作物共済 2・蚕繭共済(さんけんきょうさい)3・家畜共済 4・果樹共済 5・畑作物共済 6・園芸施設共済が有ります。
 お米は麦と共に1・農作物共済に加入しなければなりません。農作物共済とは色々な災害や被害に遭って、お米や麦が取れなくなったときに農家の人たちを保証する「保険制度」です。それではどのような時に農家の人たちが保証されるのかと言うと「風水害、干害、冷害、その他気象状の原因による災害、火災、病害虫及び鳥獣害」となりますが具体的には次の通りです。
 ア・風水害 イ・干害 ウ・ひょう害 エ・冷害 オ・凍霜害 カ・暖冬害
 キ・寒害 ク・雪害 ケ・雨害湿潤害 コ・冷湿害 サ・土壌湿潤害 
 シ・地震害 ス・雷害 セ・噴火の害 ソ・地すべりの害 
 タ・その他気象状の原因による災害 チ・火災 ツ・病害 テ・虫害
 ト・鳥害 ナ・獣害 等です。
それではこの様な共済を取り扱う所はどのような所かというと、農業共済組合や組合の無い所では市町村が取り扱います。
 農家の人が冷害等によって、お米が取れそうも無いと思ったときは市町村や共済組合に報告しなければなりません。報告を受けた市町村や共済組合は、被害を受けた農家の台帳を作ります。それと共に被害を受けた農家に「被害表示の立て札」を配ります。
 これが皆さんの見た立て札です。
 立て札に書く内容ですが、「地区名」「耕作者氏名」農家の人の名前「耕地の地名地番」田んぼの住所「引き受け面積」、田んぼの面積「種類別」普通のお米かもち米かなど、「品種別」お米の種類(コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなど)。この様なことを書いておきますと誰が見てもここの田んぼは誰の田んぼで、どのようなお米を作っているのかと言うことが分かります。そのあと市町村、共済組合で2回、都道府県、連合会で1回、どのくらいの収穫になるかを検査します。その検査のときによく解るようにするために「立て札」は有ります。」
・ 宮城県岩出山町のモニターからも説明が届く。上の同じ内容である。
「ご質問の件ですが、それは水稲共済の立て札だと思います。これは強制ではないのですが、水稲や他の作物が天災や稲のイモチ病など被害があった場合、最低限の保証をするため保険を水稲共済といいます。その立て札の内容は、お米を作っている人の名前、その稲の品種、地名、地番などです。それを確認するための札です。」
・ 宮城県石巻市のモニターからも同様な説明が届く。
「さて、冷害田の立て札の件ですが 水稲農業共済の被害申告書の現地のだて標識です.生産者名、品種等を記入するようです.それを元に損害評価委員が現地で損害を評価し、坪かり結果とあわせてその田んぼの収量を評価し予定収量より少なければ、水稲共済から共済金が支払われます.残念ながら平成5年を除いて申請したことが無いので詳細はわかりません.」
・ 宮城県亘理町の友人から、稲刈りの状況などを知らせるメールが届く。
「相変わらずの悪天続きで、雨の合い間に稲刈りをしております。現在、刈り取り完了
率が90%程度といったところです。
 さて、質問に関してですが、これは水稲共済制度のことを指しているのではないでしょうか。この共済制度は農家が掛け金を拠出(国も拠出?勉強不足ではっきり分かりません)し、不可抗力の事態(冷害、病気、大雨、大風等)によって収量が減った場合にそれを補償(私の地域では平年作の7割まで補償されます)する制度です。農家は被害を受けて収量が平年作の7割以下(私の地域の場合で、他地域での割合は異なるかもしれません)になると思ったときに共済への申請を行います。申請が受理されると、田んぼの地番、面積(品種もか?)が記された札が配布されるので、それを田んぼに立てます。質問の立て札はこれをさしているのではないでしょうか。冷害だけの立て札は私も知りません。以上、記憶だけをたよりに書きましたので、細部については間違いがあるかもしれませんが、参考になれば幸いです。」
・ 開設以来のアクセス数が35,000件を超す。


○9月22日(水) 
・昨日は全域で降雨があり、南部では数十ミリのまとまった降雨となる。稲刈りが進まない。
・台風18号は発達し、沖縄・九州地方に進路を向ける。今後の動きが注目される。
・NOAAの海面水温平年偏差図(21日)によると、日本東海上の海面水温が平年より著しく高い領域はほとんど変化が見られない。赤道域の海面水温は平年より低い状態が続く。
・仙台リサーチセンターの日射量画像(21日)によると、青森県・岩手県・宮城県・山形県で強度の日射量不足の状態が続く。
・山形県肘折の「どまんなか」が成熟期に達したものと推定される。山形県山間部の水稲もすべて成熟期を迎えたものと思われる。
・福島県飯舘の「コシヒカリ」が成熟期に達したものと推定される。福島県山間部の水稲もすべて成熟期を迎えたものと思われる。生育監視活動も福島県川内を残すのみとなった。ここも数日中には成熟期に達する見込み。
・松山町のモニターのパソコン修理に行く。最近の雨続きで、東北道沿いの収穫の進捗状況は始まったばかりの状態で止まっている。松山町のモニターも刈れない状態である。
・小牛田地域農業改良普及センターに立ち寄り、収穫状況に関する情報を交換すると共に、鹿島台の生育診断圃場の稲穂を受け取る。同センターもホームページの作成を始めたとのこと。


○9月23日(木) 
・昨日は太平洋側南部を中心に50キロを超える降雨がある。稲の刈り遅れが心配される。
・台風18号は沖縄周辺にあり、予想進路は1991年の台風19号との類似性が指摘され始める。
・仙台リサーチセンターの日射量画像(22日)によると、ほぼ全域で強度の日射量不足の状態が続く。
・午前8時、東北の雨は峠を越える。各地で稲刈りが進むことを期待したい。


○9月24日(金) 
・昨日は日本海側では日差しがあり、遅れている稲刈りがやや進んだものと推察される。
・午前6時現在、台風18号が強い勢力を保ったまま、九州に上陸する。東北にとっては最悪のコースが予想されている。盛岡も久しぶりに晴れ間が広がる。
・台風18号は午前10時頃に日本海に抜ける。勢力は強く、午後9時頃には東北地方に接近する見込み。
・ 午後1時現在、台風の外側の渦が関東・北陸地域まで達する。
・午後3時現在、山形県に暴風警報が発令されている。福島県では台風の外側の雲がかかり始める。コースがやや東よりになる。
・午後5時現在、山形県・秋田県に暴風警報。台風の外側の雲は岩手・秋田県にかかる。
・午後6時現在、山形県・秋田県・青森県に暴風警報。
・福島県川内の「コシヒカリ」が成熟期を迎えたものと推定される。これで福島県の監視地点のすべてで成熟期を過ぎる。
・ 仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。
・意見交換の広場に次のような質問が来る。回答までに少し時間を頂くことにした。
「稲作についてですが、刈り取り後に耕起して稲わらを発酵させるといいますが、積雪の多いところでは、腐敗となり効果がないともいわれています。最近バイオ系の農薬(?)があるようですが、刈り取り後の耕起で発酵に効果のあるものがあれば教えてもらえないでしょうか。また、刈り取り後の耕起が土質的に有機栽培にどの程度まで近づくのでしょうか(除草剤等の農薬の使用による土質の変化ではなく)。」


○9月25日(土) 早期警戒情報第24号
・台風18号は昨夜東北西海上を北上、北海道に再上陸する。午前中は風の強い状態が続く。
・早期警戒情報第24号を作成する。台風の通過後は晴れの日が多いと予想され、収穫作業が進むことを期待したい。
・試験圃場の状況を調べる。台風による被害はほとんどない。場内の刈り取りも遅れていたが、来週には本格化する模様。
・昨日の意見交換の質問について、モニターの方々にご教示頂きたくメールを出す。
・鶴岡のモニターから収穫が終わったとのうれしい便りが届く。
「雨続きでのびのびになっていた稲刈も台風の来る直前24日午後3時頃にようやく終了しました。カントリー利用者の人達はまだ60%くらいしか刈り取っていません。しかし台風もたいしたことなく過ぎ去り一安心です。」


○9月26日(日) 
・昨日は日差しが戻り、気温も高く経過する。
・NOAAの海面水温平年偏差図(25日)によると、日本の東海域の海面水温が平年より高い領域には変化が見られない。依然として著しく高い状態が続いている。
・最上町のモニターからメールが届く。台風被害が軽微で安心する。
「こちらは、風台風でした。あきたこまちとスノーパールの一部に、倒伏が有りましたが、 予想したより軽微でした。ただ、ノッタ・タッタで立てた稲藁が見事に倒れてしまい、立て直し(人力)を考えると、頭が痛い話です。はえぬきは、見事に立っています。来年は、作付けが増える予感がします。刈り取りは、50%でしょうか? 好天が続づきそうな、明日からが勝負です。こちらは、特にカメムシの被害が多いと聞いています。いもち病が少なかったために、防除の手抜きと考えられます。我が家では、対応しましたので被害は少ないようです。あきたこまちは、7割ほど出荷しましたが全量1等米でした。(心配された、腹白米はほとんど有りませんでした。)今までは、天候不順なため籾水分がまちまちで乾燥調整に苦労しましたが、好天を切に念じている次第です。」
・岩出山町のモニターから藁の腐熟に関してコメントが来る。
「私の田んぼは何年も藁だけをすきこんで作っている田んぼが有りますがなんら問題は起こっていません。稲藁を腐らせる資材は「ワラクサール」、「フジュクエース」などがありますが値段が高いのとあまり効果がないので使用している方は近隣では少なくなりました。
 また藁が腐る際に多量の窒素が消費されるとのことで、石灰窒素を反当り10kg散布するなどの技術がありましたが、これも最近する方が少なくなりました。また私の友人の有機農法の方は、藁の腐熟を促進させるために米ぬかを散布している方がいます。これは上記の資材と変わらない位に効果があると言っております。私の方法は、秋に田んぼにすきこませる際にロータリーで浅く耕起して藁と土を混ぜるようにします。これだけです。
 冬の雪が多いところはワラを燃やしたりするそうですが、もったいないのでやめましょう。環境に悪いですから。しかし土壌条件によって代かきの際に藁が浮かんだりするという方は藁に水分を吸わせてから代かきすると良いようです。まったく藁の処理をせず翌年一回だけ耕起する方もいます。これは雑草が繁茂しますが環境には最もいいし、手抜きもできるし経費削減できます。藁は何年もすきこんでいると藁が炭化して層になっていますが、藁を分解する微生物が殖えているようです。環境に負荷をあたえると自然は問題を解決するようです。自然はすばらしいと思います。」
・鶴岡のモニターから藁の腐熟に関するコメントが届く。
「難しい質問ですが、私も以前やった事があるので書いてみます。コンバインから排出された稲藁をなるべく早く腐食させ堆肥化しようという事で、フジュクエースというペレット状の肥料を散布し浅く耕起しました。しかし、日本海側の天気の特性上、稲刈り終盤頃から雨の日が多くなり田圃が柔らかくなってきます。そこにトラクターを入れるとタイヤ跡が深くつき、浅く起こしたつもりでも十分深くなってしまいます。その為鋤込まれた藁も深すぎて温度も酸素も不足し、そのまま眠ってしまいます。それが穂肥え前後に肥効が出てきて、穂肥えの量を決め難くしてしまいます。又春に田圃が乾き難くなり、平らに耕起する事も難しくなりました。そのような理由から5年ほど続けましたが現在はやっていません。しかし、太平洋側のように秋から冬に掛け天気の良いところでは効果があると思います。」


○9月27日(月) 9月15日現在の作況指数
・移動性高気圧の広く覆われ、全般に晴天となる。稲刈りが進むことを期待したい。
・生育作柄診断試験区の「コシヒカリ」が成熟期に達する。坪刈りを行う。生育監視の仕事がすべて終了する。
・当場試験区の刈り取りが「あきたこまち」から始まる(写真)。コンバインで刈り取られる稲を見ると、本作の出来事が脳裏をよぎる。
・稲藁の腐熟に関する質問の一般的な回答を作成する。教科書的な回答に止まり、実践的なものはモニターの方々のコメントを利用していただくことにする。
・9月15日現在の作柄概況が発表される。作況指数は東北全体では104の「やや良」、10アール当たり収量は566kg。各県の作況指数と収量は、青森県102,589kg、岩手県106、551kg、宮城県103,528kg、秋田県103,589kg、山形県104,604kg、福島県105,541kg。
・松山町のモニターから稲刈りの進捗状況などのメールが届く。
「おかげさまでカントリーを利用しながら約10ヘクタールほど終了しました。まだ10ヘクタールは残っていると思いますが乳苗とか直播の田圃も2ヘクタールほどありますのであまりあわてていません。ご質問の立て札は、たぶん農業共済の野帳だと思います。内容は地番、面積、氏名、品種、災害の種類などを書き込みます。その被害の申込書をみて、共済の立ち見の係りが現地をみて共済額を判断します。次に稲藁の腐熟剤についてですが、私は昨年「フジュクエース」という腐熟剤を使いましたが、まあまあの成果はあったような気がします。秋耕を2回すれば大丈夫という人もいますが自分でやったことはありません。「現代農業」を見ると、いろいろな資材や方法が載っていますがまだ勉強中で、何がよいのかはまだわかりません。」
・宮城県亘理町の友人から、収穫を終えたとのうれしい便りが届く。
「おかげさまで、26日に今年の収穫作業が全て完了しました。ご心配頂きありがとうご
ざいました。ここ数日の好天により、私の周囲では刈り取り作業が急ピッチで進んでいます。あと2〜3日好天が続けば刈り取り作業はほとんど終了するものと思われます。収量は全平均で520kg/10a程度でしたので平年比102%といったところです。刈り取り初期に収量が思わしくなかったのであまり期待していなかったのですが、田んぼによる差が大きかったようです。先ごろ全体の半分ほど出荷しましたが、幸いにも全て1等米となり喜んでおります。以上、収穫作業完了のお知らせまで。
さて、今回質問についてですが、残念ながら詳しいことはわかりません。ただ、微生物の餌として米ぬかを田んぼにまいてから耕起すると腐熟が促進されると聞いたことがあります。また、石灰窒素を散布してから耕起するようにとの農協の推奨があります。最近では人為的に各種微生物・菌類を使用する方法もあるようですが詳しいことはわかりません。ただ、藁が腐熟するには湿度と温度が適度な範囲にある必要があるため、地域あるいは田んぼの特性によって耕起時期、耕起深さおよび散布材等の処理が異なってくるものと思います。」

当場稲刈り本格化する

○9月28日(火) 
・移動性高気圧の圏内にあり、ほぼ全域で好天が続く。
・生育作柄診断試験区の「コシヒカリ」の穂の発育過程の情報を更新。生育監視が完了する。病気やけがもなく、ここまで続けてこられたことを感謝したい。
・松山町から鉢上げして冷温処理した試料の刈り取りを行う。「ササニシキ」と「ひとめぼれ」の耐冷性の違いはやはり歴然としている。予備的に使用した「まなむすめ」は「ひとめぼれ」に近い耐冷性に見える。
・当場の基幹品種「あきたこまち」の籾摺りが始まる。玄米の性状はまずまずで1等格付けに期待が高まる。
・場内停電(10月2日)と私と神田君の学会出張(9月30日から3日)の不在とが重なるため、9月30日夕方からアメダス監視システムを停止することを、データ配信先のウエザーニューズ関係者に知らせる。9月4日に復旧の見込み。
・石巻のモニターから藁の腐熟に関するコメントが届く。
「ご質問の件ですが、稲藁の腐熟を促進するためには、秋早く鋤込みのが理想です。それから翌年のガス抜きが必要です。最近では、今年の藁が3年後に効くと思っています。しいてあげれば、代掻き時の浮き藁程度ですか、これも代掻きを丁寧にすれば対処できます。」


○9月29日(水) 早期警戒態勢の解除
・東に偏った移動性高気圧の圏内にあり、ほぼ全域で好天が続く。
・NOAAの海面水温平年偏差図(28日)によると、日本東海域の海面水温が平年より著しく高い海域に変化は認められない。
・コンバイン研修を行う。コンバインの機敏な動きに戸惑いながらも、機械収穫の喜びを体感することができた(写真)。熟練した方々はコンバインを身体の一部として動かしているのに感心させられる。
・青森県から技術指導情報がメールで届く。
・仙台管区気象台のヤマセシンポジウム実行委員会事務局から10月21日に同台で開催されるプログラムがメールで届く。「早期警戒システム」に関する講演を依頼されている。
・宮城県亘理町の友人に頼まれていた「まなむすめ」栽培法に関する資料を郵送する。来年は「ひとめぼれ」を一部「まなむすめ」に替えたいお考えのようだ。
・亘理町の友人からお礼のメールが届く。
「早速「まなむすめ」の栽培法に関する文献を送って頂けるとのことありがとうございます。来年の稲作の参考にさせていただきます。昨日で私の「ひとめぼれ」の出荷はすべて終わりました。
早期警戒の監視を今週末で終了するとのことですが、今年も長期間ご苦労様でした。公開された有用な情報をたくさん活用させて頂きました。また、今回の私のお願いのような鳥越さんの本来の業務とは直接関係の無いような事柄にまできめ細かく対応して頂いたことに対して大変感謝しております。取り急ぎ、御礼まで。」
・明日は早期警戒情報の第25号(早期警戒態勢の解除)を発信し、3日まで学会出張のため夏休みとさせていただく。日誌もこの間は休み、早期警戒システムのことを一時忘れることにしたい。

コンバイン刈り取り実習


 
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