水稲冷害研究チーム

2000年編集長日誌


この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。


5月

上旬へ 中旬へ 下旬へ
 
−−−−−−−−−   上旬   −−−−−−−−−


○5月1日(月) 
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧が西から近づき、天気は下り坂となる。明日頃から天候は荒れる予想。発達した雷雲が午後から北部を中心に覆われ、盛岡でも強い雨となる。田んぼの準備作業に影響が懸念される。中国大陸には寒冷低気圧の大きな渦が顕著になり始める。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「メールありがとうございました。しかしながら連日の作業に追われ返信が遅くなり申し訳ありません。今までこんなに春作業の遅れた年はありません。田圃の乾く暇が無いほどよく雨が良く降ります。昨日今日とまずまずの天気が続き、ここぞとばかりに一斉にトラクターが出ました。私の場合はこの好天を「はえぬき」を3haの直播散播に使いました。明日から移植用田圃の耕起をはじめます。苗の方は連日の雨降りで換気が思うように取れず少々徒長気味ですが、これから積極的に換気して、本田に移植されてからのショックを少なくしたいものです。作業の遅れは慌てても仕方がですから、苗と相談しながらがんばっているところです。長期予報の読み方をもっと勉強しなくては行けないと痛感しているところです。春の田植時期とか秋の収穫時期には晴れの日が続くものですが今年は別です。日本海側で好天が続くのはいつ頃からか教えて頂けないものでしょうか。」(5日以降を期待したい。)
・リンク依頼が一般から来る。
「すばらしいHPですね。私個人も農業をしていますので、良いものがあるのだなと感動しました。ところで職場の方ですが、当NOSAIもHPを公開致しまして、今農業と地域に役立つリンク先を探しております。是非リンクを張って紹介したいのですが良いでしょうか?ちなみに当方のHPは、http//:www1.ocn.ne.jp/~nosai です。お返事お待ちしています。」(相互リンクをお願いする。)
・宮城県高等学校の先生からメールで問い合わせが来る。
「一ケ月間くらいの長期天気予報(30日分)の情報がほしいと思っております。農業実習関係の授業を円滑に進めるため是非お願いできないかと思っております。この件について仙台管区気象台に問い合わせたところ,そちらの事務局へ6ケ月くらいの長期予報を提供しているとの紹介をいただきました。よろしくお願いいたします。」(メールアドレスがないので、電話でご相談する。)
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(日):
・北半球500hPa高度場:ブロッキング現象が続き、日本付近が低圧部となり2〜3日は寒気が入りやすい状態。その後日本付近は気圧の尾根となり、南から暖かい空気が入る予想となる。
・週間予報支援図(30日):偏西風の蛇行は続き、5日頃までは寒気を伴った低気圧の提供で日本海側を中心に天気がぐずつく。その後は高気圧に覆われ晴れの日が期待できそう。
・警戒メッシュ図(30日):稚苗移植の可能な範囲はなかなか北上しない。
・仙台管区気象台から4月の天候(速報)がメールで届く。特徴を示すキーワードは「多雨寡照」「10〜11日、21〜22日に東北太平洋側で大雨」である。体感した不順な春の天候を表すものといえる。
【研究活動】
・アイコン担当の米丸君が意見交換の広場にi-modeの宣伝を公開する。
「この度、i-mode版での顔アイコン(早期警戒情報)を作りました。白黒のため、顔(色)の表現に苦労しましたが、なかなかの出来と自画自賛しております。i-modeの携帯電話をお持ちの方は、http://ss.tnaes.affrc.go.jp../../imode/ に試しにアクセスしてみて下さい(パソコンでももちろん見られます)。以上、宣伝でした。」(なかなかの出来である。)
・苗の生育状況を調べる。低温と日照不足で生育がなかなか進まない。苗の管理担当者は予定通りに田植えができるか、心配している。
・総合研究第1チーム(直播プロジェクト)も秋田県の実証圃場の田拵えが進まず、直播予定日が延びるのではと心配している。
【その他】
・昨日は久しぶりに春の陽気となり、場内の桜は7分咲程度に進む。またカラ松の芽吹きが始まる。


○5月2日(火) 元岩手県農業試験場長古沢典夫さん訪問
博識な古沢さん 【天気概況】
・寒気を伴った低気圧が発達しながら東北に近づき、天気は日本海側を中心に荒れる。日照不足はやや改善されたが、気温は低い状態が続く。10〜12度の範囲は太平洋側では盛岡まで到達する。
・オホーツク海高気圧が停滞し、太平洋側沿岸部を中心に気温が低い状態が昨日頃から続く。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターから田植え予定のメールが届く。
「今現在、代掻きを5ha終えて、今日、明日の天候を見ながら、5月4日から田植えを行いたいと思います。以後、代掻き作業をしながら、作業受託田を1haぐらい田植えをします。その後の予定はまだ立ちません。代掻き作業と中苗の生育具合によっては田植え作業がかなり遅れる見こみです。5月20日を最終日の予定にしています。雨がかなり降る場合は粒状の側条田植え機のため、中止にしています。風の強い日も中止にしています。」
・宮城県石巻市のモニターから直播の苗の生育や除草剤散布などに関して質問が来る。
「今日、初めて経験する湛水直播による水稲直播を50アール播種しました。作業型式は打ち込みによる点播播種です。品種は、販売を考え、ササシグレを選びました。一株あたりの植えこみ本数を多くして初期に必要茎数が確保できる様に設計しました。昨日松山のモニターの作業を見学でき、大いに参考になました。」(モニターも直播に積極的に取り組んで居られるので、直播に関する技術情報も必要になる。)
○にわか勉強で次のように回答する。
1)直播後の圃場はイネの苗立ちにとって酸素欠乏になるのでしょうか。カルパーの効果は?
<回答>直播の出芽・苗立ちに大きく影響する要因は、播種の深さ、土壌の酸化・還元の程度、温度などが主なものです。広く普及しているカルパー処理は種子からの葉鞘の伸長を促進する効果があるのです。しかし、土中1センチ以上の深さに種籾が入ると、カルパーから発生する酸素だけでは不十分で、出芽・苗立ちの低下や遅れとなります。これは、カルパーからの酸素供給があっても、出芽時に種子周辺に局所的な土壌還元が発生し、二価鉄や有機酸などの有害物質が生成されるからといわれています。そこで、この土壌還元による障害を回避する方法として、「落水出芽法」があります。播種後、出芽完了期まで落水状態を続け、田面を露出させ土壌表層が酸化的になり、種籾周辺の土壌の還元を抑制することができます。これにより、播種深度が1センチ程度まで深めても、常時湛水した場合より、安定した出芽と苗立ちが得られるようになってきました。
 湛水直播の播種から苗立ち期の水管理のポイントは、次の通りです。
○透水性の悪い水田の場合:落水出芽法を採用する
・10日程度落水期間を確保し、田面に亀裂を入れて十分に酸素を供給する。高温のときは出芽が早まるので、出芽を確認したら直ちに入水し、雀などの鳥害を回避する。
○透水性の大きい水田の場合:酸素欠乏による害がでにくいので、播種直後と2葉期に田面に亀裂が入る程度まで(2〜3日間)落水する。
2)播種後7日頃に除草剤を使用する場合のポイントは?
<回答>播種の3〜7日前に代かきを行い、播種後に水を落とし、落水出芽を行う場合(モニターの場合を想定)
ノビエなどの雑草の発生が稲の生育より早くなり、雑草の防除が後手に回ることがあるので、入水時に稲が出芽を始め葉鞘が緑色になっていれば、除草剤を使用する。使用する除草剤は稲の播種直後から1葉期までに使用できる薬剤は稲に安全であるが、ノビエなどの処理幅が狭かったり、抑草期間が短いので散布後も雑草の発生に注意する必要があります。発生がみられたら、遅れないように次の除草剤を散布する。除草剤散布後は数日湛水にして、除草効果の発現を良好にする必要があります。稲がこの段階までくると、数日間水没しても酸欠による障害はほとんどありません。
3)地温と出芽との関係を調べてみたい。
<回答>
 地温を簡便に測定できる測器がありますので、観測してみましょう。
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(日):
・北半球500hPa高度場:ブロッキング現象は6日頃までは続く予想となり、日本付近は低圧部となり寒気が入りやすい状態が続く見込み。
・週間予報支援図(1日):7日以降はオホーツク海高気圧が形成される予想となっている。
・警戒メッシュ図(1日):稚苗移植の可能な範囲は仙台以北に進まない。福島県いわき市と福島市周辺では中苗移植の可能な13度以上となる。
・過去5日間の推定日射量分布(1日):日本海側を中心に日照不足となる。
・4月下旬の気象表をまとめる。最高気温が低く、降水量が非常に多い地点が散見される。日照時間は平年比50%のところが多い。不順な天候を良く示している。
・東北農政局から3月に開催された「全国農業気象協議会報告書」が郵送で届く。
・秋田県発生予報第2号と作況ニュース第1号を更新する。
・青森県から技術情報がメールで届く。早々に更新する。
【研究活動】
・公開シンポの板垣 寛さん(たろし滝測定保存会会長)の対談者である元岩手県農業試験場長古沢典夫さんにお会いして正式に依頼する。古沢さんは現在雑穀研究家としてご活躍されて、著作も多い。博識であり、文化的な側面にも高い見識をもち、対談者としては最適な方といえる。大変興味深い話を沢山伺え、会話は尽きなかった。
・これでシンポの主役の全員とお会いすることができた。それぞれ人間的にも、農業や地域社会との関わり方も素晴らしい方々であり、当日が楽しみである。
・東北農試2000年公開シンポジウム「先人の知恵を活かす−自然に学び、稲と語り、そして心を耕す」の予告が東北農試のホームページのお知らせで公開される。水稲冷害早期警戒システムでも同様にお知らせするように神田君に依頼する。
【その他】


○5月3日(水) 
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧は動きが遅く、雷雲が発達し、太平洋側を中心に強い雨となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理の友人が田植えを予定していたが、天候が悪いため延期するとのこと。調査予定を取りやめる。
【早期警戒活動】
 昨夜の落雷のためか、ネットワークがダウンし、インターネットによる情報収集が不可能となる。
・NOAAの海面水温平年偏差図(2日):九州の南海面水温は平年より低くなる。熱帯海域においては大きな変化は認められない。
・北半球500hPa高度場:
・週間予報支援図(2日):8日頃までブロッキングが続き、日本付近は低圧部となり寒気が入りやすい状態が続く。
・警戒メッシュ図(2日):気温が低い状態が続き、田植えに好適な範囲はなかなか広がらない。
【研究活動】
【その他】


○5月4日(木) 
【天気概況】
・寒気を伴い、動きの遅く低気圧の影響で、日本海側を中心に天気がぐずつく。昨日はほぼ全域で強い雨があり、宮古は120ミリを観測した。盛岡でも77ミリ。本田準備の遅れが心配される。
・気温も最高気温が全般に低く、青森県内では3度以上低い地点が多い。
【モニターネットワーク】
・各地のモニターから田植え予定日を知らせるメールが届く。
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(日):
・北半球500hPa高度場:今後とも偏西風の蛇行が大きく、寒暖の差が大きいものと予想される。
・週間予報支援図(3日):7日以降暖気が入る予想となっているが、本州上空には今後とも寒気が入る予想となっている。
・警戒メッシュ図(3日):稚苗移植可能な範囲は太平洋側では岩手県一関付近まで北上する。一方、日本海側では山形県酒田・鶴岡・楯岡付近に限られる。
【研究活動】
・モニター圃場の移植調査の準備を行う。明日から2日間の予定で調査を実施する予定。
・試験用苗の生育状況を調べる。順調に生育し、予定通りの田植えができそうだ。
【その他】


○5月5日(金) モニター調査区設定
感激の出会い:亘理の友人 【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、良好な天気となる。朝は福島県で放射冷却のため5度以下となる。晩霜が心配される。
・青森県と日本海側を中心に気温の低い状態が続く。
【モニターネットワーク】
・モニターから移植日の予定がメールで届く。
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「宮城では、移植がはじまったのですか、いよいよ春本番ですね。やっと好天になってきたようで、続くことを祈っています。こちらは、何とか畦塗り作業が終わり、明日に土壌改良資材の共同散布になります。その後、有機質の散布を予定しています。早いところでは耕耘が始まっていますが、湿田状態ですので苦労しているようです。移植の予定としては、5/20頃と思っています。苗の方も、思ったほど進んでいないようですので、今の所じっくり構えています。遅霜の心配も有りますし、移植までの水田準備進度と”警戒メッシュ”を参考に最終決定をしたいと考えています。(遅霜のメカニズムと、気象図からの予測を教えてください。)桜は今日(5/4)、やっと5分咲きになりました。(昨年は、ほぼ葉桜でした)通年と比べ、気候の遅れをかなり感じています。」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(日):
・北半球500hPa高度場:9日頃までブロッキングが続き、日本付近は低圧部となり、今までと同じような気圧配置となる予想。寒気も入りやすい状態になる見込み。
・週間予報支援図(日):
・警戒メッシュ図(日):稚苗移植可能な範囲はほとんど止まり、なかなか北進しない。
【研究活動】
・宮城県亘理町・松山町のモニターの圃場に調査区を設置する。亘理町の友人は平成8年以来本システムの発展過程を見守ってくれ、様々な助言を頂いた方である。感激の出会いであった。松山町のモニターも順調に移植作業を進めている。
【その他】


○5月6日(土) モニター調査区設定
調査区設定 【天気概況】
・オホーツク海高気圧の影響で太平洋側を中心に気温は下がる。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「メールありがとうございました。お察しのとおり作業は大変遅れています。連休中も雨の降らない日はないといってもよいほど、よく降りました。その為田圃を見ると片方では代掻きも終わり苗を運んでいる人がいるかと思うとその隣では水がたまって柔らかくなった田圃を必死で耕している人もいる状態です。私の場合は代掻きを始めて二日目です。もう4日は掛かりそうです。天気予報を見ると今日は良さそうなので雨で遅れていた枝豆の定植をしようかと思います。このペースで行くと田植は早くても12日頃になりそうです。
苗の方は十分換気をしていますが、伸びてきています。今年は昨年より1週間を遅らせて播種した事が幸いしています。毎日苗の伸び方を気にしつつ、必死で作業している状態です。今まで悪かった分田植頃には良い天気が続くことを期待しているところです。」
・岩手県種市町のモニターから大雨見舞いに対する返信メールが届く。
「3日続きの雨でしたが、凡そ200mm程だと思います。雨水を溜めています。この地区ではいっこうに作業をする姿を見ていません。昨年は7戸の農家が作付けをしましたけれど、今年は半数になるのでは。6月には必ず参加させて頂きますので宜しくお願いします。其れでは叉。」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(日):
・北半球500hPa高度場:
・週間予報支援図(日)
・警戒メッシュ図(日)
【研究活動】
・携帯用パソコンの準備不足で出張先での更新ができなくなる。
・仙台管区気象台から1か月予報の解説が届く。今後の気温経過に関してコメントがある。早期警戒情報を作成する上で、とても参考になる。
・宮城県岩手山町のモニターの調査圃場に試験区を設定する。やませの影響で気温は低く、調査する手がかじかむ。
・宮城県河南町のモニターのパソコンをチェックする。設定ミスがあり、不便をお掛けした。
・岩手県南部も移植が始まる。
【その他】


○5月7日(日) 早期警戒情報第3号
【天気概況】
・西から寒気を伴った低気圧が近づき、寒冷前線が東北地方を通過する。昨日はやませの影響で太平洋側は気温が低く、日本海側は気温が上がる。
【モニターネットワーク】
・昨日お世話になった宮城県岩出山町のモニターからお礼のメールが届く。
「早朝からの圃場調査ご苦労さまでした。ゆっくりとお話する時間がなくて残念でした。珪酸に関する資料ありがとうございました。私の稲の成育に関するカンが当っていたことうれしく思います。これからは珪酸の資材をいかに低コスト化して、楽に仕事すること
を考えてみたいと思います。今までの資材ではどうしても高いですから。過燐酸石灰についてはわからないことが多いのですが、近隣の農家の方で、最高分げつ期に重過石を散布している方がいるようです。効果は過燐酸石灰と同様ということです。私も農家の常ですが、各地にいって田植え風景と農家とのお話を楽しみたい。鳥越さんがうらやましい。今日、初めてトンボを見て、蛙の鳴く声が聞こえました。気候は寒くても、確実に初夏に向かっていること感じます。お礼まで!」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(5日):オホーツク海の流氷もほとんどなくなり、海面水温は平年よりかなり低い。日本列島東海上の海面水温が著しく高い領域には変化が認められない。ペルー沖の熱帯海域の海面水温にも大きな変化はみられない。
・北半球500hPa高度場:偏西風は日本付近で蛇行し、ブロッキングは今後とも続くとみられる。
・週間予報支援図(6日):北日本・本州上空に強い寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(6日):稚苗移植の可能な範囲は太平洋側では岩手県北上市、日本海側では秋田県北部まで広がる。また中苗移植の可能な範囲は福島県中通り・浜通南部まで北上する。
【研究活動】
・早期警戒情報第3号を作成する。今後寒気を伴った低気圧がまたやって来て、通過後はオホーツク海高気圧の影響を受ける予想となっている。今後の循環場の動きと来週の1か月予報が注目される。


○5月8日(月) 
【天気概況】
・動きの遅い低気圧が日本海にあり、寒冷前線の影響で全般に天気は崩れる。局地的な強雨がある。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町の友人からメールが届く。
「先日はご多忙中のところ、遠路お越し頂きありがとうございました。作業中のため、ゆっくりお話を伺えなかったのが残念です。お陰さまで、5月6日で補植を含めた田植え作業が終了しました。このところ日照が少ないですが、強風が吹かないため、苗は順調に活着してくれるものと思います。今年は思い切って疎植(60株/坪、3.8本/株)にしましたので、使用した苗箱数(約16箱/10a)が例年よりも平均3割程度減りました。これで収量が変わらなければ嬉しいのですが。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:偏西風は蛇行し、12頃まではブロッキングの状態が続き、オホーツク海高気圧の影響を受けやすい予想。
・週間予報支援図(7日):北日本・本州上空に強い寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(7日):稚苗移植の可能な範囲は太平洋側では岩手県の花巻市付近、日本海側では秋田県北部まで達する。中苗・成苗移植の可能な範囲は太平洋側では福島県中通りと浜通り、日本海側では秋田県北部まで達する。
・青森県から水稲生育速報が郵送で届く。天候不順で出芽揃いまでの日数は平年より1日遅く、出芽揃いも平年より悪いとのこと。
【研究活動】
・モニター圃場の発育予測モデルを作成し、情報提供の準備にとりかかる。
・苗の生育状況を調べる。やや徒長気味になり始める。
【その他】
・盛岡も強い雨があり、桜の花吹雪となる。


○5月9日(火) モニター圃場に試験区設置
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧は東に去り、移動性高気圧に覆われ全般に五月晴れの好天となる。気温も久しぶりに上がる。やっと春を感じる。
【モニターネットワーク】
・山口県の友人からメールが届く。
「先日は、お便りありがとうございました。お蔭様で、「ひとめぼれ」すくすくと生育しております。目下3葉が5ミリ位に伸びております。苗丈は10センチ程度になっております。次の土、日に植え付けようと考えております。簡単に育苗方法をお知らせします。@4/8日播種、Aそのまま田圃に並べる、Bたっぷり潅水する、C新聞紙、カンレイシャをベタ覆い、D健苗シート、ビニールでトンネルを作る、Eそのまま放置、F4/18発芽を見る、G後は天候、気温をみながら健苗シートで保温、H潅水は2,3日置き(管理不良で時々しおれます)、I潅水しきれず田圃に育苗箱すれすれに水を張る、J夜間は健苗シートで覆う。以上が私の手抜き育苗方法です。以前は電熱器で一斉発芽させハウスへ並べて管理しておりましたが、日中誰もおらず、温度が上がりすぎ苗をだめにしたことがありました。この方法にして、最長3週間発芽せずじっと待っていた事が有りました。この時は少々あせりましたが、反面、植物の強さを知り、以後は自然に任せる事にしました。
まだいい方法が有るかと思います。お気付きの事、良い事例がありましたら、ご指導ください。」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(日):
・北半球500hPa高度場:偏西風の蛇行は10日以降も続き、オホーツク海に高気圧が発達する可能性もある。
・週間予報支援図(8日):北日本・東日本上空には強い寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(8日):稚苗移植の可能な範囲は太平洋側では盛岡周辺、日本海側では津軽地方まで北進する。中苗・成苗移植の可能な範囲は太平洋側では福島県、日本海側では秋田県北部まで広がる。田植えがいよいよ全域で本番となる見込み。
・仙台管区気象台予報官から「日照不足に関する岩手県気象情報 第1号」がメールで届く。内容は次の通り。
「岩手県では,4月下旬からオホーツク海高気圧や寒気を伴った低気圧の影響で,曇りや雨の日が多く、内陸を中心に日照時間の少ない状態が続いています。明日は晴れますが,明後日以降は低気圧やオホ−ツク海高気圧の影響で、1週間程度日照時間の少ない状態が続く見込みです。農作物の管理などに十分注意して下さい。」
【研究活動】
・宮城県石巻市と松山町のモニターを訪問し、試験区を設定する。
【その他】
・場内の菜の花が開花を始める。


○5月10日(水) 
【天気概況】
・オホーツク海高気圧の影響が徐々に現れ始め、太平洋側を中心に雲が広がる。
・太平洋側沿岸部は気温も低くなり、やませの影響が出始める。
【モニターネットワーク】
・福島県飯舘村のJAからリンク依頼がある。相互リンクさせて頂く。
「初めまして。こちらは福島県相馬郡飯舘村のJAそうま飯舘営農センターにて農業関係のサイトを設置しております、Agriネットワークいいたて事務局のものです。ここ飯舘村(アメダス設置箇所でもあります)では、ヤマセの影響により約3年に1回冷害に見舞われるため、冷害回避方策が古くより第一の課題とされています。以前より貴サイトを拝見させていただいており、農家指導資料等にも活用させていただいておりましたが、今般農業経営に関するインターネット活用方法の一つとして、当サイトにおいて貴サイトをご紹介(リンク)させていただきたく、どうかご承諾くださいますようお願い申し上げます。」
・意見交換の広場に中学校の実習生からメールが届く。
「はじめまして。私は今、今月末に行う教育実習の参考資料を集めるために、HP巡りをしています。私の受け持つ科目は中学二年生の地理で、テーマは東北地方の稲作です。しかし、大学の附属中学校であり、受験を度外視した授業を行っているため、担当の先生からその中で一つ主なテーマを選んで授業をやるようにと言われました。 そこで私が選んだのが冷害だったのですが(理由としましては、やはりあの米不足を経験しているため)、なかなか良い資料がなくて苦労していました。そんなとき、検索を行った中からこちらのHPを発見し、とても興味深く拝見させて頂きました。 HPの内容だけでなく、こちらの掲示板の応答も、とてもわかりやすく参考になることがたくさんありそうに思います。まだまだ勉強不足の身なので、これからじっくり内容を読んで考えさせて頂きたいと思っておりますが、まずはこの嬉しかったという事を書きたくて、掲示板に書きに来てしまいました。」
・宮城県松山町のモニターから田植えがほぼ終了したとのメールが届く。
「昨日、最後の圃場を植えて田植えが終わりいました。天気が良く順調な作業でした。また強い風もなく町内の苗の殆どで植え痛みが見られません。田植えは殆ど終わりに近い状態です。」
・宮城県亘理町の友人から雹害に関するメールが届く。
「ご心配いただきましてありがとうございます。私の田圃にも雹が落ちた穴がかなり見られましたが、幸いにも稲にはほとんど被害が見られませんでした。8日の午後7時前頃に直径10mmはあろうかと思われる雹が多量に降り、場所によっては数センチメートル位積もりました。近隣のリンゴ畑や麦畑にはかなり被害が出た模様です。以上、ご報告まで。」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(9日):北半球太平洋高緯度地帯の海面水温は平年より低く、オホーツク海の海面水温も平年よりかなり低い。インド洋の海面水温は平年よりやや低い。ペルー沖の熱帯海域の水温は大きな変化が認められない。
・北半球500hPa高度場:偏西風は日本付近で大きく蛇行し、オホーツク海高気圧が発達しやすい循環場となる予想。
・週間予報支援図(9日):北日本・本州上空には強い寒気の南下は予想されていない。ただ、オホーツク海高気圧の影響をかなり長く受けやすい状態が続く予想。
・警戒メッシュ図(9日):稚苗移植の可能な範囲は太平洋側ではなかなか北進しない。中苗・成苗移植の可能な範囲は太平洋側では宮城県大崎平野と岩手県一関付近まで北進する。また岩手県沿岸北部と青森県下北半島は平均気温が10度以下の状態が続く。
・仙台管区気象台予報官と今後のオホーツク海高気圧の影響について情報を交換する。
・青森県から最新の生育速報(5月2日現在の試験場のもの)が届く。「むつほまれ」と「つがるロマン」の草丈は平年並みであったが、葉齢は出芽が遅れたことから平年よりやや遅れた。また、「ゆめあかり」は「むつほまれ」に比べて、草丈は短かったが、葉齢は同じであった。2日現在の葉齢は1.0とのこと。
・ロイター:米航空宇宙局(NASA)は、ラニーニャ現象が終息に近づきつつあるとの見方を示した。ラニーニャ現象は、過去2年間にわたって世界の天候に影響を及ぼし、米国ではハリケーンの増加や干ばつの原因になったとされている。
【研究活動】
・発育予測モデルによると、モニター圃場の水稲は順調に活着しているものと推察される。オホーツク海高気圧の影響で今後日照不足になる予想であるが、気温がどの程度で推移するか心配される。活着期の適切な水管理が求められる。
・いもち病監視システムの開発計画について関係者で検討する。
・日本農業新聞東北支所の方が来室される。現在の気象と稲作状況、今後の気象経過で注意すべき点、ならびに水稲冷害早期警戒システムなどに関して取材を受ける。
【その他】
・早朝と夜間はなかなかストーブを離せないでいる。



 
−−−−−−−−−   中旬   −−−−−−−−−


○5月11日(木) 
【天気概況】
・西から寒気を伴った低気圧が近づき、天気は下り坂となる。沿岸部はオホーツク海高気圧の影響で気温は上がらない。
【モニターネットワーク】
・仙台管区気象台予報官から降霜のメカニズムに関するメールが届く。最上町のモニターに答えるものである。私が忙しくサボっていたところを助けられる。感謝!
「5月5日の山形県最上町のモニターからの「遅霜のメカニズムと、気象図からの予測」に対してです。遅霜のメカニズムなんて大それたものでは有りませんが、春や秋には移動性高気圧におおわれ、風がなく穏やかに晴れた日の夜に、放射冷却が強まり霜が発生しやすくなります。なかでも5 月の晩霜はそれまでの暖かさで成長した植物が影響を受けるため、時として大きな被害を起こすことがあります。春は冬から夏への移行時期であり、思わぬ寒気がシベリア方面から南下してくることにより、ひょうが降ったり霜が発生したりと農作物に被害を与える現象が起こることがあります。霜は大気中に含まれる水蒸気が地面や地物の表面に付着してできる(昇華)氷の結晶です。霜が降りるときの気温の目安はおおむね3〜4度以下です。気温は普通1.5メートルの高さで測るので、この時には地表面の温度はこれより数度低く氷点下まで下がります。添付ファイルは、1994年4月17日21時の地上天気図です。寒冷前線が三陸沖に抜け、冷たい高気圧に覆われてきています。このため、放射冷却により山形県で降霜があり、おうとうを中心とした果樹にめしべの枯死、変色等約40億円(見込み)の被害が発生しました。ただ、予測に関しては地上天気図等からだけでは判断が難しいと思います。山形地方気象台から発表される霜注意報(おおむね昼頃までには発表しています)や各地の最低気温予想等を利用されるほうが得策だと考えます。」
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「忙しい中ありがとうございます。直播の種籾は幼すいが1cm程度伸張してきたので
入水して除草剤を散布しました。まだ、出芽ぞろいは確認できません。それから、お借りした温度計を早速設置しました。便利な機械があるのに驚きました。」
「追伸:明治後半から昭和初期に架けて日本を襲った冷害。その結果として大変な経済混乱をきたした様です。今の時代に生きるわれわれには感じられないことでしょう。藤阪5号を育種した先生をモデルにした家の光発行の「ちべたい水の村」という題名の小説を読んだ時冷害の恐ろしさを感じました。阿部亀冶が亀の尾を選抜した気持ちが伝わる様でした。
しばらくぶりで掲示板意見交換の広場を覗いたら冷害についてのコメントがあり改めて、冷害を考えさせられました。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:15日頃までは日本の東に気圧の尾根が形成され、オホーツク海高気圧の影響が続く見込み。
・週間予報支援図(10日):15日頃まではオホーツク海高気圧の影響が予想され、その後北日本・本州上空に寒気が南下する予想となっている。
・警戒メッシュ図(10日):稚苗移植の可能な範囲は、太平洋側では岩手県岩手町付近まで北上、日本海側では津軽平野まで広がる。中苗・成苗移植の可能な範囲は、太平洋側では岩手県北上市付近まで、日本海側では秋田県北部まで北上する。青森県太平洋側と岩手県沿岸部では気温の低い状態が続く。
【研究活動】
・モニターの発育情報を作成し、ホームページでの掲載を開始する。ほぼ平年並みに推移しているが、亘理の友人の圃場はやや活着条件が平年より悪い傾向がみられる。
・筑波大の学生さんの宿題がやっと終わる。田植え調査で忙しく、時間がとれなかった。
・盛岡市在住の建築業の方がホームページをみて訪ねて来られる。冬の天候と夏の天候さらには水稲の豊凶との関係に興味をもち、盛岡市の収量データを提供いただきたいとのこと。雇われている農家の方が冷害に苦しめられているので、この点に興味をもったという。盛岡地方気象台からも気象データを頂いているとのこと。
【その他】
・総アクセスが48,000件を超す。本年に入ってからのアクセス状況は前年比200%以上を維持する。


○5月12日(金) 科学技術庁予算ヒアリング
【天気概況】
・寒気を伴った寒冷前線が東北地方を通過するため、全般に雨となる。
【モニターネットワーク】
・筑波大学の学生さんからお礼のメールが届く。
「本当にお手数おかけしました。仕事を押し付けてしまって申し訳ないです。ありがとうございました。助かります。私は、現在、迫川流域におけるカスリン・アイオン台風の水害状況を図化する作業を行っています。古い文献を探しているのですが、なかなか蕪栗沼周辺のものが出てこなくて、苦労しています。伊豆沼のものは結構あるのですが。これからもお世話になるかと思いますが、ぜひ、ご助言・資料の提供の方、よろしくお願い致します。メールで失礼させていただきます。それでは。」
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「現在、稚苗の移植作業が終わり、約半分の面積の田植え作業が終わりました。予定より早く、中苗に手をつけました。今年の中苗は日照不足、寒暖の差が激しいため、細く、根張りも良くなく、短く、稚苗並の苗になってしまいました。今年の連休の天気は曇りの日が多く、風がなく誠に田植え日和でした。このままの天候で経過すれば6月の天候は良くなるはずですが、その後に寒い夏にならなければよいのですが?」
・宮城県のある高校農業経営科の先生と天気良予想に関して電話でお話をする。農業実習を円滑に行うため、一年間の天気予測がないかとの問い合わせである。先生は小さい頃にそのようなものをみた記憶があるとのこと。「寒試し」がそれに相当すると思われるので、資料をファクシミリで送る。
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:今後とも15日頃まではブロッキング現象となり、オホーツク海高気圧の影響を受けやすい状態が続く見込み。
・週間予報支援図(11日):北日本・本州上空には強い寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(11日):稚苗移植の可能な範囲は太平洋側では青森県五戸、日本海側では津軽平野全域と青森市周辺に北進する。中苗・成苗移植の可能な範囲は太平洋側では岩手県岩手町、日本海側では津軽平野南部まで北進する。青森県十和田・八戸地域は依然として気温が上がらない。今度の土日は田植えが東北北部でも一斉に始まるものと推察される。
【研究活動】
・科学技術庁流動促進研究の予算ヒアリングが同庁であるため、東京に出張する。この予算は今後の早期警戒システムの開発研究に大きく影響するものである。ヒアリングは順調に進み、今後3年間の予算が確保される見込み。
【その他】
・東北新幹線沿線の田植え状況をみると、この土日がピークのひとつと感じる。
・関東の麦は黄色みを帯び始める。


○5月13日(土) 早期警戒情報第4号
【天気概況】
・動きの遅い寒冷前線が東北地方を通過し、全域で不安定な天気となる。局地的に強い雨もある。田植え日和とはいえない。田植え作業の遅れが心配される。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町の友人から生育調査データが届く。
「おはようございます。稲の状況は以下のとおりです。調査日時:5月12日、午前7時、葉齢:3.3〜4.1(30個体調査、不完全葉を含む)、平均葉齢:3.7(30本の算術平均)、新根の状況:2〜3cm発根(但し、葉齢調査個体とは別の個体)、(但し、厳密な葉齢調査の訓練を受けたことがありませんので、最上葉の出葉分率は私の独断によるものです。)以上のとおりですが、このところ日照不足で気温も低いため、あまり生育は進んでいないようです。やっと活着したばかりというところでしょうか。」
・岩手県種市町のモニターからメールが届く。
「オホーツク海高気圧がなかなか去らず、今年最初のヤマセに見舞われて居ります。9日から田植え作業に入りました。かなり遅いです!取り敢えず。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:偏西風は南北に蛇行し、今後ともオホーツク海高気圧や寒気を伴った低気圧の影響を受けやすくなる見込み。
・週間予報支援図(日):
・警戒メッシュ図(12日):稚苗移植可能な範囲が太平洋側では青森県十和田付近まで、日本海側では津軽地域全域まで北上する。中苗・成苗移植可能な範囲は青森県十和田付近、太平洋側では津軽中央まで広がる。
・昨日、仙台管区気象台から1か月予報の解説とコメント、ならびに岩手県の日照不足に関する情報がメールで届く。
【研究活動】
・早期警戒情報第4号を作成する。アンサンブル予報では多くのメンバーが低温傾向を示す。予報内容にもオホーツク海高気圧の影響が指摘されている。今後の天候推移が注目される。
【その他】
・昨日の東北新幹線の車窓からみると、岩手県南部のリンゴは開花を始めている。家内の友人によると、盛岡地域では例年になくリンゴの開花が遅れているとのことだ。寒冷低気圧による降霜害や雹害などなければよいが。



○5月14日(日) 
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧の影響で、太平洋側を中心に天気はぐずつく。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから直播が鳥害で、追い播きしなければならない状況だという。追い播き晩限はいつ頃かとの問い合わせがある。発育予測モデルと安全作期情報を考慮すると、5月20日頃が晩限とみられる。
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「 遅くなりましたが、いろいろ有り難うございました。降霜の予測は予報官のいう「各地の最低気温予想等を利用されるほうが得策・・・」を利用させて貰います。今年の春は、雪解けが遅かった事と雨が多かった事により、水田作業は5日以上の遅れとなっています。
田の耕耘も、今回の雨で思うように能率が上がりませんで6割完了となっています。管内全般では、代掻き作業真っ直中です。今週終盤、一斉の田植えになりそうです。苗の方は、一気に伸びて来た感があります。天候不順だった為か、やや柔い傾向に有るようです。今後、大きな天候の崩れが無いことを祈るばかりです。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:ブロッキングの状態が続き、オホーツク海高気圧の影響を受けやすい状態が続くものと見込まれる。
・週間予報支援図(13日):17日頃から北日本上空に強い寒気に南下が予想される。
・警戒メッシュ図(13日):ほぼ全域で移植の可能な気温に達する。
・岩手県から田植えの状況と今後の管理に関する情報がファクシミリで届く。田植えは例年に比べて数日遅れているようだ。
【研究活動】
・苗の状態を調べる。やや徒長気味となる。
・試験圃場の代かきが雨の中始まる。
【その他】


○5月15日(月) 
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧は北海道付近に去り、北から寒気が入り、日本海側を中心に天気がぐずつき気温は上がらない。一方、太平洋側は好天となり、気温も上がる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「4日分の田んぼの地温データがそろいましたのでとりあえず送信します。外気温はケース内温度の為あてになりません。今後は日よけをして観測します。10日に地温に変化がありますが入水した為です。観測の温度から察すると時間はかかるようですが、出芽はしてくるでしょう。出芽ぞろいまで20日くらいかかるのでしょうか。出芽までの積算温度から逆算できませんか。」(なかなか良い積算温度指標は見つからない。直播研究チーム関係者に聞くと、一般的には播種後14日頃に出芽が始まり、20日後頃に出芽揃いとなるとのこと。直播は目が出揃うまでは心配である。)
・宮城県河南町のモニターからメールが届く。
「5月9日で田植え、直播も終わりました。直播は、この3日の雨で水があふれる状態です。今後の発芽状態が心配です。鳥害は今のところありません。今年は北西の風が5月の連休に吹かなかったので、苗の状態が良いようです。」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(13日):オホーツク海付近の海面水温は平年より低い状態が続く。熱帯海域の海面水温には大きな変化は認められない。
・北半球500hPa高度場:19日頃からオホーツク海高気圧が発達する可能性がある。
・週間予報支援図(14日):17〜18日頃に一時的な寒気の南下が予想されている。
・警戒メッシュ図(14日):地帯8を除き、ほぼ全域で田植えの可能な気温となる。
・5月上旬の気象表をまとめる。地帯2,4,6,8では平年に比べて雨が2倍以上あり、日照不足が顕著であった。平均気温は平年並みで、最低気温が全般に平年より高かった。
【研究活動】
・公開シンポジウムのポスター原案を関係者で検討する。
・17,18日に行われる試験区田植えについて関係者で打ち合わせる。
・試験区の代かきがほぼ終わりに近づく。別の研究室の田植え作業が始まる。田植機の苗のかき取り部分を整備したため、欠株もほとんどみられない。
【その他】


○5月16日(火) 新人の研究紹介・機械田植え実習
【天気概況】
・日本海側は寒気の影響で雲がかかり気温が上がらない。一方、太平洋側は快晴となり気温も上がる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市モニターからメールが届く。
「直播の稲もだいたい14日程度で早いものは水面上に顔を出してきました。水深3〜5cm程度です。出芽そろいは播種後20日程度が妥当と思われます。無人ヘリ散播の圃場では出芽状況は良好ですが出芽後の、カモやカラスの被害による浮き苗等の被害が見られます。鳥対策としての点播湛水打ち込み方式は効果があるようです。もう少し様子を見ないと確認できませんが、必要茎数の確保ができることを見守るだけです。今日は日中とても良い天気でしたが、夕方から海から冷たい風が入ってきてとても寒くなりました。あれが続くと、怖い“ヤマセ”になるのでしょうか。平成10年の7月の時に感じた風と同じです。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:19日頃からブロッキング現象が明瞭となり、オホーツク海高気圧の影響を受けやすくなる見込み。
・週間予報支援図(15日):20日頃からオホーツク海高気圧が形成され、東日本上空にやや強い寒気の南下が予想されている。
・警戒メッシュ図(15日):青森県下北半島と岩手県沿岸北部はなかなか気温が上がらない。
・東北農政局から農水省「平成12年度農業生産の技術指導について」(5月10日発表)の写しが郵送で届く。
・宮城県から技術情報・水温測定データがファクシミリで届く。
・山形県の技術情報が農政局経由でファクシミリで届く。
【研究活動】
・新規採用の新人5名に総合研究第4チームの研究内容と早期警戒システムを紹介する。午後は機械移植の実習を行う。彼等も来週は農家実習で1週間田植え作業に追われることになる。
・生育・作柄監視試験区の圃場区画を設置する。明日はいよいよ手植えである。
・東北農政局の機関誌「東北農政だより」7月号に水稲冷害早期警戒システム研究の紹介記事作成依頼が届く。
【その他】


○5月17日(水) 生育・作柄診断試験区の手植え
和やかな田植え 【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、北部を中心に概ね良好な天気となる。南部は低気圧の影響を受ける。
・日本海側は気温の低い状態が数日続いたが、今日は移動性高気圧に覆われ気温も上がる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(16日):オホーツク海域の海面水温は平年より著しく低く、本州南海域の海面水温も平年より低くなる傾向にある。本州東海域の海面水温が著しく高い領域は徐々に小さくなる。ペルー沖の熱帯海域には大きな変化は認められない。
・北半球500hPa高度場:19日頃から南北型のブロッキングが顕著となり、オホーツク海高気圧の影響を受ける可能性がある。
・週間予報支援図(16日):東日本上空には19日頃から弱い寒気の南下が予想されている。19,20頃はオホーツク海高気圧の張り出しを予想、またその後ブロッキングが続く予想となっている。
・警戒メッシュ図(16日):青森県下北と岩手県沿岸北部は依然として気温が上がらない。
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区(東北基幹品種12品種、40a)の手植えを関係者37人で行う。天気は曇りで風もなく、順調な田植え作業となる。過去2年雨中の田植えだっただけに、一同平穏に作業を行う。いよいよ稲作の本番を迎える。
・夜は“早苗ぶり”で本年の豊作を祈る。
【その他】


○5月18日(木) 施肥・水管理試験区の機械移植
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・小学5年生の方からササニシキに関して質問のメールが届く。
「私は東京に住む小学5年生です。社会科で「ササニシキの生産量が減っているのはなぜか」ということを調べています。なんか冷害に弱いということがわかったのですがそれが理由ですか。おしえてください。一番取れていたときより今はどれくらい少ないのかもわかればおしえてください。」
<回答>
・ササニシキは昭和38年(1963)に名前が付けられ、誕生しました。食味が良好で農家がササニシキを作りたいという意欲はすごく、当時最も広く栽培されていたササシグレ(米の品種のひとつ)を昭和40年に抜き、宮城県第一位の作付面積となりました。そして昭和45年には東北第一位の作付面積であったフジミノリを抜き、東北第一位の作付面積を記録しました。平成2年の全国の作付面積は20万7千438ヘクタールで最高に達し、その後減少しました。特に平成5年の大冷害の時に、ササニシキは低温に弱く、大きな被害となりました。その時、美味しくて冷害に強い品種「ひとめぼれ」が普及され始めたばかりでしたが、ササニシキとは対照的にその強さが証明される結果となりました。それを転機に、ササニシキの作付面積が減り、「ひとめぼれ」に置き換わってきました。平成6年の作付面積は9万7千790ヘクタール、約半分までに減ってしまいました。平成11年度の作付面積は現在調べています。分かればまた連絡いたします。またササニシキは冷害に弱いという欠点の他に、稲が実る頃に倒れて、品質が低下し減収することが多く、またいもち病という東北で稲の病気で最も恐れられているものにも最近の新しい品種より弱い欠点もあります。ただ、ササニシキは根強い消費者の人気があります。宮城県などではササニシキの生産量を増やそうという取り組みも興っています。
・ササニシキの作付面積について東北農政局岩手統計情報事務所に問い合わせたところ、早々にメールで返事がある。問い合わせのあった小学生にメールで連絡する。」
「照会いただきました「ササニシキの作付面積」につきましては,食糧庁「米穀の品種別作付状況」11年産によりますと、全国で25,462haで1.6%の作付比率となっております。参考として 第1位は「コシヒカリ538,952ha(34.6%)」,2位「ひとめぼれ144,906ha(9.3%)」,3位「ヒノヒカリ133,248ha(8.6%)」、4位「あきたこまち132,589ha(8.5%)」,5位「きらら397号72,971ha(4.7%)」。こんごともよろしく,お気軽にご利用下さい。」
・小学生の母親と当人からお礼のメールが届く。
「質問致しました子供の母です。こんなに早くお返事が頂けたと知ったら娘もとても喜ぶと思います。子供たちは3人グループで調べていて、今日の放課後、中間まとめをすると言っていましたから、分からない所は鳥越様にお聞きするよう薦めておきます。」
「お返事有難うございました。また、分からないことがあったらメールを送りますので教えてください。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:偏西風は南北に蛇行し、19日以降オホーツク海高気圧の影響を受けやすくなる見込み。
・週間予報支援図(17日):東日本上空には20日頃まで弱い寒気の南下が予想されている。23日頃までオホーツク海高気圧の影響を受ける可能性もある。
・警戒メッシュ図(17日):ほぼ全域で田植えが可能な気温条件となる。
【研究活動】
・施肥・水管理試験区の機械移植。好天で作業は順調に進む。一時雹混じりの雷雨に襲われる。リンゴなどに被害がなければよいが。
【その他】


○5月19日(金) 生育・作柄診断と水管理試験の調査区設定
【天気概況】
・高気圧の広く覆われ、天候は概ね良好。ただ青森県・岩手県の太平洋側沿岸部は気温が上がらない。中国大陸には低気圧の大きな雲の渦が形成される。
【モニターネットワーク】
・鶴岡市のモニターからメールが届く。
「日曜日午後から始めた田植が昨日のお昼で終了しました。ご心配お掛けした直播きの方も10日の追い播きした予備の種が上手く発芽しもう心配無いようです。これで10ha田圃がすべて順調にスタートし一安心といったところです。今週末は天気が崩れそうなのでゆっくり休みにしようかと思います。」
・宮城県亘理町の友人に葉齢マーキングの依頼を行う。月曜日に他のモニター圃場には出向き調査を行う予定。
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:一時的にオホーツク海高気圧の影響があるが、低気圧と高気圧が交互に通過する見込み。
・週間予報支援図(18日):北日本・東日本上空への強い寒気の南下は予想されていない。
・東北農政局から水温データが届く。
・仙台管区気象台から1か月予報の解説とコメントがメールで届く。
・沖縄気象台は19日午前「沖縄地方は19日ごろ梅雨入りしたとみられる」と発表した。昨年(9日ごろ)より10日遅く、平年(11日ごろ)より8日遅い。
・早期警戒情報第5号の作成にとりかかる。警戒メッシュを活着障害と水管理に変更する。
【研究活動】
・生育・作柄診断と水管理などの試験区に調査地点を設定し、移植時葉齢の調査を行う。いよいよ本格的な監視業務が始まった。
・産経新聞盛岡の記者から、水稲冷害早期警戒システムの紹介パンフレットをみての問い合わせがある。
・NHK盛岡から冷害と水稲冷害早期警戒システムに関する出演依頼がある。来週詳細を打ち合わせることにする。
【その他】
・公開シンポの案内が18日付けの農業新聞に掲載されたためか、問い合わせが少しずつ来はじめる。


○5月20日(土) 早期警戒情報第5号
【天気概況】
・オホーツク海高気圧が張り出し、太平洋側を中心に天気はぐずつき、気温も低くなる。
【モニターネットワーク】
・一般から次の問い合わせがメールで届く。
「次の質問についてお答えください。
1.稲作に使用する、農業用水の最適水温は何度ですか(月別)。2.農業用水に地下水を使用する場合の水質調査及び水質浄化の方法を教えてください。3.鉄分を多く含む水の稲作に対する影響とその対応方法があれば、教えてください。4.水質と稲の発育に関する論文等があれば教えてください。 以上お忙しいとは、思いますがよろしく御願いします。」
(質問の範囲が広いので少し時間を頂き、調べる視点を決めるために職業分野をお聞きする。)
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:21日頃まではオホーツク海高気圧の影響を受けやすいが、その後偏西風の蛇行は弱まり東西流となる予想。
・週間予報支援図(19日):北日本・東日本上空への強い寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(19日):これから田植えが本格化する北部地域は活着障害の発生に注意する必要がある。
【研究活動】
・新アメダス監視システムの機能を検討する。
【その他】
・総アクセスが49,000件を超す。


 
−−−−−−−−−   下旬   −−−−−−−−−


○5月21日(日) 
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧の影響で、天気はぐずつく。
【モニターネットワーク】
・石巻市のモニターから水温データが届く。直播の稲がカラスに攻撃され困っているとのこと。カラス撃退法をモニター各位に問い合わせる。
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(20日):オホーツク海付近の海域の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。ペルー沖の熱帯海域の海面水温は大きな変化がみられない。
・北半球500hPa高度場:偏西風は東西流となり、寒気を伴った低気圧が周期的に来る予想となっている。
・週間予報支援図(20日):北日本・東日本上空への寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(20日):青森県では気温が上がらない状態が続く。田植えもやや遅れているようだ。
【研究活動】
【その他】


○5月22日(月) モニター圃場調査
親子で15ヘクタールの田植えを終える 【天気概況】
・高気圧に覆われ、概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「15日に全て田植えおわりました。毎日苺に追われ片づけまで手が回りませんがお立ち寄り下さい。田、ハウス、自宅のいずれかにいます。カラスの撃退法ですが未だカラスの被害にあったことがないのでわかりません。私の直播きはすずめにかなり食い荒らされました。でもうっすらと播種のあとが筋条にみえてきました。それでは明日おまちしています。」 
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:低気圧が周期的に通過し、オホーツク海高気圧が形成される可能性は少ない見込み。
・週間予報支援図(21日):今後は南から暖かい空気が入りやすい状態となる。
・警戒メッシュ図(21日):北部地域も田植えが最盛期となっているものと推察される。北部太平洋側は気温がなかなか上がらない。
・モニター圃場の発育予測によると、平年並み以上に生育は進んでいるものと推察される。
【研究活動】
・石巻市・松山町・岩出山町のモニター圃場の生育調査を行う。各圃場とも活着は順調で、ほぼ予測モデルの葉齢に達している。
・数人のモニターとお会いして、楽しく歓談する。他地域のモニターの直播や田植えの状況を心配してくれている。田植えが最後になるのは山形県最上町のモニターか。早く田植えが終わったとの連絡を期待したい。
・宮城県岩出山町のモニターは田植え最終日であった。親子コンビで15ヘクタールほど田植えを行ったとのこと。お二人の笑顔がさわやかであった。
・カラス撃退法をモニターにお聞きする。ミシンの黒糸や釣り糸を一定の間隔に張りめぐらすのが最良とのこと。特にミシンの黒糸は低コストで後の処理が容易だとのこと。
・日本農業新聞の第一面に「水稲冷害早期警戒システム」が紹介される。アクセスが平日の約2倍以上に跳ね上がる。
【その他】


○5月23日(火) 岩手県農業気象協議会
【天気概況】
・高気圧の圏内にあり、ほぼ全域で良好な天気となる。田植え後の活着が順調に進むと期待される。中国大陸北部で寒冷低気圧が発達し、大きな渦が形成され始める。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町のモニターから生育調査の結果が届く。
「調査個体の第5葉にマーキングしました。第2回葉齢調査結果は以下のとおりです。調査日時:平成12年5月21日、16時30分。葉齢:5.0〜6.0齢(不完全葉を含む)、
平均葉齢:5.5齢(29個体の平均、1個体は枯死)。以上、よろしくお願いします。」
(発育予測モデルによる当日の葉齢は5.2であり、まずまずの予測精度にみる。)
・水質調査に関する問い合わせは建設業の関係の方であった。問い合わせの意図に沿って、調査してお答えしたい。
・意見交換の広場に一般からの問い合わせが届く。
「初めまして。福島県で農家を営んでいる者です。早速で恐縮ですが、我が家ではうるちともちを作付けしているのですが、全く同じ選種・播種・床土・管理方法で育苗したのですがもち(ヒメノモチ)の出芽割合が悪いのです。JAに聞いた所、県内各所で同じような例(もちのみが悪い)が見られ、原因を調査中との事でした。どのような原因が(おそらく種子の影響と考えています)考えられるでしょうか?」
(個別にメールで考えられる検討事項をお知らせする。育苗管理の基本技術の徹底や趣旨消毒剤などについて)
・山形県鶴岡市のモニターからカラスの撃退法についてメールが届く。石巻市のモニターに早々に転送する。
「皆さん鳥害で苦しめられているようですが、これといった方法は無く気休め程度の効果しか期待できませんが、カラスに対しては水を張ること。釣り糸田圃に何本か張るのとクローンカラス(プラスチックで出来たカラスの模型)を杭などに吊るして見せしめにするのもが良いようです。スズメに対しては水を張ることが一番のようです。しかし、水を張ると鴨が寄ってきますのでどちらを取るか悩むところです。」
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。昨日はお疲れさまでした。メールが無事届き安心しました。今朝直播き田に行くと地肌がでていてもピタリと雀がつかなくなりました。分げつについて(3号以降は゛強勢分げつ″等について)教えていただけませんか。珪酸についての資料有り難うございました。珪酸が収量、病気に深くかかわっていること、あらためて知りました。次回もまたお待ちしています。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:ここ数日は日本付近が気圧の尾根となり、南から暖かい空気が入りやすい状態が続く見込み。
・週間予報支援図(22日):北日本・東日本上空への暖かい空気は入る予想となっている。また28日頃から偏西風の蛇行が始まる予想。
・警戒メッシュ図(22日):北部では気温が上がらない状態が続く。今後暖かい空気が入る予想であり、活着が順調に進むことを期待したい。
・仙台管区気象台から昨日3か月予報とその解説がメールで届く。いよいよ稲作の重要な時期の予報である。6月と7月はオホーツク海高気圧の影響が予想され、また気温の変動が大きいとも指摘されている。冷夏の予報とはなっていないが、安心はできない。
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区の苗は移植後比較的温暖な天候が続いているため順調に活着する。
・岩手県農業気象協議会の5月例会に参加する。水稲は数日移植時期が遅れているが、活着が良好でまずまずのスタートとなる。やはり春の天候不順が話題の中心となる。畑作もつについては1週間程度の遅れがでている。
・公開シンポジウムのポスター原案ができる。
・NHK盛岡の記者と来週月曜日の出演内容について打ち合わせを行う。
・八丈島の東京都農業試験場の友人から激励のメールが届く。
「大変ご無沙汰しております。昨年仙台で行われたヤマセの研究会では大変お世話になりました。水稲冷害早期警戒システムのホームページを、八丈島よりいつも拝見させていただいております。農家の方々からのメールのおじゃまになってはいけないと思い、ずっと
拝見するだけでおりましたが、月曜日の農業新聞で記事を拝見したので、ついメールさせていただきました。東北に比べれば本当に猫の額ほどの面積ですが、八丈島にも伊豆諸島で唯一の水田があり、その光景を見るたびに故郷の仙台平野を思い出します。現在、島内の10カ所ほどで気温・日射量・風向風速等の気象観測を行い、八丈島内の気象特性を調べる仕事を担当しておりますが、まず観測すること自体の苦労を実感しております。これからもホームページを見ながら勉強して頑張っていきたいと思いますので、今後ともご指導のほどどうぞよろしくお願い申しあげます。お忙しいこととは存じますが、機会がございましたら是非八丈島にもおいでください。」
【その他】


○5月24日(水) 青森県シンポ後援依頼と実態調査
【天気概況】
・寒冷手気圧の影響で、天気は崩れる。局地的な雷と強い雨がある。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「鶴岡モニターのコメントの転送ありがとうございます。カラスは、1:はじめのうちは水を怖がりますが深さを学習して平気で3〜5cmの水に入って種モミをついばんでいます。2:クローンカラスもはじめのうちは警戒しますがすぐに学習します。3:爆音機は効果がありますが一週間程度で学習されます。4:田面長辺方向へのナイロン糸張りは設置後一週間程度効果がありますがやはり学習されます。(作業管理上長辺方向のみ)このように、人間様がカラスの習性を学習します。」
・宮城県松山町のモニターからカラス撃退法のメールが届く。石巻のモニターに転送する。
彼の直播もかなりの被害があり、追播きしたとのこと。効果的な撃退法はなかなかないようだ。
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(23日):オホーツク海付近の海域の海面水温は平年よりかなり低い。熱帯海域の海面水温には大きな変化が認められない。東北東海上の海面水温が平年より著しく高い領域は依然として存在する。
・北半球500hPa高度場:27日頃までは南から暖かい空気が入りやすい状態が続くが、28日頃からブロッキングが予想されている。月末頃オホーツク海高気圧の影響が出始めるか。
・週間予報支援図(23日):北日本・東日本上空への強い寒気の南下は予想されていない。
・警戒メッシュ図(23日):青森県・他県中山間地は依然として気温が低い状態が続く。
・青森県から稲作生産情報第5号がメールで届く。
【研究活動】
・公開シンポジウムの後援依頼のため青森県庁を訪ねる。
・青森県内の移植作業の進捗状況を調査する。移植は例年よりやや遅れている模様。三沢北部の定点調査地帯では、移植最盛期といったところである。今週中にはほぼ終わる様子である。


○5月25日(木) 
【天気概況】
・高気圧に広く覆われ、良好な天気となる。気温も上がり、稲の活着が進むことが期待できる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「鳥害はだいぶ落ち着いてきました。葉齢も本葉2葉が展開し苗立ちも筋条に確認できるようになりました。とりあえずご安心ください。」(モニターの多くが心配していたので、安心した。)
・宮城県河南町のモニターからメールが届く。
「除草剤撒布も全部終わり一段落です。直播ですが、ようやく条状に確認出来るようになりましたが 一部ヒエの密生しているところがあります。今後の除草体系が問題です。良い方法がありましたら教えてください。鳥害ですが、スズメにかなり荒らされています。」
・岩手県種市町のモニターから田植えの状況を知らせるメールが届く。
「早いところで16,17日、中北では20,21日にほとんど終わっています。でも未だ済んでいない所が…。久慈市の夏井町では6,7日から始まりその週のうちに終わってようでした.久慈、八戸にはヤマセが未だかかっていません.」
・田植えの遅れが心配されていた山形県最上町のモニターから田植えが終了したとのメールが届く。これでモニター全員の田植えが完了する。
「何とか予定通り5/20から田植え始めたのですが、週末から天候が不順でしたので思うように進まず、側条施肥の肥料詰まりのトラブル等で作業が遅れましたが今日やっと終了しました。同時に、「あきたこまち」と「はえぬき」に調査圃場を設置しました。苗(4/19播種−5/22田植え)ですが、「あきたこまち」は苗丈16.2cm(14.5〜17.5)・葉齢4.1齢(4.0〜4.3/不完全葉含む)で、「はえぬき」は苗丈15.5cm(13.8〜16.7)・葉齢4.2齢(4.0〜4.4/不完全葉含む)で、昨年と同じ3本植えに設定しました。ハウス育苗期間後半の好天でやや徒長気味の苗でしたが、まずまずの根張りでほぼ良好な苗でした。今年のように、田植え後がすこぶる穏やかだったのは珍しいです。4〜5月の不良天候からは、想像できませんでしたね、嬉しい誤算でした。山を見上げると、例年になくまだ残雪が多く見られます。水不足の心配は無いですが、用水の水温の低さが気にかかります。救いは、活着期気温の良好推移の期待です。いよいよ今年の稲作が、水田にこだまする蛙の声と共に本格的にスタートしました。今年も、よろしくご指導ください。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:28日頃から偏西風の蛇行が大きくなり、ブロッキング現象になり始める予想となっている。
・週間予報支援図(24日):今後数日は北日本・東日本上空へは暖かい空気が入り、気温も上がる予想。28日頃一時的にオホーツク海高気圧の影響を受ける可能性もあるが、長続きはしない予想。
・警戒メッシュ図(24日):青森県全域で気温がなかなか上がらない。昨日三沢・十和田地域を観察したが、移植直後でもあり、心配されるような植え傷みはほとんど見られなかった。
・青森県から5月20日現在の田植え進捗状況と苗の生育に関する情報が届く。県全体で見ると、田植え始め、田植え最盛期ともほぼ平年並みからやや遅れとなっている。
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区の発育予測モデル情報を作成する。
・事務局からのお知らせを作成し、新しい情報を紹介する。
・東北農政局から公開シンポジウムの紹介記事が掲載された広報誌(5月号)が届く。
・航空測量会社と夏の航空機実験の打ち合わせを行う。
・新アメダス監視システムが導入される。今まで手作業で行っていた処理のかなりの部分が自動化される。
【その他】


○5月26日(金) 
【天気概況】
・高気圧に広く覆われ、南から暖かい空気が入り、気温は急上昇する。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:偏西風は28日頃から蛇行の程度が大きくなり、蛇行に仕方によってはオホーツク海高気圧の影響を受ける可能性も予想される。
・週間予報支援図(25日):北日本・東日本上空には強い寒気の南下は予想されていない。ただ28日頃から偏西風の蛇行が大きくなる予想となっている。
・警戒メッシュ図(25日):青森県下北半島と岩手県沿岸北部は気温の低い状態が続く。これら地帯は現在田植え盛期と推察される。
・福島県・宮城県の病害虫発生予報第2号が届く。
・仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。今後1週間の予報内容によると、南からの暖かい空気が入り、平均気温は高いとの予想。予報通りだと、北部地帯の稲の活着が順調に進むことが期待できる。
【研究活動】
・青森県JA関係者から水稲立毛間小麦播種技術に関する問い合わせがある。
「水稲立毛間小麦播種技術の研究資料等がありましたら、御紹介いただければ幸いです。なお、現地で実施されている地域がありましたら、お知らせください。視察研修に伺いたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
(岩手県紫波町の生産団体がこの技術を実践しているとの新聞記事をみたことがある。岩手県農業研究センターと盛岡地域農業改良普及センターに確認をする。やはりそのような生産団体があるので紹介する。研究論文などについては郵送することにする。)
・公開シンポジウムポスターの校正がすべて終わり印刷にとりかかる。
【その他】
・総アクセス数が50,000件に近づき、明日にも超す可能性がある。


○5月27日(土) 早期警戒情報第6号
【天気概況】
・低気圧が西から近づき、天気は下り坂に向かう。梅雨前線が九州から東に移動し、太平洋側各地で大雨になる予想。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:偏西風の流れは数日単位で変化する予想となっている。南から暖かい空気が入りやすい状態が断続する傾向がみられる。
・週間予報支援図(26日):北日本・東日本上空へは暖かい空気が入りやすい予想となっている。
・活着障害警戒メッシュ図(26日):冷害危険度地帯4,6,8はほぼ田植えも終わり、活着期にあるものと推察される。これら地帯では活着期の水管理に注意が必要。
【研究活動】
・早期警戒情報第6号を作成する。1か月予報の解説にあるアンサンブルメンバーの動きは今後1週間比較的安定しているが、上空の大気の状態は数日単位で変化するため、なかなか予測が困難である。
・山形県最上町のモニター圃場の発育予測モデル情報を作成する。モデルによると、比較的順調に活着が進んでいるものと推察される。
【その他】
・総アクセスが50,000件を超す。


○5月28日(日) 
【天気概況】
・低気圧が日本海に進み、日本海側を中心に天気がくずれ、局地的な大雨もある。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(27日):オホーツク海の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。熱帯海域の海面水温には大きな変化はみられない。
・北半球500hPa高度場:偏西風は北に上がり、南から暖かい空気が入りやすい状態が続く見込み。
・週間予報支援図(27日):北日本・東日本上空への強い寒気の南下は予想されていない。
・活着障害警戒メッシュ図(27日):活着障害の危険性はほぼ全域で認められない。
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区の苗の緑も濃くなり、活着は順調に進む。
【その他】


○5月29日(月) 
【天気概況】
・発達した低気圧は北海道の北へ移動し、天気は徐々に回復に向かう。気温は平年より著しく高く経過する。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「急な高温で一斉に発生した藻ですが、今日の雨で消えました。この雨が過ぎたら、除草剤の散布を計画しています。移植した苗は、今のところ順調に活着しているようです。」
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:偏西風は東西に流れる形で続く見込み。
・週間予報支援図(28日):6月3日頃から偏西風の蛇行が始まり、ブロッキングが始まる可能性を示す。
・活着障害警戒メッシュ図(28日):青森県も気温が上がり、活着障害の危険性は少なくなる。
・岩手県・青森県から技術情報が届く。
【研究活動】
・国際協力事業団筑波センターから稲作研修コースの水管理の講義依頼が公文で届く。研修生は中南米、アフリカ、アジア地域から参加。6月6日の予定。
・NHK盛岡放送局で「稲作と冷害」の収録を行う。
【その他】


○5月30日(火) 生育・作柄診断試験区の第1回生育調査
【天気概況】
・高気圧に覆われ、天気は良好となる。気温は真夏並みになる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターの分げつに関する質問に回答のメールを送る。
・宮城県河南町のモニターと青森県JA関係者に依頼されていた資料を送付する。
・名古屋市の建設業の方からあった水質の質問に対して、問題があまりに広いので農業研究センター土壌肥料部水質保全研究室長に相談にのってもらうように依頼する。部分的には当方から資料を送付する予定。
【早期警戒活動】
・北半球500hPa高度場:6月3日頃から偏西風の蛇行が始まる予想となっている。
・週間予報支援図(29日):6月3日頃から偏西風の蛇行が大きくなる予想。北日本・東日本上空への強い寒気の南下は予想されていない。
・活着障害警戒メッシュ図(29日):ほぼ全域で活着は順調に進んでいるものと推察される。
・岩手県農業研究センターから技術情報が届く。
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区と水管理試験区の第1回生育調査を実施する。第3葉から分げつが発生を始める。例年になく早い分げつ始めである。データを整理してみないとはっきりしないが、調査していた印象ではモデルによる予測値は妥当なものとみられる。
・独立行政法人化に向けて場長説明会がある。新しい東北農業研究センターの組織が近々固まる予定。
【その他】


○5月31日(水) 
【天気概況】
・低気圧が西から近づき、天気は下り坂に向かう。午後1時頃から、青森県・岩手県北部沿岸部では海風が入り、気温が15度を割る。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターから生育調査データが届く。田植えは6日ほど遅れたが、活着が順調でほぼ平年並みの葉齢となっているとのこと。NHKの放送日について問い合わせがあるが、当日おばんです岩手のなるほど歳時記で既に放映が行われた。山形ではみることができないものと思う。
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「御回答をいただき有り難うございます。強勢な分げつにするには、それなりの手をほどこさなければならないことは分かりました。詳しくは8日にまたお聞きしたいと思います。稲の生育はおかげさまで今のところ順調です。有害ガスについては気温が高いので間断灌水をしたいと思っています。」
【早期警戒活動】
・NOAAの海面水温平年偏差図(30日):太平洋中緯度地帯・オホーツク海の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。熱帯海域の海面水温には大きな変化は認められない。
・北半球500hPa高度場:6月3,4日頃から偏西風の蛇行が大きくなり、ブロッキングの状態に移行する予測。
・週間予報支援図(30日):6月3日頃から北日本・東日本上空に弱い寒気の南下が予想されている。
・活着障害警戒メッシュ図(30日):全域で障害が心配される気温条件ではなく、順調に活着し生育が進んでいるものと推察される。
・福島県農業試験場から中通りの技術情報がメールで届く。
【研究活動】
・公開シンポジウム関係者への公文を準備する。
・国際協力事業団の講義の研修資料を作成し、事前に郵送する。
・早期警戒を始めた当時の仙台管区気象台予報官から退官の挨拶状が届く。当時が思い起こされ大変懐かしい。大変幼稚な段階の早期警戒監視であったことが今となっては恥ずかしく思える。
【その他】
・場内でカッコウが鳴き始める。例年より早いような気もする。



 
GotoHome Prev Next Return Opinion
 

torigoe@tnaes.affrc.go.jp