水稲冷害研究チーム
2000年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
10月
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○10月1日(日) 岡山の実家にて
【天気概況】
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・父の墓参りを済ませ、新大阪から空路盛岡に帰る。
・【その他】
○10月2日(月) 早期警戒態勢の解除
【天気概況】
・低気圧が西から前線を伴って接近し、天気はくずれる。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから収穫が終わったとのうれしいメールが届く。
「はえぬきの直播きを25日から刈り始めましたが、雨で作業が遅れ29日にようやくすべての刈取りが終わりました。一息つきに昨日は釣りに行って来ました。釣果は花鯛とカワハギで今一つでしたがとても良い気分転換になりました。今日は稲刈の片付けということで、コンバインの清掃や籾を運んだタンクなどを片付けます。収量は全部籾摺りしてみないと何とも言えませんが、600kg/反当に近いと思われます。直播きは540kgくらいの感触です。品質は今まで出荷した分全て1等に格付けされました。久しぶりに全量1等が可能な年なのかもしれません。」
・宮城県河南町のモニターからうれしいメールが届く。
「調査ほ場の「ひとめぼれ」の収量は583kg、中米(1.90−1.85mm)65kg、屑米(1.85mm以下)25kgでした。稲刈りはあと2日くらいで終わる予定です。直播きの「ひとめぼれ」などが残っています。疲れがたまってきました。」
・宮城県石巻市のモニターからうれしいメールが届く。
「我が家の「ひとめぼれ」は反当570kgでした。全量一等米です。直播のササシグレは反当420kgです。難しい品種を直播で栽培しての収量としては満足です。酒米は反当450kgです。昨年の倍量を納入することができ満足です。明日から、倉庫片付け、及びその他品種の籾摺調整をします。」
・宮城県亘理町の友人からうれしいメールが届く。
「早期警戒態勢を解除されたとの事、今年も長期間の活動大変ご苦労様でした。天候および生育に関する情報をたくさん活用させて頂きました。お礼申しあげます。さて、「まなむすめ」は全て出荷が終わりました。お陰さまで、全量1等に格付けされました。私にとって初めての60株/坪の試み、いくつかの課題が残りました。特に、今年のような好天候下で登熟歩合があんなにも低かったことは予想外でした。平年並みの天候の年には更に登塾歩合が低下するのかどうかを見極めなければならないと思っています。」
・宮城県松山町のモニターからうれしい便りが届く。
「九月三十日に、無事稲刈りが終了いたしました。おかげさまで、今年は、まずまずの出来でした。調査圃場の5ha「ひとめぼれ」収量は平均10俵、全量1等でした。「美山錦」は8俵、全量1等。以上分かっているものの報告まで。屑米は、家では全部値段の納得のいく業者さんへ出荷しています。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(9月30日):日本列島東海上の海面水温が平年より著しく高い領域には大きな変化はみられない。注目すべきは太平洋中緯度中央部付近の海面水温が平年よりかなり低くなってきた。熱帯海域の海面水温には大きな変化は認められない。
・早期警戒態勢を解除し、最後の早期警戒情報を発信する。今期監視期間が走馬燈のように浮かぶ。終わってしまえば、短く感じるのは毎年のことである。平成6年から監視をはじめ、本年で7年目となる。病気もなく、よく続けてこられたものだ。
・停電などで遅れていたシステムの復旧に追われる。
・モニターや友人などお世話になった方々に早期警戒態勢解除のお知らせとお礼のメールを出す。
・仙台管区気象台から9月の天候(速報)と循環場の特徴がメールで届く。特徴を表すキーワードは「高温傾向の持続」とある。
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区の「コシヒカリ」の坪刈りが終わる。試験区のすべての刈り取りが終わる。
・現場によると今まで出荷したものはすべて1等米に格付けされたとのこと。水管理区の全刈り籾重は昨年より多くなっている。
・モニターの方々から収量10俵前後、全量1等米だとの報告のメールが続々と届く。待ちに待った成果が届き、大変うれしい。
・【その他】
○10月3日(火)
【天気概況】
・低気圧が東北地方を通過し、各地で雨となる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「早期警戒態勢の監視、本当にご苦労さまでした。冷害こそ無かったにせよ、昨年の高温障害とカメムシ被害等の繰り返しが無かった事も、チーム一丸となってのバイタリティ溢れた活動の表れだと思っています。来年4月以降も、地域基盤研究部連携研究第1チームとなり早期警戒システムを引き継いでもらえるそうで、”21世紀稲作のバイブルHP”としての活躍を期待すると共に、今後とも宜しくお願いいたします。今年は、9/30に全ての刈り取りが終了しました。品質も、まだ1/3出荷ながら1等米になっています。未定ながらも、全ての品種で収量が600kgを幾らか上回っているようです。また、玄米の充実度が高く、新米の食味感も最高の味です。これも、リアルタイム情報で生育予測と気象情報を中心として、HPを活用できたおかげと感謝しています。」
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「早期警戒態勢解除この1年間大変ご苦労さまでした。稲刈りはまだ一日分残っています。調査圃場の収量、品質ですが収量については、10アール当たり600Kgを超えましたが、品質は残念ながら全量二等米でした。その中身は一部未熟粒と乳白でした。一番心配された穂発芽については問題ありませんでした。後半の分の検査はこれからなのでそれに期待したいと思っています。今年の稲はどの圃場も格差はなく比較的しり上がりに良くなっているようです。それは倒伏のひどい順に刈り取っているのと稲刈り期間も登熟していたためではないかと思っています。鳥越さんをはじめ冷害チームのみなさんは、7年間の長きにわたりシステムの構築に御尽力されてきましたことに敬意と感謝を申し上げます。私は短い期間ですが、鳥越さんほかみなさんのお人柄に接する機会を得ましたことに改めて感謝申し上げます。今後どのようなかたちになるにせよ、今まで通りの経営を続けてまいりますので、今後とも宜しくお願い致します。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・アメダス監視地点の水温データをとりまとめる。
・アメダス監視システムの改良・開発に関して配信先と詳細を検討する。
【その他】
○10月4日(水)
【天気概況】
・移動性高気圧が西から東北地方に張り出し、天気は回復に向かう。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「早期警戒体制ご苦労さまでした。また、7年間、東北の冷害対策にご尽力いただき、農業の情報化(IT化)を進められたことは大変な努力だったと思います。まだ2haほど稲刈りを残しています。「ひとめぼれ」、「まなむすめ」は平均540kgほどで品質は極上です。ササニシキは管内では、2等、3等、また等外で品質は最低でした。ただ収穫量は600kgを超える田圃もありました。まだ「コシヒカリ」と「みやこがねもち」は刈り取りしていないのでわかりません。今年も、珪酸カリと過燐酸石灰の田圃は、この地区の平均収穫量より30kgくらい多いと感じます。今年のそれらの施用した田圃は倒伏も少なく、品質向上の役割を果たしたと感じます。残念なのは米価格の下落で、豊作でも喜べないのはとても悲しい。稲作農家が日本で生き残れるかかなり厳しい状況下にあることは周知のとおりではありますが、ただ私は米作りの職人としてがんばるつもりでいます。無形文化財になったりするかもしれません。そんなことないよう鳥越さんも稲作農家に力をかしつづけてください。それではまたお会いすることを楽しみにしています。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(3日):日本列島東海域の海面水温が平年より著しく高い領域には変化がみられない。また熱帯海域においても大きな変化は認められない。ただ、ペルー沖の海域では海面水温が平年より高くなり、その領域が赤道に沿ってやや西に伸びる傾向がみられる。太平洋中緯度地域と熱帯海域の海面水温の動きは注目される。
【研究活動】
・宮城県松山町のモニターと小麦品種の件で情報交換する。東北農試が開発した東北206号や213号の話にも及ぶ。収穫は終わり、酒米の一部を除いて全量1等米とのこと。籾摺りが終われば、大豆の収穫と小麦の播種へと忙しく作業が続くのだろう。
【その他】
○10月5日(木)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・岩手県種市町のモニターからメールが届く。
「鳥越さん今晩は。早期警戒の監視ご苦労様でした。当地では穂いもちに罹患させた人、刈り取りを延ばし延ばしにして穂発芽を起こした人、海風のあたる圃場は未だましですが、少し内陸に入り夜間の気温が高かった圃場は穂発芽の発生が多かったみたいです。刈り取り期の台風による低気圧の雨(直接的ではないにしても)が恨めしい。僕みたいなど素人が曲りなりにも共済の評価委員の職をやってこれたのも、鳥越さんという先生が在ればこそでした。本当に有難う御座いました。此方こそ飽きずにご指導の程宜しくお願い致します。」
・東大阪市の友人からメールが届く。
「先日は「くず米」の件、有難うございました。モニターの方々のご意見、有難うございました。取引のあった米屋さんにも聞きました。数量こそ少ないが仲介業者には結構「おいしい物」のようですね。中学生の質問の「黒紫米」の件ですが、私も以前色々な色を付けた寿司を売り出そうと、実験をしたことがあります。黒紫米ではありませんが、銘柄は忘れました。赤米で「すし米」に色を付けて作りましたが、「おもしろい寿司」と人々は評価してくれますが、赤飯を毎日食べる人がいないのと同じで、「変わった寿司」だけの事。また赤色は梅肉、緑色はお茶、黄色はカボチャの粉末、黄色はもう一つ岩手の南部名産「菊のり」を刻んですし飯に混ぜた等、色々としてみましたが、色だけではなしに変な味が付いてパーティなどの時、少し混ぜて出した位で、結局商品化は「色付きの寿司」の売れ行きが見込めず出来ませんでした。私見ですが 人間、食べ物には保守的で自分が小さい時から食べ慣れてきた物以外は好奇心から食べてみる位で、特に日本人の場合「お米」のイメージは白、お寿司も米に味は付いているが「白色」、日常食しているのは「白米」、食器もおかずには様々な色つけされたお皿、鉢がありますが、飯碗の中は白、コンビニで売られているお弁当も白米が8割,9割です。でも駅弁はお客さんが非日常だから、白いご飯一辺倒ではありません。<菜食主義、玄米食の方は別にして>以前、読んだ寿司業界新聞の記事で「アメリカで人気の寿司だが、巻き寿司は受けない」のは海苔のせいだとありました、彼らには黒い食べ物はないそうです。イカスミを使った料理はありますがあまり食欲が沸く色ではありませんね。余談ですが、私は中学校2年まで押し麦が2〜3割入ったご飯を食べていました。自分の子供は小さい時から白米ばかりなので、麦入りのご飯は気味悪がって食べません。しつけを失敗したと反省しています。またまた、まとまりのない文章になりましたが、色付きの米の体験話を書かせていただきました。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・恩師渡部先生に謹呈頂いた著書「稲にこだわる」(小学館)を拝読する。主張のポイントは、食のこと、風土のこと、文化のこと、アジアのこと、そして日本のこと、すべての根っこに稲があることだ。時間を忘れて一気に読むことができ、また感銘する著作である。あとがきに、次のようにある。「(米の自由化問題に触れ)いまとなっては、日本の稲作も農村もだが、蘇生のための処方は容易でないと思う。時に暗い悲観的な気持ちを抑えられないが、まったく不可能ではないと信じたい。そのために、全編の文章の後背のところで、私がいおうとしていることを一つだけ上げるとしたならば、それは、たかが「経済」(ごときもの)ではなくて「道理」(のようなもの)の大切さ、それを思い起こしてはということに尽きる。それがすべての出発点だと思っている。」
・水温データセットの作成と水温変化の特徴を検討する。
【その他】
○10月6日(金)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われて、概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「何とか秋作業は一段落しました。後は家畜の敷き藁を確保するだけです。無農薬・無化学は販売の関係でまだ調製は終わっていませんが圃場で水分が17%でほぼ完熟米でした。品質も良いと思います。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・水温データセットの作成と水温変化の特徴を検討する。
・水稲冷害研究チームの生みの親である前松原場長が突然来室される。学会で盛岡に来られたとのこと。松原さんから平成8年に当時非公式な水稲冷害研究チーム長に任命され、その後のチームの動静を気にされていたとのこと。水稲冷害早期警戒システムの紹介パンフレットと公開シンポのパンフレットを差し上げる。
・一般の方から以前にカメムシ被害粒は食べても健康に害になることがないかとの問い合わせがあった。つくばの友人に問い合わせたところ、「カメムシは消化酵素を出して溶かしてから、吸汁する訳ですが、それによって健康上問題になるような物質が混入するようなことはない。また、被害部位にカビが生えてカビ毒が産生される恐れがあったため、被害米について各種カビ毒を検査したが、検出されなかったとのこと。」
・九州大分県の農業改良普及センターの方から冷害に関する問い合わせがある。標高が900mと高いため、「コシヒカリ」では遅延型冷害の危険性があり、生育促進の技術について聞かれる。アメダスデータを送っていただき、安全作期など検討してご回答したい。
・恩師渡部先生の著書「稲にこだわる」の書評を頼まれる。
【その他】
○10月7日(土)
【天気概況】
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「早期警戒態勢解除ご苦労様でした。モニターをして大変勉強になったアッという間の3年間でしたが、今後とも宜しくお願い致します。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
【その他】
・釜石港に家内とともに久しぶりの釣りに行く。海を見ながらのんびりと一日を過ごす。
○10月8日(日)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われて、概ね晴れの良好な天気となる。最後の稲刈りが行われると思われる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(7日):日本列島東海域の海面水温が著しく高い領域には大きな変化はみられない。ペルー沖の熱帯海域では海面水温が平年より高くなり、その領域が西に広がる傾向が見られる。
【研究活動】
【その他】
○10月9日(月)
【天気概況】
・低気圧が通過し、各地で雨となる。
【モニターネットワーク】
・大分県の普及センターの方からのメールをモニター各位にお送りし、現場からのご意見を伺うことにする。
・宮城県石巻市のモニターから返事が届く。
「出穂を早めるには、稚苗より中苗それより成苗ですが、今までの設備のままで対応できるのは中苗までです。それでも、出穂で3から5日早まります。その次に考えられるのは、根を健全に維持し、稲の体内に多くの糖質(でんぷんの前の状態)をより多く蓄えさせ、葉令の展開速度の確保をするのが良いでしょう。物の本に出ていましたが、密植栽培より粗植栽培の方が出穂の早期化には有利であると書いてありました。光合成の関係だと思います。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・大分県の普及員の方からメールと気象データがメールで届く。
「 突然の電話で失礼しました。管内では九州一標高(880m)の高い水田地帯があり、そこでコシヒカリ150ha作付けしています。しかし出穂晩限期8/13に対して平年出穂期8/16で登熟不足が危惧されています。出穂を早める方法について考察すると1、早生の品種選定 2、成苗移植 3、田植時期の前進化など考えました。1」当地区では販売面からコシヒカリ作付のみです。本年はスノーパールの栽培実証をおこない出穂期8/2でよい生育を示しました。産地が150ha程度なのでスノーパールの販売流通が確立できればスノーパールをすすめてはどうかと考えています。2)確かに成苗植は稚苗に比べ3日ほど出穂が早いです。成苗を奨励していますが、農家が新たに投資してまで成苗にかえることは難しいようです。現在6割が稚苗です。稚苗で活着がよく初期成育にすぐれる健苗育成が課題です。このためには薄蒔き、葉色の落ちない追肥管理、葉令のすすんだ苗づくりが重要だと考えます。(具体的な播種量、追肥体系、電熱育苗がよいかべた掛けがよいか等検討必要です。アドバイスおねがいします)3)田植え時期については晩霜の恐れが無くなる5/10から田植えになりますが、近年遅くなる傾向になるので耕起作業の前進化など集落まとまりで取り組みたいと考えます。普及員として技術で現場の課題を解決したいとおもっています。わたしは、11月1、2日に全国大豆生産改善検討会が宮城で開催されるのに出席します。前日10月31日 午後に宮城付近で冷害対策の取り組みについて先進地研修したいと考えています。事例がありましら教えてください。長々とかきましたが どうぞよろしくおねがいします。」
・大分県玖珠の安全作期を検討する。気温データによると、最低気温が17度を超えないため、穂ばらみ期の晩現日が設定できなく、障害型冷害の危険性もあるようだ。成熟期の晩現日は9月28日となり、青森県十和田などとほぼ同様な気温条件となる。コシヒカリだと当然遅延型冷害が心配される。
【その他】
○10月10日(火)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターから大分県の方に対する意見が届く。
「ちょうど大分の方と岩出山でコシヒカリを作付けすると出穂の時期が同じということで、私たちの仲間で出穂を早くする工夫を書きます。種籾を水につける時期:*種蒔きの一ヶ月前の三月初旬に行う(井戸水やより冷たい沢水につける)。*種蒔きを早めにする。岩出山では3/28から4/2頃。*加温式育苗器を使う(いっきに芽を出させる)。種蒔き:*種籾を蒔く量 箱苗あたり70gから100g。育苗:*かなり薄い箱苗ですが、箱の土が見えなくなったら苗の葉をカットする。また見えなくなったらカットする。2回ほど。理由、稚苗だが、田植えの時期(5/10)の期間、育苗するため40日位するため形態は成苗になる。すでに分茎している。勿論追肥をする。田植え:*田植えuあたり50株(本数2,3本)かなり薄めの田植え。*側条田植え機(液肥)で田植えする。窒素で4kg,水温が低くとも肥料分解が早い。*田植え直後の深水栽培(葉が少し水面から出るくらい)。理由・・・水温の確保と早期分茎を抑える(無駄な分茎をさせず、一本一本を太く栽培する)。管理:*その後、深水栽培をつづけ(成長にあわせ)最高分茎期にリン酸肥料を与える。私は過燐酸石灰や珪酸カリ、重化石を施用する。平成五年の東北の冷害にかなり効果があった。(遅く花が咲いても実る)。追肥:*時期を観て追肥またはなるべく施用しない。コシヒカリについて以上ですが、私の地域では民間育種された短かんのコシヒカリを作付けしている方がいます。また、品種の選定についてですが、コシヒカリに負けず劣らずおいしい「ひとめぼれ」などを作付けしたほうが楽かと思います。私の少ない経験ですが、実らせたい場合は種蒔きを早くなるべく成苗薄まき苗。田植えは水温が上がってから、肥料は液肥側条施用が基本と思います。逆に北海道、岩出山の姉妹都市 札幌近郊の当別町の農家では密植栽培で分茎させず栽培しているそうです(きらら)など。基本的には無理な品選定せず、土地にあった品種を栽培したほうが良いと思います。私のコシヒカリを作付けしている仲間も(宮城では少数派)でも毎年の収穫量はかなり変動し、当る年と外れるとしでは100kgくらい違います。」
・山形県鶴岡市のモニターから意見のメールが届く。
「米に付いていつも研究、指導にあたられている方からの質問に対し意見できる立場ではないことは重々わかりますが、同じ米に携わるものとして、このような厳しい条件での米作りに取り組んでおられることを知り敬服致します。出穂晩限期以前に出穂する品種の選定が何より大切ではないでしょうか。成苗移植にしても3日程度の差しかないのであれば、むしろ稚苗移植で生育の遅れになる要因を取り除いて行ったほうが良いのではないでしょうか。移植時のショックをなるべく少なくスムーズに活着できるように薄播きにした太い苗を作り、外気との慣らしも十分に行い硬い苗にします。除草剤の薬害も心配なので散布後の天気も考えに入れて散布日を決定する。このことは自分の稲作でも常に心がけていることです。晩霜に対しては深水で稲体を保護するのも有効かと思います。田圃への入水は夜間に行い日中は止水します。隣の田圃と段差がある場合は其れも利用し、上の田圃からの水をその下に流すようにして水温の上昇に勤める。また、温水チューブも安価で効果大です。自分の住んでいる地域で出来る事を書いたので的を得ない回答になったのかもしれませんが、思いついたことを書いてみました。」
・宮城県河南町のモニターから収量報告のメールが届く。
「直播き「ひとめぼれ」は1.90mm以上が372kg、1.85〜1.90mmが118kg、1.85mm以下が 45kg。1.85〜1.90が非常におおかったが、品質がかなりよかった(飯米用にします)。自分では、8俵の収量と思っています。「ゆめむすび(加工米用)」は1.85mm以上が625kg、1.85mm以下が36kg。出荷米はすべて1等米です(今までの出荷米全部)。振り返ってみると我が地域では、北部が10俵前後、南部が9俵前後と1俵の開きがあります。私なりに考えると 用水の水温の差が関係していると思います。直まきについては、倒伏の心配がありましたので追肥をしなかったのが、籾の大きさに影響が出たと思います。10月3日で刈り取りが終わり、7日でライスセンターの後片付け、ダイズの草刈とすべて終わりました。これから来年に向ってがんばります。これからもいろんな情報、ご指導よろしくお願いします。」
・山口県の友人から収量報告のメールが届く。
「秋たけなわで、コスモスが我が春と咲きほこっております。お元気ですか?こちら、どうにか秋の穫り入れも終わりほっとしております。今年は天候に恵まれ、捨て作りの我家も豊作に恵まれました。コシヒカリは10a当たり510キロ、ヒトメボレは570キロ、モチも570キロとゆう数字がでました。もう少し、手を入れたらと反省しておるところです。主仕事の多忙にかまけて、手抜きもいいところでした。モチなどは、周囲がコシヒカリで水が早くから無くなり、最後は枯れ上がってしまう状態でした。来年はと、意気込んでおりますがどうなるこたやら?宜しくご指導のほどお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から寒侯期予報とその解説がメールで届く。各種資料がカラーでまとめれら、最近の冬の天候の特徴がよくわかる。予報内容のまとめは次の通り。
「1990年代前半のような極端な暖冬はなくなったが、近年は引き続き暖冬傾向で推移している。また、北半球中緯度の対流圏(特に下層)では平均温度の高い状態が続いており、今年の冬は寒気の南下があっても長続きしないと見られる。その他の統計資料による予測も高温傾向を示している。
このため、今年の冬は寒冬になる可能性は小さく、暖冬の可能性が最も大きいと見られる。」
【研究活動】
・水温データセットの作成とホームページ掲載情報を作成する。
・活着期の障害に関する監視の問題構造を整理する。
【その他】
−−−−−−−−− 中旬 −−−−−−−−−
○10月11日(水)
【天気概況】
・低気圧からのびる寒冷前線が近づき、天気は下り坂となる。強い寒気が明日頃から北日本上空へ入る予想となっている。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(10日):日本列島東海域の海面水温が著しく高い領域には大きな変化はみられない。ペルー沖の熱帯海域の海面水温には大きな変化は認められない。
・寒候期予報では太平洋赤道域の状況について、次のように記されている。
「1999年夏に始まったラニーニャ現象は2000年春に終息した。エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の9月の海面水温偏差は-0.2℃で、太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高く、中・東部で平年並の状態が続いている。一方、南方振動指数が2か月連続で正となったことからわかるように、貿易風が平年よりやや強い状態が持続している。エルニーニョ予測モデルは、監視海域の海面水温が+1.0℃を大きく超えない範囲の正偏差で推移すると予測している。太平洋赤道域の西部で海面から深度260mまでの平均水温の正偏差が続いているように、西部太平洋には暖水が蓄積している。この暖水の一部が東に移動することによって、モデルによる予測のように、監視海域の海面水温が平年よりやや高くなる可能性はあるものの、過去2か月貿易風が平年よりやや強い状態が持続しているなど、今のところ太平洋赤道域の大気・海洋の状態を大きく変化させる要因はなく、監視海域の海面水温は、予測期間中はおおむね平年並で経過すると考えられる。」
【研究活動】
・恩師渡部先生著作「稲にこだわる」の書評内容を構想するために再読する。博識な先生であるため、字句、文章には深遠な意味が含まれている。
・青森県稲生川頭首工の過去7年間の水温データをまとめる。
・青森県小田川ダムの過去7年間の水温データをまとめる。
・アメダスデータ配信先と本年度のシステム運営上の問題点と今後の開発計画について協議する。また、先日失敗したメモリー追加作業も行い、無事成功する。
【その他】
○10月12日(木)
【天気概況】
・寒冷前線が通過するため、日本海側を中心に天気が崩れる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターから栗駒山の紅葉が美しいので遊びに来ないかとのメールが届く。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・小田川ダム流域の水田水温と気温・日照時間の関係を整理し、掲載情報を作成する。
・大分県の普及員の方から依頼された、安全作期などを検討するために、仙台管区気象台に当該地の梅雨入りと明けの平年値をメールで教えていただく。早々に返事が届く。
・大分県の玖珠に関する安全作期情報を検討する。当地は標高が高いために秋冷が早く、穂の発育予測モデルによると7月31日から8月3日までに出穂させないと、安全に成熟期に達しないことがわかる。平成5年の冷害が遠く九州地方まで及んだことが良く理解できる。また葉齢進度予測モデルによると、「コシヒカリ」クラスの品種を幼苗で安全早限日に移植すると、幼穂形成期は7月11日となる。これは実態とほぼ一致する。
・ある出版社から農業高校の教科書作成に協力頂きたいとの依頼が来る。別途縁ある大学の先生からも前に依頼されていた。
【その他】
・総アクセスが63,000件を超す。
○10月13日(金)
【天気概況】
・寒冷前線が南下し、各地で晴れ間が戻る。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1ヶ月予報がメールで届く。
【研究活動】
・青森県小田川ダム流域の水田水温と気温・日照時間の関係をまとめた情報を作成する。
・富山県農業技術センターから「営農情報の発信に関する指導・助言」の依頼が公文で届く。11月9〜12日の3日間出張の予定が入る。
・一般から次のような問い合わせがメールで届く。
「初めてメールを送ります。どちらに質問を送ればいいかわからなかったので、とりあえずこちらにメールします。農作業の指導とかでよく耳にしたりする「積算温度」について、どのように算出されているのか、またどのように利用していけばいいのか教えてください。分かりやすい資料等ありましたら、それも教えてもらえれば幸いです。」
(回答) メールありがとうございます。「積算温度」に関する問い合わせですが、私たちの水稲冷害早期警戒システムのホームページをご覧になっているものとしてご説明いたします。
1)「積算温度」の算出法についてですが、ホームページ表紙の「生育・作柄情報」の中の「早期警戒地点の生育進度経過」「岩手県」「「盛岡」の生育進度経過図」を見て下さい。この図は「積算気温」を指標にして稲の主要な生育ステージ経過が表示されています。長年の試験結果を用いて、分げつ盛期、幼穂形成期、減数分裂期、出穂期、収穫期までに達するのに必要な平均的な積算気温をあらかじめ決めております。盛岡の品種「あきたこまち」の場合は出穂期でみると、この場合は1,690度・日に達すると出穂期を迎えると予測しています。この例の積算気温は、日々の平均気温(基準温度を摂氏0度としています)を田植え始め、盛期と終期の田植え日を起点(0)して毎日の値を加えていくことを意味します。この図の平年値の積算気温の増加曲線はアメダス準平年値を用いて田植え日が決まった時点で求められています。したがって、平年的な気温経過おける生育の進み方を示します。本年の経過は図のように気温が高く経過したため、平年値の曲線より上に推移しています。本年の値は日々進んでいきますので、ある時点で見ると今年は生育が平年より進んでいることが把握できます。
次に、「生育・作柄情報」の中の「発育予測情報」の東北農試厨川圃場の「あきたこまち」の穂の発育予測編をみて下さい。この図の縦軸に「有効積算気温」という用語があります。これは穂の発育に“有効な温度(気温)”をあらかじめ試験研究において明らかにしておいて、予測手法を確立したものです。この場合は、穂の発育(幼穂の発育や玄米の発育)は幼穂形成期(幼穂の長さが約2mm)を起点(0)として、日平均気温を用いて摂氏10度以上の温量(日平均気温−10)を加えていくと、穂の主要な発育ステージが把握できるのです。この図にも平年的な気温経過であると、このように発育が進むという曲線が描かれています。本年の経過は青い線で日々進んでいくことになります。したがって、ある時点で見て今は平年より何日程度進んでいるか、また遅れているかを日々把握することができます。また同じコーナーにある葉齢進度予測編では、同じ有効積算気温を利用していますが、この場合には上限値と下限値を設定しています。このように予測する内容によって、積算気温や有効積算気温を適宜適切に利用しています。なお、積算気温や有効積算気温を用いて生育を予測する手法は比較的簡便なために多くの作物の発育予測モデルに使用されています。
2)利用法ですが、上で説明した田植え日や幼穂形成期が決まれば、まず平年的な気温経過では主な生育ステージがいつ頃に来るかがわかります。したがって、それを基礎に作業の計画をまず頭に描くことができます。しかし、平均気温の平年値はあくまでも過去のデータの平均したものです。平年的な気温経過と同じ経過をたどることはほとんどありません。したがって、毎日毎日の発育経過の動きを把握し、その変化を的確に捉えて作業の計画などを見直す必要があります。したがって、私たちのホームページでは更新作業の時間はかかるのですが、日々情報を更新するように努力しています。ただ、これらの情報はあくまでも予測したものですので、ご自分の稲の発育の状況と絶えず照らし合わせて予測値とのずれを的確に把握することが、利用する側からすると重要なことといえます。
最後になりますが、たとえば気象や発育情報のように、日々更新されるリアルタイムな情報が今のところ皆様方ではなかなか得られないのが実状と思っています。
以上、長々とご説明いたしましたが、ご不明な点がありましたらメールを下さい。」
・大分県の安全作期情報が完成したので、ご質問の普及センターのメールでお送りする。
「頂いた気象データを用いて、安全作期策定に関する気温指標を整理しました。これらのうち、障害型冷害と遅延型冷害の危険度を少なくする上で重要な指標は穂ばらみ期の安全早限日と成熟期の晩限日です。穂ばらみ期の安全早限日は最低気温が17度を超えないために設定できません。そこで平年の梅雨明け後に減数分裂期を持ってくるように考えました。成熟期の晩限日は9月28日です。上の2つの指標を考慮して、好適発育ステージ経過を設定すると、幼穂形成期は7月3日〜7月7日、出穂期は7月31日〜8月3日、成熟期は9月21日〜9月28日。障害型冷害の危険期は7月14日〜7月28日に相当します。品種の早晩性を最終葉数、苗質を移植時の葉齢として、移植の安全早限日を考慮して好適な幼穂形成期の範囲に入るように移植日を予測すると次のようになります。最終葉数が13のクラスのもの(あきたこまちなど)については、稚苗が5月7日〜5月21日、中苗が5月19日〜5月30日となり、約24日間の移植期間が確保できます。最終葉数が14のクラスのもの(コシヒカリ)については、稚苗の最も早い幼穂形成期が7月11日、中苗が7月9日となり、好適幼穂形成期間からやや遅れます。一方、成苗では5月6日〜5月15日となり約10日間の移植期間を確保することができます。
これからも、ご意見の通り本田準備、育苗、活着、その後の生育促進など総合的に冷害回避技術を考えなければならないことが良く理解できます。私たちのモニターの方々(東北で冷害を回避するために知恵を絞っている生産者の方々(プロです))の意見にもありますように、きめ細かな技術的対応が求められると考えます。今後とも東北の稲作技術の良いところを折りをみてお伝えしたく考えていますので、宜しくお願いいたします。」
【その他】
○10月14日(土)
【天気概況】
・低気圧が東北地方を通過し、天気は回復に向かう。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・青森県早瀬野ダム水系の水田水温と気温・日照時間との関係を検討する。
【その他】
○10月15日(日)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね晴れの天気となる。寒冷前線が南下し、天気は下り坂に向かう。
【モニターネットワーク】
・ 一般の方から問い合わせのメールが届く。
「宮沢賢治が品種改良或るいは生産していた稲の品種は、奥羽2号それとも陸羽132号、又はその他の品種、さてどの品種だったのか教えて欲しいのですが。よろしくお願いします。」
回答:メールありがとうございます。賢治が生まれたのは明治29年で、他界したのは昭和8年です。さて問い合わせの件ですが、陸羽132号です。その当時の状況を次のようにまとめてみました。明治・大正時代に入りますと、冷害による凶作にまつわる悲惨な出来事が引き続き繰り返されましたが、行政機関の支援もあり、農業者自らによる生産技術の向上を目指した多くの活動が展開されてきました。老農が農事巡回教師となり、農産物品評会・共進会・種子交換会などを組織して開催したりいたしました。秋田県の種苗交換会は明治11年に第1回が開催され、伝統ある農業祭として今日まで続いています。また庄内の民間育種も強調すべき活動であったと思います。阿部亀治(あべ・かめじ)さんが水口にある稲から「亀の尾」を選抜したのは明治26年のことです。「亀の尾」は耐冷性が強く品質も良かったために東北を代表する品種になり、「神力」「愛国」をともに3大品種と呼ばれていました。もう一つの画期的な出来事は「陸羽132号」の育成にあったといえます。当時の農事試験場陸羽支場(現在の秋田県大曲市にある東北農業試験場水田利用部)において、大正3年に「亀の尾4号」と「陸羽20号」の交配組み合わせから大正10年に「陸羽132号」が誕生しました。この品種は多肥栽培にも耐えるので「亀の尾」より多収であり、耐病性・耐冷性も優れていたため、急速に「亀の尾」の栽培地帯に広がっていきました。「陸羽132号」は、民間育種家が育成した品種「亀の尾」の後を受けて、東北における稲作の安定性を向上させ、東北の米の市場評価を高めることに大きく貢献したといわれています。また、研究機関が育成した新品種の到来を告げるものでもありました。そして、時代は昭和に移り、宮沢賢治の活動、すなわち農学を学び農民指導に奔走した賢治の農業への熱い思いはあまりに有名であります。その詩「雨ニモ負ケズ」の一節「サムサノナツハオロオロアルキ」は冷害常襲地を象徴する表現であります。昭和6,7,9,10年と続いた冷害は、東北地域はもちろん全国的に深刻な社会的影響を及ぼしました。この冷害を契機に、近代的な冷害研究がわが国で一斉に始まりました。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(14日):日本列島東海上の海面水温が平年より著しく高い領域には大きな変化はみられない。また熱帯海域にも大きな変化はみられない。
【研究活動】
【その他
○10月16日(月) 試験区坪刈り脱穀・籾摺り
【天気概況】
・移動性高気圧が張り出し、天気は回復に向かう。朝夕の冷え込みが強くなる。
【モニターネットワーク】
・ 一般の方からお礼のメールが届く。
「不躾なメールに早速の丁寧な回答を頂き感謝しています。こちらでは賢二オタクの知人達がメンツをかけて争っていましたので、裁定を下すために専門家の意見を聞こうとした次第です。この回答によって一方は萎れて泣き一方は天狗となる事でしょう。結果がでましたので、お蔭様で暫くはこちらも静かになる事と思います。こんな事情でお手を煩わせ真に申し訳ありませんでした。取り急ぎお礼まで。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・渡部忠世著『稲にこだわる』の書評を脱稿する。恩師の書評など書けるものではない。紹介のようなものになる。
・試験区ならびにモニターの坪刈り試料の脱穀と籾摺りを行う。収量600kgを超える試験区がかなりありそうだ。本年は盛岡ではやはり豊作といえよう。
・活着期の問題構造を考察する。本質はなかなか難しい。
【その他】
○10月17日(火)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね良好な天気が続く。しかし、北から寒冷前線が南下を始め、その後ろに強い寒気が控える。寒くなりそうだ。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターがつくった明治初期の米「福坊主」から酒ができたとの記事が河北新報社のネットにでる。長い間の努力が実り、「おめでとうございます」のメールをお送りする。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・公開シンポ「先人の知恵を生かす−自然を読み、稲と語り、そして心を耕す」の編集作業に入る。
・青森県早瀬野ダム水系と岩手県山王海ダム水系の水田水温と気温・日照時間の関係をまとめる。
・大分県の普及員の方からお礼の電話が来る。先進地の視察は別途考えるとのこと。私たちのモニターの方々を訪問することをお奨めする。冷害対策だけでなく、転作のこと、それぞれの地域の特徴を活かして活躍する先進的な生産者と意見交換するのが最適のように思う。
【その他】
○10月18日(水)
【天気概況】
・寒冷前線が通過し、一時強風が吹く。日本海側を中心に天気はぐずつく。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「明日、最終の農協への米の出荷日です。みやこがねもちとコシヒカリを出荷します。コシヒカリは480kgくらいで予想より収穫量は少ないのですが、八月中に倒伏したのに穂発芽がなく、品質は大変よいと思います。明日、等級がつくのが楽しみです。モチは過燐酸石灰のおかげで倒伏せず、モチにしては品質がよく(私の地域では殆どが等外か三等)で収穫量も過去最大の520kgほどでした。ササニシキも私の地域では等外品が多いのですが、過燐酸石灰のおかげで倒伏せず、穂発芽が少なく、一等にはなりませんでしたが、品質はよかったです。また、米のつや、光り、形状、形質も検査員の方からも良いと評判です。冷害対策の過燐酸石灰、重カセキ、珪酸カリの追肥が、高温障害、穂発芽、倒伏にも効果があり、品質にも寄与しているようです。ただ収穫量が爆発的に伸びないのは腕のせいか、気候によるものかはこれからの米つくりで研究してみたく思います。1年にいっぺんしかできないものですからお米はむずかしいですね!それではまた今年の米作りについてメールしたいと思います。そちらの過燐酸石灰区の調査結果をお教えください。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(17日):日本列島東海上の海面水温が平年より著しく高い領域には大きな変化がみられない。ペルー沖の熱帯海域の海面水温にも大きな変化はみられない。
【研究活動】
・“寒だめし”について対談した白鳥さんと徳永さんの原稿を編集する。
・11月から3か月間当チームで研修する秋田県農業試験場関係者が研修内容の打ち合わせに来られる。
・活着期監視のための問題構造モデルを検討する。
【その他】
・朝日新聞東京社会部の記者から、水稲冷害研究チームの話を取材したいとの依頼のメールが届く。明日午後取材をしたいとの電話がある。
○10月19日(木)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、天気は回復する。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・“寒だめし”について対談した白鳥さんと徳永さんの原稿を編集する。シンポ当日は聞いていたのだが、進行などに気を使い印象が薄い。改めてじっくりと白鳥さんの人として、農に対する考えのすばらしさを感じる。菊という植物を栽培する人が、寒だめしという天候予測を通して、宇宙や太古の人々に想いをはせ、次のように語る。
「もう一度、地球の、あるいは宇宙の“おかげさまで”、今私たちの命があるよ、暮らしがあるよと認識してもいいのでは。みな様々な命の“おかげさまで”生かされています。そういうへりくだった、自然への畏敬の念をもちながら、お互いに生きていくことが一番大切ではないかという気がしています。」(農の心の一端が表現されている。)
・岩手県山王海ダム水系と佐比内ため池水系の水田水温と気温・日照時間の関係をまとめる。佐比内ため池水系の水田水温と気温との関係は他の流域とはやや異なるようだ。
・朝日新聞東京本社社会部の記者が新春特集号の取材に来る。取材の内容は、東北の冷害の実態、水稲冷害研究チーム発足の経緯、早期警戒システムの開発状況と今後、さらには稲作文化、農の心など広範囲に及び2時間半の要した。社会部の記者だけあって、広範囲な知識を持ち、取材というよりは2人で対談を行ったような気がする。
【その他】
○10月20日(金)
【天気概況】
・低気圧の影響で、天気は下り坂となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。後半の米の検査結果について調べるのが遅くなり申し訳ありませんでした。昨日調べた結果全量1等米でした。1昨年以来の1等米なので一応ほっとしました。まだ未調整の分が約4反歩分残っていますので全体の収量、品質は分かりませんがまなむすめ、直播きについてお知らせいます。まなむすめ(カントリー出荷):3L(1.95_)換算で9俵でした。直播き(ひとめぼれ、カントリー出荷)6.5俵でした。今後検討を要すると思います。16日から始まった麦蒔きも昨日で一切終わりました。これからは、遅れている苺ハウスほうに取りかかりたいとおもいます。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1ヶ月予報とその解説がメールで届く。
【研究活動】
・“たろし滝”をテーマにした板垣 寛さんと古澤典夫さんの対談原稿の編集を行う。平成5年たろし滝の豊凶占いの結果を川柳で表現した「たろし滝ないので知恵でカバーする」を基に、板垣さんは、「ひとめぼれ」やもち品種の作付面積を増やし、予想通り冷夏になったときには、深水管理と葉の色をみて追肥を控えるなどの基本技術を励行したことを“まことに単純なこと”と表現する。篤農家ならではの言葉のように感じる。そして、地域の収量が200kg弱であったのに、400kgを超える収量を得た。
・岩手県石淵ダム水系の水田水温と気温・日照時間の関係を整理する。
・島根県の中学校社会科先生から、27日に行われる県教育研究大会で生徒から直接電話で15分程度冷害のことなどについてインタービューしたいとのこと。喜んでお引き受けするが、どのような質問がでるか、ドキドキものである。その指導資料がファクシミリで届く。
【その他】
−−−−−−−−− 下旬 −−−−−−−−−
○10月21日(土)
【天気概況】
・低気圧が三陸東海上に通過し、天気は徐々に回復に向かう。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・“たろし滝”をテーマにした板垣 寛さんと古澤典夫さんの対談原稿の編集を行う。板垣さんも白鳥文雄さんと同じことを最後に次のように主張されている。
「宮沢賢治の農民芸術概論から“正しく強く生きることとは、銀河系を自分の心の中に意識してそれに応じてゆくことだ。”この言葉は私が大変好きなのです。まさしく“たろし滝”もそれなのだと思っていましてね。長い宇宙船地球号の中に住んでいる私の命などは水滴の一つにもおよびもつかないものなわけでございます。そういう自然の摂理に対する畏敬の念を持ちながら、先人の心を読みとりながら生きてゆきたいものだと思っております。」
・岩手県石淵ダム水系の水田水温と気温・日照時間の関係を整理する。
・活着の良否を左右する要因とその関連性を検討し、問題構造を分析する。
【その他】
○10月22日(日)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、晴れる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(20日):日本列島東海域の海面水温が平年より著しく高い領域はやや変化がみられる。またペルー沖の熱帯海域の海面水温は平年よりやや高くなり、その領域も徐々に西に広がりつつある。
【研究活動】
・公開シンポの対談「自然を読み、稲と語り、冷害を防ぐ技術のすべて」の小林福蔵さんと金沢俊光さんの対談内容の編集を行う。
【その他】
○10月23日(月)
【天気概況】
・西から気圧の谷が接近し、天気は下り坂に向かう。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・3ヶ月予報とその解説が仙台管区気象台から届く。
【研究活動】
・公開シンポの対談「自然を読み、稲と語り、冷害を防ぐ技術のすべて」の小林福蔵さんと金沢俊光さんの対談内容の編集を行う。
・岩手県石淵ダム水系の水田水温と気温・日照時間の関係をまとめる。遠野を除いて、今までの水田水温は同じような現象がみられる。
・宮城県栗駒ダム水系の水田水温と気温・日照時間の関係を検討する。
・活着期低温障害監視の問題構造モデルを検討する。新しい根による吸水と葉における蒸散の問題が一つのポイントとなる。
【その他】
○10月24日(火)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね良好な天気となり気温も上がる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・公開シンポの対談「自然を読み、稲と語り、冷害を防ぐ技術のすべて」の小林福蔵さんと金沢俊光さんの対談内容の編集を行う。小林さんの農業に対する次のような言葉がある。
「農業はやっぱりその地域、そして認識、哲学、信念とこの4つの組み合わせで社会に貢献するし、やはりその技術の面というのはただ机上計算でなく、あらゆるものを見て覚える哲学が非常に大事だ。そのことも常々田んぼを見回る段階でも、ああこの雑草は踏まれても踏まれても頑張っているんだなと。たくましい生命力だと。そういうことも感動しながら、常に周りを見る目を持って、寒い中でもじろじろ見ながら巡回しているのが常日頃なんです。」(聴きに来ていた家内は言葉がわからなくてと言っていたが、さすが地元の学生さんだけあって上手にテープ起こしをしてくれている。雰囲気を壊さないように、方言をどの程度とりこむか少々苦労する。)
・宮城県栗駒ダムと釜房ダム水系の水田水温と気温・日照時間の関係を整理する。
・農水省を退官され中国の技術協力を行っている先輩から、早期警戒システムの活動を以前にNHKの放映を見て、中国の水稲の生育特性についてアドバイスが欲しいと電話が入る。
・秋田県大曲市周辺で8月24日に実施した航空機多波長域走査センサのデータが入る。データは新しいセンサで取得したものであり、解析が楽しみである。
・公開シンポに話題提供者として参加いただいた岩手県石鳥谷町の板垣寛さんから電話がある。板垣さんが会長を務める稲の会が11月に青森県六戸町の小林福蔵さんを訪ねるとのこと。参加者に小林さんを道中紹介するために、シンポのパンフレットを送って欲しいとのこと。早々にお送りする。また11月下旬頃に賢治の会で、陸羽132号の試食会をするとのこと。是非とも参加いただきたいと。
【その他】
○10月25日(水)
【天気概況】
・西から前線が近づき、天気は崩れる。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから収量報告のメールが届く。
「昨日で最後の出荷が終わりようやく確定しました。直播き:はえぬき 540kg、移植:はえぬき 624kg、移植:ひとめぼれ 636kg。全部の平均で丁度600kgでした。すべて1等の格付けでした(ホッ。)。これも鳥越さん始め警戒システム関係者、更にモニターの皆様の惜しみない情報提供のお陰と感謝申し上げます。皆様も春からの忙しい日々でしたがお疲れ様でした。ところで籾摺りして感じたのですが、ひとめぼれは粒がころころして充実した感じで綺麗なのですが、はえぬきはそれに比べ厚みもなく小さい感じです。近所の人に聞いても同じ傾向にあるようです。坪刈りして行った試料を見て頂ければ分かると思うのですが如何でしょうか。またその原因はどの辺にあるのでしょうか。元肥や穂肥えに起因する事であれば来年に向け改善して行きたいので、お気付きの点などありましたらご教授ください。」(すばらしい成果に感激。粒の充実の件については品種特性や籾数など十分に検討してみたい。)
・山形県鶴岡市のモニターから直播きが残念という私のメールに返信が届く。
「早速の返信ありがとうございます。鳥越さんも相変わらず朝は早いですね。ところで直播きの件での自分なりの分析ですが、やはりはヒエ以外の雑草害と鳥害のために数回にわたり追い播きしたことにより、結果的に播種量が多すぎてしまい苗立ちの密度が高くなりすぎ、短い穂で終わってしまったような気がします。刈取り時には少し傾いたところもありましたから、穂肥の量や時期は適切だったと思います。しかし、追い播きで鳥害からリカバリーして、移植の1俵落ちで何とか収まったことで、指導機関では推奨できないかもしれませんが、追い播きもひとつの技術と言えるのかなと思います。今年は豊作年だったようなので直播きでのもう少し伸びて欲しかったのが本音ですが・・・。この楽しみは来年にとっておきます。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(24日):太平洋各地の海面水温に明らかな変化がいくつか現れてきた。もっとも大きな変化はアラスカの南海域は夏の間、海面水温が平年より著しく高かったが、今は高い領域の面積が少なくなり、平年より低い方向に動いている。また、日本東海域の海面水温が著しく高い領域もその面積が少しずつ少なくなってきている。ペルー沖の熱帯海域は平年より高くなり、その領域も西に広がる傾向がみられる。オホーツク海付近の海面水温も平年より低くなり始めている。
【研究活動】
・明日は、情報技術関連のプロジェクト課題化の事前打ち合わせがつくばの農業研究センターで開かれる。出席が要請されているため、その資料を作成する。明日は場の収穫感謝祭と家畜慰霊祭が行われる。豊作を仲間のみんなと感謝できないのが残念だ。
・公開シンポ:小林福蔵さんと金沢俊光さんの1回目の編集を終える。小林さんの次のような言葉が印象的だ。「昭和6年から平成5年の大冷害までの間に、冷害の記録は17回ある。平成5年はもちろん収穫皆無、それに近いのが昭和55年です。それをみても、冷害は忘れた頃にやってくるのじゃなくて、忘れないうちに冷害がやってきていると。こういう教訓というのはどこに過ちがあったか。どこがよかったかというのをもうちょっと検討してみると、そんなに大きな被害を被らないのではないかと。」
・秋田県抱返頭首工流域の水田水温と気温・日照時間の関係を検討する。
・活着期監視のポイントに関する問題構造モデルを検討する。勉強すればするほど、複雑な構造になる。
・島根県の中学校から27日に行われる教育研究大会授業の予行練習の電話が入る。生徒さんから簡単な質問をされると、時間も限られているので返事する範囲を即座に判断するのが非常に難しいことがわかる。この点はメールでの質問と同じだ。準備を万全にしておこう。まさか想定問答集ではないが。
【その他】
○10月26日(木) 収穫感謝祭と家畜慰霊祭、プロジェクト検討のためつくばへ
【天気概況】
・冬型の気圧配置となり、日本海側では天気がぐずつく。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・情報関連プロジェクト課題化の会議のためにつくばの農業研究センターに行く。
・神田君に収穫感謝祭と家畜慰霊祭の写真をお願いする。夜はさぞ賑やかであったのだろう。
【その他】
・総アクセスが64,000件を超す。
○10月27日(金) 島根県の中学生と電話で話し合う
【天気概況】
・弱い冬型の気圧配置となるが、概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。
【研究活動】
・島根県教育研究大会で中学校2年生の生徒の方々と電話で話をする。「平成5年の冷害のこと、また私の体験」「農家の稲作への取り組み」「品種改良のこと」「いもち病のこと」「ササニシキが減ってきた理由」などについて説明する。最後に生徒のみなさんに次のようなメッセイジを託した。
「農業、農作業などは“きつい”“きたない”など外見から判断して言われることがあります。しかし、思い起こしてください。日本の長い歴史の中で稲作を中心とした農業が私たちの文化と国民性を培ってきたのです。そのことは身の回りをみればよく理解できると思います。今、米が余り、やもえなく生産調整を行っています。これは一時的であって欲しいと思います。もし、日本から稲作、さらには農業が衰退していき、多くの食糧を外国から輸入することになると、将来の日本の文化的な発展、いいかえれば心の豊かさに大きく影響するのです。稲作、農業、そしてその心はとても貴いものなのです。このことは一般によく認識されていません。みなさんのご両親も農業をやっておられる方が多いと思います。そのような方々は、経済活動とはいえ、とても貴いことをなさっているのです。そのことを忘れないで欲しいのです。これは、東北の農家の想いを私が代弁するものです。よろしくお願いいたします。」(昼休み、先生からお礼の電話が入る。私の思いは生徒につながったとのこと。)
・昨日の会議の報告書を作り、参画県・大学などに現状をお知らせする準備を行う。
・活着期における冷温・低日照・冷強風被害の問題構造モデルがほぼ完成する。
【その他】
○10月28日(土)
【天気概況】
・高気圧に覆われ、概ね良好な天気。西から前線が通過する予想で、天気は下り坂に向かう。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・ 四国高松市の中学校社会科の先生から、次のような質問がメールで届く。
「冷害の危険性がある東北では,農家の皆さんは,冷害に備えて耐冷性に強い品種を作付けるのか,それとも耐冷性は弱いが価格の高い品種を作付けするのかどちらにするのですか。中学校の社会科で使いたいのですが・・いかがなものでしょうか。」(多様な答え方ができるので、明日まで時間を頂き、少し考えることにする。中学校社会科の教科書の内容を知らないが、東北の稲作が紹介されているのだろう。以前に山形県庄内地方の稲作が取り上げられていて、庄内みどり農協に問い合わせが多いと聞いたことがある。また経営形態の異なる個々の事例として、モニターの方々に聞いてみることにする。)
【その他】
○10月29日(日)
【天気概況】
・低気圧が接近し、天気は崩れる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターから耐冷性品種選択に関するコメントが届く。
「現在の米あまりの中では、量より質が大切になってきています。質の中でも、健康に良いも体に良いものを消費者は求めております。現在コメは日本の食料ではなく、趣向品に近づいてきている様にも思います。当地でイネを栽培する時、冷害とそれに伴う病気の問題は避けて通れませんが、質の良いイネは病気や冷害に特に弱いようです。総合的な技術力で克服し、趣向品としてのコメを栽培したいと思います。近い将来、食料としてのお米の栽培が求められれば大いに増産体制に入れるような体制は維持していきます。それにつけても、再生産できるだけの価格を望みます。減反三割、価格で二割、合わせて5割の粗収入の低下です。生産原価は高昇していますので近い将来、離農や就労者不足の為、食料としてのコメつくりがおぼつかなくなるかもしれません。ついでで恐縮ですが、図書館で明治38年宮城県恐慌史という本を見かけました。平成五年よりもひどい気象条件だったようです。そこで質問ですが、当時の品種選択としてノギの長いものは障害型冷害に強いとの記述がありとても興味を引かれました。ノギの長い品種は風の害を少なくし、コメに心白が入りやすく、スズメの害も少ないので、機械作業となった現在では栽培するのに興
味を持ちます。冷害と品種固有の特徴であるノギの有無による相関についてお知らせ下さい。」
・山形県鶴岡市のモニターから耐冷性品種の選択に関するコメントが届く。
「平成5年の冷害により庄内地方でも収量が大きく落ち込む被害がありました。この事をきっかけにそれまで耐冷性は弱いが価格の比較的良い「ササニシキ」を多く作付けていましたが、冷害にも強く食味も素晴らしい「はえぬき」「どまんなか」に切り替わって行きました。庄内地方は昔からの米どころで、現在でも米を中心に農業を営んでいる人たちが多くがんばっています。私たちが作付け品種を決めるときにまず考えるのが、その年の天候に左右されず、安定して高品質で美味しいお米を出荷できることが、結果的に価格に維持につながると考えるからです。その為に以前は「ササニシキ」100%でしたが、現在は「はえぬき」「ひとめぼれ」「コシヒカリ」「ササニシキ」など複数の品種を作付けています。私の場合今年約10ha作付けましたが、1/3を「はえぬき」、1/3を「ひとめぼれ」、残りの1/3を「はえぬき」直播き栽培というように組み合わせ、冷害の危険回避とコスト削減の両方を目指しました。幸い今年は、天気にも恵まれ美味しいお米が採れました。皆さんも是非食べてみてください。」
・宮城県岩出山町のモニターから耐冷性品種の選択に関するコメントが届く。
「現在、秋田打をしながら、秋物パンジーの出荷をしています。凍り豆腐は11月中旬より操業しようと考えています。 御陰様で、採種ひとめぼれは高品質で種子に合格し、ひとめぼれ、まなむすめ、こしひかりは全出荷量一等米、ササニシキ、みやこがねモチは穂発芽があり、2,3等になりました。私の管内では穂発芽で等外品が多くて大変でした。質問の件ですが、以前は宮城県の主力品種であったササニシキが作付け面積の大半を占めていた頃(10年前)にはササニシキは耐冷性が低いために冷害対策として他の品種を2割から3割を作付けしていました(サトホナミ、チヨホナミなど)。この品種は早生で食味や値段もササニシキと比べ、良くないが収穫量が多く、冷害にも強いことから所得確保の安全対策として作付けされていました。現在は冷害にとても強くて良食味であるひとめぼれの登場により、ひとめぼれの作付けが多くなってきています。ササニシキはコシヒカリと並ぶ良食味の品種ですが、冷害に弱く、品質も天候によって大きく変わり(昨年、今年は穂発芽)で、農家にとってはむずかしい品種の一つです。私の家では、10haの作付けで、ひとめぼれ50%、まなむすめ15%、ササニシキ15%、コシヒカリ10%、みやこがねもち10%の割合になっています。農家は所得が上がり、収穫量、冷害にも強く、育てやすい品種で、かつ消費者にも喜ばれる品種を選ぶ傾向にあります。宮城県ではこれからもひとめぼれが主流になるのではないでしょうか。ササニシキは昨年、今年と高温傾向にある天候では大変作りにくくなっています。私は、ササニシキはコシヒカリよりおいしいと思います。最近は冷害対策より、高い品質対策(値段が高い)のほうが重要視されていると思います。先日,NHKのプロジェクトXという番組でコシヒカリのことをやっていました。私もコシヒカリを作付けして3年目ですが、倒れても実るというのはすごいことだと思います。来年は肥料のやり方を工夫してみたいと思います。」
・宮城県松山町のモニターから耐冷性品種の選択に関するメールが届く。
「私の場合は耐冷性に強い品種を作付けします。耐冷性に強い品種をひとめぼれ、耐冷性に弱い品種をササニシキと言うことを前提にします。理由は次の通りです。(1)平成5年の大冷害で品種間の収穫量に大きな差異が生じました。それは技術や努力の域を超えてること。そのときの収量は、ササニシキが1〜1.5俵、ひとめぼれが6〜7俵でした。(2)経営的に収量が安定していること。平成5年以来冷害は起きていませんが、もし耐冷性に弱い品種を作付けし、冷害にあった場合のことを考えると経営の見通しがたたなくなります。(3)冷害回避に要する手間、コストが比較的少なくてすむこと。昨年と今年の夏は猛暑でしたが幼穂形成期と減数分裂期の危険期には心配します。その時期には一斉に水を必要としますので完全に冷害を回避するとなれば多くの労力を要します。また労力を投入したとしても策を講じられない場合もあります。その点、耐冷性に強い品種であれば手が回らなかった場合でも大幅な減収は避けられます。(4)今、米余りで米価が低迷しています。同時に減反も大幅に増えてきていて経営も多角化しています。その様な中で労力を効率よく配分していかなければなりません。多少価格の安い品種でも全体の経営から見て安定しているのであれば耐冷性に強い品種にウエイトをおくのは以上の様な理由からです。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(28日):日本列島東海域の海面水温が著しく高い領域の面積は徐々に小さくなる。南米沖の赤道海域の海面水温は平年より高くなる傾向が見られる。
【研究活動】
・香川県高松市の中学校社会科の先生への回答を作成し、メールアドレスがないので意見交換の広場でお答えする。
【その他】
○10月30日(月)
【天気概況】
・低気圧は東に去り、天気は回復に向かう。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからすばらしい成果が届く。
「出荷の方は全て済みました、全量1等米でした。今年は好天に恵まれ、特に登熟率が高かったのが良かったと思われます。地道な土づくりが、生育後半の根に生きてきていると自負しています。10a当たり実量(LL選別)は、あきたこまち633kg、はえぬき655kg、スノーパール620kg、ヒメノモチ612kgでした。ヒメノモチに関しては、初めて600kgオーバーの収量でした。餅にしても、コシがあり舌触り等最高の品質のようです。全ての品種が、収量だけでなく品質的にも最高級の出来で満足しています。現在は、飼料用稲ワラの回収も終え、土作りの為に完熟堆肥を散布しています。品種選択の件ですが、私の場合、刈り取り適期と冷害等の分散のために4品種の作付けになっていますが、現状(他の近圃場)では、高価格品種(単品種化)の作付け傾向が高いと思われます。これは、米価の低迷と作業効率向上によるところが大きいのではないでしょうか?リスクを背負うのが判っていても、減反増大であえて選択している農家の苦悩があります。ですから、”水稲冷害研究チーム”の情報が必要なのです。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・高松市の中学校社会科の先生から、意見交換の広場にメールが届く。
「早速の回答,本当にありがとうございます。冷害の被害ということで,2年生で「やませ」を学習するのですが,宮沢賢治の「寒さの夏はオロオロ歩く」というのをつかおうと思います。そこで実際の東北地方の農家の皆さんが作付期にどのように選択をするのか、生徒と共に考えてみたいと思っています。農家の努力と工夫を生徒に理解させたいと思っております。いろいろなケースがあると思われますが,できたら大規模経営で専業農家がいいのです。(生徒が理解しやすいため)選択する年度は,1985年,1993年,1994年,2000年を考えております。「むつほまれ」と「アキヒカリ」で選択させようと思っておりますが,もっといい選択品種(価格が高い品種などで)があればお教えください。」(意見交換の広場でお答えする。)
・一般の方から次のような問い合わせがメールで届く。
「私は山形県在住のものです。先の冷害時のことについて教えていただきたく、メールを送らせていただきます。1993年(平成5年)の大冷害の時、多くの農家の方々が冷害で悲惨な状況にある中で、ある農家の方が元気に稲を育てているのが当時のTVニュースで盛んに流されました。その方は「水を入れるように」という農協の指示とは反対に田んぼに水を入れず、“水が無ければ根を下に下に伸ばして水を探そう”という稲が本来持っている本能、生命力を引き出そうとした。・・・私の記憶では確かそのようなニュース内容だったと思います。このことに就いての新聞記事を図書館で探しているのですが、未だ見つけられません。貴研究チームにてその農家のことに就いて何かお分かりでしたらお教え下さい。私は農家ではなく英語教員ですが、教育にも通じる興味深いお話と思い、以前から興味を持っていたことなので是非、お力添えをお願いします。」(調べてみたいので少し時間を頂くことにする。モニターの方々にも教えて頂くことにする。)
・秋田県抱返頭首工と皆瀬頭首工流域の水田水温と気温・日照時間との関係をまとめる。
・公開シンポの私とモニター・仙台管区気象台の対談の編集に取りかかる。
【その他】
○10月31日(火)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、天気は良好。今朝、今年初めて車のフロントガラスに付いた霜を削り落とす。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「ご無沙汰しています。さっそくですが、福坊主の件、メールありがとうございます。さて、質問の件ですが、単刀直入に申しまして、家では、価格の高い品種の作付けを優先に考えています。さらに、作業効率を考えて早生から晩生まで植付けをしています。冷害対策としては、やっぱり 深水かな・・・。明日たまねぎの定植予定でいます。」
・宮城県松山町の別のモニターからもメールが届く。
「質問の答えになるかどうか分かりませんが、我が家では現在八つの品種を作付けしています。酒造好適米として3品種(これはすべて酒造メーカとの契約です)とうるち米が3品種、そして餅が2品種です。そういうことで冷害に備えてということでの品種選定はしておりません。やはり価格の高い品種、と言うよりは販売に有利な品種の作付けがほとんどです。しかし冷害(というよりは異常気象)に備えた技術として(まだ確証はもてませんが)直播栽培をしています。直播栽培は低コスト稲作として注目されていますが、私はそれだけではなく異常気象に負けない技術だと思います。また良食味米を作る技術だとも私は思っています。」
・宮城県岩出山町のモニターから節水管理に関する質問に対する回答が届く。
「私の地域にも水張らず作付けしている方がいますが、平成5年の時は冷害にあったような記憶があります。私のところにも朝日新聞が取材に来ました。新聞だとデータが残っているので調べ易いのですが、テレビは見た記憶もないし、かなり以前の話なので記憶もありません。お力になれなくて残念です。平成5年は確かに水温より気温が高かった気がします。そんな時は効果があると思います。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・早期警戒システムの開発計画をデータ配信先と協議する。次年度に向けて、可能な範囲で自動化を試みることにする。
・明日から秋田県農業試験場の研究員の方が3か月の研修に来られるので、部屋の整理を行う。
【その他】
torigoe@tnaes.affrc.go.jp