水稲冷害研究チーム
2000年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
12月
−−−−−−−−− 上旬 −−−−−−−−−
○12月1日(金)
【天気概況】
・高気圧に覆われ、概ね晴れの良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・岩手県石鳥谷賢治の会の講演「賢治が陸羽132号を奨めた時代背景−その今日的意味−」の準備を行う。岩手県にゆかりのある宮澤賢治と新渡戸稲造を中心に、当時の農学と気象関係者の冷害克服への努力を紹介してみたい。陸羽132号の試食会も行われる予定。明日が楽しみである。
【その他】
○12月2日(土) 石鳥谷賢治の会
【天気概況】
・移動性高気圧に広く覆われ、晴れの良い天気となる。気温もやや上がる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説と11月の天候がメールで届く。11月の特徴は、月平均気温は「平年並」(2000年5月から続いた月平均気温が「高い」状態は終了)、ということ。
【研究活動】
・岩手県石鳥谷賢治の会に参加する。参加者は様々な分野の大学の先生、賢治の研究家、町役場や県の関係者、生産者など広範な分野の方々が県の内外から約70人集まる。また宮城県石巻市のモニターも遠路駆けつけてくれた。私の講演の後、「あきたこまち」を基準品種として、「ひとめぼれ」「ササニシキ」「陸羽132号」を当てる食味検定会が開かれる。63名の参加があり、7名の方がこれら3品種を見事に当てる。私、神田君と石巻市のモニターは惨敗する。陸羽132号は、当時東北が良食味米の生産地であることを知らしめた先導的な品種であったゆえ、食味は良好であった。楽しい一時を過ごすことができた。
【その他】
○12月3日(日)
【天気概況】
・寒冷前線が通過し、天気はくずれる。日本海側北部は雪になる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(2日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海の海面水温は平年よりかなり高い状態が続く。熱帯赤道海域の海面水温には大きな変化はみられない。
【研究活動】
・大柿ダム水系の水田水温と気温・日照時間との関係をホームページ掲載情報にまとめる。
・早期警戒システムの発展方向を検討する。
【その他】
○12月4日(月)
【天気概況】
・冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に天気はぐずつく。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から「2000年秋(9〜11月)の東北地方の天候(速報)」がメールで届く。特徴は@高温(9、10月は高温、11月は平年並)、A9月は厳しい残暑である。
【研究活動】
・情報技術プロジェクト課題化について、研究の視点、開発目的、個別課題の連携と内容などを検討する。
・早期警戒システムの発展方向を検討する。
・岩手県石鳥谷賢治の会会長の板垣さんから、お礼の電話がある。講演内容に若い人たちが興味をもったので、発表資料を6部送って欲しいとのこと。
【その他】
○12月5日(火) 日中雪となり積雪が10センチを超す
【天気概況】
・寒冷前線が通過し、日本海側を中心に天気はぐずつく。気温は平年より1〜2度程度低くなる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・アメダス気温実況の区分を冬用に変更する。
【研究活動】
・東北農政局で7日に開催される『平成12年度東北地域水稲安定生産推進連絡協議会』において報告する予定の「水稲冷害早期警戒システムの今年度の活動と次年度以降の運営について」の資料を作成する。
・航空機MSSデータの一次解析を行う。水田地帯の熟期の違いがきれいに浮き上がる。
【その他】
○12月6日(水)
【天気概況】
・強い冬型となり、日本海側を中心に雪となり、風も強い。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(6日):太平洋中緯度海域の海面水温は平年より著しく低い状態が続く。日本近海の海面水温は平年よりかなり高い状態が続く。熱帯赤道海域の海面水温は大きな変化がみられない。
【研究活動】
・公開シンポ:たろし滝の板垣さんと古澤さんの対談について第2回目の編集を終える。板垣さんによると、宮澤賢治の農民芸術概論の一節に、「正しく強く生きることは銀河系を自分の心の中に意識して、それに応じてゆくことだ。」対談の最後の方に、お二人が今年の作柄を予想している。板垣さんは計測日には“たろし滝”が崩落していたが、3月に入って成長し4.6メートルとなったので、よくなるのかな。古澤さんは「マタタビの葉が白いと農作」という諺を出して、今のところ(6月下旬)は平年より増して白くなっているから、今の推移は良好と。
・早期警戒情報の気温経過から午前9時の水田水温の予測手法とその精度を検討する。予想通りの結果となる。
【その他】
○12月7日(木) 東北地域水稲安定生産推進連絡協議会
【天気概況】
・冬型の気圧配置が残り、日本海側を中心に天気がぐずつく。強い寒気は東に去り、天気は徐々に回復に向かう。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・公開シンポ:小林福蔵さんと金澤俊光さんの対談第2回目の編集に入る。話を向けられると、とうとうと話す小林さんの姿と話を進めたい金澤さんの姿など、当日の情景がよみがえる。私もそうであったが、決められた時間内に話題を引き出す対談者の苦労が良く分かる。
・東北農政局において平成12年度東北地域の「稲作検討会」「直播推進会議」「水稲安定生産推進連絡協議会」が開かれる。早期警戒システムの活動と次年度以降の運営について報告する。
【その他】
○12月8日(金) 東北地域稲作構造確立検討会
【天気概況】
・高気圧の覆われ、概ね良好な天気となる。寒さも和らぐ。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。
【研究活動】
・東北農政局で東北地域稲作構造確立検討会が設置され、水田農業の確立に向けた稲作の取り組みの推進について協議される。これでやっと今年の稲作が終わったという印象を受ける。これからは研究の成果の取りまとめと評価会議が続くことになる。
・意見交換の広場にまたまた難しい質問が届く。
「米の種類によるとくちょうをおしえて!」(短い質問ほど難題である。明日にでもお答えしたい。)
【その他】
○12月9日(土)
【天気概況】
・上空の寒気の影響で、日本海側を中心に天気がぐずつく。
【モニターネットワーク】
・「米の種類によるとくちょうをおしえて!」について次のように回答する。
「質問ありがとうございます。「米の種類による特徴」ということですが、一般的に最も特徴として区分されるのは、“うるち米”と“もち米”だと思います。両者は米に含まれるでんぷんを構成するアミロースとアミロペクチンの含まれる量で区別されます。うるち米は普通にご飯として食べているものです。これはアミロースが15〜30%、アミロペクチンが70〜85%含まれています。一方、もち米は粒の形は変わらなくて、色も収穫直後はうるち米と区別がつかないのですが、乾燥すると粒が乳白色に変化します。もち米のでんぷんはほぼ100%アミロペクチンからなっています。うるち米はご飯で食べるほか、加工されていろいろな食品に利用されています。たとえば、おすし類、お菓子、ビーフン、みそなどです。もち米はご存じのように団子やおもち、和菓子などに利用されています。もう一つ特徴的な種類は、お酒をつくるのに向いたものがあります。これもうるち米に入り、普通のうるち米の粒は透き通っていますが、中心付近に丸く白くにごった部分ができるものです。これを心白(しんぱく)といいます。心白粒は水を吸うときにきれつができ、こうじ菌の活動などによいのでお酒をつくる品種の重要な特徴となっています。視点を変えて、世界をみると、“日本型米”と“インド型米”とに分類されることがあります。日本型は食べているので分かるでしょうが、やや丸い形をしています。インド型は細長い粒が特徴です。インド型のご飯は粘りが少なく、ポロポロした感じがあります。以上お答えしましたが、ご希望の質問の内容と違うときは、メールを下さい。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・水田水温と気温との関係を解析し、早期警戒における水温推定手順を作成する。
【その他】
○12月10日(日)
【天気概況】
・低気圧が通過し、天気はぐずつく。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(9日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本列島近海の海面水温は徐々に平年並みに。熱帯赤道付近の海面水温は大きな変化がみられない。
【研究活動】
【その他】
−−−−−−−−− 中旬 −−−−−−−−−
○12月11日(月) 総合研究部忘年会
【天気概況】
・冬型の気圧配置が強まり、日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県河南町のモニターからメールが届く。
「今年からモニターとして参加させて頂いた訳ですが見るのも聞くのも皆新鮮で受身の状態が続き情報、技術を提供するまではいきませんでした。貴情報ネットワークについては各地域の気象情報、生育状況予測と参考にさせて頂いております。特に各モニターの施肥、直播き技術には目を見張るものがあります。気象情報、モニターからのいろんな情報がまとめられた編集長日誌には農業をする前向きな姿が一般の方方にも分かって貰える気がします。早期警戒システムについては東北地方における気象情報を広範囲に提供して頂きありがとうございます。長老に聞くところには巳年は豊作の年が少ない(凶作)ということで今後いろんな情報が欲しいと思います。来年の作付け品種は冷害対策として考えたいと思います。米価低迷のなかでも各モニターからの情報交換が私の一番の糧です。これからもいろんな情報提供よろしくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・公開シンポ:小林福蔵さんと金澤俊光さんの対談第2回目の編集を終える。結論は“冷害に強い稲作は根づくりだ”にある。
・アメダス監視地点別の冷害回避の基本技術を検討する。
【その他】
○12月12日(火)
【天気概況】
・強い冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・公開シンポ:私とモニター・仙台管区気象台の対談第2回目の編集に入る。
・アメダス監視地点別の冷害回避の基本技術を整理する。
【その他】
・アクセス総数が6,7000件を超す。
○12月13日(水) NHK取材
【天気概況】
・冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
・一般の企業の関係者から、水稲の燐酸肥料に関する問い合わせがある。かなり専門的な質問のため、関係する文献をお送りすることにする。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(12日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続き、その海域は北海道東まで南下する。日本列島近海の海面水温は平年よりかなり高い状態が続く。熱帯赤道域の海面水温には大きな変化は見られない。
【研究活動】
・公開シンポ:私とモニター・仙台管区気象台の対談第2回目の編集を終える。
・アメダス監視地点別の冷害回避の基本技術を整理する。
・NHK盛岡が夏の航空機実験で得た多波長域走査データの解析の経過を取材にくる。まだ予備的段階だが、早く放送したいとのことなので取材に応じる。過去の解析結果なども紹介する。
【その他】
○12月14日(木) 岩手県農業気象協議会
【天気概況】
・高気圧に覆われるが、天気はぐずつく。気温はやや高くなる。
【モニターネットワーク】
・山形県置賜農業改良普及センターホームページが開設され、リンク依頼がメールで届く。相互リンクにさせていただくことにする。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・公開シンポ:総合討論の第2回目の編集に入る。
・冷害危険度地帯別の冷害回避基本技術を検討する。また新しい視点が入り、興味深いものである。
・岩手県農業気象協議会例会に参加する。作柄が106、1等米比率が全国第2位という成果を得て、今年度の稲作の反省が行われる。この成果を維持することの大変さ、またこれにおごることなく次年度に向けて気を引き締めることが重要と結論された。
【その他】
○12月15日(金)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われるが、天気は比較的良好となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・1か月予報の解説が仙台管区気象台からメールで届く。冬型の気圧配置は長続きしないとのこと。
【研究活動】
・公開シンポ:総合討論と閉会挨拶の第2回目の編集を終える。総合討論の結論は、早期警戒システムの中にも少し遊びの部分(科学的に証明できないもの)も掲載して良いのではないかとの強い要望である。すなわち、篤農技術、人それぞれの“農の心”などを積極的に紹介するのも一つかもしれない。今までは夢中になって早期警戒システムを開発してきたが、本年度でプロジェクトが終わる。次年度以降は少し余裕をもって研究もできるし、またこの遊びの面も加えて行きたいと思う。さらには、今までモニターの方々と進めてきた研究の成果も加えたく思う。かなり読みやすくなったのでやっと、参加関係者に最終の校閲を頂ける準備が整う。第1回目の編集を終えたときも思ったが、やはり第2回目のシンポジウムを企画したい。
・冷害危険度地帯別基本技術など整理する。
・秋田県関係者が佐藤さんの研修の状況を視察に来る。
・午後から大掃除、平成8年からのゴミを整理する。
【その他】
○12月16日(土)
【天気概況】
・寒冷前線が通過するため、各地で雨となり、その後換気が入り雪となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・本省関係者から予算の内示が近づき、来週初めには待機するように指示がある。
・『農業本論』の崎浦氏の解題を再読する。
【その他】
○12月17日(日)
【天気概況】
・冬型の気圧配置は緩み、天気は回復に向かう。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「正月の需要にむけ、凍り豆腐を製造しています。昨日、NHKの6時のニュースで、イモチのリモートセンシングを鳥越さんとチームのみなさんが映っていました。以前、無人ヘリのリモートセンシングの実演を見ましたが、航空機をつかったものははじめてみました。米国では人工衛星を使ったものがありますが、日本でも当たり前の技術となってIT化して、防除の効率化などが行えるものと思います。農家がデータ化された図面を携帯端末で受け取り、無人ヘリで効率よくいもちなどの防除を行ったり、追肥をしたり、夢のような環境農業に寄与できることと思います。また研究チーム継続おめでとうございます。また私たちが協力できることもうれしく思います。厳しい稲作農業環境ではありますが、皆様の知恵をお借りして、新千年紀の最初の稲作もガンバリたいと思います。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(16日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海の海面水温は平年より高い。熱帯赤道域の海面水温には大きな変化は見られない。
【研究活動】
・品種、苗質、作期、気象条件などからみた新しい地帯区分を検討する。
【その他】
○12月18日(月) 平成12年度東北地域総合研究推進委員会
【天気概況】
・日本海側は天気がぐずつくが、太平洋側は概ね晴れの天気となる。
【モニターネットワーク】
・近畿大学の方から次のような質問のメールが意見交換の広場に届く。
「始めまして。近畿大学の楠林 吾郎と申します。12月1日に鳥取で関西土壌肥料協議会講演会がありました。そこで、鳥取大学農学部の松原茂昌先生発表されて、そこでこのページを紹介されていましたのでちらっと覗いて見ました。そこで、早速聞きたいことがあります。冷害とあんまり関係ないんですが、松原先生が小林福蔵さんって方について話していました。その話しをもう少しききたかったんです。特に他の農家とどのような農作業の違いがあるのか知りませんか?知っていましたら、教えて下さい。お願いします。」
・次のように回答する。
「メールありがとうございます。小林福蔵さんは青森県六戸町にお住まいで、品種「むつほまれ」を主に作付け(現在は「つがるロマン」)、収量は平年作660kg、平成5年の大冷害時には周辺が皆無のなかで500kgをとった方です。彼の技術解説は農文協編集(1994)「冷害に勝つイネづくり」p.17-47.にあります。その解説を私なりに次の視点で解析してみました。解析の視点:土壌管理、苗質、施肥、水管理がイネの生育、収量成立ならびに冷害回避機構を明らかにし、個別技術効果の科学的根拠と技術相互の関係の有効性を摘出する。解析の結果は次の通りです。農学がご専門と思いますので、専門的な記述とさせて頂きます。
1)土壌管理:完熟堆きゅう肥(1.2トン)とヨウリン(40kg)施用ならびに深耕により、土壌微生物の生物的効果である乾土効果、無機態窒素供給能の増強と団粒構造の発達ならびに作土層の物理的拡大を付与する。これを基礎に、基肥窒素施用量の減量(3kg)を可能とし、さらに代かきでは土壌上層を細かく、下層を粗くして透水性を高める。
2)苗質:中苗から成苗(不完全葉を含む葉齢4.5〜5.0)を1株3〜4本(坪75〜80株)で移植。有効穂の構成は最終葉数14と仮定すると、主稈、一次分げつ:T3-7、二次分げつ:T31,T32,T41の9本が対象となる。これらから1個体当たり6本の有効穂を得て、株当たり20本の有効穂とする。
3)根と地上部の生育:同伸葉・同伸分げつ関係、出葉と発根の規則性、葉位とその冠根の伸長方向の特徴などを考慮すると、技術効果を次のように理解できる。土壌中層と斜下層に主として伸長する葉群の割合は18%を占め、土壌と施肥管理は作土層全体にかつ下層への根群形成を促進する(主として生育初期に伸長するもの)。土壌直下層に主として伸長する葉群は全体の29%を占め、土壌と施肥管理に加えて穂首分化期から幼穂形成期までの軽度な中干しにより、直下層への根群形成を促進する(生育中期に伸長するもの)。うわ根を形成する葉群は53%を占め、穂首分化期の緩効性窒素(60日)と地力窒素の発現によりうわ根の形成が促進される(生育後期に伸長するもの)。このような根の発育に重点を置いた管理により、穂首分化期における地上部の生育は小型で葉色が淡く、植物体のC/N比が高いなどの特徴を示す。
4)平成5年の冷害時管理:追肥窒素量の抑制、前歴深水(10cm)と危険期深水(20cm)管理と入念な水温管理を実施した。幼穂形成期から深水管理を継続したため、うわ根の形成が抑制され、直下層の根群が相対的に機能の中心となる(土壌断面の観察も同じ)。低温の影響は水温・地温を通して、うわ根による吸水速度と蒸散作用に現れると同氏は主張する。それに対して、直下層の根群に形成することによって、低温の影響を大きく軽減できる基本であり、その上で深水管理の効果が引き出せるものと考える。
以上のように、本技術体系を構成する個々の技術は一般的に冷害回避の基本技術として認識されるものであるが、その技術相互の関係が総合的にかつ有効に発揮されているものと推定される。
さらには、小林さんの特徴としては、稲の生育を人の成長とみなし、常に稲と語りながら適期に適切な管理を施すことです。低温時は自分の体が温度計となり、また素足で水田に入り、水や土の温もりを肌で感じ取り根の生長の様子を把握するような努力をされています。人柄はホームページの表紙にある公開シンポのパンフレットを参照して下さい。さらに詳しく知りたい場合は、私宛のメールでご住所をお知らせ下さい。」
・宮城県松山町のモニターからいつも昼食を摂る店で都合のつくもので待っているとのメールが届く。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・モニターネットワークに関する到達点をモニターの方々の意見を基に再度検討する。
・明日は久しぶりに、宮城県石巻市、松山町、岩出山町のモニターを盛岡近郊産のリンゴをもって訪問する予定。楽しみである。
・平成12年度東北地域総合研究推進委員会が午後開催される。東北農政局、管内6県の行政と試験研究関係者が集まり、総合研究チームの研究進捗状況や今後の研究課題に関する協議が行われる。
【その他】
○12月19日(火) 宮城県石巻市・松山町・岩出山町のモニター訪問
【天気概況】
・低気圧が通過するため、北部を中心に天気は荒れる。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町の友人からメールが届く。
「来年度も形を変えて「水稲冷害研究チーム」の活動が継続出来そうとのこと、おめでとうございます。我々農家にとっては大変にうれしいことですが、鳥越さんにとってはシステムの管理(および閲覧者・マスコミ関係への対応)、研究活動、および組織の管理職としての雑用(本来はこれが主な業務でしょうか?)に割く時間の配分に頭を悩ます日々が続くことになるのではないでしょうか。今年は鳥越さんとチームの皆さんにはすっかりお世話になりました。お陰さまで、稲に対する認識が一歩深まったように思っております。この年末年始は、なぜ自分が稲作りに惹かれるのかをゆっくり考えて見ようと思っています(生まれた時からずっと稲に接して来たためか、土/稲藁/籾/玄米/白米の感触と匂いを毎年確認しないと落ち着かないのです。これもあわれな刷り込み現象の一種でしょうか。)。寒さが厳しい季節となりましたが、健康に注意してご活躍下さい。」
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「今年度は3月に皆さんにお会いできる機会を設けて頂けるそうですがとても楽しみにしています。来年度は早期警戒システムも更に発展できる体制になるようでますます期待が膨らみます。」
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「初冬は、一気に雪が降りまして大雪かと心配していましたが、最近は落ち着いてきまして、雨も手伝い随分雪も少なくなっています。昨日、来年の施肥設計のために、やっと乾燥した圃場毎の土壌を町の産業振興センターに分析依頼してきました。21世紀に向けた稲作が、少しづつですがスタートしました。依然厳しい農業情勢ですが、”安全で美味しいお米”を生産する事が使命と感じております。今年1年、本当に有り難うございました。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・宮城県石巻市・松山町・岩出山町のモニターを訪問し、本年の稲作、転作、経営、将来の農業展開などについて話し合う。数カ月ぶりの再会なので、話は止まらない。楽しい一日であった。
【その他】
○12月20日(水)
【天気概況】
・低気圧が接近し、天気は下り坂に向かう。天気は短い周期で変化する。気温は平年よりやや高くなる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからご自身の稲作、農業への取り組みについて手紙を頂く。
「私が農業に取り組んで30年、冷害や水害など6回ほど体験しました。特に平成5年の冷害が一番記憶に残っています。対策としては幼穂期の深水管理、出穂期を遅らせる栽培方法などを行ってきましたが、その後は低温による被害が少なく今日に至っています。稲作の基本は健康な苗を作ること、同時に根の発育も収量を左右する重要なことと思っています。いろいろな栽培方法がありますが、基本を守ることが一番大切なことと思っています。また当地区は圃場整備も終わり、2年3作の水稲−麦−大豆を取り入れたブロックローテイションになっており、転作後の水稲肥培管理が大変です。転作後の水稲の倒伏が問題となっています。私は元肥なしの指導を受けていますが、今年は窒素成分で3kg入れましたが、倒伏もせず収量も上がりました。今後の栽培に当たり自信がもてるようになってきました。今後とも宜しくお願いいたします。」
・宮城県亘理町の友人から手紙が届く。
「朝晩めっきりと寒くなり、当地でも雪が舞うようになりました。時々、ホームページでご活躍の様子を拝見させて頂いております。最近、片倉権次郎氏の「誰でもできる五石どり、−片倉式イナ作のすべて」を読みました。昭和39年の発行ですから、今から36年前の古い本です。片倉氏は山形県の方ですが、これまでに名前を聞いたことはありますが、著書を読むのは初めてです。(小生の父親の書籍の中に入っていたのを偶然に見つけたものです。)要約すると、元肥を少なくして出穂30日前までは過剰な生育を抑制し、出穂20日前からは登熟歩合を高めることを目指して積極的な追肥と飽水管理を行う稲作技術体系(=秋落ちしない後期重点型稲作)となるようです。一瞬、現在の稲作関係書籍を読んでいるような錯覚にとらわれました。昭和39年といえば、全国の稲作関係者が米の増産に真剣に取り組んでいた頃であり、水稲の増収技術がひとつの頂点に達した頃でもあるのでしょうか。現在でも十分に通用する内容であると感じました。新世紀最初の稲作計画をどのようにするか考える時期が近づいてきました。来年はどんな栽培をしてみようかと考えることはとても楽しいことです。しかしながら、稲作を取り巻く環境を考えると、気が重くなります。今年はチームの皆さんが生育調査のために来宅、私も東北農業試験場を見学させていただくなど、後々まで記憶に残るであろう出来事が沢山ありました。心から感謝申し上げます。寒さが厳しくなる折、お身体に気をつけてますますご活躍されることをお祈りしております。」
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。昨日は大変お疲れ様でした。私も楽しいひとときをすごすことができました。夜明け前から職場に向かっておられるとの事、秘めた情熱と意気込みが感じられます。健康に留意され新しい年を迎えられ、来年もまた再会出来ることを楽しみにしています。来年も宜しくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(19日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本列島近海の海面水温は平年より高い状態が続く。熱帯赤道域の海面水温には大きな変化は見られない。
・仙台管区気象台から「2000年の東北地方の天候(速報)」がメールで届く。特徴は、年平均で歴代第4位の高温、4年続きの暖冬、春の多雨寡照、そして盛夏期の猛暑と厳しい残暑。
・仙台管区気象台から3か月予報の解説がメールで届く。予報官はこの予報から新平年値を使っている点を指摘し、また寒候期予報との違いを次のように心配されている。
「今日発表の3か月予報と解説資料を送付します。なお、3か月予報は今回から新平年値(1971〜2000年)と階級区分(33%の等出現率)で予報されています。1990年頃からの冬季の高温の影響で新平年値は高くなっており、予報としては平年並となってしまいました。テレビ等で暖冬と報道されていますが、うまく理解してもらえるでしょうか?」
【研究活動】
・情報技術(IT)関連のプロジェクトが予算化される。研究費の額には不満が残るが、管内6県と関係大学の研究協力体制が確立されることになり、他の地域にはない先駆的な研究の成果が期待できる。
・アメダス監視地点別にみた基本技術を検討する。
【その他】
−−−−−−−−− 下旬 −−−−−−−−−
○12月21日(木) 冬至
【天気概況】
・低気圧の通過後、冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に天気がぐずつく。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「昨日は石巻までおいでくださいましてありがとうございます。私にとってのこの一年はとても起伏の激しい1年になってしまいました。更なる新世紀に向かって新たな気持ちで進みたいと思います。一年間大変お世話になりました。来年も、ご指導のほどよろしくお願いします。」
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「冬の遠距離、美味しいりんごをいただきありがとうございます。凍り豆腐は、私の家では江戸天保年間より160年ほどの歴史があり、明治中期より地元の産業として定着してきました。今では、仙台雑煮、正月の御節に欠かせない食材になっています。おいしい料理の仕方は、ぬるま湯で、もどして、10枚くらい重ねて、両手で壊れないくらいしぼり水気を切り、料理に使用してください。鍋物などはなんでも合いますので、ご賞味ください。特に、牡蠣鍋、タラチリ、スキヤキなど鍋や、魚といっしょに煮込んで、熱いうちに食べてください。ちなみに、凍り豆腐の原料は、古川産みやぎしろめ大豆天然にがりと岩出山のおいしい水だけです。また来年も、稲作と農政とお花つくりとITに取り組んでいきます。2001年もよろしくお願いいたします。」
・山形県最上町のモニターから生育調査や現場での対話の意味をお聞きした点について返信のメールが届く。
「生育調査を行うようになってから、自分の稲の生育状況が正確に判断出来るようになったので、自分の思い描いている栽培管理手法のタイムラグが少なり、より的確に実行できるようなりました。また、シミュレーションや他の圃場との比較も正確に出来るのと、web又は現地で的確なアドバイスも貰えるので、視野が広がり対応に確実性と柔軟性が生まれていると思っています。このように私にとって、天候条件に合わせた生育途中(要所のポイント時)の栽培管理の補正や改良にリアルタイムで役立っています。また、自他圃場への巡回回数も倍以上に増えました。(他圃場との、生育進度比較参考のために)最終的に、収量や品質に大きく関与するの事なので、日々変化する気候条件や病害虫条件等のマイナス因子が、緩和されていると認識しています。コスト対効果を更に考えながら、”全天候型稲作”の完成型確立向けていろいろ試している所です。これらのプラス思考エネルギーの、源の1つで在ることは間違い無いです。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・若い頃働いた国際小麦・トウモロコシ改良センター(メキシコシティ郊外)から見えていたポポカテペトロ火山が噴火した。数千人が避難しているとのこと。火山の噴火と冷害との関係はしばしば指摘されてきた。
【研究活動】
・アメダス監視地点別の基本技術を検討する。
・モニター情報ネットワークの意義について再検討する。1999年と2000年度のメール控えを再度読み、本質的な意味を問いたい。また私自身にどのような影響を与えたのか評価するのも楽しみである。メールを印刷したその量は大変なものである。
【その他】
○12月22日(金)
【天気概況】
・冬型の気圧配置が残るが、天気は徐々に回復に向かう。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターから収量調査結果がメールで届く。「はえぬき」の精玄米収量が642kgで品質も良好である。2年連続で600kgを超す収量を得ている。冷害の危険度の高い地域であるが、高温年にはすばらしい収量を上げる。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説などがメールで届く。予報官から次のようなコメントがある。
「今日発表の1か月予報および解説資料を送付します。3か月予報と違い今年中に発表される1か月予報(今日と29日)は旧平年値(1961〜1990年)による予報です。このため、3か月予報では1月平年並(新平年値)となっていますが、1か月予報では3〜4週目高い(旧平年値)としています。」
【研究活動】
・アメダス監視地点の基本技術を検討する。
・モニター情報ネットワークの意義について考察を深める。モニターの貢献を次のようにまとめると、早期警戒システムの基幹となるものであることが良く理解できる。
@水稲発育モデルの予測制度の評価
A冷害や高温障害を回避する理想生育型の解明と実証
B経営主体別にみた技術体系の多様性と基本技術の類似性(さらに別途検討してみたい)
C水稲早期警戒システムの提供情報の評価
D情報の発生・利用における相乗効果、主体の行動様式における学習効果、そして「信頼」という財の創出効果
Eその他
季節のたより:生物気象の観察、体感した気象条件
作柄の動向:生育調査データ、低温や病害虫の発生など各種障害、灌漑水の不足、管理・作業の進捗など
篤農技術や直播技術などの実践とモニター相互の技術交流
地域の農業戦略、農政、稲作文化などについて意見交換
・岩手県農産物改良種苗センターから種子生産者全体研修会で講演の依頼が公文で届く。来年1月29日(月)花巻温泉で開かれる。生産者の方がかなり多数集まるとのこと。演題は『農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心−』としたい。
・石鳥谷賢治の会でお世話になった岩手県立農業大学校の先生から著作『賢治スピリッツ・III グスコーブドリの歌』が郵送されてくる。新渡戸稲造と宮澤賢治との関連は、初代北大総長佐藤昌介を通じての双方向の弟子と呼んでも良いのかもしれません、と手紙にある。
・神田君筆頭著者の『水稲における葉の形成過程を考慮した主稈葉齢予測モデル』の論文が日本作物学会紀事12月号に公表される。記念すべきひとつの成果である。謝辞にはモニターの方々の氏名が明記されている。
【その他】
○12月23日(土)
【天気概況】
・低気圧が通過し、日本海側を中心に天気がくずれる。
【モニターネットワーク】
・東大阪市のモニターから久しぶりにメールが届く。
「最近は編集長日記で紹介されていた東北農政局のメールマガジンの配信を受けています。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・アメダス監視地点の基本技術を整理する。
【その他】
○12月24日(日)
【天気概況】
・冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に天気が荒れる。
【モニターネットワーク】
・小林福蔵さんの技術に関してお礼のメールが届く。
「ご返事ありがとう御座います。説明をして頂いて大変勉強になります。また、本の紹介もしていただいたので、是非探して読んでみようと思います。ありがとう御座いました。まだ、未熟なものでご質問する機会があると思いますが、よろしくお願いします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(23日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続き、北海道東海域の海面水温も平年より低くなる。日本近海の海面水温は平年より高い状態が続く。熱帯赤道域の海面水温には大きな変化はみられない。
【研究活動】
・アメダス監視地点の基本技術を整理する。
【その他】
・盛岡に長く住むが、雪のないクリスマスイブは始めてか。
○12月25日(月)
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧が通過するため、日本海側を中心に雪となる。盛岡でも午後2時頃から雪となり、夕方には一面雪景色に変わる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターから資料のお礼のメールが届く。
「おはようございます。苺の炭疽病についての資料を送っていただきありがとうございます。大変詳しく細かなところまで記載されていてとても助かります。来年の作業計画に即活用したいと思っています。それからまた、お願いしたいのですが、“とちおとめ”は甘いせいか虫(ヨトウ虫)がよってきて食害されている箇所がありなかなかおさまりません。そこでこの害虫についてと疫病(炭疽病となかなか見分けがつかないとも言われています)についての資料も送っていただきませんか。年末の忙しいとき申し訳ありませんが宜しくお願いいたします。尚、小林にも宜しくお伝えください。」
・意見交換の広場に九州の玖珠農業改良普及センターの佐藤さんからメールが届く。
「こんにちわ、ご無沙汰しています。大分県の青森こと玖珠農業改良普及センターの佐藤です。本当に九州とは思えないほど寒くなってきました。鳥越さんから教えていただいた水稲冷害対策と、現場での品種・栽培面についての実証圃場の検討会と新品種食味会を役場、農協、生産者でおこないました。品種面ではコシヒカリより出穂の早い粳品種でスノーパールを供試し出穂安全晩限期より11日早い出穂で生育も良かったです。食味評価は粘りがありすぎて単品では出せない感じでした。ブレンド向きではないでしょうか。販売先が決まってないのですぐにコシヒカリに変わることは難しいです。栽培面では、モニターからアドバイスいただいた水温をあげる等を検討しました。次年度も引き続き冷害研究会として活動をおこないますのでどうぞご支援のほどよろしくお願いします。検討会資料は郵送でおくります。ご指摘よろしくお願いします。それでは良いお年を。」
・宮城県石巻市のモニターが研究室を訪れる。盛岡市内の酒造会社で「亀の尾」の初搾りが行われたとのこと。手塩にかけて育てた米の仕上げとあって、遠路出向いてきたとのこと。私たちも少し試飲させて頂く。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・アメダスデータを用いた作柄監視システムの全体像を整理する。インターネットの普及と情報の公開が進んだため、当初予定した以上のシステムが確立された。次年度以降はかなりの部分が自動化され、私の作業も少なくなることが期待される。
・モニター情報ネットワークについて考え方や位置づけなどを整理する。
【その他】
○12月26日(火)
【天気概況】
・強い寒気の南下による冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・情報技術プロジェクトの研究推進会議に向け県・大学関係者との調整に追われる。
・リモートセンシングに関する研究成果を整理する。次期早期警戒システムに活用できる技術を再検討する。Landsat-7 SPOT、さらには商業用高解像度衛星などの活用を考えたい。
【その他】
○12月27日(水)
【天気概況】
・冬型の気圧配置が残り、日本海側を中心に雪となる。太平洋側は久しぶりに晴れの天気となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。積雪が20センチ程度あるという。『こだわりのハーモニー』という転作組合自製のものを送っていただけるとのこと。今は生産、加工から販売までを自ら行い、農業の厳しい状況を打破しようと努力されている。『こだわりのハーモニー』が届く。転作組合は結農舎(ゆいのうしゃ)と称する。箱の中には、“松山産南部小麦の香り−こだわりうどん−”“松山産新蕎麦の香り−こだわりそば−”“モニターを含め三人の顔写真の入った−こだわり納豆−”そして“新品種のこいむすび”がセットになっている。説明パンフレットの末尾に、「私たちが大事に育てた作物が、こんなにおいしくなってくれました。そのおいしさを皆様にもぜひ味わっていただきたいと思います。」とある。立派な出来に驚かされる。
・山口県のモニターからメールが届く。
「年も余すところ5日ばかりとなりました。心忙しい日々かと存じます。本日は、沢山のリンゴを送り頂きありがとうございました。早速、王林をいただきました。濃縮された甘さが口いっぱいに広がりました。久々にリンゴを食べたとゆう気持ちになりました。近辺で生産されているリンゴは、なにか水っぽい甘みがします。仏壇に供えさせて頂きました(我家では、生仏が優先です)。12月でもって退職いたしました。今からが自分の時間だと張り切っています。我家の田圃に隣接する耕作放棄の他家の田圃を借り受け、来年から耕作しようと計画しております。くずまの蔓がトラクターのロータリーに絡み、少し起こしては取り除きの作業には、往生しました。来春は来春で、農機具小屋を建てようと張り切っております。自分なりに、図面を書き、目下それに沿って、間伐を兼ねて木を切り出しております。本当に家になるのかと不安に思っておりますが、又それも楽しみの一つです。良いお年をお迎えください。来年もよろしくご指導ください。」
・東大阪市のモニターからメールが届く。
「こんばんは 鳥越さん、今日26日は大阪でも風が強くかなり寒くなりました。りんご」日に到着、有難うございました 早速、みんなでいただきました。岩手産のりんごは店頭では青森産に圧倒されてみかけませんが、大変おいしく、子供たちの評価も二重丸でした。私が鳥越さんのHPを知るきっかけになった「大阪ABC放送の田植え」岩手県も力を入れているようで、「ひとめぼれ」は関西でもなかなかの人気ですが数量が少ないようですぐに売りきれてしまうようです。岩手の系列局の特集があります。 http://www.iat.co.jp/Response/yumeroku/index.html。新世紀もよろしくお願いします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(26日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海の海面水温は平年よりかなり高い。熱帯赤道域の海面水温は平年よりやや低くなり、ラニーニャ的な状況になるような傾向がみられる。
【研究活動】
・アメダス監視地点別の基本技術を整理する。
・大分県玖珠農業改良普及センターの普及員さんから会議資料が届く。手紙の最後に、「東北農試のように生産者を冷害対策モニターとして互いに勉強を重ねる研究会を発足しました。」とある。また似顔絵が入った名刺には、「今年はお世話になりました。21世紀も宜しくお願いします。農家のために頑張ります!」と。活躍を期待したい。
【その他】
○12月28日(木) 御用納め
【天気概況】
・冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。気温は平年よりやや低くなる。
【モニターネットワーク】
・朝日新聞本社社会部の記者からメールで原稿が届く。以前に取材に応じた方で、宮城県矢本町で「かぐや姫」を育成した農家の取り組みを紹介するものである。東北農試水稲冷害研究チームのことも最後に紹介される。1月5日前後に連載−再生に記事となるようだ。
・図書館からホームページの旬別気象表に関する問い合わせがメールで届く。降水量は総量を示すのか、日平均値かというものである。総量である。旬別気象表は現在更新できていない。現行システムにおいて1時間内の処理能力が限界にあるためで、次年度からはコンピュータの能力を大幅にバージョンアップして可能にしたい。
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「先日はお忙しい中お邪魔して、いろいろとご指導くださいましてありがとうございます。2月25日にこちらでは、JAの広域合併に向けての最終協議があり、来年2月24日(土曜)に各地域農協が同時に臨時総会を開催することになりました。今企画しておりますモニター交流会の予定を決める上でご検討ください。大事な総会なので、当地区モニター3名は24日総会に参加のため都合がつきません。我が家にとって今年は大変起伏にとんだ激しい年になってしまいました。一年間ご指導ありがとうございます。来年もよろしくお願いします。総合研究第4チーム皆様のご健康とますますのご健闘を祈念します。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・アメダス監視地点の基本技術を整理する。
・総合研究部御用納め。健康でこの一年間仕事ができたことを感謝したい。
【その他】
○12月29日(金)
【天気概況】
・冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。2度も資料を送っていただきありがとうございます。年末の大変忙しいときにお願いをいたしまして申し訳ありませんでした。また今後に向けて御配慮頂き感謝申し上げます。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・1か月予報の解説が仙台管区気象台からメールで届く。予報官から次のようなコメントがある。
「本日発表の1か月予報を送ります。今回の予報は旧平年値(1961〜90年)で予報しています。次回(1/5)から新平年値(1971〜2000年)で予報を行います。また今年の予報はこれで最後です。いろいろとご協力ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。」
【研究活動】
・アメダス地域気象情報を用いた作柄診断手法を再度整理する。次年度からは、71監視地点についてアメダス気象情報、水稲発育情報、葉いもち予察情報などが全自動化される予定。モニター圃場に関しては引き続き手動で行いたい。
・水稲冷害早期警戒システムモニターネットワークの意味を少し離れた位置から閲覧されている方々に意見を聞いてみたい。
【その他】
○12月30日(土)
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、天気は回復する。朝の冷え込みは一段と厳しくなり、マイナス10℃を下回る地点もある。盛岡も午前6時にマイナス8.1℃となる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからお正月の電子カードが届いているようだ。開封は元旦以降とのこと。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・早期警戒システムの活動に関して考察する。昨日松山町のモニターから頂いた意見は次の通り。
「Q:稲作技術にどのような効果があったか。
A:昨年よりモニターになり約1年半が経過しましたが、それ以来モニターであることの緊張感があり、何かにつけこれまでと比べ行き渡る様になった様に思います。それが即数量的な結果として表れたかどうかは、毎年の微妙な天候の違いもあり一慨には言えないと思いますが、本年の場合はその様なことを差し引いたとしても数量的な効果はあったと思います。でもそれでよかったのかと言うと必ずしもそうとも言え切れずいくつかの課題が残ります。そういった課題が翌年の稲作に向けて見えてきたときにも、稲作技術としての効果があったとも言えるのではないかと思います。そして、そうした毎年の経験の積み重ねこそが一般的に言われる稲作技術ではないかと思うのです。私はモニターであると言うことで、鳥越さん他冷害チームのみなさんにおいでをいただき圃場で稲を一緒に観察しお話し合いさせていただいておりますが、このこと自体冒頭に述べました様に新たな緊張感を生み、ある程度追い込まれる事によって研鑽していく効果があると思います。通常はその様なことがない限りなかなか行動に移れないものです。また、モニターであることの波及効果もホームページを見ることによって、各地のモニターの取り組みを始め鳥越さんの研究活動の一端を拝見することにより新たな自分の技術としてまたヒントとして稲作は勿論それ以外にも広範囲に亘り活かすことが出来ます。更に鳥越さんを始め冷害チームの皆さん方の人間性(人柄)からも学ぶことが大変大きいです。単にハードな技術だけではなく、人間関係(人つきあい)も技術の範囲に入るのではないかとも思います。アロー氏の考え方に近いです。
Q:経営にどのような効果があったか。
A:経営はそれぞれの部門を総合し全体の総和の値であると思います。その総和も各部門の改善か始まると思いますので、稲作で一定の成果が出たと言う事は今後の経営にとって一歩前進したと言えるのではないかと思います。そして本年の取り組みが翌年の糧としてつなげることが出きるものであれば、これもまた経営としての効果があったと言えるのではないかと思います。なぜならば、経営はい1年限りではなく継続していくものだからだと思います。
以上、少しでも参考になれば幸いです。良い新年をお迎え下さい。」
・早期警戒活動のこの一年を振り返る。多方面の方々からたくさんの思い出を頂いた。
【その他】
○12月31日(日)
【天気概況】
・低気圧が発達しながら通過するため、天気は下り坂に向かう。今夜から明日にかけて荒れた天気になる予想。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(30日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海の海面水温は平年よりかなり高い状態が続く。ペルー沖の海面水温は平年よりかなり低くなる傾向が見られる。
【研究活動】
・早期警戒システムが経営的にどのように評価できるのか、モニターの意見を参考に整理する。最近は政策、事業、研究などすべて数量的な目標値を設定する趨勢にあるが、早期警戒システムの目標値をどのような視点で、またどのような指標で数値化すれば良いのか、考えさせられることが多い。
・事務局からのご挨拶:年頭の挨拶文を作成する。
【その他】
torigoe@tnaes.affrc.go.jp