水稲冷害研究チーム
2001年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
1月
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○1月1日(月) 新世紀の始まり
【天気概況】
・低気圧が東海上で急激に発達し、強い冬型となる。日本海側を中心に気温が下がり、雪となる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターから年賀電子カードが届く。
「21世紀の幕開けですね!チャレンジの年にして行きたいと思っています。今年もよろしくお願いします。」
・宮城県石巻市のモニターから年賀メールが届く。
「新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 今、岩沼の竹駒稲荷神社に元朝参りにいっていたところです。とても暖かい朝に驚いています。モニター交流会の日程はお任せします。13年は、よい作柄を期待したいと思います。今後ともよろしくお願いします。」
・宮城県松山町のモニターから年賀メールが届く。
「新年明けましておめでとうございます。久しぶりに雪景色の荒れた新年になりました。1年が大変短く感じるこの頃ですが、今年も宜しくお願いします。」
・山口県のモニターから年賀メールが届く。
「昨年は本当にお世話になりありがとうございました。今年は、ゆっくりと自然を味わいたいと思っております。宜しくご指導のほどお願いいたします。「ひとめぼれ」は全ての縁故米にまわし、皆に味わってもらっております。当方は、「コシヒカリ」が主流ですが、自分は「ひとめぼれ」の食味が好きです。もちろん一年中の米は「ひとめぼれ」を当てております。明日は念願の息子達とラウンドにでます。はたして前に向かって、球飛ぶか不安です。」
・東大阪市のモニターから年賀メールが届く。
「新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・“新世紀の年頭にあたり”の挨拶原稿を作成し、神田君に作成を依頼する。
・モニターの方々に年賀メールをお送りする。本年もよろしくお願いいたします。
【その他】
○1月2日(火) 岩手山神社にお参り
【天気概況】
・冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。盛岡でも粉雪が降る。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・昨日のアメダスデータが作成されなかった。年が変わったために、不具合があったのか。データ配信先に作成をお願いする。
【研究活動】
・アメダス監視地点毎の冷害回避基本技術の策定を基に、基本技術の相互関連性を整理する。
・盛岡市郊外の岩手山神社に家内安全と冷害退散のお参りをする。
【その他】
○1月3日(水)
【天気概況】
・強い寒気が入り、冬型の気圧配置が続く。日本海側と山沿いを中心にかなりの積雪がある。
【モニターネットワーク】
・一般企業の友人から年賀メールが届く。
「あけましておめでとうございます。ご無沙汰しております。3年前の研究会では、お忙しいところ講演を賜りありがとうございました。昨年末、NHKのニュースで久しぶりに鳥越さんのお顔を拝見して懐かしく感じたところです。ニュースを拝見し、リモートセンシングを活用した病虫害判読をされていることを知り新年にご挨拶をかねてメールさせていただく次第です。3年前に研究会でお話頂いた後、現状の農政に関心を抱き農業の情報化(特に、RS&GIS技術を用いた)をビジネスして、社会貢献できればと考えています。ニュースでは、航空機を利用したIRによるイモチ病の判読をされていましたが、実用化までどの程度研究が進まれているか興味あるとろです。詳しい情報がありましたら勉強したいいのですが・・・・また、国内外のプレシジョンファーミーの実態について情報収集しています。農業試験場のHP等で見る限り、鳥越さんのところがすすまれているようにお見受けします。学会では、宇都宮大学あたりでしょうか。この辺の状況について情報を頂ければお教えください。正月早々、突然のメールとたのみごとですません。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
・山形県鶴岡市のモニターから昨年お願いした意見が届く。
「新年おめでとうございます。今年も色々お世話になると思いますが、よろしくお願いいたします。鳥越さんの早期警戒システムにとっても飛躍の年になる事と確信しております。微力ながらそのお手伝いを通し、システムの発展を見届ける事が出来とても幸せに思っております。これからも交流の機会を設けながらお付き合いさせて頂きたいと思います。2月17、18日の件、了解です。この日は空けておきますので日程当決まりましたらよろしくお願いいたします。昨年からの宿題もようやく纏まりましたのでお送りいたします。長い間保留にしておいた宿題の件ですが、自分なりにまとめてみました。
1」早期警戒システムのなかで、モニター情報ネットワークは「発育予測」「編集長日誌」「意見交換の広場」のコーナーにしか、表向き現れません。ご自身では、このネットワークをどのように感じ、またどのように利用されているのか。さらには、一般の閲覧者へどのような効果を及ぼしていると思われますか。
A1」一言で言い表すならば早期警戒システムのモニター情報ネットワークは私にとって「村の仲間」と言えるかもしれません。私が農業を始めてもう20年余りになりますが、50戸ほどある村の中で農業で生計を立てていた家が約30戸程ありましたが、現在は11戸でそのほとんどが兼業農家です。そして私が一番若い世代です。以前は田圃で仕事をする合間に仲間といろいろな話を通して稲の生育状況や病害虫に付いての情報など交換できましたが、今では田圃に来ても作業が終わればすぐに帰っていきます。村で集まっても話す事はパチンコや競馬の話題で稲についてはなかなか出てきません。収入の中の稲の割合と関心が正比例するのは致し方ないのかもしれません。村の中で農業を主体に頑張っているのはほんの数人しか居なくなってしまいました。そんな中で稲という作物に関してウェブ上で地域も環境も違う人同士が情報を交換でき、また今まで知らなかった事を勉強できる当システムは私の心の支えのような役割も果たしています。モニター、鳥越さんチーム間のレスポンスの速さ、正確性もシステムの信頼性を更に高めている事を、双方ともここ数年の経験を通じて感じている事と思います。このやり取りがあればこそ、当システムが既存の一方的な情報提供型のサイトとは大きく違う特徴ではないでしょうか。ウェブ上で情報をやり取りしていると相手の顔が見えない為、知らない内に相手を傷つけていたり、自分の主張ばかりになりがちな部分もありますが、当システムにおいては鳥越さんの努力や参加される皆様の良識により素晴らしい環境が保たれて、誰でも利用しやすい雰囲気が作られていることは、実際参加している一人として誇りに思うところでもあります。一般の人たちがご覧になった時に余り大切に思われなくなってきた米ではありますが、その生産の為に私たちのようにまだ必死になって頑張っている人々がまだ残っている事を少しでも見て頂けたならありがたいし、また意見を投稿して頂けるようになればありがたい事です。農家の間にもパソコンがどんどん普及してきている状況や、農業人口の急速な減少という現実を見れば、インターネットを活用した営農指導や情報提供の新しい形を提案しているように感じて頂けるのではないでしょうか。
2) 早期警戒システムは皆さんの経営にどのような良い効果を及ぼしているのか。数量的に評価できれば、問題ないのですが、それが困難であるように思っています。変な言い方になりますが、冷害が来たときに真に本システムの効果が実証されるのかもしれません。
A2)過ぎ去った災害の事は時間と共に忘れて行ってしまいますが、当システムを利用してからは常に頭のどこかに「冷害」という言葉が残るようになりました。その事は品種の選択にも現れています。最近は高温障害やカメムシの問題も出てきていますが、この件でも随分お世話になりました。システム名に冷害と言う言葉が入っていますが、実際は直播きでの鳥害も含め技術面では総合的にアドバイス頂ける体制になってきているのではないでしょうか。このようなみかたをすれば冷害の年にこだわらず、常に使えるシステムとも言えるのではないでしょうか。2000年を振り返ってみても全量1等米の格付けを得る事が出来たのは、まさに当システムによるものと感謝しております。数量的には表しにくいもののあえてそうするならば、今年の場合に当てはめれば2等米にならずに済んだ事を評価して約70万円といったところでしょうか。本当に感謝しております。」
・宮城県岩出山町のモニターから年賀メールが届く。
「新年明けましておめでとうございます。新世紀最初の年もよろしくお願いいたします。モニター交流会の時期は今のところ予定はございません。親父も参加できるかどうか分かりませんが、篤農の集まりも少ないのでぜひ参加したいと思います。1月10日に農協青年連盟東北北海道大会があります。青森県三沢市で行われます。そりらにおよりするかもしれません。その際はご連絡いたします。私の家の技術は、伝聞や技術書やそのときの農業技術を自分に都合の良い様に理解し、実践しているだけで特にオリジナルではございません。しかし科学的な裏つけができればよいと考えます。今年の稲作は減反や市場原理などで経営面でつらいところはありますが、できる限り低いコストで手抜きせず。真心をこめて作付けしたいと思います。今年の私なりの天候の予測ですが、この時期の気圧配置が安定していて雪も平年並にふり、気温も低くないことを考えると、極端な冷害や高温にはならず、意外と平均的な気象経過で、平年作というところですでしょうか?希望的な観測ですが、あまりの豊作や冷害であれば営農に支障をきたすので、天候も中庸であればいいのにと思っているところです。それでは!またお会いする日を楽しみにしています。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(31日):太平洋中緯度海域の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本付近の海面水温は北海道沖まで平年より低くなる。周辺海域には海面水温が平年よりかなり高い塊が分布する。ペルー沖の海域の海面水温は平年より1℃ほど低くなる。
【研究活動】
【その他】
・総アクセスが68,000件を超す。
○1月4日(木) 仕事始め
【天気概況】
・強い冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心にかなりの雪となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町の友人から年賀メールが届く。
「あけましておめでとうございます。メールありがとうございました。こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。本年も「水稲冷害研究チーム」の益々のご発展を願っております。さてモニター交流会へのお誘いありがとうございます。現在、予定はなにも入っておりませんので大丈夫だと思います。オブザーバーとして皆様のお話を拝聴させて頂き、稲作についていろいろと勉強させてもらえればと思います。それではよろしくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から2000年12月の東北地方の天候(速報)がメールで届く。12月の特徴は、時々寒気南下と風雪による災害の発生の2つのキーワードで要約されている。
【研究活動】
・アメダス地域気象データを用いた作柄診断技術の課題をとりまとめる。本年度は水田水温をおおまかに予測し、監視する技術が確立された。多くの関係者にお世話になり、過去7年間、15地点の観測結果が活かされることになる。
・場長の年頭の挨拶がある。独立行政法人となるが、今までと変わることなく東北の農業の未来像を技術サイドから描くような研究開発を進めてほしい。場長は6日付けでつくばの研究所長としてご栄転される。早期警戒システムの開発に大変なご支援を頂き、感謝申し上げる。
【その他】
○1月5日(金) 小寒
【天気概況】
・強い寒気が入り、冬型の気圧配置が続く。日本海側を中心にかなりの積雪となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・アメダス実況が昨日午後8時から停止する。データ配信先に復旧を依頼する。アンテナに積雪があったことも原因するが、しばしばトラブルが生じる。
・仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。今回から新平年値との比較になっている。
・仙台管区気象台から「2000年の東北地方の気候統計値(確定版)」がメールで届く。
【研究活動】
・今日は小寒。宮城県一迫町の白鳥さんの“寒だめし”の天候と岩手県石鳥谷町の板垣さんの“たろし滝”の氷柱の観察がいよいよ始まるものと推察される。
・板垣さんから封書が届く。昨年の講演お礼の手紙と石鳥谷賢治の会の活動が特集で掲載された岩手日日新聞1月1日版と農林水産省盛岡食糧事務所の広報誌「おこめ information」が届く。手紙の末尾には“たろし滝が気がかりになってきました”とある。電話でお話をすると、今のところは“たろし滝”の成長には最高の条件ではあるが、勝負は頃からの寒の時期の気候である。これから観察が始まるとのことだ。今年は2月11日に計測会があるとのこと。
・早期警戒システムが利用者に及ぼす経営的評価を検討する。数量的な評価が難しく、今後数量的な評価が実証できる仕組みを考える必要がある。
・アメダス監視地点毎の基本技術を整理する。
【その他】
○1月6日(土)
【天気概況】
・冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。気温も低い状態が続く。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町では昨日70センチを超える積雪があったとのこと。雪下ろしに追われているだろうモニターにメールを出す。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・次年度からは始まる情報技術プロジェクトの研究内容を検討する。冷害被害の数量的な診断手法、冷害にも高温障害にも強い理想的な生育型の解明ならびに高度な知識ベース利用システムの開発に重点を置く。
【その他】
○1月7日(日)
【天気概況】
・冬型の気圧配置がやや緩み、天気は回復する。低気圧が西から近づき、本日夜から明日にかけて太平洋側でもかなりの雪となる見込み。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターから大雪に関するメールが届く。
「心配いただきまして、有り難うございます。暖冬で、降雪量の少なかった年が続いたので、この雪量にビックリしています。特に、今年のような短期間での降雪量は、記憶に少ないです。除雪する量より、降雪量が多い(感覚的に)日も有ったので大変です。(1日に、5回除雪した日もありましたし、連日大雪の警報が出ています。)今回の大雪で、町内ではハウスや建物等に被害も出はじめています。天候が相変わらず悪いのと、平場の除雪に追われてどうしても屋根の上の除雪が進みません。我が家も、天候の回復と雪害が無いことを祈りつつ、連日の除雪に追われています。道路も、今の時期には珍しく除雪により雪壁ができています。新年明けてすぐに、黄砂混じりの雪が降ったり、このようなドカ雪になったりで、 いつもと違う天候に驚いています。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(6日):太平洋中緯度海域の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海では海面水温が平年よりかなり高い領域がある。ペルー沖の赤道海域の海面水温は平年より低い傾向が続く。
【研究活動】
・モニターネットワークの意義を考察する。研究当初設計していた以上の成果が得られたように思われる。これも東北地域水稲安定生産推進連絡協議会関係機関の連携による組織的な活動により、早期警戒システムの信頼性と迅速な情報提供が実現されているからによる。
・総アクセス数は平成12年末でほぼ68,000件。年次別アクセス数は平成8年2,800件、9年8,200件、10年11,700件、11年18,000件、12年28,000件と増加している。インターネットの普及によるところが大きいが、今後は内容を充実させて情報内容でさらに増やす努力が必要である。
【その他】
○1月8日(月)
【天気概況】
・低気圧が発達しながら通過し、太平洋側を中心に大雪となる。盛岡も朝から雪となる。
【モニターネットワーク】
・一般企業の方からメールが届く。
「早々のお返事ありがとうございました。早期警戒システムは、日本版プレシジョンファーミーの先駆けと認識しています。私は、農業の担い手の問題を含み日本の食料生産維持に微力ながら貢献できればと考えています。日本国が農業を捨てるというならば別ですが、自分の食料供給を少なからず維持しようとする努力は国として捨てることはありえないと考えています。その貢献とは、農業の特有の自然環境からのリスクをどう解消して行くかにあるかと思います。(自然環境保護も含めて)具体的には、集約化が進み、農業法人化がすすめばもっと工業生産で築いた経営手法を農業分野にも取り込み、情報戦略で武装した農業経営ができるのではないかと思っています。その第1が日本版プレシジョンファーミーではないでしょうか。もう1点は、農業生産工程の自動化とその機材の効率的運用を企業経営として行うことだと考えます。頑張って農業をやっていこうとする人達に私が貢献できることは、この2点に留意した情報化の部分かと思います。私は、農業従事者でないので直に作物を栽培することはできませんが、空間情報を生かしたビジネスで農業の企業化を促進はできるのではないかと思っています。とはいえ、都会に住む私が農業の現場を知らずして考えていることは言うまでもありません。そこで、日々、農業生産者と接し、日本の農業を研究されている鳥越さんより私の考えるビジネスが、現実に即するべくご指摘を頂ければと思います。」
・宮城県岩出山町のモニターから質問に対する返事がメールで届く。
「おはようございます。こちらも20年くらいぶりの大雪で身動きできない状態です。1980年代は3年くらい冷害が続いた年だそうです。1mくらい降りました。明日も雪ということで大変です。
*生育調査について:冷害研究チームの調査以前から、独自に農協の稲作部会や個人的に生育調査を行ってきました。その指標は古川管内のみの生育調査だけに頼っていました。しかし、苗の植えつけの密度や本数がことや、田植えの時期が地区の栽培者と異なったり、珪酸やリン酸の追肥など栽培方法がことなるため、結果にいつも不安を抱いていました。冷害研究チームとの生育調査を行ったことが、結果としてオリジナルのデータをもらい、かつ他の地域の栽培者の生育進度がわかり、生育モデルを明示されることにより、作業の進度を生育の進度を理論的に合致することができました。また病虫害の情報やイモチの防除を不意の計画変更にも役立てることができました。
*顔をつき合わせての議論、話題提供:インターネットのみのお付き合いとなるとある程度の信頼関係にしかならず、人と人のコミュニケーションとして30%くらいしか真意が伝わらないというお話があります。私としてはもっとうまくコミュニケーションできるはずだと信じていますが、どうしても、インターネット上だとバーチャルな関係(実体験を伴わない)と良く見せようとか、カッコつけたりしてしまいがちになったり、一つを見て百を知ってしまったような気分になりがちです。冷害研究チームが来ていただくことにより、農家の米作りに関しての思いや経営の状況を把握していただいたり、研究者がどんな農業に関する研究をして未来の農業を提示していただくことによって、農家自身が今何をすれば良いのか?考えたりする機会もできると思います。お互いの信頼でき得る関係になってこと”良い仕事”ができると感じます。また農家の研究者に対するイメージは「何をいっているのかさっぱりわからない」とか「仕事の邪魔になる」とかというマイナスのイメージを持ちがちです。鳥越さんやチームの方々と接するとそんなことは全くなく、私もまったく専門的な知識がないためにかえってうまくコミュニケートできるような気がします。最終的にはすべてにおいてGIVE&TAKEのクールな関係を保つことを、お互いに努力することが、農業においての試験研究と農業の実践的な営農に役立つと思います。
*稲作技術、経営面への影響:稲作技術に関しては、ほかのモニターの書きこみや本や記事の提供により、いろいろなことを知ることができました。特に、冷害研究チームの方々が媒介となり、歩く情報技術書となっていることは確かです。しかし、簡単には地域性、気候や農家の勝手な思いこみにより、稲作技術はそう簡単には変更できないことも知っています。もっときめ細かな気象情報やそれへの対応方法ができれば、日本の稲作のレベルは世界最高となるはずです。単に気象予報の提示のみならず、そのときはどのように対応すれば良いかの対応マニュアルなどがあればもっと発展していきそうな可能性があります。 経営面においては、品種の選定や、作付けの面積の確定にも役だっています。品質のよいお米をつくることが経営面でのプラスになると考えます。今のところ、実際にプラスになっていると思うことは、気象予報を正確に把握して、田植えの時期や追肥の時期、防除の時期を的確に判断して、作業進度の計画を無駄なく、行えるようになったことです。100%ではありませんが!これからの課題と思います。波及効果として、私のお付き合いのある農業改良普及員全員と農協の営農指導職員が冷害研究チームを参考にしていることが、私の自慢です。また農家の方々もこれから見る方が増えると思います。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・アメダスデータの衛星受信パラボナアンテナの除雪を連日行う。
・アメダス地点毎の基本技術選択手順を検討する。基本技術としては、品種(熟期、耐冷性、いもち病抵抗性)、移植時期と苗質(稚苗、中苗、成苗)、昼間止水夜間灌漑、前歴深水管理、前歴と危険期を組み合わせた深水管理、いもち病防除体系、生育予測情報、葉いもち予察情報となろう。土壌管理と施肥法については多様な体系や篤農技術があり、また経営内容も影響するため別途整理する必要がある。
【その他】
○1月9日(火)
【天気概況】
・一時的に晴れるが、西から低気圧が接近し、夜には雪となる。厳しい冷え込みで、盛岡の最低気温は−11℃以下となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町の友人から質問に対するメールが届く。
「メールありがとうございました。当地もこの8日に大雪が降り、雪かきに汗を流しました。さて、お尋ねの件について下記の通り回答いたします。当節、何事も数値で評価するという風潮が強くなり、数値化できないものは切り捨てられていく運命にあるようですが大変残念に思います。世の中には数値化できないものがたくさんあると思うのですが、費用対効果が厳しく問われる世情では仕方のないことなのでしょう。さて、生育調査について、@生育状態を詳細に観察するようになったため、肥培管理の効果が良く見えるようになった。A稲への愛着・理解が深まった(稲との対話からは程遠いですが)。B調査に要する時間的なコストが発生(調査することによって収量増があればある程度相殺する)。次のface to face の議論について、@自分の稲を傍らにして顔を突き合わせて議論することの長所は、「百聞は一見にしかず」の諺の通り、栽培上の問題点等がどこにあるのかを具体的に指摘して頂けるし、また自分が気になっている部分を具体的に訪ねることができる点にあります。この点についてはどんなに優れた技術書をもってしても及ばないと考えます。オマケとして、議論者相互の人間性、本音&建前、熱意等を垣間見ることが出来て興味深いものがあります(打算的な場合を除き、このオマケが相互の交流が継続するか否かに深く関っていると考えます)。」
・宮城県石巻市のモニターから質問に対するメールが届く。ホームページを開設されたとのこと。今後の発展が楽しみである。
「4日から降り続いている雪が一昨日から大雪になり大変驚いています。正月元旦の暖かさとは大きく変わって、雪景色の正月となりましたが、各地域の皆様には大変なことと思います。改めて、雪見舞いもうしあげます。さてご質問の件について下記の通り回答します。相互訪問による効果について、どのような効果を生むか?メールを通しての意見交換は、いわば手紙のやり取りのようなものです。手紙より、リヤルタイムで意見の交換ができ、必要な時間に見たり、書いたりできるので、時間の短縮につながります。さて、相互訪問の効果についてですが、メールは、相手の体の暖かさや、言葉の息ずかいなどは伝えてはくれません。いわば、無機的な冷たさを秘めた機械的な私信の交換になってしまいがいがちです。それを補うのには、メールを通して意見交換しているものが、機会を作って実際に交流する事により可能となります。また、言葉だけでは(メール)伝えきれない細かい部分なども(葉令の観察技法、幼穂の観察など)実際に伝え合う事によりより確実となります。今どのような効果につながるか?メール交換による相互訪問は、参加者の視野を広げ、個々の農業経営を分析検討するとき、大いなる検討材料を提供してくれると思います。地元だけにとどまらず、東北地域一円、又広く全国に目を向けて農協経営を考える事が可能になると思います。早期警戒システムモニターに参加する事によりインターネットの世界をより的確に把握する事ができます。2001年1月8日付けで、ホームページを開設しましたので紹介します。アドレスは、http://www3.ic-net.or.jp/~qwb01124/ です。まだ未完成ですが、これから皆様のご指導をいただきながら、石巻から全国に向けて宮城米復活を目標にして多くの情報を発信していきたいと思います。なお、ホームページのリンク先に早期警戒システムのページを登録しましたのでご了承ください。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・生育各時期別の冷温障害の発生機構に関する問題構造モデルを作成する。冷温障害で問題となる時期は、活着、穂首分化期〜出穂期までの前歴効果と障害不稔の発生、開花・受精期、登熟期となる。
・航空機多波長域走査センサーデータを調査圃場について作成する。センサの分解精度を検証してみたい。
【その他】
○1月10日(水)
【天気概況】
・低気圧が発達しながら通過し、各地で雪から雨に変わる。盛岡では積雪15センチ程度、早朝から雨となる。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから質問に対するメールが届く。
「今回の寒波では内陸地方を中心に大雪の被害がありましたが、庄内地方ではいつものように風が強いだけで積雪も余りなく無事過ぎました。ところで御質問頂いた生育調査などを通して、東北農試の皆様に直接お会いできる機会に付いては、とてもありがたい事と考えています。生育調査は以前から自分の稲の生育状態を知るために必要なためにやってきた事ですが、その事を通じて皆様のお手伝いが出来、更にその結果が早期警戒システムの中でグラフ化されて、生育予測と比較できるような形で戻ってきて、生育状況が一目で把握できるようになりました。普及センターや県農試の方にお話をお聞きする機会はありますが、東北農試の方に遠路はるばる御出で頂き自分の圃場を診てコメントまで頂け事は、私自身の励みにもなり普段疑問に思っている事についてお教え頂ける絶好の機会でもあります。例えば草刈などもそうですが、今までなんとなくやっていた作業も稲の生育に対しどのような効果があるかなど再度考えるようになり、無駄な作業の見直しも考えるようになりました。そして何より、稲に関心を持っている仲間がまだいっぱいいるという事がとても嬉しく、この仕事に対しやる気と誇りを持たせてくれます。稲作への関心も減少するような厳しい環境が続いていますが、インターネットを通じて関心のある者が集まり勉強し続けていれば、いつか良い結果に結びつく時が来る事を確信しております。今年も昨年同様お世話になりますが、よろしくお願いいたします。」
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「新年明けましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。新年早々にメールをいただきまして大変ありがとうございました。年末の29日から鳴子で湯治に行っていたのと、雪かきに追われて大変な毎日でした。今年の正月は雪が降ったせいなのか、久々に正月らしい正月を過ごしているような気がしております。それにしてもよく降りました。我が町でも多いところで70〜80pは積もったのではないかと思います。おかげで農作業のことも忘れて雪かきの毎日です。役場から地域の雪かきを委託されていますので、昨日も一日雪かきでした。今日から学校が始まるということもあって、地元の高校の方からも電話があり是非駐車場などの学校の敷地内もかいて欲しいというこでしたので、夕飯を食べた後2時間ほどかかってかいてあげました。数年前までは近所の農家の間では、冬が寒ければ(雪が多ければ)夏の天候は良いとされてきました。たしかに昭和55年に私が就農してから3年続きで冷害かなんかで、不作が続いた年だったような気がしますが、そのころに「やっぱり冬が寒くないから夏に冷害になるんだ」なんてことを、近所のお年寄りに聞いたような気がします。ところが、昨年などは冬も暖かかったし雪も少なかったのに夏は異常に暑かった。しかも作柄も豊作。たしかに米に関しては品種の選択や栽培技術の向上など豊作になる要因はあったにしても、こんな結果を誰が予測したでしょう。そんな昨年の結果からみても今年の冬、ここ数年前までとは一転したこの正月の天候が、今年一年の稲作にどういった影響を及ぼすのか大変心配であります。また、たとえ豊作になったとしても、今の日本の「食のあり方」がどういう風に日本の農家を苦しめるのか大変危惧されます。正月から心配ばかりしても今年一年が思いやられるので、やはり物事は前向きに考えて、今回の雪が夏の天候と作物に良い影響を与えることを信じて、今年も水稲冷害早期警戒システムのあらゆる情報と、自分が持っているノウハウを組み合わせながらいろんな意味での「美味しい米作り」に励もうと思っています。本年もよろしくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(9日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海には海面水温が平年よりかなり高い領域が引き続き残る。南米ペルー沖の赤道域の海面水温は平年より−0.5〜−1.0℃程度低い状態が続く。
・衛星受信のアンテナに雪が積もり、午前3時のアメダス以降受信が不能となる。除雪し、データ配信先に復旧を依頼する。除雪後午前6時に正常に受信ができるようになる。
【研究活動】
・早期警戒システムが経営に及ぼす評価を検討する。本システムを評価する場合には、提供情報の内容・質に関する経営的評価と冷害時の回避効果などによる数量的な評価の二面性をもつものと考えられる。研究期間内に大きな冷害がなかったため、回避効果の数量的な評価はできなかったが、モニターの判断によると、提供情報の内容から常に利用できるシステムとして、一般の生産関係者にも利用価値が高いものと推察される。
・早期警戒システムにおけるリモートセンシング技術の活用、研究の達成度、将来の利用法について考える。
【その他】
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○1月11日(木)
【天気概況】
・低気圧の通過後、冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に雪となる。仙台管区気象台から大雪に注意するようの情報が出る。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。昨日の天気は何だったのでしょうか。おかげさまで主要幹線道路の雪はほとんど無くなりました。私も作業場の外屋の雪下ろしをした後に、地域内の水浸しになった圧雪の雪かきに追われ夕方までかかりやっと終わりました。さて、2月17日から18日開催のモニター交流会の参加についてですが、今のところ予定が入っていませんので参加できると思います。また寒波が来るそうで心配です。第4チームの皆様も風邪などひかないように頑張ってください。みんなにお会いできる日を楽しみにしています。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・宮城県松山町農協から講演の依頼が来る。2月25日に生産者の方が50名程度集まるので、最近の気象変動の実態と早期警戒システムの話をお願いしたいとのこと。同町のモニターにも大変お世話になっているので、喜んでお引き受けする。
・東北農政局岩手統計事務所から、山形統計事務所の方が早期警戒の活動を視察したいので23日に訪問したいとのこと。
・午後から雪がひどくなる。アメダス受信アンテナの除雪を行う。
・アメダス監視地点別冷害対策基本技術と安定作期を検討する。
【その他】
○1月12日(金)
【天気概況】
・強い寒気が南下し、冬型の気圧配置となる。日本海側を中心に雪となる。今後大雪に注意が必要とのこと。
【モニターネットワーク】
・岩手県種市町のモニターから新年のメールが届く。
「鳥越さん、チームの皆さん、明けましてお目でとうございます。家の親父も病気がちですが、でも何とか交流会には行けるかと思います。あくまで私見ですけれども、本年のヤマセは直接吹き付ける範囲に限定されるのでは、但しいもちには通常以上の注意が必要ですが。本年も宜しくご指導の程、お願い致します。」
・意見交換の広場に次のような質問が届く。
「京都教育大学教育学部附属桃山中学校1年4組さん(momochu@kyokyo-u.ac.jp」から。僕達のクラスでは、うるち米と赤米を育てましたが、残念ながら全て枯れてしまいました。そこで枯れた稲を観察した事実などをもとに意見を出しあった結果、水不足、すずめが食べた、土の養分不足、収穫が遅すぎた、日当たりが悪かったなどの事が、稲の全滅につながったのだと考えています。そこで、次に僕達の田んぼを使う人達のために、冬の間にその田んぼにしておくとよいことについて蓮華草を育てて、咲いた花や草などすべて一緒に混ぜると良い肥料になるなどの意見が出ましたが何かあれば意見をきかせてください。」
・次の点を確認するために意見交換の広場に質問する。
「メールありがとうございます。せっかく育てた稲が枯れたとは本当に残念です。意見を差し上げるために、次の点を教えて下さい。@稲はどこで育てたのですか。水田あるいはバケツなど、Aいつの時期に枯れたのですか。穂が出る前、穂が出てすぐ、あるいは収穫直前。よろしくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。第1,2週は気温が低いとの予想。
【研究活動】
・各試験研究課題の成果のとりまとめを行う。来週からは場内検討会が始まる。
・アメダス受信アンテナの除雪を行う。このように毎日除雪を行った記憶は今までにない。
【その他】
○1月13日(土)
【天気概況】
・強い冬型が続き、日本海側を中心に大雪となる。今夜から大雪に警戒。
【モニターネットワーク】
・大雪警報が出ている山形県最上町のモニターからメールが届く。
「かなりの積雪です。雪のよせる場所も、建物の近くにはなくなりつつあります。(運ばないとNG)。予想外の大雪で、本当に参っています。我が家のハウスは、常設型で無いので大丈夫ですが、あちこち被害が出ているようです。転作拡大に伴い、常設ハウスの設置も多くなって来ていますので、今年は至難の年になりそうです。(今現在も、猛吹雪です)」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
【その他】
○1月14日(日)
【天気概況】
・強い冬型で寒気が入り、日本海側を中心に大雪となる。盛岡は早朝−14℃まで気温が下がる。近年にない冷え込みである。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターから交流会参加のメールが届く。
「おはようございます。三沢に行く際、盛岡を通りました。雪が宮城よりずっと少ない様子です。親父も喜んで参加したいと言っています。お世話になりすみません。寒い日が続くと思います。御体を気を付け、お過ごしください。」
・宮城県松山町のモニターから交流会参加のメールが届く。
「おはようございます。先日は大雪の情報をいち早く知らせていただきまして、有り難うございました。お陰様でこれまで経験したことのない大雪からハウスを守ることが出来ました。正月早々から二度に亘る大雪, これまでですと雪が降った後は晴れたり寒さが和らいだりして次に降るまでにはほとんど融けたりしていたものですが、今回は不意を衝かれた様な感じです。幸い鳥越さんより大雪の情報をしらせて頂き、正月休みで帰ってきている息子らと総出で雪かきをしました。屋根に積もった雪の量をみると危機的な状況でした。今回の大雪では私たちの周辺ではハウスの倒壊はいまのところほとんどないようですが、平成10年の大雪とくらべれば積雪量ははるかに多い様です。それでも被害が少なくてすんだのは当時の教訓からの知恵とJA等の大雪に対する広報車、電話、FAX等による呼びかけ、更に早期警戒システムのリアルタイムによる注意の喚起によるものと思います。遅くなりましたがあらためて御礼申し上げます。天気予報によれば明後日にかけてまた大雪が降るとのことですのでハウスの周りの残っている雪を片づけようと思っています。モニター交流会の件ですが、先日メールで申し上げましたJAと稲作生産部会の研修会は改めて別の日に開催する事にしましたので、また大雪にでもならない限り出席したいと思っていますので宜しくお願いいたします。」
・山形県鶴岡市や松山町のモニターから出席するとのメールが届く。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(13日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続いている。日本列島近海の海面水温は平年よりかなり高い。ペルー沖の赤道海域の海面水温は平年より低い状態が続く。
【研究活動】
・各研究課題の成果のとりまとめを行う。自己評価では当初想定していた以上の成果が得られたものの多い。
・次年度以降の衛星情報の活用計画を考える。水稲の生育状況といもち病の発生を監視する態勢を整備したい。
【その他】
○1月15日(月)
【天気概況】
・強い冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心としてかなりの雪となる。大雪の中心は北陸地方にある。
【モニターネットワーク】
・岩手県種市町のモニターから交流会に参加できるとのメールが届く。
・宮城県松山町のモニターから交流会参加のメールが届く。
「こんばんは。今日は地元の「どんと祭」があり慰労会から今帰ってきました。さてモニター交流会の出欠の確認ということですがもちろん「出席」です。また皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。」
・宮城県亘理町の友人から交流会参加のメールが届く。
「おはようございます。寒波の連続来襲で毎朝縮み上がっているこの頃です。盛岡はさぞかし寒いことでしょう。さて、モニター交流会には喜んで参加させて頂きますのでよろしくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・岩手県農産物改良種苗センターから29日の講演に関する打ち合わせを電話で行う。300人を超える人が集まるという。この中から早期警戒システムのモニターに参加いただける生産者の方が出てくることを期待したい。演題は「農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心−」としよう。
・研究の成果をとりまとめる。場内の試験研究検討会が各部で始まる。
・編集長が独断で選ぶ2000年早期警戒システムの10大トピックが決まる。
第1位:小林 隆さんが4月から正式にチームメンバーとなる。
第2位:2000年東北農試公開シンポ『先人の知恵を活かす−自然を読み、稲と語り、そして心を耕す−』開催
第3位:緊迫した早期警戒監視活動−高温障害を無事回避−
第4位:モニター各位、理想生育型を実現。収量600kg、品質一等続出。
第5位:生産者やその関係者の研修訪問や講演依頼が急増する。
第6位:秋田県農業試験場佐藤 馨さん依頼研究員で3か月研修。
第7位:情報技術プロジェクト課題化に大騒ぎ、成功、しかし予算は少ない。
第8位:科学技術庁流動促進研究制度課題化に大騒ぎ、成功、そして予算は多い。
第9位:真夏の炎天下、航空機実験無事終わる。
第10位:7年間大きな冷害がこなかったので、大過なくチーム長の任期を終えそう。
【その他】
○1月16日(火)
【天気概況】
・強い冬型の気圧配置が続き、気温もかなり低い。日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターから交流会の参加するとのメールが届く。
「2月17〜18日のモニター交流会の件ですが、参加いたしますので宜しくお願いいたします。何年ぶりかの大雪に地域の道路の雪かきに奔走しています。屋根とかに30センチくらい残っています。この頃は寒くて雪が全然融けなくて困ります。聞いた話ですが18日の次の週、来町するそうですね。宜しくお願いいたします。今週の21日が集落の農家の総会、24日は酒米研究会の総会とパニックッテいますので、迷惑をかけてすみませんが宜しくお願いいたします。」
・宮城県松山町のモニター(イチゴハウス)に積雪に注意するようにメールを送る。日本海に発達した雪雲が庄内−最上−古川の線に流れ込む可能性もある。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・早期警戒システムで監視する各種障害発生の問題構造モデルとその利用法を整理する。現行の早期警戒情報の不備が良く理解できる。次年度に向けて改善方策をじっくりと検討したい。それに伴って監視マニュアルや技術情報の作成が必要になる。
・宮城県農業センターとプロジェクト研究の会議の持ち方を検討する。2月8日に合同で推進会議を行う予定。次期情報プロジェクトの研究内容も討議したい。
【その他】
○1月17日(水) 総合研究部研究成果部内検討会
【天気概況】
・寒波は続き、日本海側を中心に雪となる。気温は平年より2℃程度低い状態が続く。盛岡の早朝の気温は−14.0℃を記録する。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「相も変わらず大雪で、毎日大変ですが雪害だけは避けたいと頑張っています。交流会の件は了解しましたが、天候が落ち着くことを祈るばかりです。」
・宮城県松山町のイチゴハウスをもつモニターから午前2時頃メールが届く。
「おはようございます。メールを頂き有り難うございます。昨夜から警戒態勢に入っております。星空の中を雲が通過したりすることの繰り返しで断続的に雪が舞っています。しかし、今のところ、(1月17日AM2:00現在)積雪は10oまで満たないです。引き続き警戒したいと思いますので今後とも宜しくお願いいたします。」
・意見交換の広場にレンゲの問い合わせがあったので、概要を次のようにお知らせする。
「ご返事がないので、レンゲについてお知らせします。私は岡山市の生まれですが、小さい頃に田んぼのレンゲの花畑で遊んだことを懐かしく思い出されます。レンゲの原産地は中国の長江(揚子江)の南の湖水地域で約1000年の昔から栽培されていたようです。日本では、1700年代の初期には京都や近畿、筑紫や美濃などではレンゲが水稲の後に栽培され、家畜の飼料に用いられていました。さらにレンゲは温暖な地帯から次第に積雪寒冷地へと伝播し、明治時代の末期には青森、秋田と北海道を除く全国各地に広がっていきました。今はレンゲをみることは珍しいのですが、レンゲの栽培が衰退した原因は大きく次の3点があります。@化学的に合成された肥料が普及したこと、A輸入飼料の依存度の高い家畜飼養方法になってきたこと、B水稲の田植え時期が早まったことです。Bについては、昔はイネの田植えが6月でしたが、今は5月の連休時期となり、レンゲを植えておくと田植えに支障がでるからです。
さて、レンゲを植えてそれを田んぼの土に混ぜることは、次の大きく3つの利点があります。@レンゲの茎や葉には植物の栄養で重要な窒素が多く含まれているので、土壌中で容易に、かつ速やかに分解されて、化学的に合成された肥料と同じような速効性の有機質肥料であること。Aレンゲはマメ科植物なので、根粒菌の作用によって空気中の窒素を固定、利用する作物です。そのため化学的に合成された窒素を多く施すことが不要となります。Bレンゲの根は土中深く入り、土の下層に流れ出して貯まっている養分を吸収します。レンゲを土中に混ぜるとそれら養分が次に作るイネに利用されるのです。このほか飼料としては高タンパク飼料として家畜に利用されやすい特徴があります。以上、レンゲの概要をお知らせします。なにかご質問があればメールを下さい。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(16日):太平洋中緯度の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本列島東海域の海面水温が平年より著しく高い海域の水温はやや低くなる傾向を示す。日本海の海面水温は平年よりかなり高い状態が続く。ペルー沖の赤道域の海面水温は平年より低い状態が続く。
【研究活動】
・総合研究部の研究成果部内検討会が行われる。
・朝から雪が降り始め、アメダス受信アンテナを除雪する。
【その他】
○1月18日(木)
【天気概況】
・日本海に発生した低気圧が通過し、各地で雪となる。気温は平年より3,4℃低い状態が続く。
【モニターネットワーク】
・宮城県河南町のモニターからメールが届く。
「遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。こちらは、12月中旬頃から田んぼの雪が消えていません。暖冬と予想されていましたが、毎日氷点下の気温が続いております。この地域では大変珍しいことで、今年の稲作が心配されます。ご質問の件ですが、実を申しますと7年前までは普通のサラリーをしており、稲作についてはまだ技術的なものが良く分かりません。地域の方々やモニターの方々の情報、生育状況などを参考にしております。*各地のモニターの方々(意見交換の場)の情報や技術、農法が大変参考になります。*経営の規模、生産組織のあり方などが、自分のやる気を挑発させると思います。*新しい技術、情報をこれからも提供してください。あまり上手く話せませんが、人と人との情報交換、議論が一番と考えます。2月17日18日の件ですが、喜んで参加させていただきます。皆様とお会いすることを楽しみにしております。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・明日は4チーム関係のプロジェクトの研究成果検討会が行われるため、チーム内で成果を検討しその資料を作成する。まとめの緊張感がやや和らぐ。しかし、2月15,16日の外部評価会議まではその資料作りなどがたくさんある。
・4チーム担当研究課題の自己評価を行う。研究課題数が多く、チーム全員大変苦労したが、ほぼ概ね想定した成果が得られたと思う。一部課題は想定以上の成果が得られた。これもモニター各位や一般の方々のお陰である。感謝申し上げたい。
【その他】
・アクセス総数が69,000件を超す。
○1月19日(金) 早期警戒プロジェクトの研究成果検討会
【天気概況】
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから大雪に関するメールが届く。
「今週は毎朝5時半には起きて除雪することから1日が始まります。路肩には除雪した雪で1m程の壁が出来ました。明日は吹雪で埋もれたビニールハウスをつぶれてしまう前に掘り起こすつもりです。盛岡も随分積もったのではないでしょうか。それではまた。」
(返信:おはようございます。メールありがとうございます。ほんとうに大雪のようですね。除雪が大変でしょう。盛岡は寒さが厳しいです。雪はときどき降り、アメダス受信アンテナの除雪をたびたび行っています。このようなことは今までで初めてです。さて、昨日交流会の宿を前回と同じ温泉に予約しました。楽しみにして下さい。今回の議題は”わたしの稲作の理想型(仮題)”というテーマで皆様で議論したいと思います。木村さんはすばらしい省力低コスト直播き技術を紹介いただければと考えています。如何でしょうか。移植栽培でもいいですが。しかし、あのすばらしい直播きの稲は忘れられません。宜しくお願いいたします。)
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説がメールで届く。低温傾向は続く見込み。
【研究活動】
・早期警戒プロジェクトの研究成果検討会が午前中に行われる。多くの成果が得られたと思う。無事に最終年を終えたことを関係者に感謝したい。ご苦労様でした。次は2月中旬の評価推進会議に向けた資料づくりが始まる。
・4チームの課題の総括を行って、次期早期警戒システムの改良点が明確になった。時間的ゆとりができたら、少しずつ改良に取りかかりたい。
【その他】
○1月20日(土) 大寒
【天気概況】
・西から前線が近づき、徐々に天候が悪化する。気温は4,5℃低い状態が続く。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・プロジェクト研究の推進評価会議の資料づくりを始める。
【その他】
−−−−−−−−− 下旬 −−−−−−−−−
○1月21日(日)
【天気概況】
・低気圧が通過し、日本海側を中心に雪となる。盛岡も朝から雪となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「昨日、地元で農産物の直接販売についての講演がありました。そのとき、講師の先生から、これからの米の輸入は中国が大変脅威になると、話されていました。現在、日本から種子と、肥料と栽培技術を提供してジャポニカ米の増産に取り組んでいるとのことです。 中国黒龍江省、浙江省付近の気候と潜在水稲生産能力について詳しく教えてください。」
(明日は、東京で旧科学技術庁の研究ヒアリングがあるため、時間を少し頂くことにする。)
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(20日):太平洋中緯度海域の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本近海の海面水温は平年よりかなり高い状態が続く。ペルー沖の赤道域の海面水温は平年より低い状態が続く。
【研究活動】
・文部科学省において研究ヒアリングが明日あるために、資料を作成する。
・早期警戒システムの評価会議のための資料を作成する。
・朝から雪となり、アメダス受信アンテナの除雪を度々行う。
【その他】
○1月22日(月)
【天気概況】
・弱い冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に雪となる。西から低気圧が近づき天気は下り坂となる。盛岡でも昨日あたりから平年並みの気温となる。久しぶりに厳しい寒さが続いた。
【モニターネットワーク】
・東大阪市のモニターからメールが届く。急病で入院中とのこと、息子さんのパソコンをかりて病室のベットからメールを頂く。早い回復を祈念する。
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・推進評価会議の資料を作成する。
・文部科学省の予算ヒアリングのため東京へ。文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課の研究者養成専門官から「冷害に伴ういもち病の発生予測技術の高度化に関する研究」ヒアリングを受ける。文系出身とのことだが理解力は優れ、話を良く理解して頂く。今年も航空機実験が実施できそうだ。
・東北新幹線車窓からみると、モニターの多くが住む古川周辺は雪がかなり積もっている。珍しい光景に、ふとモニターの転作小麦の生育が心配になる。
【その他】
○1月23日(火) 山形・岩手統計情報事務所から早期警戒の視察
【天気概況】
・弱い冬型となり、日本海側を中心に雪となる。冷え込みは厳しい。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターから電話があり、落雷でパソコンの調子が悪いとのこと。近くのモニターが対応してくれている。モニター交流会には参加頂けるとのこと。
・意見交換の広場に難題が届く。
「始めまして。突然ですが、『稲の出穂性を支配する要因』と『北日本の稲の出穂性の特徴』
を詳しく教えてください。お願いします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から昨日3か月予報の解説がメールで届く。循環場が徐々に変わる模様。
【研究活動】
・情報技術プロジェクトの事前評価会議に向けて県・大学との調整を行う。
・早期警戒プロジェクトの事後評価会議の資料を作成する。
・東北農政局山形統計情報事務所生産・流通統計課と岩手統計情報事務所の方々が早期警戒システムの監視活動、システムの情報提供内容などの視察に来られる。1時間半程度意見交換を行う。
・岩手県農産物改良種苗センター専務理事が統計情報部対応中に訪問され、29日の種子生産者全体研修会の講演の参集範囲と人数のリストを頂く。生産者とJA関係者は290人に及び、男女は半々程度、合計320人。大きな集会にやや緊張する。女性用の話題も付加する必要がある。幸い新渡戸稲造は女性問題に先駆的な仕事をされた方でもあり、『農業本論』を再読したい。また宮澤賢治の女性観にも興味がもたれる。
【その他】
○1月24日(水) 全場研究成果検討会第1日目
【天気概況】
・冬型の気圧配置は弱まり、高気圧に覆われ天気は回復に向かう。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターから以前頂いた質問について回答する。
質問:「昨日、地元で農産物の直接販売についての講演がありました。そのとき、講師の先生から、これからの米の輸入は中国が大変脅威になると、話されていました。現在、日本から種子と、肥料と栽培技術を提供してジャポニカ米の増産に取り組んでいるとのことです。中国黒龍江省、浙江省付近の気候と潜在水稲生産能力について詳しく教えてください。」
回答:モニターから質問のあった次の点に関してお答えします。「中国黒龍江省、浙江省付近の気候と潜在水稲生産能力について詳しく教えてください。」
この地域は日本の東北地方のライバルになるか注目されているところです。中国東北地方は遼寧省、吉林省、黒竜江省からなり、北緯38度から54度までに分布します。ちょうど岩手県南部から北はサハリン北端の緯度に位置しています。黒竜江省の中心地ハルピンは稚内とほぼ同緯度ですが、大陸性気候のため秋の訪れは早いのですが、5月から7月の気温は札幌より2℃以上も高いようです。そのため同省の稲はハルピンより600kmも北まで分布しています。
稲作面積と反収:これら3省の稲作の発展はめざましく、合計作付面積は1949年の約27万ヘクタールから90年には163万ヘクタールと6倍に増えました。反収の増加も顕著であり、49年のヘクタール当たり約2トンから、90年には遼寧省で3.4倍、吉林省で3.0倍、黒竜江省で2.7倍と大幅に増加しています。黒竜江省は約3割程度が直播きのためやや低収となっています。
品種の変遷:遼寧省では、60年代に日本のミヨシ、シモキタ、レイメイが、70年代にトヨニシキが広く普及しました。最近ではハイブリッド品種も育成されているようです。吉林省では、解放以前は朝鮮及び北海道・東北品種が主に栽培されていました。50年代以降は省内の育成品種が普及するようになり、70年代には吉粳60号や長白6号が7割を占めていました。80年代にはシモキタ、ハヤニシキ、アキヒカリが普及し、85年にはそれら品種が5割以上占めたこともあります。今は省内で育成された品種が作付けされているようです。黒竜江省では解放以前は北海道品種であったのですが、省内で育成された品種が普及していたようです。最近はゆきひかり、きらら397など北海道品種も作付けられています。これら省内で育成された品種は日本品種特に東北以北の血が非常に濃いことが特徴です。
栽培技術:80年代に育苗が畑苗代となり、移植栽培が増えたこともあり反収は上がりました。最近では北海道や東北の農民や技術者が招かれ指導する機会も増えています。
中国東北部は稲作の適地であり、各省とも育種を中心に増産・良食味に熱心であり、今後日本産とほぼ同程度の品質になると予想されています。中国内の需要の大幅な増加も予想され、日本市場に出回るかどうかは予測困難ですが、ライバルになる可能性は十分あると考えられます。以上、概要をお知らせいたします。
・東大阪市のモニターからメールが届く。病気は順調に回復しているものと拝察。
「こんにちは鳥越さん。先日、病床でラジオを聴いていたら、侵略される前、南米のアンデスの地方の農民は「すばる」の見え方(ハッキリ見えるか、どうか)で半年後の天候を予測し、作付けの参考にしていたようです。しかしそれは単なる占いでなく、科学的な根拠があった事が解った。そして今も「スバル」を見るのがお祭りと云うかたちで残っている、という話でした。確かに日本で「すばる」を見てもハッキリとした星より輪郭がぼゃ〜とした星団に見える事が多いですね。日本でも農事の参考にしていたのでしょうか、先人たちの知恵には感心する事ばかりです。日本の天候はエルニーニョの影響を大きく受け、「たしろの滝」での農事予測もエルニーニョが影響か、と考えれば地球は小さいですね。NOAA衛星で海面温度を監視してエルニーニョの発生を知る事ができる現在と、「すばる」の見え方の変化で気象の変化を知っていたアンデス地方の農民との違いはなんだろう。いま、「すばる」の見え方とエルニーニョの発生の関連が解り、本気でスバルを見上げている科学者いるとかいないとか。」(返信:おはようございます。興味深い情報ありがとうございます。私も以前メキシコ市郊外に住んでいたので、中南米にはとても親しみがあります。当時買った蔵書をひもといて調べてみます。「スバル」で予測とはとても面白いですね。病気の回復に支障を来さない程度にメールを下さい。病気になると、自然の暖かみを強く感じるのではないでしょうか。早く退院できることを祈念しています。)
・意見交換の広場に次のようなメールが届く。
「以前は小林福蔵さんの件有り難う御座います。分からない用語がたくさんあり先生に聞いたり、本を読んで調べたりまだまだ知識不足を痛感しました。今回は、テレビでフェロモンを使った害虫駆除方法というのが放送されていました。このようなものがあるのかと関心していたのですが、もっと早く農業の時事問題について知りたいなと思っています。良い本(月刊誌等)などがないかなと探しているところなんですが、何か、お勧めの本がありましたら教えて下さい。お願いします。」
・宮城県松山町の大麦を作っているモニターからメールが届く。
「おはようございます。メールをいただき有り難うございます。こちらはこの所毎日晴天が続いていますけれども、積もった雪はなかなか融けてはくれません。平年と比べ気温も低い為でしょう。そのため雪がちらつくとハウスが心配になります。大雪以来、雪に振り回されています。田圃は一面銀世界、大麦もどこに蒔いたのか分からないくらいです。年内は順調に生育していましたが、今はどうなっているか分かりません。本来なら麦踏みをしていなくてはいけないのですがどうにもなりません。だだ、昨年と違うのは鳥害にあわないことです。雪がもたらしたせめてもの救いです。我が家でも暮れから今年にかけてハウス1棟立てたところです。これからも順次たてていくのですが苺とホーレン草の収穫、厳寒期の管理更に雪対策となかなか仕事が進みませんが、何とかやりくりしながらやっていこうと思っています。交流会、楽しみにしています。」
・昨日の出穂期に関する質問に回答を作成する。
「メールありがとうございます。質問:『稲の出穂性を支配する要因』と『北日本の稲の出穂性の特徴』を詳しく教えてください。次のようにお答えいたします。
稲は日本では北海道最北の一部を除いて、全国で栽培が可能となっています。出穂期を決める気象的要素は日長と気温です。稲の一生は発芽から穂の分化するまでの栄養生長期間と穂の分化から出穂までの生殖生長期間、出穂から成熟までの登熟期間の大きく3つの時期に分けられます。このうち、品種で大きく異なるのは栄養生長期間で、生殖生長期間や登熟期間は大きく変わりません。品種の早晩性はこの栄養生長期間の違いが反映されます。
では、栄養生長期間はどのように決まるか。稲はもともと短日植物に分類され、夏至のあと昼間の時間が夜間よりも短くなると花成物質が蓄積され穂が分化するといわれています。栄養生長期間は次の2つに分けられます。すなわち、発芽後の基本栄養生長性の期間と感光性の期間です。基本栄養成長性とは発芽してから穂が分化するまでの最短の期間を言います。感光性とは基本栄養生長性に加えて、穂の分化までにさらに要する時間を言います。この期間の長短は日長に感じる強さによっています。したがって、品種の早晩性は、基本栄養成長性の大きさと感光性の強さによって表します。なお穂の分化は観察が容易ではないので、出穂期によって早晩性が簡便な指標として使われています。
さて、北日本の稲の出穂性の特徴ですが。北海道から九州までの品種を一地域に集めて栽培すると、出穂期の早晩に一定の序列ができます。北海道品種が極早生であるのは、基本栄養成長性が小さく、感光性が弱いためです。東北・北陸の品種は基本栄養成長性が大きくても、感光性が比較的弱いために、早生ないしは中生となります。関東地方から南の品種は基本栄養生長性が小さいか中程度の大きさで、感光性も強いために中生ないし晩生となります。九州の品種は感光性が特に強く、極晩生となります。このように基本栄養性と感光性が大きく関与しているのです。
最後の東北に分布する稲について考えてみます。東北の代表的な品種を盛岡に集めて栽培した場合を考えます。これらの稲の早晩性は栄養生長期間の長短によって出穂期が異なります。ホームページの『生育・作柄情報』−『発育予測情報』−「東北農試厨川圃場」にある12品種の葉齢進度予測情報をみて下さい。ここに出穂期の最も早い「かけはし」から最も遅い「コシヒカリ」まであります。「かけはし」の主稈葉数は不完全葉を含め13枚、「あきたこまち」同14枚、「ひとめぼれ」同15枚、「コシヒカリ」同16枚のように、栄養生長期間の長短は主稈に分化する葉の枚数と関係があります。葉の分化と発育は稲の固有の規則性がありますので、1枚の葉が分化して生長する過程に要する期間(日数は気温に大きく影響されるため)、ここでは有効積算気温で評価していますがほぼ一定となります。以上のようなことで、稲の出穂期が決まり、北の稲の出穂性の特徴をご理解いただけるものと思います。さらにご質問があればメールを下さい。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(23日):北半球太平洋域は中心部を除いて海面水温が平年よりかなり低くなる。日本近海の海面水温は平年より高い状態が続く。ペルー沖の赤道海域の海面水温は平年より低い状態が続く。
【研究活動】
・モニター交流会の準備を始める。
・全場研究成果検討会が始まる。
【その他】
○1月25日(木) 全場研究成果検討会第2日目
【天気概況】
・高気圧に覆われて放射冷却のために冷え込む。西から低気圧が徐々に近づく模様。
【モニターネットワーク】
・東北農政局山形統計情報事務所からお礼のメールが届く。
「23日農試に伺いました山形統計情報事務所です。お忙しい中、ご説明をいただきましてありがとうございました。山形に戻り、早期警戒システムのページを見ましたが、編集長日誌にさっそく書き込みがあるのにまたしても感服。統計事務所では情報センターを設けておりまして、子供(1学期に小学5年生からが多いのですが)から農業とくに稲についての質問が寄せられます。中には専門的な質問があり、回答するのに四苦八苦もたびたび。今度、メールでお聞きしますのでその際はよろしくお願いします。」
・意見交換の広場にお礼と質問が寄せられる。
「詳しく教えていただき、真にありがとう御座いました。お言葉に甘えて、また質問させていただきます。小麦に関することなのですが、よろしければ「小麦の進化における倍数化の役割」について教えてください。よろしくお願いします。」(全場研究成果検討会のため少し時間を頂くことにする。)
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。毎日寒い日がつづいていましが、いかがおすごしですか? 毎日、飽きずに凍り豆腐をつくっています。屋根上には50cmの雪があります。農業施設には被害はありませんでした。一安心です。それでは!」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・全場研究成果検討会が行われる。当チームからは「モニター情報ネットワークを活かした水稲冷害早期警戒システム」を仙台管区気象台、東北農政局および管内6県の共同で提案し、採択される。
【その他】
○1月26日(金) 東北農政局関係者来室
【天気概況】
・高気圧に覆われ概ね晴れの天気となる。寒さも徐々に緩む。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「先週末は除雪に明け暮れてしまいました。ビニールハウスの除雪も何とか間に合い、無事でした。しかし、近所のハウスで除雪しなかったところは押し潰されてしまった物もあります。重労働ではありましたがやって良かったと思っています。今週に入ってからは穏やかな天気が続き、屋根に積もった雪も大分融けてきました。でもこれから一番寒くなる2月を迎える訳で、2001年の冬は近年にない厳しいものとなりそうです。それから交流会の際に直播きについても意見交換できるとの事、とても楽しみにしております。私に出来る事であれば喜んでさせて頂きます。」
・意見交換の広場にある質問に答える。
「メールありがとうございます。次のご質問の件ですが、興味の範囲で異なりますのでご紹介だけいたします。
<質問>以前は小林福蔵さんの件有り難う御座います。分からない用語がたくさんあり先生に聞いたり、本を読んで調べたりまだまだ知識不足を痛感しました。 今回は、テレビでフェロモンを使った害虫駆除方法というのが放送されていました。このようなものがあるのかと関心していたのですが、もっと早く農業の時事問題について知りたいなと思っています。良い本(月刊誌等)などがないかなと探しているところなんですが、何か、お勧めの本がありましたら教えて下さい。お願いします。
<回答>月刊ですと、次のようなものがあります。私がよく参考にするものです。
『農業及び園芸』養賢堂。1,300円
『農業技術』農業技術協会。?
『農業と経済』富民協会。780円
『植物防疫』日本植物防疫協会。920円
『機械化農業』新農林社。560円
『現代農業』農文協。800円
『食糧ジャーナル』食糧問題研究所。13,000年(年間)
『今月の農業』化学工業日報社。865円」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
・仙台管区気象台から1か月予報の解説が届く。気温は今後平年並みに推移すると予想されている。
【研究活動】
・推進会議資料・情報技術プロジェクトの推進関係の資料作成に追われる。
・東北農政局の関係者が来室、東北独自で取り組んでいるアグロキーテクのまとめについて打ち合わせる。
・早期警戒プロジェクトの評価会議用資料を作成する。
・西から発達した雨雲が徐々に近づきつつあるので、イチゴハウスを多棟もつ松山町のモニターに雪に警戒するようメールする。
・新渡戸稲造と宮澤賢治との接点のある佐藤昌介の『世界農業史論』(昭和51年発行)を蔵書から引き出す。「明治大正 農政経済名著集の刊行にあたって」の紙片を見つける。編者のことば:先人の思想に学ぶ(編者:近藤康男東大名誉教授)がそこに書かれている。「明治から大正、諸制度は一応近代化したが、社会の基底に古いものが残された。農村からの収奪によって日本資本主義は栄えたが、低労賃と農民の貧困は国内市場を狭め、ソシアルダンピングの商品輸出となり、ついに太平洋侵略戦争へと続いた。禍根は農業軽視である。「古今東西、農業を忘れて商業貿易に立つ国にして滅びざるはなし」と喝破した先人の教訓を空しくしたからである。戦後三十年、いま進行しつつある事態は、明治、大正時代に犯した誤りを拡大再生産しているのではなかろうか。資本蓄積は更に速く、農業の破壊は一層はげしい。軌道の修正がなくてはならない時である。ここに明治、大正時代の先人の本を選んで発行することの意義は、広範な人々がこの今日的課題を自分自身の課題として意識するのに役立つところにある。私は、採り上げる本を次のような考えで選んだ。第一 農政経済に関した本といっても、広く農業、農村問題を社会科学的に接近しようとする本のなかの名著を選んだ。個別問題の研究か、総括的な著作かは問わない。第二 主観的観念論を排し、科学的に現実を直視する姿勢をもって、上からの「指導的」農政に対する批判的精神に満ちたものを選んだ。農民運動家の手になる本を加えたのも同じ意味である。第三 選んだ二十冊をいかに読むべきかは、各巻の解題に任せたい。本シリーズが、現代の問題の正しい認識をしたいと考えている人達に、何かを与えるに相違ないことを告げて、編者の辞としたい。」
【その他】
○1月27日(土)
【天気概況】
・低気圧が列島南岸を東に進み、太平洋側では雪となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。メールを頂き有り難うございます。この所の晴天と寒さの緩みでハウスの回りの雪も大部融けました。この分だとまた大雪になっても対応出来そうです。今日からまた警戒態勢に入ります。今後とも宜しくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・意見交換の広場に小麦に関する質問が来たので、久しぶりに小麦について勉強する。
・月曜日の講演のために内容を再検討する。
【その他】
○1月28日(日)
【天気概況】
・低気圧が通過し、冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に雪となる。盛岡も早朝から雪となる。
【モニターネットワーク】
・意見交換の広場に来た質問に答える。
「 メールありがとうございます。会議が多くあり、返事が遅れて申し訳ございませんでした。さて、小麦の進化における倍数化の役割ですが。まず、コムギ属の小穂は4〜6の小花で構成されますが、そのうち最も基部の1小花だけが結実するもの、2小花だけが結実するもの、3〜4小花が実るものに分かられます。それぞれ1粒系、2粒系、普通系と呼ばれ、分類の大きい目安とされています。またこれら3系は、染色体がそれぞれ2倍体、4倍体、6倍体であり、染色体ゲノム構成はそれぞれAA、AABB、AABBDDとなっています。進化の過程は、ヒトツブコムギ(AA)とヤリホコムギ(BB)が自然交雑してエンマコムギ(AABB)が生まれ、次にエンマコムギとタルホコムギ(DD)が自然交雑して、現在広く栽培されている普通系コムギ(パンコムギAABBDD)が生まれたと言われています。ヒトツブコムギは栽培種のなかではもっとも原始的なもので、ヨーロッパでは新石器時代から栽培されていたといわれています。現在は主に飼料として地中海沿岸の小アジア、クリミヤ地域の他、ドイツ、スペインなどに極少量栽培があります。エンマコムギはヨーロッパでは新石器時代から栽培されていたといわれています。現在はパンコムギに取って代わられ、局所的に飼料として残っていますが、栽培はほとんどありません。なお、タルホコムギは野生種です。このように現在広く栽培されているパンコムギはコムギ属植物の長い進化の過程で自然交雑を繰り返して生まれてきたといえます。」
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・アメダス受信アンテナを早朝から度々除雪する。
・明日の講演『農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心−』の準備を行う。
【その他】
○1月29日(月) 岩手県種子生産者全体研修会講演
【天気概況】
・冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に雪となる。盛岡も早朝5センチ程度の積雪がある。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(日):
【研究活動】
・岩手県農産物改良種苗センターが主催する「岩手県種子生産者全体研修会」に参加し、『農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心−』の講演を行う。300人を超える聴衆が静かに話に聞き入っていただいた。早期警戒システムの紹介パンフも配布したので、モニターに参加していただける方が現れることを期待したい。
【その他】
○1月30日(火)
【天気概況】
・日本海に低気圧が発生し、通過する。北部日本海側を中心に雪となる。
【モニターネットワーク】
・意見交換の広場に次のような質問が届く。
「はじめまして。早速ですが質問させていただきます。植物の病気や害虫に対する防御反応について詳しく知りたいのですが教えていただけますか?よろしくおねがい致します。」
(かなり専門的な知識が必要なので、チーム内では専門の小林さんに返事をお願いする。)
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(27日):太平洋中緯度の海面水温は平年より高い状態が続く。日本列島近海には海面水温が平年よりかなり高い暖水塊が依然として居座る。ペルー沖に熱帯海域の海面水温は平年より低い状態が続く。
【研究活動】
・早期警戒プロジェクトの評価会議資料を作成する。例年のことながら、かなりの分量の資料となる。
・モニター交流会の準備に入る。今年始めて出席される方に書類を依頼する。12名の参加となる。
・宮城県松山町を管轄するJAから『平成13年産米を考える集い』の講師依頼が公文で届く。2月25日に開かれ、演題は「気象変動に即した安定稲作について」とある。
・岩手県石鳥谷町の“たろし滝”計測保存会会長の板垣さんから、2月11日に計測を行うとの連絡が電話で入る。
・東北農政局の関係者から野田千尋著『大隅路の田ノ神像』が届く。新渡戸稲造の『農業本論』の末尾にある「春田うつ夏の苗とる朝より 秋の夕をまもる田の神(神舞歌)に関係して蔵書の中から探して送っていただけたものである。
・秋田県農業試験場からの依頼研究員佐藤さんの研修が終わる。チーム内で成果発表会と送別会を行う。県レベルになると研究蓄積が多くあるので、4月からの情報発信が期待される。
【その他】
○1月31日(水) 秋田県農業試験場佐藤さん研修修了証書授与
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね穏やかな天気となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・NOAA海面水温平年偏差図(30日):太平洋中緯度の海面水温は依然として平年よりかなり低い状態が続く。日本近海にある海面水温が平年よりかなり高い暖水塊は依然として居座る。本州の南海域の海面水温は平年より低くなる傾向がみられる。ペルー沖の赤道域の海面水温は平年より1℃程度低い状態が続く。
【研究活動】
・モニターの皆さんに交流会の開催要領をメールでお送りする。本年の主要検討事項を「私の考える理想生育型と稲作」で提案する。篤農技術・秘密の技などを引き出せたら興味深いのでは。
・公開シンポでお世話になった大阪経済大学日本経済研究所長の徳永さんから著作『日本農法の天道−現代農業と江戸期の農書』が送られてくる。公開シンポと白鳥さんの寒だめしのことが書かれている。
・秋田県農業試験場佐藤さんの修了証書の授与式が場長室で行われる。3か月という期間は長いようで短い。
・早期警戒と管内4県のプロジェクトの合同推進会議資料を作成する。
・農林水産省のネットワークシステムが更新されるため、各種作業が必要となる。早期警戒システムのホームページが順調に移行されることを願う。トラブルが起こるかも。
【その他】
torigoe@tnaes.affrc.go.jp