水稲冷害研究チーム
2001年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
8月
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○8月1日(水)
【天気概況】
・前線が東北に停滞し、天気はぐずつく。太平洋側北部にはやませが吹く。オホーツク海高気圧は徐々に南下する気配。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「亀の尾の出穂期(50%出穂)は7月31日と判断します。H12年より4日遅れています。直播きササニシキ圃場は7月29日観測で13.2葉。ササシグレは今週中に出穂期を迎えそうです。」
・一般の方から次のような問い合わせのメールが届く。
「北海道、東北の天候が不順ということもあり、よくHPを参照させて頂いております。初歩的なことで申し訳ないのですが少しお伺いしたいことがあります。冷害の影響というものは生育ステ−ジによって、そのダメ−ジは変わってくるというのは素人ながらわかるのですが、もう少し細かく教えて頂けないでしょうか?(例えば減数分裂期や穂ばらみ期、開花期でもダメ−ジが違うと思うのですが、その度合い等とかも教えて頂けるとありがたいのですが・・・)また、できれば東北6県が、どの生育ステ−ジとなっているのか、少し細かく現場サイドから教えて頂けると大変助かります。」(回答)「メール頂きました。生育ステージと低温被害の程度は早期警戒情報の気象監視のポイント(アイコン)をクリックすると、そこに『夏作減収推定尺度−冷害(1)』から作成された図があります。それをご参照下さい。また生育ステージがどうなっているかは、生育・作柄情報−発育予測情報−穂の発育予測編に、盛岡の生育作柄診断試験区、モニター圃場、アメダス監視地点のものがあります。ただ、新システム移行のため一部不具合や福島県の情報がありません。これらの情報をみて頂くと概要が把握できると思います。なお、既に上の情報をみておられて、的はずれな回答となった場合は再度メール頂けませんか。よろしくお願い致します。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(30日):日本列島東海域の海面水温は平年よりかなり高くなっていたが、やや低くなる傾向がみられる。エルニーニョ監視海域の海面水温はやや低くなる傾向がみられる。フィリピン付近の海面水温は平年よりやや低い状態が続く。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(日):
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(31日): 4日頃から太平洋高気圧が南から張り出しを強める予想。
・気象庁週間予報支援図(31日):今後北日本上空へかなりの低温が入る予想。地上気圧配置酔おうによると、オホーツク海高気圧が3日頃まで影響し、その後寒気を伴った低気圧が東北を通過、その後またオホーツク海高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・葉いもち予察情報:岩手県内陸南部、秋田県内陸南部、福島県中通りに感染好適条件や準感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:ほぼ全域で可能。
・低温障害が懸念される地域:岩手県北部で心配される。
・日射量不足域:岩手県沿岸部と宮城県山沿いは日射量不足となる。
・極端な最低気温域:太平洋側を中心に17℃以下の低温に遭遇する。
・開花・受精に不適な気温域:太平洋側を中心にやや不適な気温が続く。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸北部に低温注意報が出される。
・青森県は穂いもちの注意報を27日付けで発表する。
・岩手県は斑点米カメムシ類に関する注意報を27日付けで発表する。
・仙台管区気象台から7月の天候のまとめがメールで届く。キーワードは、東北北部の高温・多雨・寡照、東北南部の高温・少雨・多照である。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「むつほまれ」「つがるロマン」の出穂期は7月31日、8月1日と推定される。「あきたこまち」の出穂期は3日となる見込み。
【その他】
○8月2日(木) 強いやませが入る
【天気概況】
・オホーツク海高気圧が関東付近まで張り出し、太平洋側を中心に気温が下がる。
・午前5時の気温は、北部と太平洋側を中心に20℃以下となる。北部太平洋側では16℃程度まで下がる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターに水害を受けなかったかメールで問い合わせる。その回答が届く。
「とりあえず、私の所は被害がありませんでした。数日前まで、水不足の心配をしていましたが、一転して河川は大洪水状態です。場所によっては、水路の決壊や冠水があったと聞きます。」
・一般の方から次のような問い合わせがある。
「猛暑の年は冬になると大雪という説はありますか???」(回答)「私には分かりませんが、ホームページにある仙台管区気象台が2000年10月10日に発表した“寒候期予報”の中の日本海側降雪量の平年比と同2001年3月12日発表の“暖候期予報”の中の夏の平均気温平年偏差を見比べるとご質問の解析が可能と思います。ご検討下さい。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(1日):エルニーニョ監視海域の海面水温は正偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(1日): 低気圧が通過後、6日頃から偏西風の蛇行が大きくなり、オホーツク海高気圧が平成される予想。ブロッキングの形になるか。
・気象庁週間予報支援図(1日):偏西風は5日頃から大きく蛇行し、ブロッキングが発生する可能性を示唆する。北日本・東日本上空には今後ともやや強い寒気が入る予想。地上気圧配置の予想によると、4,5日頃一時的にオホーツク海高気圧が後退するが、その後再度張り出しを始める予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・葉いもち予察情報:青森県太平洋側、山形県内陸、宮城県南部に感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:ほぼ全域で可能。
・低温障害が懸念される地域:岩手県北部などで心配される。
・日射量不足域:青森県、岩手県、宮城県、秋田県北部で日射量不足となる。開花・受精には不利な条件となる。
・極端な最低気温域:岩手県全域と福島県阿武隈山系に検出される。
・開花・受精に不適な気温域:岩手県北部から青森県にかけて不適な温度域が広がる。これから出穂・開花・受精期を迎える。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸北部には引き続き低温注意報が出される。
・福島県のコシヒカリを除いて、各地で一斉に出穂が始まる見込み。
【研究活動】
・アメダス監視地点における積算気温法による発育情報の作成が終わる。
・5日に開かれる岩手県くじ地域ふれあい農業体験学習の講演資料を作成する。『農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心』の小学生版を作成するが、やや難しいところもある。ご父兄に手伝ってもらえば、どうにかなろう。
・青森県六戸町の小林さんと電話で話す。小林さんの稲は走り穂からやや進んだところだという。昨日からの低温でまだ開花しないようだ。この不順な天候を心配されている様子。低温が解消され、花が一斉に咲く頃に伺いたいものだ。
・生育作柄診断試験区の開花の状況を10時半頃に観察する。盛岡の午前10時の気温は19.8℃、ちらほらと開花しているが、出穂は進んでいない様子。
【その他】
・昨日の降水量は、江刺216ミリ、北上168.5ミリ、若柳142ミリ、横手178ミリ、角館130ミリなどを記録する。冠水の被害も聞かれる。
○8月3日(金) 強いやませが入る
【天気概況】
・オホーツク海高気圧の中心は南下し東に移る。太平洋側を中心に低温が入る。
・午前5時現在、多くの監視地点で気温が20℃を下まわり、太平洋側北部は16℃程度まで下がる。
・午前8時、オホーツク海高気圧の中心が南下したため、青森県太平洋側に日差しが戻り、気温は20℃を超す。
【モニターネットワーク】
・メールシステムにトラブルが発生、早朝の情報更新に支障をきたす。
・山形県鶴岡市のモニターから生育データがメールで届く。
「8月1日の生育調査の結果をお送りします。<はえぬき>草丈83.0cm、茎数29.2本/株、葉令13.4L(不完全葉含む)、止葉展開 現在出穂期。<ひとめぼれ>草丈81.4cm、茎数28.0本/株、葉令13.6L(不完全葉含む)、止葉展開 2日後出穂期。<コシヒカリ>草丈82.4cm、茎数27.0本/株、葉令13.4L(不完全葉含む)、14枚止葉 10日頃出穂。<直播 はえぬき>草丈82.8cm、茎数580本/平方メートル、葉令13.4L(不完全葉含む)、一部止葉展開 10日頃出穂。強い東風(ダシ)で葉先を痛めつけられた稲も出穂期を迎えました。朝夕はいもちや虫の防除で皆さん天気とにらめっこです。最近東風の日が多く気になります。何とか無事出穂することを祈る毎日です。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(2日):エルニーニョ監視海域の海面水温は正偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(2日): 6日頃に東海上からオホーツク海にかけて気圧の尾根が形成される予想。
・気象庁週間予報支援図(2日):低気圧が通過した5日頃からオホーツク海付近に高気圧が形成され、北日本と東日本の上空にかなり強い寒気(−4〜5℃)が8日頃まで入る予想。地上気圧配置の予想では、今日から明日にかけて低気圧が通過、その後オホーツク海高気圧が広く日本を覆う予想。また台風9号は10日頃に関東付近に接近する予想となっている。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(3日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで部分的に南下。
・葉いもち予察情報:全県的に感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:青森県太平洋側、岩手県北部を除く地域に可能域がある。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部で懸念される。
・日射量不足域:福島県を除く全域が日射量不足となる。
・極端な最低気温域:岩手県北部と青森県下北半島は17℃以下の最低気温に遭遇。
・開花・受精に不適な気温域:青森県と岩手県では不適な温度が続く。出穂・開花の遅延が心配される。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸北部に低温注意報が継続して出される。
・仙台管区気象台は昨日、低温に関する情報を出す。
【研究活動】
・開花・受精期低温障害の問題構造モデル−監視のポイント−を作成する。この時期の低温は、@出穂遅延による遅延型冷害、A開花受精障害による障害型冷害、さらにはB穂いもちの多発によるいもち型冷害の最大の危険期といえる。
・生育作柄診断試験区の出穂は停滞気味となる。圃場では寒さを感じる。
【その他】
○8月4日(土) 早期警戒情報第15号
【天気概況】
・前線が南部に停滞し、南部を中心に天気がぐずつく。一時的にやませがおさまる。
・低気圧が東海上に抜けたため、午後3時頃から太平洋側にやませが入り始める。
・東アジアの雲監視画像に台風9号の巨大な雨雲が現れる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(2日):エルニーニョ監視海域の海面水温はおおむね正偏差、一部負偏差になる。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(日):
・気象庁週間予報支援図(3日):北日本・東日本上空には7日頃までかなり強い寒気が入る予想。地上気圧配置予想によると、7日頃からは北に偏った高気圧の影響を受ける模様。台風9号は10日頃関東地方に近づく予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(4日):海面水温が15℃以下の親潮が岩手県久慈沖まで南下する。
・葉いもち予察情報:岩手県、宮城県などで感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:青森県太平洋側を除いて全域で可能。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と岩手県北部。
・日射量不足域:青森県、岩手県、秋田県、宮城県と山形県北部で日射量不足が続く。
・極端な最低気温域:青森県太平洋側と岩手県北部にやや強い低温が入る。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側と岩手県中部と北部は不適な気温となる。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸北部には低温注意報が継続して出される。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「あきたこまち」が出穂期に達する。穂の出方が不揃いだ。
・早期警戒情報第15号を作成する。開花・受精障害と穂いもちが心配される。
・気温が上がったため、盛岡周辺の水稲が一斉に穂を出し始める。花粉を飛ばした葯の白さが目立つ。
【その他】
○8月5日(日) ふれあい農業体験学習、普代村モニター訪問
【天気概況】
・オホーツク海高気圧の影響で太平洋側では気温が下がる。
・午前5時現在、いわきを除く監視全地点で20℃を下回る。小田野沢と六ヶ所では15℃を割る。
・台風9号は巨大な雲の渦に成長し、日本列島に向かう。
【モニターネットワーク】
・岩手県普代村のモニターからメールが届く。
「メールを有り難うございます。小生、7月一杯で麦の選別とソバの播種作業を終え、馬鈴薯の収穫が始まる8月9日頃まで、最も暇な一時期を送っています。当地は、先月30日以降、天候不順な日々が続き、盛夏というのに最高気温が17.8度と別天地の趣です。昨日までの約2週間、「海が近い」のをほとんど唯一の理由に当地を選んだ秋田県出身の農業実習生が泊まり込みで来ていましたが、この寒さに呆れ返って帰りました。未だに紫陽花が色鮮やかに咲いていますが、この時期にこんなに鮮やかな紫陽花を見たのは、多分9年ぶりのことだと思います。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(4日):日本列島東海域の海面水温はやや下がる傾向がみられる。エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より高い傾向がみられる。フィリピン付近の海面水温は平年よりやや高い。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(4日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差となる。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(4日):9日頃までは東海域からオホーツク海にかけて気圧の尾根が形成され、その後南から太平洋高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(4日):今後とも北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。台風9号は日本の東海上を北上し、12日頃東北東海域に達する予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(5日):海面水温が15℃以下の親潮は部分的に岩手県久慈付近まで南下。
・葉いもち予察情報:秋田県大潟村周辺に感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:ほぼ全域で可能。
・低温障害が懸念される地域:岩手県北部と青森県下北半島で懸念される。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:岩手県北部・沿岸部と青森県太平洋側でかなりの低温が入る。
・開花・受精に不適な気温域:青森県と岩手県、秋田県鹿角付近が不適な温度となる。
【研究活動】
・岩手県久慈市の公共牧場で開かれた「農業体験親子ふれあい学習事業」で約100人の小学校の親子に“やませと地域農業:稲の冷害−農を貴しとする新渡戸稲造と宮澤賢治−”と題して講演する。昼食をみんなと共にバーベキューで楽しむ。
・近くの普代村のモニターを訪ねる。いつものことだが、お会いしてみると想像していたとおりの人柄がそこにある。普通畑作物を基幹として約30ヘクタールの経営を実現している。雑草の多い開拓地で除草剤を使用しない管理法を確立されているのに驚かされる。作業室は私の理想とするような庵のようで、オーディオからはクラシック音楽が流れ、書棚内は本がいっぱいある。洋書も数多く並ぶ。翻訳を仕事にされていて、8年前に入植され、多くの苦労を経て安定的な経営を確立されている。私と同じような髭をもつ。家内曰わく、髭同士楽しそうでしたね。
・岩手県宮古付近ではやませが入り、気温が16℃程度。北上山中の稲は未だ出穂をしていない。
【その他】
○8月6日(月) 生育作柄診断試験区の生育調査
【天気概況】
・オホーツク海高気圧の影響で太平洋側では気温が下がる。
・午前5時現在、いわきを除く監視全地点で20℃を下回る。小田野沢と六ヶ所では15℃を割る。
【天気概況】
・オホーツク海高気圧が北から張り出し、太平洋側を中心に気温が下がる。
・午前5時現在、いわきを除き気温が20℃を下回る。青森県太平洋側、岩手県北部・沿岸部、秋田県北部内陸部は気温が15℃を下回る。十和田は12℃程度まで下がる。
・午後から強いやませが入り始める。
【モニターネットワーク】
・岩手県普代村のモニターにお礼のメールを出す。
「おはようございます。昨日はお忙しいところ、時間を頂き感謝申し上げます。荒木さんの人柄は私が予想していたものとぴったりでした。大規模畑作経営に情熱を燃やしておられる姿、とても勇気づけられました。農業は本当に貴重な産業です。今後とも頑張って下さい。陰ながら応援致します。今後ともよろしくお願い致します。」
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「はえぬき、ひとめぼれとも出穂期を迎えています。日中の天気は良いのですが夜間の気温の低さが気になります。障害の出るほどの低さではないことを期待しているところです。ところでだだちゃ豆のシーズンになり、鳥越さんチームの皆様にもご賞味頂きたくお送りいたしました。今年はキリンビールのCMで女優中山美穂さんが出演するシリーズでだだちゃ豆が取り上げられ話題になっています。」
・一般の方から次のような問い合わせのメールが届く。東北農政局に問い合わせて、助けてもらう。
「今、大学の研究で愛知と宮城のイネについて調べています。宮城県におけるお米の一人当たりの年間消費量を知りたいのですが、教えていただけないでしょうか。ちなみに愛知県は一人年間65.1キロ消費しています。(平成12年)よろしくお願いします。」(回答:東北農政局に調べてもらいました。その結果、公表データは「食糧需給表(平成11年度版、平成13年3月農林水産省総合食料局食料政策課)」だけで、都道府県別には公表されていないとのことです。それによると、国民1人・1年当たり米の供給純食料はうるち米65.1キロとあります。都道府県別米の1人当たり年間消費量はどのような資料から得られるのか不明です。取り急ぎ、ご回答申し上げます。)
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「こんにちは、夜間の冷え込みに心配している毎日です。あきたこまちは、5日に出穂期(50%出穂)を迎えました。スノーパールは、3日に走り穂していました。はえぬきは、葉耳間長が3〜5cmです。今年は、出穂がまばらで(あきたこまち)穂揃いまで時間がかかりそうです。最近の、低温が影響していると考えていますがどうでしょう?先の雨で、用水の心配が無くなり、夜間灌水で水温の上昇を心掛けていますが、水温(用水)の低さも気になります。幸い、日中はやや暖かいので、開花はしていますが・・・不稔の心配も拭えません。いもち病等は、気温の低さも手伝って進んでいませんので、こちらは安心しています。ただ、カメムシ(水田と違って大きい種類)は畑にも多く、今まで居なかったことを推測しても、大発生の心配があります。細心の注意を払って、防除に望みたいと考えています。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(5日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(5日):偏西風は北上し、10日頃から南の太平洋高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(5日):今後とも北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。北日本・東日本上空へは8日頃までかなり強い寒気が入る予想。地上気圧配置の予想によると、8日まではオホーツク海高気圧の影響、9〜11日は台風9号が列島東海域を北上する、その後オホーツク海高気圧が張り出す予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(6日):海面水温が15℃以下の親潮は北海道襟裳岬付近まで北上する。
・葉いもち予察情報:盛岡周辺に感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:ほぼ全域で可能。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部で懸念される。
・日射量不足域:日射量不足は解消され始める。
・極端な最低気温域:岩手県北部ではなかりの低い最低気温となる。青森県太平洋側、岩手県、福島県阿武隈山系、秋田県鹿角などはやや低い最低気温となる。
・開花・受精に不適な気温域:不適な条件は青森県、岩手県、宮城県、福島県浜通りに広がる。
・青森県太平洋側・岩手県全域・宮城県全域・福島県浜通りに低温注意報が出される。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の生育調査を行う。穂数は例年よりかなり少ない。「めんこいな」「まなむすめ」「ひとめぼれ」「ササニシキ」「はえぬき」に走り穂がみられる。「むつほまれ」「つがるロマン」の穂揃い期は8月5日と6日となる。「かけはし」は穂がやや傾きかける。
【その他】
・新聞報道によると、「米の需給・価格情報に関する委員会」」は本日、本年産米豊作が見込まれるため、収穫前の稲の青刈りが必要との初の検討結果をまとめたようだ。
○8月7日(火)
【天気概況】
・オホーツク海高気圧が中部地方まで張り出し、太平洋側を中心に強いやませが入る。気温は上がらない。
・午前5時現在、青森県青森・黒石・弘前、秋田県鹿角・阿仁合では気温が15℃以下となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。現在、無人ヘリにて、いもちとカメムシの防除作業中です。毎日、早朝よりの作業ですが、肌寒く、盛夏とは思えない日が続いています。秋の虫の鳴き声が聞かれるようになり、以外に登熟も早く進むものと思います。すでに対照区では傾穂が始まり、珪酸区は100%の出穂が確認できました。今年は、全国的な豊作となりそうなので、青刈りも実行されようとしています。豊作が喜べないようでは、ほんとうにやる気が薄れます。いつか思いっきり豊作が喜べることができるときがくればと思います。」
・岩手県普代村のモニターから返信のメールが届く。
「“友あり、遠方より来る、亦楽しからずや”という思いです。いつかゆっくり「一献酌み交わしながら....」というべきところですが、これはさておいて....。自然の中で生活したい、農のある生活をしたいという、単純な願いからこの地にやってきました。自然を耕し、自然の恵みを受け、自然の営みの中で生きていくとう農のあり方は、人間にとって本質的な契機であるにもかかわらず、ヒドラの如く肥大化した工業の恵みに溺れて忘れかけようとしています。農もまた、工業的あり方に引きずられてsustainable(持続的な)という本質的な一面を忘れかけつつあるという思いを強くしています。そんなところから「耕しながら、土をつくる」「作物によって土をつくる」という、ある意味で最も簡便な農業をやりたいなというところから、現在のような形にやや落ち着いてきました。でも「情熱を燃やす」とか、頑張るというと、多少の違和感があります。もっと自然に、カモシカの親子が大豆畑で大豆をむしゃむしゃやって生きているように、“自然の中に、ただかくてある”そんな風に生きられたらなと贅沢なことを考えています。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(6日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(6日): 13日頃から東海上に中心をもつ高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(6日):台風の北上に伴って、偏西風は北上し、13日頃から東海上に中心をもつ高気圧に覆われる予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(7日):海面水温が15℃以下の親潮は北海道襟裳岬付近。同20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・葉いもち予察情報:感染好適条件は検出されなかった。
・葉いもち蔓延可能域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部では可能域からはずれる。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部で懸念される。
・日射量不足域:日射量不足はほぼ全域で解消される。
・極端な最低気温域:青森県太平洋側と岩手県北部では最低気温がかなり低下する。
・開花・受精に不適な気温域:青森県、岩手県、宮城県、福島県浜通りに不適な温度域がさらに広がる。
・青森県太平洋側、岩手県全域、宮城県全域、福島県浜通・中通りに低温注意報が継続して出される。
・昨日の最低気温は岩手県軽米で11.3℃、青森県十和田で12.1℃まで低下する。
【研究活動】
・盛岡市周辺の国の出先機関の長が集まる会合で、冷害を監視する生育作柄診断試験区の設置目的と早期警戒システムの概要を圃場で説明する。
【その他】
○8月8日(水) 青森県六戸町小林さん圃場調査と実態調査
【天気概況】
・オホーツク海高気圧に覆われ、太平洋側を中心に気温の低い状態が長く続く。
・午前5時現在、ほぼ全地点で気温が20℃を下回る。秋田県鹿角と阿仁合は15℃を下回る。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(6日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低くなる傾向にある。日本列島東海域の海面水温は部分的に平年より低くなる。フィリピン付近の海面水温は平年並み。カムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(7日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(7日):今後、東海上に中心をもつ高気圧の覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(7日):偏西風は10日以降に北上し、東海上に中心をもつ高気圧に広く覆われる予想。北日本・東日本上空の気温は平年並み程度になる見込み。地上気圧配置予想によると、低気圧の通過後、12,13日頃にはオホーツク海高気圧の影響があり、その後日本付近は気圧の谷になる予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・葉いもち予察情報:福島県中通り南部に感染好適・準感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部がはずれてくる。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:青森県太平洋側・津軽地域、岩手県北部と沿岸部、秋田県鹿角地域に広がる。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側と津軽北部、岩手県全域、宮城県全域、福島県浜通に広がる。
【研究活動】
・青森県六戸町の小林さん圃場の調査に伺う。小林さんはけい畔の草を整理しているところ。出穂は進んでいるが、穂揃いが悪く、開花は進んでいない。穂が出始めて、約10日が経過するが開花している花は少ない。出すくみ状態にある。白ふや葉鞘褐変病も散見される。白ふの発生に関して、気温と水温経過のデータを基に小林さんと“いつ頃の低温が問題だったのか”を分析する。どこに管理の不手際があったのか、小林さんはしきりに反省する。この姿勢が篤農家といえるのだろう。
・小林さんの圃場調査後、十和田−三沢−八戸−久慈−軽米のコースで水稲の生育状況を調査する。私の生育ステージの把握が適切であることを確認する。減数分裂期最中から出穂始めのイネがある。また、白ふ、葉鞘褐変病、上位葉の葉いもちなどが各地で確認される。午後4時頃にイネの花が咲いているのには、生命力の強さと反面痛々しさを感じる。早く天候が回復することを祈りたい。
【その他】
○8月9日(木)
【天気概況】
・前線が日本海から近づき、天気は全域で崩れる。太平洋側では低温が続く。
・午前5時現在、日本海側沿岸部の監視地点を除いて気温は20℃を下回る。15℃以下の地点はみられない。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。メールを頂き有り難うございます。サンプルの件については承知いたしました。水稲の出穂状況ですが周囲の田圃は既に穂揃になったのものと、これから穂揃いに向おうとしているのがほとんどです。我が家の田圃は、最初の日に田植えをしたのが、出穂初期で他は走り穂〜穂ばらみ後期の状況です。今朝、簡易の温度計を見たら15℃になっていました。天候の回復願いたいものです。いつも、ハウス周囲にいますのでお立ち寄り下さい。」
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「こんにちは。毎日低温注意報が出ていて、寒い日が続いています。穂はらみから出穂期にかけての低温には為すすべがありません。せめて、稲の体力に期待します。このままでは、障害型と、遅延型の複合冷害になりはしないかと毎日心配しています。稲の生育も止まり、穂の出たところもずるずると開花しています。開花後は、籾殻が閉じているようなので、今のところ障害は出ていないようです。ササシグレは8月7日に出穂期を迎えました。直播ササニシキは8月8日観測で本葉14枚(不完全葉含む)葉耳間長+50mm、幼穂160mmです。亀の尾は穂揃い期を過ぎましたがこごむ穂は見あたりません。8月に入って暑い日が続いたので水温観測は停止したままでした。今後の気温の変動、天候の見通しなどはどうでしょうか。」
・宮城県河南町のモニターから生育データがメールで届く。
「8月7日調査データです。<ササニシキBL>8月5日穂揃い期、草丈84cm。<直播 ひとめぼれ>葉齢14.3葉、茎数39本、草丈80cm、幼穂 6〜12p。<直播散播 ひとめぼれ>葉齢14.0葉、草丈80cm、幼穂15〜17p。<亀の尾>7月30日穂揃い期、草丈120p。ここ3日程肌寒い日が続いていますが今後残暑はいつ頃まで続くのでしょうか?直播きの登熟が心配です。」
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「ご無沙汰していてすみません。先日はありがとうございました。このところの低温、心配しています。只今、転作田でのジャガイモの収穫真っ最中です。今日一日雨が降らないことを願っています。うまくいけば今日でおわるのですが・・・。サンプル株、どうぞお持ち下さい。明日は、予定では育苗センターの後ろのかぼちゃ畑にいると思います。仕事を一段落させて、安心してお盆を迎えたいです。また、よろしくお願いします。」
・秋田県大曲市にある水田利用部の友人から奥羽山系にかかるやませの雲画像が届く。
「早期警戒のアイコンも「渋い顔」がつづき、黄色と青のエリアが広がっていますが、大曲では、カラッとした快晴状態になっています。今日、8月8日朝に、大曲から見た典型的なやませの雲の写真を撮りましたので、お送りします。この雲を見ると、奥羽山脈のありがたみを感じずにいられません。」
・一般の方から問い合わせのメールが届く。
「8月末にバイク(キャンプ)で東北に行く予定です。津軽半島(小泊付近)及び岩手県の遠野付近並びに平泉付近の今年の予想気温(最高と最低)又は過去の最高最低気温を教えてください。」(回答:8月下旬の気温予想は困難です。平年的天候は、ホームページの「早期警戒関連情報」−「早期警戒地点の気象経過」−夏期(4月〜10月)の各地点(「小泊」なら五所川原、遠野なら遠野、平泉なら一関をそれぞれ参照下さい。平年的な場合の気温、日照時間、降水量を概略読みとることができると思います。)
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(8日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(8日):偏西風は北上し、12日頃から南から高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(8日):北海道・東北地域に前線が停滞し、ぐずついた天気が続く見込み。地上気圧配置予想によると、13日以降も東北地方に前線が停滞し、北に偏った高気圧の影響を受ける予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(9日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・葉いもち予察情報:宮城県南部と福島県中通りと浜通りに感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と津軽北部、岩手県北部と沿岸部、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系で懸念される。
・日射量不足域:岩手県沿岸南部と福島県浜通北部は日射量不足となる。
・極端な最低気温域:青森県津軽、岩手県北部、秋田県鹿角周辺で極端な低温が検出される。
・開花・受精に不適な気温域:太平洋側全域と山形県最上地域で不適な状態が長く続く。
・青森県太平洋側と岩手県全域に低温注意報が継続して出される。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「まなむすめ」が出穂期に達する。「つがるロマン」は穂揃い期になる。水管理区と過リン酸石灰追肥区の「あきたこまち」が出穂期に達する。
・所内関係者で低温と水稲生育に関する情報交換を行う。
【その他】
○8月10日(金) 宮城県モニター圃場調査と実態調査
【天気概況】
・前線が東北北部を通過するため、日本海側を中心に雨となる。
・午前5時現在、太平洋側を中心に気温が20℃を下回る。
【モニターネットワーク】
・山形県金山町の方からモニター参加のメールが届く。
「ここ2年ほど利用させていただいております。わたしは食糧事務所に勤めております。生産者対応の説明資料にも活用させていただいたことがあります。また、山形県北部の金山町で3.5haの水田を保有しており、現在2.5ha自ら栽培しております。(残りは転作)同じ職場の仲間の仕事にご協力できればうれしく思います。どのようなモニター協力なのかあまり理解しておりません、内部的な情報は正規ルートで入るとおもいますので、現地情報をできるだけ冷静な目で供給して、当サイトの評価が高まることに協力したいと思います。」(返信:おはようございます。メール頂きました。モニターに参加頂けるとのこと感謝申し上げます。モニターの協力の仕方は個々様々です。心強い仲間ができたと喜んでいます。ところで、いもち病の発生状況は如何でしょうか。かなり見られるものと推定していますが。今日はこれから宮城県の稲を観察に行って来ます。今後ともよろしくお願い致します。)
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(9日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(9日):偏西風は北上し、日本列島南に中心をもつ高気圧に広く覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(9日):偏西風は北上し、日本列島に中心をもつ高気圧に覆われる予想。地上気圧配置予想(10日)によると、東北付近に前線が停滞し、13日以後は北に偏った高気圧の影響を受ける予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(10日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・葉いもち予察情報:宮城県南部で準感染好適条件が検出される。
・葉いもち蔓延可能域:日本海側と盛岡以南の太平洋側に広がる。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部・沿岸・中山間、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:岩手県沿岸南部、宮城県山沿い、福島県浜通では日射量不足となる。
・極端な最低気温域:青森県と岩手県のほぼ全域、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系、秋田県と山形県の中山間地域に検出される。
・開花・受精に不適な気温域:太平洋側のほぼ全域、山形県最上地域に広がる。
【研究活動】
・モニター圃場を中心に、発育予測が適切であるかの確認のため宮城県で実態調査を実施する。
・発育予測はほぼ適正に地域の水稲の生育状況を示すことが確認できた。早いものが傾穂期にあるが、多くは穂揃い期である。穂揃い期のものも開花中であり、開花が低温で停滞していたことが認められる。また、葉いもち、葉鞘褐変病も散見される。褐変した籾が平年よりは多く見られるのが特徴といえる。このことは8日にも観察され、かなり広域的に発生している可能性もある。今後、他の地域についても調査する必要がある。
【その他】
−−−−−−−−− 中旬 −−−−−−−−−
○8月11日(土) 早期警戒情報第16号
【天気概況】
・秋雨前線が南部に停滞し、天気はぐずつく。
・午前5時現在、青森県津軽北部・太平洋側、岩手県北部・沿岸部では気温が20℃を下回る。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(10日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(10日):偏西風は北上し、14日頃から高気圧に広く覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(日):
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(11日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):太平洋側沿岸部を除いて、ほぼ全域でかなりの降雨がある。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:岩手県南部、宮城県全域、福島県浜通・中通りでは日射量不足となる。
・極端な最低気温域:青森県、岩手県、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系、秋田県鹿角周辺、山形県最上地域など。
・開花・受精に不適な気温域:太平洋側全域と青森県津軽北部、山形県最上地域。
・青森県太平洋側と岩手県内陸北部・沿岸北部に低温注意報が出される。
【研究活動】
・早期警戒情報第16号を作成する。低温による障害や穂いもち発生が懸念される。
・生育作柄診断試験区の「かけはし」が傾穂期、「あきたこまち」が穂揃い期、「めんこいな」「ひとめぼれ」「はえぬき」が出穂期に達する。昨年に比較して7日〜10日程度遅れる。「ササニシキ」は10日が出穂期。
・生育作柄診断試験区の「むつほまれ」「つがるロマン」「あきたこまち」は傾穂期に近づくにつれ、穂に褐変籾が現れ始める。青森県・宮城県で観察されたと同じ症状である。
・青森県六戸町の小林さんに調査結果を電話で報告する。褐変籾について聞くと、昭和55年と平成5年に同様な症状が特徴的な現れたとのこと。出穂・開花期に低温に遭遇するとその症状が現れることを体得されている。また“疑稔”の症状にも言及される。
【その他】
・神田君が新システム対応のわたし用の編集プログラムを作成してくれる。早期警戒情報以外は何時でも自由に作成することができるようになった。新システム移行による障害がやっと克服され始めた。
○8月12日(日)
【天気概況】
・秋雨前線が南部に停滞し、南部を中心に天気がぐずつく。
・午前5時現在、北部と太平洋側を中心に気温が20℃を下回る。青森県蟹田では15℃を下回る。
【モニターネットワーク】
・一般の方から異常気象に関する問い合わせのメールが届く。
「私は今、異常気象のことについて調べて言います。インターネットで調べていたら、こちらのホームページに行きつきました。もしよろしければ、どんなことでもいいので、教えていただけませんか?とくに、色々な異常気象に対して、そちらの方の意見を聞かせていただければと思いますが・・・。よろしくお願いします。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(11日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低い傾向がみられる。日本列島東海域の海面水温は平年より低くなる傾向がみられる。カムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(11日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(11日):日本付近に中心をもつ高気圧が16日頃まで広く覆う予想。
・気象庁週間予報支援図(日):地上気圧配置予想(12日)によると、14,15日頃は東海上に中心をもつ高気圧が張り出し、その後オホーツク海高気圧が徐々に張り出す予想。南海上に台風が形成され、19日頃関東の南海上に接近する予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(12日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):福島県浜通りと中通り、青森県太平洋側に降雨がある。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:青森県全域、岩手県全域、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系、秋田県鹿角付近、山形県最上地域。
・開花・受精に不適な気温域:太平洋側の全域と山形県最上地域。
・青森県太平洋側と岩手県内陸北部と沿岸北部に低温注意報が継続して出される。
【研究活動】
【その他】
○8月13日(月)
【天気概況】
・北海道付近に中心をもつ高気圧に覆われ、北部太平洋側にはやませが入る。太平洋側を中心に気温が上がらない状態が続く。
・午前5時現在、北部と太平洋側を中心に気温が20℃を下回る。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市モニターから生育状況を知らせるメールが届く。
「いつもお世話様です。コシヒカリとはえぬきの直播きが10日に出穂期を迎えました。相変わらず涼しい天気が続いていますが、稲のほうは連日の乾燥した東風でかなり疲れてきているようです。」
・宮城県のモニターに10日の調査結果を知らせるメールを出す。
・一般生産者の方から2つのメールが届く。
「8月なかばに入っても日照不足と肌寒い日が続いており、8月4日〜5日頃に出穂したササニシキの作柄が懸念されます。一方では7月15日の作況指数を基準にして豊作を見込んで、宮城県内でも青刈りがおこなわれております。 果たして本当に豊作になるのか不安でなりません。もう少し青刈りする時期を遅らせるなど8月15日に発表される作況に基づき青刈り指導をするべきと考えているものですが、果たして天候が回復したなら豊作になるのでしょうか。是非ご見解をお聞かせ賜りたくお願い申し上げます。」
「宮城県大郷町でわずかばかりの稲作栽培をしているものですが、8月に入り日照不足や肌寒い日が続き、作柄が心配されます。こんな中で全中が主体で、全国一律に豊作を見込んで青刈りがすすめられています。私は米を輸入しながら、米を守るためという口実で青刈りがすすめられることには当初から怒りを持ち反対しているものですが、せめて豊作だという見通しがもう少しはっきりするまで青刈り執行をストップさせることはできないものでしょうか。何かいい方法がありましたら教えてください。反対に米不足になることが懸念される昨今の天候です。」(回答:千葉さん、メール頂きました。お答えしにくい質問に苦慮しています。今後の作柄の件ですが、私は今次の3点に注目して監視を行っています。@地域によっては障害型冷害の危険期に低温が入り、出穂が遅れ始めています。A開花・受精期に低温が入り(東北の多くの水稲がそのような状態にあります)、この影響がどの程度、どのように現れるのか。B葉いもちの多発地帯における穂いもちの発生状況は?@については、今後の経過と実態調査の結果を待たないとはっきりしたことがいえません。同時に、出穂が遅れているため、遅延型冷害の危険性も考えなければなりません。Aについては、千葉さんもご自分の水稲の出穂の不揃いなどを観察されているものと拝察します。出穂の不揃いは登熟不良(開花期不稔も含む)にむすびつくことがあります。B穂いもちの発生状況は水稲の糊熟期になると、症状が現れると考えています。今の段階ではまだ分かりません。
上の3点を警戒しているところです。ご承知のように、早期警戒では東北の71アメダス監視地点を対象に気象と水稲の生育を監視しています。私はそれぞれの地点を平等に扱っています。水稲の作付けが多いからとか、美味しい米が生産できるところだからなどで差別はしていません。それぞれの地点において田植え前から収穫を終えるまで日々監視を続けています。それは、当然ご理解頂けるでしょうが、収穫して袋に入れるまでは作柄は分からないことが多いからです。この点は、生産者でも行政の方々でも同じ気持ちであると思います。
最後になりますが、生産者や消費者の方々から講演を依頼されたときは、「農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心−」と題して話をします。新渡戸稲造は明治31年に「農業本論」を著し、この大著の終章に「農業の貴重なるゆえん」とし、次のように結んでいます。「之を要するに、農は万年を寿く(ことほく)亀の如く、商工は千歳を祝ふ鶴に類す。即ち一は一定地にありて、堅く且つ永く守り、一は広く且つ高く翔つて(かけて)、其の勢力を示すものなり。故に此両者は相俟って、始めて完全なる経済の発達を見るべく、而して後、理想的な国家の隆盛を来すべきなり。春田うつ夏の苗とる朝より秋の夕をまもる田の神(神舞歌)」。また宮澤賢治が晩年を冷害に苦しむ農家の指導に奔走したことはご承知のことと思います。お伝えしたいことは、「農業が貴いものである」ことが生産者と消費者の共通の考え方にならないと、今の生産調整や食料自給率の向上などの社会的に大きな問題は解決しないと思うからです。
千葉さんのご質問に直接的に回答することができませんが、私の気持ちをご理解頂けましたら幸いです。)
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(12日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(12日):今後、日本付近に中心をもつ高気圧に広く覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(12日):今後、日本付近に中心をもつ高気圧に覆われる予想。地上気圧配置予想(13日)によると、15日頃から北に偏った高気圧の影響を受け、19日頃からオホーツク海高気圧が張り出す予想。南海上の低気圧は台風となり、20日頃関東の南海上の接近する予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):岩手県南、宮城県、福島県、山形県内陸部にまとまった降雨が観測される。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:青森県、岩手県、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系、秋田県鹿角周辺、山形県最上地域で懸念される。
・開花・受精に不適な気温域:太平洋側の全域と山形県最上地域。
・青森県三八・上北と岩手県沿岸北部に低温注意報が引き続き出される。
【研究活動】
・アメダス監視地点の気象経過の分析を始める。
【その他】
○8月14日(火) 岩手県内実態調査
【天気概況】
・東海上に中心をもつ高気圧に広く覆われ、天気は回復する。
・太平洋側北部沿岸部は期待したほど気温が上がらない。
【モニターネットワーク】
・極端な低温が入らなかった鶴岡市のモニターに褐変籾の発生状況を問い合わせる。回答は次の通り。
「確かにあります。それもかなり目立ちます。私も先日あまり気になったので農協の担当者に聞いてみたところ、出穂時に風に吹かれ擦れたのが原因ではないかとの事でした。米の品質には影響しないとの事。例年この現象は見られるのですが、今年は特に目立つということでした。今出穂期を迎えているコシヒカリとはえぬき直播きの穂に注目しているところです。この症状の原因を鳥越さんはどのようにお考えでしょうか。お教え頂ければ幸いです。」
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「8月14日直播きササニシキが走穂し始めました。今後の天候回復とともに一斉に出穂するようです。また、沿岸部では褐変病に冒された穂が多く見受けられます。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(日):
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(13日):18日頃から東海上からオホーツク海にかけて気圧の尾根が形成される予想。
・気象庁週間予報支援図(13日):偏西風は17日頃から蛇行の程度が大きくなり、オホーツク海に高気圧が形成される予想。地上気圧配置予想(14日)によると、16日頃までは東海上に中心をもつ高気圧に覆われるが、その後オホーツク海高気圧が徐々に張り出し、20日頃まで影響を及ぼす予想。台風に成長する低気圧は日本列島東海上をゆっくりと北上する予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):岩手県南部、宮城県北部、山形県全域、福島県中通りと会津。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部・沿岸部、宮城県山沿い、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:徐々に解消され始める。福島県阿武隈山系など局所的となる。
・開花・受精に不適な気温域:不適温域が太平洋側全域に広がる。山形県最上地域と内陸北部にも広がる。
・青森県三八・上北と岩手県沿岸北部には低温注意報が継続して出される。
・仙台管区気象台の予報官から気象情報がメールで届く。
「東北太平洋側の日照不足と低温に関する東北地方気象情報 第3号(平成13年8月14日11時20分 仙台管区気象台発表):東北太平洋側では、7月下旬からオホーツク海高気圧からの冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多く、日照不足や低温が続いています。向こう1週間も、東北太平洋側ではオホーツク海高気圧からの冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多く、日照不足や低温の状態が続く見込みです。農作物の管理には十分注意して下さい。
主な地点の旬日照時間と平年比、旬平均気温と平年差は次の通りです。
(気象官署による速報値)
7月下旬 8月上旬
日照時間 平年比(%)日照時間 平年比(%)
八戸 47.6( 71) 48.1(77)
むつ 34.7( 60) 23.7(41)
盛岡 45.9( 78) 27.0(48)
宮古 32.0( 50) 28.9(50)
大船渡 57.3( 91) 12.1(20)
仙台 71.1(128) 19.6(35)
石巻 92.2(148) 26.4(42)
福島 68.3(116) 32.4(56)
小名浜 88.0(127) 33.5(51)
7月下旬 8月上旬
平均気温(度)平年差(度)平均気温(度)平年差(度)
八戸 21.8(−0.6) 18.9(−4.0)
むつ 21.0(−0.5) 18.1(−4.1)
盛岡 23.7(+0.1) 20.4(−3.3)
宮古 20.9(−1.1) 18.8(−3.6)
大船渡 23.2(+0.4) 19.6(−3.8)
仙台 25.0(+1.1) 21.0(−3.5)
石巻 23.7(+0.6) 20.5(−3.2)
福島 25.9(+0.5) 22.6(−3.1)
小名浜 24.7(+1.5) 22.9(−0.8)
なお、この情報は8月6日に発表した低温に関する東北地方気象情報第2号を引き継ぐものです。」
【研究活動】
・宮城県で観察された葉鞘褐変病による褐変籾と原因不明の褐変籾が8月上旬の低温を引き金として生じたものかどうかを検証する目的で、その頃出穂・開花時に当たる品種を観察するため実態調査を行う。岩手県南「ひとめぼれ」には同様な症状が圃場によっては顕著に見られた。また紫波地域の「ヒメノモチ」においても症状は軽いが同様に認められた。また県北部「かけはし」にも同様な症状が観察された。東北の多くの品種が出穂・開花時に8月上旬の低温に曝されたため、障害の分布が注目される。
【その他】
○8月15日(水)
【天気概況】
・北に中心をもつ高気圧の影響で、太平洋側ではやませが入る。
【モニターネットワーク】
・一般の方からメールが次のような褐変籾に関する問い合わせのメールが届く。
「日頃より大変お世話になっております。さて、私の家でも少しばかりひとめぼれを作っていますが、先週末より褐変した籾が圃場全体で目立ってきました(出穂期は8/4〜5頃)。ためしに数本の穂を調べてみたら褐変した籾はほとんど中身がはいっていませんでした(5〜10%程度)。やはり最近の低温・日照不足の影響でしょうか。」
(回答:メール頂きました。褐変籾の発生の件ですが、8月10日に宮城県内を調査した時に葉鞘褐変病による褐変籾と原因不明な褐変籾が多発している圃場があることに気づきました。そこで、8月上旬の低温が誘因になっているものと考え、同時期に出穂・開花期を迎えていた岩手県内の品種を昨日調査しました。その結果、相当する地域・品種に同様な症状が見られました。冷害年には褐変籾が多発することがよく観察されますので、低温が原因ではないかと考えています。低温→褐変籾発生までの科学的な筋道はこれから勉強したいと思います。今後ともよろしくお願い致します。)
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(13日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低くなる傾向がみられる。日本列島東海域の海面水温は平年より低くなる傾向がみられる。カムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(14日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(14日): 偏西風は北上し、18日頃までは北に偏った高気圧に覆われ、20日頃には台風が関東付近に達する予想。
・気象庁週間予報支援図(14日):偏西風は北上し、18日頃までは北の高気圧の影響を受け、その後台風11号が日本列島東海域を北上する予想。北日本上空に強い寒気の南下は予想されていない。地上気圧配置の予想(15日)によると、オホーツク海高気圧は18,19日頃に顕著に張り出す予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):福島県中通り・会津、山形県最上地域。
・低温障害が懸念される地域:下北半島と岩手県北部に限定されてくる。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:極端な低温域はほぼ全域で解消される。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、宮城県全域、福島県浜通りで依然として不適温域が広がる。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「ゆめあかり」が傾穂期に達する。「まなむすめ」「ササニシキ」が穂揃い期に達する。
【その他】
○8月16日(木)
【天気概況】
・中心が北に偏った高気圧の影響で、太平洋側沿岸部を中心にやませが入る。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「褐変籾の件ですが、ヒメノモチに多数見受けられます。強風の後の、籾ズレと似ていますが、それと違うようにも見受けられます。私の圃場だけかと思い、他の圃場も見ましたが・・・同時期出穂の稲に、同じように出現しています。受粉していないかと思い、つぶしてみると入っているので、不授精籾では無いようですが、正常な米にならないと見ています。褐変籾の出現穂は、葉鞘も褐変していますので、穂孕期時の低温と思っていますがどうなのでしょうか?また、他の品種でも調べたところ、あきたこまちで微少、スノーパールで微〜小でした。発現箇所は、水田周囲と葉色の濃いところ(縦・横の交差箇所)が多いようでした。低温で、減数分裂期・障害型冷害の心配をしていた”はえぬき”ですが、微少の白ふが見られるが、順調に開花・授精をしている様子でした。思ったより、出穂が遅れていますが、注意深く見守りたいと思います。今年は、走り穂〜出穂〜穂揃いまで、10日以上係っているようで、ヒメノモチでさえ出穂中の穂が未だあります。(遅れている穂は被害無し)刈り取り適期の判断に、今年は苦慮しそうです。
以下、今年の稲の出穂状況をまとめてみました。
品種 出穂期(50%出穂) 穂揃い 傾穂期(50%傾穂)
ひめのもち 8/ 2 8/ 8 8/13
あきたこまち 8/ 5 8/12
スノーパール 8/ 9 8/16
はえぬき 8/15 」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(15日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(15日): 台風11号は20日頃西日本に上陸し、21日頃に東北に達する予想。
・気象庁週間予報支援図(15日):台風11号は19,20頃西日本に接近する予想。18,19日頃に東日本上空に強い寒気が入る予想。地上気圧配置予想(16日)によると、今後19日頃まではオホーツク海高気圧の影響を受け、台風は19,20日頃西日本に接近、上陸後関東−東北地方を縦断する予想となっている。最悪のコースが予想されている。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):まとまった降雨域は観測できなかった。
・低温障害が懸念される地域:青森県下北半島と岩手県沿岸北部。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:ほぼ解消される。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、宮城県全域と福島県浜通り。
・青森県三八・上北と岩手県沿岸北部には低温注意報が引き続き出される。
・出穂の遅れている十和田・八戸の「むつほまれ」や宮古「あきたこまち」が明日には出穂期に達する見込み。明日、所内関係者と共に、青森県を中心に実態調査を実施する予定。
・仙台管区気象台予報官から台風と今後の低温に関する情報交換を行う。
【研究活動】
・玄米発育予測情報の作成に取りかかる。生育作柄診断試験区のものを玄米発育情報に変更する。
・生育作柄診断試験区の「むつほまれ」が昨年より10日遅く傾穂期に、「めんこいな」「ひとめぼれ」「はえぬき」が昨年より8日程度遅く穂揃い期に達する。
・アメダス監視地点の玄米発育予測情報作成プログラムを設定する。
・青森県六戸町の小林さんと電話で話す。小林さんの稲は昨日でほぼ開花が終わったとのこと。周辺の「むつほまれ」はここ数日の暖かさで出穂・開花が進んでいることのこと。明日伺う旨をお伝えする。
【その他】
○8月17日(金) 青森県太平洋側実態調査
【天気概況】
・午前4時現在の気温は、福島県川内12.5℃、飯舘14.9℃まで下がる。
・午前5時現在の気温は、福島県川内11.8℃、船引14.7℃まで下がる。
・オホーツク海高気圧に広く覆われ、太平洋側を中心にやませで気温が上がらない。
【モニターネットワーク】
・宮城県河南町のモニターから生育データがメールで届く。
「8月16日調査データです。<サニシキBL>穂数26.2本、草丈99cm。<直播ひとめぼれ>茎数39.0本、草丈87.0p、3〜4日中に出穂すると思われます。<散播ひとめぼれ>8月16日出穂が3割程度、87.0cm。褐変籾の件ですが我が地域では昨年も結構ありましたが、今年は前年以上に多いように見られます。特に亀の尾に多く見られ 籾が空の状態が多いようです。点状のものが多く中には穂の下部に連続したものも見られます。昨年農協に聞いてみたところ出穂期に風に擦られて出来たのではないかとの事でした。やはり出穂期の日照不足 低温が影響しているのでしょうか。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(16日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(16日): 台風11号は20日頃東海地方に接近、22日頃関東付近に達する予想。
・気象庁週間予報支援図(16日):台風11号は19日に九州付近に接近、その後22日頃東北日本海側を通過する予想。東日本上空へ18,19日頃強い寒気が入る予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):ほとんどの地域で降雨はなかった。
・低温障害が懸念される地域:青森県下北半島と岩手県沿岸北部。
・日射量不足域:太平洋側で日射量が不足する状態が続く。岩手県北部は徐々に解消され始めた。岩手県沿岸北部は極度の日射量不足が続く。
・極端な最低気温域:極端な低温域はなくなる。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県沿岸部、宮城県全域、福島県浜通り。
【研究活動】
・青森県太平洋側の水稲の生育状況を所の関係者と共に調査する。小林さんの圃場はやっと穂揃い期となり、穂が傾き始める。出穂・開花に約15日を要したことになるが、穂揃いの状況は良好である。太平洋側の水稲は早いものが穂揃い、遅いものはまだ出穂を始めていない。8月上旬の低温とその後の低温傾向がいかに厳しい環境であったか、稲の姿を見ると判然とする。
【その他】
○8月18日(土) 早期警戒情報第17号
【天気概況】
・オホーツク海高気圧が関東付近まで張り出し、太平洋側を中心にやませが入り、気温が下がり、天気はぐずつく。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターに高温とフェーンに注意するメールを出す。その返信が届く。
「メールありがとうございます。本当に暑い日が続いています。稲だけでなく大豆にも渇水の対策が必要で水を掛けました。また台風も接近するということで草丈の伸びた一部のひとめぼれの倒伏が懸念されます。天気予報とフェーン現象にも注意するようにします。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(17日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(17日): 台風11号は21日頃西日本に接近する予想。その後東海上からオホーツク海にかけて気圧の尾根が形成される予想。
・気象庁週間予報支援図(17日):台風11号は九州付近に上陸、22日には北陸沖の日本海に抜け、23日には北海道付近に達する見込み。23日頃から北日本上空にやや強い寒気は入る予想。地上気圧配置予想(18日)によると、20日頃までは北に偏った高気圧の影響を受け、その後台風が日本付近を通過する予想。台風11号は21日頃西日本に上陸し、22日北陸付近、23日北海道付近を通過する予想。最悪のコースが依然として予想される。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):青森県と岩手県の太平洋沿岸部、宮城県南部と福島県北部。
・低温障害が懸念される地域:青森県下北半島と岩手県沿岸北部。
・日射量不足域:太平洋側は岩手県北部を除いて日射量不足の状態が続く。
・極端な最低気温域:福島県阿武隈山系。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、宮城県沿岸部。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸部に低温注意報が継続して出される。
・昨日、仙台管区気象台の予報官から気象情報に関するメールが届く。
「東北太平洋側の日照不足と低温に関する東北地方気象情報(第4号):平成13年8月17日11時20分 仙台管区気象台発表。(本文)東北太平洋側では、7月下旬からオホーツク海高気圧からの冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多く、日照不足や低温が続いています。今日日中は晴れて気温の上がるところもありますが、20日頃まで東北太平洋側ではオホーツク海高気圧からの冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多く、最高気温が平年より4度前後低くなる見込みです。農作物の管理には十分注意して下さい。
主な地点の8月1日〜16日までの日照時間と平年比、最高気温と平年差は次の通りです。
(気象官署による速報値)
日照時間 平年比(%)最高気温 平年差(度)
青森 91.0( 89) 25.3(−2.8)
八戸 74.8( 78) 23.1(−4.0)
むつ 40.1( 48) 22.1(−4.0)
秋田 106.6(100) 28.7(−0.2)
盛岡 51.6( 59) 25.7(−3.0)
宮古 32.7( 36) 21.8(−5.0)
大船渡 27.1( 30) 22.8(−4.5)
山形 73.7( 74) 29.0(−1.7)
仙台 27.3( 32) 24.3(−4.1)
石巻 43.6( 45) 23.3(−3.9)
福島 53.9( 61) 27.7(−3.1)
小名浜 55.9( 53) 26.4(−0.9)」
【研究活動】
・モニター圃場の玄米発育予測情報を作成し、更新する。
・早期警戒情報第17号を作成する。遅延型冷害と穂いもちの多発が心配される。
・生育作柄診断試験区の「つがるロマン」「あきたこまち」が傾穂期に達する。「かけはし」「ゆめあかり」「むつほまれ」「つがるロマン」の穂の上部にある頴花が白く変色する。原因は何か?フェーン現象による障害が発生した可能性もあるのか。
【その他】
○8月19日(日) 極端な低温が入る
【天気概況】
・オホーツク海高気圧の影響で、放射冷却が強まり、早朝かなりの低温となる。
・午前3時現在の気温は、北部と太平洋側を中心に15℃を下回る。岩手県軽米は7.8℃となる。
・午前4時現在の気温は、北部と太平洋側、さらには日本海側の地点でも15℃を下回る。岩手県軽米は7.2℃となる。
・午前5時現在の気温は、北部と太平洋側、さらには日本海側の地点でも15℃を下回る。岩手県軽米は6.4℃、盛岡12.4℃となる。
・午前6時現在、日差しがでて気温は徐々に上がり始める。
【モニターネットワーク】
・宮城県中田町のモニターからメールが届く。
「いつもお世話様です。チームの皆さんもそれぞれお盆をゆっくり休まれたのでしょうか?私も、家族で14日〜15日2泊してきました。さて、調査圃場ですが父と田めぐりして、「ん〜これは・・・」。一本の穂を100粒と考えると、5粒から15粒くらい褐色(黒くなっていました)。その他も見て回りますと、ササニシキは少ないようですが(2粒から10粒)、ひとめぼれは、かなり影響がでています(ひどいところは20粒から30粒ある所もありました。)お盆中でしたが、結構田んぼにも人出が多かったように思えます。みんな心配なんだなと感じました。アメダスの予報を見ますと、台風が北上し始めましたし、宮城県の天候も曇りが多いようですね。ん〜どうなるのか?・・・家では、青刈りはこんな現状ですから、実施しないとの事です。また、メールします。デジカメで穂の画像を今度から送るようにしたいと思います。撮影のポイントはありますか?ありましたらメールください。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(18日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年よりやや低い傾向がみられる。北海道からカムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。日本列島東海域の海面水温は平年よりやや低くなる。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(18日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西では正偏差、東では負偏差となる。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(18日):台風通過後は東海上に中心をもつ高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(18日):台風11号は21日頃に近畿付近に達する見込み。その後は北に中心が偏った高気圧に覆われる予想。地上気圧配置予想(19日)によると、20日頃までは北の高気圧の影響を受け、21日頃台風が近畿地方に接近ないし上陸し、22日に関東付近、23日に北海道の北に達する見込み。その後は北に中心が偏った高気圧の影響を受ける予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):宮城県北部と南部、福島県浜通りと中通り、岩手県北部・沿岸部、青森県太平洋側。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側と岩手県北部・沿岸部、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:青森県太平洋側、岩手県沿岸部、宮城県北部では日射量不足が続く。
・極端な最低気温域:青森県太平洋側、岩手県北部・沿岸部、福島県阿武隈山系。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県沿岸部、宮城県沿岸部、福島県浜通り。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸部に低温注意報が引き続き出される。
・秋田県には乾燥注意報が出される。フェーンが心配される。
【研究活動】
・福島県の監視地点の玄米発育予測情報を自動プログラムに設定する。近々掲載できる見込み。
【その他】
○8月20日(月) 極端な低温が入る
【天気概況】
・北から張り出す高気圧の影響で、北部は晴れる。
・午前5時現在、気温は北部と福島県阿武隈山系で15℃を下回る。
【モニターネットワーク】
・宮城県中田町のモニターからメールが届く。
「宮城県では、耕作地の0.03%を“青刈り割り当て(責任?!)”という事で、我が家でも泣く泣く実施しました。米価を守る為なのでしょうが、複雑な心境でした。“せっかくここまで成長したのに・・・”の思いと今年の田植えの頃を思い出しながら、両親とこんな事が以前にもあった頃の話などしながら、100坪近く刈り取りました。刈り取った稲は、我が家の一員?(笑)牛の餌にすることとなり、何らかの形で役にたったという事で納得して作業終了しました。」
・宮城県松山町のイチゴハウスをもつモニターからメールが届く。
「おはようございます。メールを頂き有り難うございます。私も台風情報には注意を払っているところです。今日から台風対策をしようと思っています。稲の方は殆ど穂揃いしましたが最後の方に植えたのが台風通過までぎりぎり、といったところです。稲の草丈が大部伸びているので倒伏が心配です。刈り取りを前にして大きな被害にならないように願っています。今後とも宜しくお願いいたします。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(19日):エルニーニョ監視海域の海面水温はほとんど負偏差となり、西側には平年偏差が−0.5℃ の海域が現れ始める。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(19日): 台風が通過した後、東海上に中心をもつ高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(19日):台風が通過後、24日頃から北に偏った高気圧に覆われる予想。地上気圧配置予想(20日)によると、台風11号は22日に関東付近、23日に東北に最も近づき、24日にオホーツク海に抜ける予想。その後北に偏った高気圧に覆われる予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(20日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):降雨はほとんどなかった。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、福島県阿武隈山系では生育の遅延が懸念される。
・日射量不足域:日射量不足はほぼ解消される。
・極端な最低気温域:青森県全域、岩手県全域、福島県阿武隈山系。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県沿岸部、宮城県沿岸部、福島県沿岸部。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸部に出されていた低温注意報は午後解除される。
・仙台管区気象台から3か月予報の解説がメールで届く。9,10月の気温は高いとの予報。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「ゆめあかり」が糊熟期に達する。「かけはし」「ゆめあかり」「むつほまれ」「つがるロマン」の穂上部の籾殻が白く変色する。北陸農業試験場経験者に聞いたところフェーンによるものではないとのこと。原因は不明。
【その他】
−−−−−−−−− 下旬 −−−−−−−−−
○8月21日(火) やや強い低温が入る
【天気概況】
・高気圧の中心は東に移動し、台風11号が四国の南に達する。
・午前5時現在の気温は、北部と阿武隈山系で15℃を下回る。
・午後から台風の影響が少しずつ南部から現れ始める。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「台風11号の進路はいかがでしょうか。心配です。ようやく天候も回復し、直播きのササニシキも8月20日に複粒化種子の分が出穂期を迎えました。単粒条播の方は17日頃出穂期を迎えました。これからとても大切なときなのに残念です。亀の尾は穂がコゴミはじめてスズメが楽しく遊んでいます。ササシグレは穂揃い期です。とりあえず、台風前の近況を送ります。」
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。直播の出穂ですが、実はまだ出揃っておりません。調査区の圃場は3〜4割ぐらいは出揃ったのですが、他の圃場はまだ走り穂が出た程度です。台風の影響が心配ですが、今週中には全部の稲が出穂すると思います。今年は、カメムシの発生も多いのですが、イネツトムシの発生も顕著でこの間やり残した直播の圃場はイネツトムシだらけで19日に慌てて防除しました。こんなことなら全部一緒に防除すれば良かったと思いました。来年以降に向けての教訓になりました。みなさんお盆はゆっくり休めたでしょうか、かえって稲のことが心配で安らぐ暇もなかったのでは? 台風の被害が少なければよいですね。予測と予報が当たらないことを祈ります。それではまた…」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(20日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。海面水温が平年より−1.0℃低い海域も現れる。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(20日): 台風通過後は遙か東海上に中心をもつ高気圧に覆われる予想。
・気象庁週間予報支援図(20日):台風の通過後、23日頃から偏西風の蛇行の程度が大きくなり、北から寒気が入りやすくなる見込み。地上気圧配置予想(21日)によると、台風は明日関東、23日に東北東海上、24日にオホーツク海に移動する予想。27日頃からオホーツク海高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(21日):海面水温が20℃以下の親潮は部分的に宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):降雨はほとんど観測されなかった。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部沿岸、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:日射量不足の地域はほとんどない。
・極端な最低気温域:青森県、岩手県北部と沿岸部、福島県阿武隈山系では最低気温が低い状態が続く。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県沿岸部、宮城県沿岸部、福島県沿岸部と阿武隈山系。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「むつほまれ」が糊熟期、「まなむすめ」「ひとめぼれ」「ササニシキ」が傾穂期、「コシヒカリ」が出穂期にそれぞれ達する。「めんこいな」は明日傾穂期に達する見込み。
・監視地点宮古の「あきたこまち」が出穂期に達したと推定され、これで全地点の監視対象水稲が出穂期を過ぎる。
・韓国の育種研究者が当センターを訪問、早期警戒システムについて紹介を行う。
【その他】
○8月22日(水) 台風の影響を受け始める
【天気概況】
・台風11号が中部から関東地方に移動し、東北もその影響を徐々に受け始める。
・正午現在、太平洋側沿岸部で風速が10メートルを超え始め、福島県内では強い雨が降り始める。台風の中心は伊豆半島付近にある。
・午後4時、徐々に風雨が強まり、石巻では風速が15メートルを超す。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。こちらはやっぱり熱帯海洋性気候で暑いけれどとても快適です。現在日本では台風が接近上陸して大変なようですが、いかがお過ごしでしょうか?やっぱり青田を誉めるな!と昔の人はいったようですが、本当です。宮城はこのままだと直撃を受けることになります?もう乳熟をすぎていると思います。稲が倒れたり、浸水する被害もでそうですか!本当に心配です。稲作りは袋に入れてみないと判らないと親父のいうとおりとなりました。こちらでもそちらのHPを見ています。明日からリゾートにいくので、メールは見ることができません。残念です。今後も監視活動よろしくお願いいたします。モルディブのマーレより」
・岩手県立大学の学生さんからメールが届く。
「私はこれまで農業情報について配信するシステムを考えてきたのですが、農業情報にはどのようなものがあって、どのように配信していくのがよいのかなど、よくわからないことが多くなってきました。そこで突然で申し訳ないのですが、お願いがあります。夏休みを利用して東北農業研究センターで、農業情報にはどのようなものがあるのか、どのように配信するべきかなどを勉強させていただけないでしょうか。システム全体についてじっくり考えたいので早期警戒システムの保守も含めて2週間程度の長期に渡って通いたいのですが、鳥越さんのご都合もあると思いますのでもしよければ、都合の付く時期を教えていただけないでしょうか。ちなみに、私の夏休みは9月末日までで、私はいつでもかまいません。よろしくお願いします。」(今は調査等で忙しいので、9月に入ったら一緒に勉強したいものだ。)
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(21日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低くなる傾向がみられる。日本列島東海域の海面水温は平年より低くなる傾向が続く。カムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。フィリピン付近の海面水温は平年より低くなり始める。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(21日): エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低くなり、−1.0℃以下の部分もある。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(21日): 偏西風の位置は北上したままで、流れは東西流となる予想。
・気象庁週間予報支援図(21日):台風が通過した後、偏西風の蛇行が日本付近で大きくなり、寒気が入りやすくなる見込み。地上気圧配置予想(22日)によると、台風は23日北海道東部に達する見込み。25日頃から北の高気圧の影響を受ける予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(22日):海面水温が20℃以下の親潮は部分的に宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):岩手県南部から宮城県と福島県の全域で降雨が広域的に観測される。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部と沿岸部、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域:
・極端な最低気温域:青森県全域、岩手県北部・沿岸部、福島県阿武隈山系、秋田県鹿角周辺。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県北部、宮城県沿岸部、福島県浜通りと阿武隈山系。
【研究活動】
・7月下旬から8月上旬にかけての低温が作柄に及ぼす影響を実態調査の観察も含めて検討する。
【その他】
○8月23日(木)
【天気概況】
・台風は通過し、高気圧に覆われ概ね良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・一般の方から次のような質問のメールが届く。
「質問:学校の宿題についての質問です。やませってなんですか?また、やませで、どんな被害がでているのですか。教えて下さい。」(回答):メール頂きました。“やませ”は東北地方では特別の意味があります。それは、昔から水稲(イネ)の冷害に直接むすびつくためです。“やませ”は梅雨(つゆ)の時期になり、梅雨前線が日本の南に停滞したとき、北には北海道の北の海:オホーツク海に中心をもつ高気圧と南には太平洋に中心をもつ太平洋高気圧があります。北の高気圧は冷たい空気をもち、南の高気圧は暖かい空気をもっています。その2つの空気がぶつかったところが梅雨前線となるのです。このような時、北の高気圧(オホーツク海高気圧)から冷たく湿った空気が水温の低い親潮の上を吹き、東北の太平洋側の陸地に吹きつけられます。この風を東北では“やませ”ということが多いです。この冷たく湿った空気が入ると、気温が低くまた太陽の光がさえぎられ、冷たい夏となります。この“やませ”が長く続くと、稲ではちょうど花粉を作る時期に当たりますので、正常な花粉ができなくなり、稲の花が障害を受けて、実らない稲となります。これは冷害の一つの形で障害型冷害といいます。また、気温が低いため稲の成育が徐々に遅れて、秋になって正常な玄米を収穫できなくなることもあります。この場合、遅延型冷害といいます。両方の冷害が同時に起こることもあります。東北はこのような冷害を過去4,5年に一度繰り返してきたのです。今は物の流通が広域的になり、お米ができなくても海外から買うこともできます。しかし、昔はそのようなこともできなく、米が獲れないと人々の生活に大きな影響を与え、飢餓になったこともたびたびでした。今年も7月下旬から8月中旬にこの“やませ”が吹き、涼しい夏となっています。稲に限らず、夏に育つ作物でダイズ、アズキ、トウモロコシなど、種子を収穫するものは同様の被害があります。一方、ジャガイモ、ナガイモ、ニンジン、ニンニク、ゴボウなどのように地下に収穫する部分があるものは、花粉が障害を受けても関係ありませんので、冷害のたびたびくるような地域ではこのような作物が畑では主として作られています。このように東北では、“やませ”というと稲の冷害を思い起こすのです。まだ分からないことがあれば、メールを下さい。宿題を早くすませ、残り少ない夏を楽しんでください。)(早々にお礼のメールが届く。:とっても、詳しく回答していただいて驚きました。ありか゛とうございました。)
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。メールを頂き有り難うございます。お陰様でビニールハウスは事前に補強等をしていたため、殆ど被害はありませんでした。稲の方は、調査圃場は倒伏しませんでしたが、大麦跡地で肥料が重なった所が倒伏しました。でも大半が自力で立ち上がってくれるものと思っています。むしろあの草丈でよく持ちこらえてくれたものだなと安堵しています。25日(土)はお会いしたいと思いますので宜しくお願いいたします。」
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「おはようございます。台風による亀の尾に被害が出ました。亀の尾のうち調査圃場は半倒伏です。まだ期待できます。なお25日は、山形県余目町で第5回亀の尾サミットがあり他のメンバーで参加しますので不在です。調査結果をお知らせください。」
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「田圃を見回りに行ってきて今帰ってきました。幸いうちの圃場には被害はありませんでした。ただ近所のコシヒカリには一部倒伏したところが見られました。ほっとしました。今年は台風の当たり年なのでしょうか。そうでないことを祈りたいものです。」
・栃木県小山市のモニターからメールが届く。
「栃木県では、既に青刈りが終わりました。青刈りが終わったところに台風とはと思っておりました。4月下旬に田植えをした田圃では、黄熟期で後数日に稲刈りが開始されます。 南那須まで見てきましたが、台風に被害は皆無といえます。倒伏している田圃は、過剰施肥が原因と思われます。今家に帰ってきたところですので、今から学校へ行って来ます。 数年前に、県内では小貝川が台風で決壊しましたが、林務の方たちと改修状況を見て回る機会がありましたが、ほぼ改修済みでしたから、河川の氾濫による被害はないと思います。本年は、豊作間違いなしと思っております。」
・宮城県亘理町のモニターからメールが届く。
「当地は久しぶりの快晴となり夏の暑さが戻ってきました(一ヶ月ぶりくらいでしょうか?)。台風の被害はありませんでしたのでご安心下さい。昨夜、台風が当地の直近を通過したはずなのですが、何故か風雨も大した事もなく過ぎました。さて、稲のほうは出穂〜穂ぞろい〜傾穂までかなり時間がかかりました(おおよそ、7/24〜8/14)。生育は平年並みくらいまで遅れたような感じがします。いもち病は今のところは大丈夫のようです。需給調整水田の青刈りを行いましたが、実際にやってみると想像以上につらいものがありました。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(22日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(22日):今後偏西風は日本付近で蛇行し、寒気が入りやすい状態となる見込み。
・気象庁週間予報支援図(22日):8月25日頃から偏西風の蛇行の程度が大きくなり、北から寒気が入りやすい見込み。地上気圧配置予想(23日)によると、25日頃から北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(23日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):全域でかなりの降水量がある。
・低温障害が懸念される地域:青森県太平洋側、岩手県北部・沿岸部、福島県阿武隈山系。
・日射量不足域: ほとんどない。
・極端な最低気温域:青森県太平洋側、岩手県北部、秋田県北部。
・開花・受精に不適な気温域:青森県太平洋側、岩手県北部・沿岸部、宮城県沿岸部、福島県浜通り・中通り。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「こいむすび」が穂揃い期に達する。
・登熟期低温障害の問題構造−監視のポイント−と各種気温指標を検討する。
【その他】
○8月24日(金)
【天気概況】
・高気圧に広く覆われ、良好な天気となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「台風の被害が少なくて良かったですね。直播圃場の出穂ですが、今日午後から直播圃場に行ってみると、一斉に出穂したものと思われます。これで全部の田圃の穂が出揃いました。まずは一安心ですが、気温が高いのは今日ぐらいでまた寒くなるとの予報で、少々気がかりではあります。残暑のあることを期待して報告に変えます。」
・岩手県普代村のモニターからメールが届く。
「早速有り難うございます。台風に伴う風雨は、22日昼から夕刻頃が最も激しく、その後はあっけないほど穏やかになりました。経路から見ると、普代村もほぼ直撃のような位置にありますが、23日午前2−4時頃は、雨も止み、風もなく、5時過ぎには晴れ間さえ出てきました。吹き返しもなく、ただ暑さだけを残していったようです。被害はありません。22日夕刻には、大豆がかなり傾いて倒伏気味でしたが、23日はほぼ立ち上がっていました。ソバは、まだ倒伏するほどには大きくなっておらず、馬鈴薯の収穫はあと3日ほどで完了します。」
・一般の方から質問のメールが届く。
「もう一度、同じような質問をさせていただきます。北海道の冷害について、詳しく教えて下さいませんか。夏休みも終わりに近いので、失礼ですが、できるだけ、はやくお返事をいただければと思います。よろしくお願いします。」(回答:北海道も東北と同様に、やませによる低温や低気圧が北から冷たい空気を持ち込んで低温となり、水稲や畑作物に被害を及ぼします。北海道は東西で大きく二分されます。(東北における太平洋側と日本海側と同じように考えてください)。水稲を作っている面積は西に主に分布し、石狩・空知・上川支庁が主産地です。冷害の発生機構は東北と同様です。ただ、オホーツク海高気圧の中心の位置によって北海道だけが冷害になる場合、東北だけが冷害になる場合、両方が冷害になる場合などがあります。北海道の東側は、主に畑作地帯です。気温が普段でも低いため、牧草や飼料作物を生産して酪農が盛んですし、大規模な畑作も行われています。畑作の主な作物はコムギ、ダイズ、ジャガイモ、アズキ、インゲン豆などです。ジャガイモは低温には比較的強いのですが、他の作物は低温に弱いため冷害を受けます。これらの作物が大規模にたくさんの面積作られているため、夏低温になると北海道の農業は大打撃を受けます。これでよろしいでしょうか。まだ質問があればメールを下さい。)
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(23日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(23日): 東海上に中心をもつ高気圧の影響を受ける見込み。
・気象庁週間予報支援図(23日):28日頃までは北から寒気が入りやすい状態が続き、その後は日本付近に低気圧が停滞する予想。地上気圧配置の予想(24日)によると、26日以降北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(24日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):宮城県と福島県浜通りと中通りを除く地域では降雨がある。
・低温障害が懸念される地域:青森県下北半島と岩手県北部。
・日射量不足域:ほとんどない。
・極端な最低気温域:岩手県北部は低い状態が続く。
・開花・受精に不適な気温域:青森県下北と福島県阿武隈山系。
【研究活動】
・登熟期低温障害の問題構造−監視のポイント−と各種気温指標を作成する。
・生育作柄診断試験区の「あきたこまち」が糊熟期に達する。
【その他】
○8月25日(土) 宮城県モニター圃場調査、早期警戒情報第18号
【天気概況】
・高気圧に覆われ、良好な天気となり、気温も上がる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「台風は、勢力が弱まったのと、コースの直撃が無かったので、倒伏等の被害は有りませんでした。ただ、風で穂がもまれたので、穂揃い直前のはえぬきの籾ズレの心配は有ります。もう少し立たないと、判りませんが・・・。被害が、思ったより少なかったのが幸いです。」
・宿題に追われていた一般の方からお礼のメールが届く。
「いつも、とても詳しく説明していただいて、本当にありがとうございます。おかげで宿題は、おえることができたし、勉強もできました。本当にありがとうございました。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(24日): エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(24日): 今後日本付近に前線が停滞する予想。
・気象庁週間予報支援図(24日):今後日本付近に前線が停滞する予想。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(25日): 海面水温が25℃以下の親潮は部分的に宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):岩手県北部、山形県南部から福島県会津。
・低温障害が懸念される地域:ほとんどなくなる。
・日射量不足域:ほとんどない。
・極端な最低気温域:岩手県北部。
【研究活動】
・早期警戒情報第18号を作成する。登熟期、特に遅延型冷害の監視を重点にして気温指標と警戒メッシュを作成する。
・宮城県モニター圃場を調査する。出穂・開花期の低温が不稔障害を及ぼしているかどうかが調査の目的。各圃場から最長稈の20穂を集める。生育の早いものは糊熟期、遅いものは乳熟期に達している。傾穂の状況は概ね良好であり、不稔籾が多発している様子はなく、一安心。詳細は穂相調査によって確かめる予定。
・宮城県各地で青刈りが行われている。圃場全部を刈り取るのは少なく、圃場の一部を部分的に刈り取っている場合が多い。
【その他】
○8月26日(日)
【天気概況】
・寒冷前線が南下し、北部を中心に雨となる。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(24日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低くなる。日本列島の東と南海域の海面水温は平年より低くなる。カムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が続く。フィリピン付近の海面水温は平年よりやや低い。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(日):
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(25日): エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・気象庁週間予報支援図(日):地上気圧配置予想(26日)によると、今後は北に中心をもつ高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(26日):海面水温が20℃以下の親潮は部分的に宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):岩手県北部、山形県南部から福島県会津。
・生育遅延が懸念される地域:ほとんどない。
・日射量不足域:ほとんどない。
・極端な最低気温域:ほとんどない。
・高温障害が懸念される気温域:ほとんどない。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「かけはし」が黄熟期、「はえぬき」が傾穂期、「コシヒカリ」が穂揃い期に達する。
【その他】
○8月27日(月)
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧が停滞するため、天気はぐずつく。
・青森県太平洋側にはやませが入る。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターから生育データが届く。
「2〜3日間の高温で、やっと「はえぬき」が一斉に穂揃いしました。他の品種より、出穂のバラツキが少ないようです。白ふは微有りますが、それほど影響は無いと見ています。 開花は、順調のようです(好天で助かりました)。 ただ、平年よりかなり遅れましたので、遅延型冷害の危険は有ります。「はえぬき」以外は、間断灌漑で根の健全化を図っています。そろそろ、青刈り(ホールクロップサイレージ)の準備に入ります。その後、カメムシ被害を抑えるために遅らせていた、転作草地の2番刈り(乾草)に入りたいと思っています。以下、今年の稲の出穂状況を追加ました。
品種 出穂期 穂揃い 傾穂期 糊熟期
ひめのもち 8/ 2 8/ 8 8/13 8/20
あきたこまち 8/ 5 8/12 8/16 8/25
スノーパール 8/ 9 8/16 8/21
はえぬき 8/15 8/24」
・福井県の先輩からメールが届く。
「先日は早速 高温が品質に及ぼす影響等の資料を送付いただきありがとうございます。早生ハナエチゼンの刈り取りはほぼ終わり、今週からはコシヒカリの収穫が始まります。」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(26日):エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(26日): 今後とも寒気が入りやすい状態が続く見込み。
・気象庁週間予報支援図(26日):今後とも北の高気圧の影響を受け、寒気が入りやすい予想。地上気圧配置予想(27日)によると、今後とも9月3日頃までは北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(27日):海面水温が20℃以下の親潮は部分的に宮城県金華山沖まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):ほぼ全域でまとまった降雨がある。
・生育遅延が懸念される地域:ほとんどない。
・日射量不足域:ほとんどない。
・極端な最低気温域:ない。
・高温障害が懸念される気温域:最低気温から見ると山形県庄内、福島県小名浜周辺。
【研究活動】
・宮城県モニター圃場の穂相調査を行う。褐変籾の多発した圃場もある。昔の論文によると、出穂・開花期の低温障害のなかで、“白ふ、白頴に類するが、籾が濃褐色または黒褐色を呈するものがあり、これを黒ふと称する。”とある。
・最近発表された開花期耐冷性(不稔歩合で評価)の丹野らの論文(2001)を読む。それによると、東北の基幹品種である「ひとめぼれ」「ササニシキ」「コシヒカリ」は“やや弱”、「はえぬき」は“中”に分類されている。他の品種では、「はなの舞」「藤阪5号」は“強”、「ヒメノモチ」は“やや強”、陸羽132号は“やや弱”、「トヨニシキ」「亀の尾」「ササシグレ」は“極弱”となる。
【その他】
○8月28日(火) 岩手県農業気象協議会
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧がゆっくり通過するため、日本海側を中心ににわか雨となる。太平洋側北部はやませが入り、気温が20℃を下回る。
・台風12,13号が発生する。台風12号の動きは特に今後注目される。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(27日): エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(27日):偏西風は日本付近で蛇行し、北から寒気が入りやすい状態が続く見込み。
・気象庁週間予報支援図(27日):気圧の谷が停滞し、寒気の入りやすい状態が続く見込み。地上気圧配置予想(28日)によると、今後とも日本付近に気圧の谷や前線が停滞し、北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。台風は今のところはるか東海上を北上する予想となっている。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(28日):海面水温が20℃以下の親潮は部分的に福島県小名浜付近まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):ほぼ全域でかなりの降雨がある。
・生育遅延が懸念される地域:ほとんどない。
・日射量不足域:ほとんどない。
・極端な最低気温域:なし。
・高温障害が懸念される気温域:最低気温から見ると、山形県庄内、秋田県秋田市、横手市周辺、宮城県沿岸から福島県浜通り、福島市周辺。
【研究活動】
・宮城県モニター圃場から集めたサンプルの穂相調査を行う。
・生育作柄診断試験区の「ゆめあかり」が黄熟期、「まなむすめ」が糊熟期、「こいむすび」が傾穂期に達する。「むつほまれ」は明日黄熟期に達する見込み。
・岩手県農業気象協議会に出席する。作柄に関する情報交換が行われる。
【その他】
○8月29日(水) 秋田県大曲市周辺調査
【天気概況】
・動きの遅い低気圧が寒気を伴って居座るため、日本海側を中心に天気がぐずつく。
・太平洋側を中心にやませが入り、気温は上がらない。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(28日):エルニーニョ監視海域の海面水温は平年より低い傾向。日本の東と南海域の海面水温は平年より低くなる。カムチャッカ半島付近の海面水温は平年よりかなり低い状態が長く続いたが、その程度がやや小さくなる。フィリピン付近の海面水温は平年より低くなる。
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(28日): エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。正偏差の海域の面積が広がる。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(28日):偏西風は日本付近で蛇行し、9月3日頃までは前線が停滞し、寒気が入りやすい見込み。
・気象庁週間予報支援図(28日):9月3日頃までは日本付近で偏西風が蛇行し、寒気が入りやすい状態が続く。その後、東に中心をもつ高気圧が張り出す予想。地上気圧配置予想(29日)によると、9月3日以降北に偏った高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(29日):海面水温が20℃以下の親潮は宮城県金華山付近まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):山形県南部を除くほぼ全域で降雨を観測する。
・生育遅延が懸念される地域:なし。
・日射量不足域:青森県太平洋側と岩手県北部で日射量不足となり始める。
・極端な最低気温域:なし。
・高温障害が懸念される気温域:最低気温から見ると、山形県庄内と内陸北部、秋田県秋田市周辺と横手盆地、宮城県沿岸部、福島県浜通り・中通りでは注意が必要となる。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸部に低温注意報が出される。
【研究活動】
・秋田県横手盆地の水稲の生育状況と穂いもちの発生状況を調査する。太平洋側に多発する褐変籾との比較のために穂のサンプルを集める。生育状況は、観察した範囲では、糊熟期から黄熟期前に達している。生育は概ね順調である。褐変籾の発生は太平洋側ほどではなく、明日詳細な観察を行う予定。穂いもちの発生は徹底された防除のためか、現時点では葉いもちの発生程度に対して予想外に少ない。衛星データの取得状況を調査して、広域的な診断を試みてみたい。
・宮城県モニター圃場の穂相調査データをまとめる。
【その他】
○8月30日(木)
【天気概況】
・寒気が入るため、天気はぐずつく。太平洋側はやませの影響を受け、気温は上がらない。
・太平洋側を中心に低温・日射量不足になり始める。登熟の遅れが心配される。
【モニターネットワーク】
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(29日): エルニーニョ監視海域の海面水温は西半分で正偏差、東半分で負偏差。
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(29日):偏西風は今後とも日本付近で大きく蛇行し、前線や低気圧が停滞する予想。
・気象庁週間予報支援図(29日):日本付近には前線や低気圧が停滞し、9月3日頃からオホーツク海高気圧の影響を受ける見込み。地上気圧配置予想(30日)によると、日本付近には前線や低気圧が停滞し、9月1日頃からオホーツク海高気圧の影響を受ける見込み。
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(30日):海面水温が20℃以下の親潮は部分的に福島県小名浜付近まで南下。
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):秋田県南と岩手県南部を除くほぼ全域で降雨が観測される。
・生育遅延が懸念される地域:懸念され地域はない。
・日射量不足域:青森県太平洋側は強度の日射量不足となる。岩手県盛岡市周辺、山形県内陸、福島県会津地域を除く地域では日射量不足となる。
・極端な最低気温域:なし。
・高温障害が懸念される気温域:山形県庄内、宮城県沿岸部から福島県浜通り、福島県福島市周辺。
・青森県太平洋側と岩手県沿岸部に低温注意報が継続して出される。
・仙台管区気象台予報官から気象情報がメールで届く。
「東北太平洋側の低温と日照不足に関する東北地方気象情報(第5号) 平成13年8月30日10時55分 仙台管区気象台発表
(見出し)
東北太平洋側では、向こう1週間も天気がぐずついて、低温や日照不足の状態が続く見込みです。農作物の管理には十分注意して下さい。
(本文)
東北太平洋側では、7月下旬からオホーツク海高気圧からの冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多く、日照不足や低温が続いていました。8月中旬や下旬には、移動性高気圧に覆われて晴れる日もありましたが、ここ数日は、気圧の谷や冷たく湿った東よりの風の影響で天気がぐずついています。向こう1週間も東北太平洋側では、気圧の谷や冷たく湿った東よりの風の影響で天気がぐずつき、最高気温を中心に平年より4度前後低くなる見込みです。農作物の管理には十分注意して下さい。
主な地点の8月1日〜29日までの最高気温と平年差、日照時間と平年比は次の通りです。
(気象官署による速報値)
最高気温 平年差(度) 日照時間 平年比(%)
青森 25.8(−1.8) 174.1( 97)
八戸 23.4(−3.1) 148.6( 91)
むつ 23.0(−2.8) 107.3( 74)
盛岡 26.9(−1.3) 130.5( 87)
宮古 22.7(−3.8) 103.8( 66)
大船渡 24.0(−2.9) 86.4( 57)
仙台 25.1(−2.8) 77.2( 53)
石巻 24.2(−2.7) 116.9( 70)
福島 28.2(−2.1) 110.0( 73)
小名浜 26.6(−0.6) 112.6( 62)
なお、この情報は8月17日に発表した東北太平洋側の日照不足と低温に関する東北地方気象情報(第4号)を引き継ぐものです。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の「つがるロマン」が黄熟期、「めんこいな」「ひとめぼれ」「ササニシキ」が糊熟期、「こいむすび」が傾穂期にそれぞれ達する。「はえぬき」の傾穂状態が悪い。「コシヒカリ」ではまだ開花している花がある。
・秋田県大曲−横手市周辺で採集した穂の調査を行う。宮城県のモニターの穂とはやはり異なり、褐変籾の発生割合は明らかに低い。普通の穂といえる。
・明日は青森県太平洋側に調査に行くため、六戸町の小林さんに電話する。小林さんのイネは着実に登熟が進んでいるようだ。明日は所用があってお会いできないとのこと。稲穂を取らして頂くお願いをする。当該地域はここ数日の低温と強度の日射量不足であり、登熟の遅れが特に心配される。
・宮城県モニターの調査結果を郵送するための準備を行う。
【その他】
○8月31日(金) 青森県六戸町小林さん圃場訪問
【天気概況】
・寒気を伴った低気圧が通過するため、各地で雨となる。
・太平洋側北部ではやませが吹く。
【モニターネットワーク】
・宮城県河南町のモニターから生育情報が届く。
「大変遅くなりました。直播(ひとめぼれ点播)の穂揃いは8月24日、同散播の穂揃いは8月19日と思われます。出穂が昨年より遅くまた残暑もあまり期待できないので心配しております。亀の尾ですが 台風でやや倒れ 27日の夜 結構強い雨が降りさらに倒れましたが、まだちょっと余裕があるようです。スズメが毎日おいしそうに食べている模様です。刈取りですが9月10日頃から始まる予定です。今後の天気次第ですが・・・・」
【早期警戒活動】
・米国海洋大気庁の海面水温平年偏差図(日):
・太平洋海洋環境研究所TAOアレイ(日):
・ヨーロッパ中期予報センター北半球500hPa循環場予測(30日):今後とも前線や低気圧が日本付近停滞し、9月5日頃から東海上からオホーツク海にかけて気圧の尾根が形成される予想。
・気象庁週間予報支援図(日):
・岩手県水産技術センター北日本表面水温(日):
・穂いもち警戒(前日の降雨分布):ほぼ全域で降雨を観測する。降雨が続き、穂いもちの蔓延が心配される。
・生育遅延が懸念される地域:岩手県沿岸部で登熟の遅延が心配される。
・日射量不足域:ほぼ全域で強度の日射量不足となる。登熟への影響が懸念される。
・極端な最低気温域:なし。
・高温障害が懸念される気温域:最低気温から見ると、山形県庄内、宮城県沿岸部、福島県浜通りと福島市周辺。
【研究活動】
・青森県六戸町小林さんの圃場を訪ねる。所用がありお会いできないと思っていた小林さんが背広姿で待っていてくれる。稲は順調に生育を進め、予想通り糊熟期に達している。15分程度話をしてお別れする。小林さんの稲がこの地域では最も早いものといえる。
・十和田市の篤農家(女性)の圃場を訪ねる。やはり圃場に居られた。入念に管理された「ゆめあかり」は順調に乳熟期を迎えている。
・八戸市の篤農家の圃場を訪ねる。年輪を重ねた笑顔にはお会いできなかったが、「ゆめあかり」は順調に乳熟期を迎えており安心する。
・その後、三沢市−東北町−上北町などを調査する。厳しい低温に耐えた稲穂と青刈りされつつある稲穂に所々で観察される。厳しい現実を見る。
【その他】
torigoe@affrc.go.jp