2004年仙台管区気象台発表予報

2月25日発表暖候期予報


 本情報は仙台管区気象台発表の暖候期予報内容をお知らせします.


○2月25日発表 東北地方暖候期予報(3〜8月)
<予想される夏(6月から8月)の天候>
 夏(6月から8月)の実現の可能性が最も大きい天候は以下のとおりです。
 6月から7月は平年と同様に梅雨前線やオホーツク海高気圧の影響で曇りや雨の日が多いでしょう。その後は、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多い見込みですが、前線や寒気の影響で曇りや雷雨となる時期があるでしょう。
 この期間の平均気温は平年並、降水量は平年並か多いでしょう。梅雨の時期(6月から7月)の降水量は平年並か多いでしょう。
 なお、5月までの予報については最新の3か月予報等をご覧下さい。

夏(6月から8月)の気温、降水量の各階級の確率(%)

1.数値予報(アンサンブル予報)による大気の流れの予想
 夏(6〜8 月)平均の500hPa 高度の予想図は、極東域では高緯度に負偏差が広がり、朝鮮半島付近やカムチャツカ半島の南も負偏差となる。一方、日本付近や日本の南海上、オホーツク海は正偏差となる。偏西風の流れからは、朝鮮半島付近が負偏差なため南から暖湿な気流が流れ込み、天気はぐずつきやすい。
 夏(6〜8 月)平均の地上気圧の予想図は、日本の南に太平洋高気圧が張り出すが、オホーツク海高気圧も強い。また、日本の東には梅雨前線に対応する等圧線のくびれが見られる。

2.長期的な傾向
(1)最近の夏(6〜8 月)の天候
 東北地方の夏(6〜8 月)の平均気温は、1950 年代後半から70 年代前半は年々の変動が小さかったが、70 年代後半からは変動が大きくなっている。1990 年代に入っても、93 年の記録的な冷夏、94 年の記録的な暑夏と極端な天候が現れており、99 年、2000 年は2 年連続して暑夏となったが、昨年(2003 年)は冷夏となった。
 なお、5 年移動平均の推移からは年や冬(12〜2 月)の平均気温に顕著に現れる昇温傾向など長期的な傾向は見られない。

東北地方の夏(6〜8月)の平均気温平年差の推移
東北地方の夏(6〜8月)の平均気温平年差の推移
(棒グラフ:平均気温平年差 太線:5年移動平均値 細線:-0.5℃≦平年並の範囲≦0.3℃)
東北地方の6〜7月の2か月間降水量(概ね梅雨期間の降水量に相当)平年比の推移
東北地方の6〜7月の2か月間降水量(概ね梅雨期間の降水量に相当)平年比の推移
棒グラフ:降水量平年比 太線:5年移動平均値 細線:92%≦平年並の範囲≦111%

 東北地方の6〜7 月の2 か月間降水量(概ね梅雨期間の降水量に相当)は、1960 年代後半から年々の変動が大きく、1990 年代に入っても91 年や93 年の多雨、94 年の少雨と変動が大きかった。しかし、1990 年代後半から平年並か多雨が続いており、昨年(2003 年)も多雨となった。
 下表は、1981 年以降の東北地方の夏(6〜8 月)の天候である。ただし、夏の特徴については全国的な天候の特徴を示す。


1981年以降の東北地方の夏(6〜8月)の天候の特徴
平均気温
平年差(℃)
降水量
平年比(%)
日照時間
平年比(%)
特   徴
1981-0.7(-)135(+)93(-)梅雨寒 7月梅雨前線日本海側 盛夏期短い 水害多発 冷害
1982-0.7(-)79(-)109(+)梅雨前半不活発 後半活発 長崎豪雨 盛夏短い 水害多発 冷害
1983-1.3(--)110(0)89(-)オホーツク高 北日本低温寡照 冷害 梅雨不活発 猛暑
19841.1(+)62(--)115(+)陽性梅雨 盛夏初め不安定 8月猛暑少雨多照 干害
19850.7(+)76(-)122(++)梅雨活発 梅雨寒 盛夏猛暑少雨多照 台風接近多い(6個)
1986-1.0(-)109(0)101(0)梅雨活発 オホーツク高 梅雨寒 盛夏短く西日本少雨
19870.2(0)112(+)96(0)梅雨7月活発 夏型不安定 オホーツク高 雷雨多発
1988-0.8(-)112(+)78(--)オホーツク高 梅雨活発 盛夏不安定西冷 熱低近海で多発 冷害
1989-0.2(0)70(-)108(0)オホーツク高 梅雨寒 梅雨活発 夏型不安定 台風接近多い(6個)
19901.1(+)98(0)108(0)空梅雨 梅雨期から猛暑 水不足
19910.2(0)145(++)87(-)梅雨活発 盛夏期短い 東北・北陸梅雨明け遅 冷害 南西諸島高温
1992-0.2(0)78(-)100(0)梅雨低温少雨 梅雨明け後猛暑 西・北日本8月低温
1993-2.0(--)123(+)71(--)冷夏 冷害 多雨寡照 西日本大雨被害 南西諸島高温少雨
19941.5(++)63(--)121(++)空梅雨 7〜8月高温顕著 全国的な少雨多照
19950.2(0)117(+)80(-)梅雨期前半の低温寡照 後半の多雨寡照 盛夏期高温 北日本寡照
1996-0.3(0)80(-)93(-)北冷西暑 北・東日本の気温の変動大 北日本寡照 南西諸島多照
19970.4(+)87(0)102(0)梅雨後半活発日本海側多雨 台風3個上陸 北日本,南西諸島寡照
1998-0.6(-)167(++)69(--)夏型安定せず 北・東日本気温変動大 寡照 台風発生少ない
19991.4(++)120(+)107(0)北・東日本高温 西日本では梅雨明け後も多雨・寡照 南西諸島寡照
20001.3(+)80(-)109(+)高温 東・西日本少雨 太平洋高不安定 雷雨 熱帯擾乱
20010.2(0)101(0)95(0)東日本以西高温 太平洋側少雨・多照 7,8月北日本多雨・寡照
20020.2(0)136(+)92(-)東日本以西高温 北日本多雨・寡照 西日本少雨・多照 南西諸島寡照 7月に台風2個上陸
2003-1.3(--)118(+)65(--)北〜西日本低温・寡照 南西諸島7〜8 月高温・少雨

++:かなり高い(多い) +:高い(多い) 0:平年並 -:低い(少ない) --:かなり低い(少ない)

(2)最近の夏(6〜8 月)の循環場
 オホーツク海高気圧指数は、オホーツク海付近に現れる高気圧の強さを見る指数で、正偏差の場合はオホーツク海高気圧が北日本に張り出し、北から冷たい空気が流れ込んで東北太平洋側を中心に低温やぐずついた天候となりやすい。この指数の夏平均の経年変化を見ると、1970 年代から経年的な上昇傾向が見られ、1980 年代後半からは正偏差傾向が続いている。  昨年(2003 年)のオホーツク海高気圧指数は正偏差で、6 月下旬中頃から7 月にかけてと8 月中旬にオホーツク海高気圧が現れ、東北地方は低温や記録的な日照不足となった。
 極東中緯度高度指数は、日本付近の高度場の高低を見る指数で、正偏差の場合は寒気が南下しにくく、日本付近は高気圧に覆われて高温となりやすい。この指数の夏平均の経年変化を見ると、経年的な上昇傾向が見られ、1980 年代後半からは1993 年(極端な冷夏年)を除き正偏差で経過している。
 最近は、オホーツク海高気圧指数や極東中緯度高度指数共に正偏差の傾向を示しており、オホーツク海高気圧や太平洋高気圧の張り出しの有無や時期によって、東北地方では気温の変動が大きくなっていると考えられる。
 オホーツク海高気圧指数や極東中緯度高度指数共にここ数年は平年並に戻る傾向も見られるが、この夏も引き続き正偏差になると予測される。このため、東北地方ではオホーツク海高気圧や太平洋高気圧の影響を受けやすく、寒気が入って天気がぐずついたり、梅雨前線の活動が活発になる時期や、太平洋高気圧に覆われて高温となる時期があると考えられる。

(3)熱帯の大気・海洋と日本の天候
 エルニーニョ監視海域(北緯4 度〜南緯4 度、西経150 度〜西経90 度)の海面水温の基準値(1961〜90 年の30 年平均値)との差の推移を見ると、エルニーニョ現象は2003 年冬に終息し、2003 年春には負偏差となったが、2003 年秋頃から基準値を上回る状況が続いている。
 2004 年2 月10 日発表のエルニーニョ監視速報No.137 によると、この夏にエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値よりやや高い値で推移すると見られるが、エルニーニョ現象の発生に至る可能性は小さいと判断される。
 東北地方の夏(6〜8 月)平均気温と上層雲量の関係は、日本付近で負相関、フィリピン近海で正相関となっている。東北地方が低気圧や前線の影響を受けやすい場合、上層雲量は多く低温となる。また、フィリピン付近で対流活動が活発な場合は上層雲量が多くなるが、日本付近は対流活動に伴う下降流で太平洋高気圧が強まり、高温となりやすい。
 夏に西部太平洋赤道域の海面水温が高い場合には対流活動が活発となる。この海域の海面水温は、1990 年代後半から平年より高い状態が続いている。

エルニーニョ予測モデルによるエルニーニョ監視海域の海面水温予測
エルニーニョ予測モデルによるエルニーニョ監視海域の海面水温予測
 この図は、エルニーニョ監視海域の海面水温(基準値との差)の先月までの推移(折れ線グラフ)とエルニーニョ予測モデルから得られた今後の予測(ボックス)を示している。各月のボックスは、海面水温の基準値との差が70%の確率で入る範囲を示す。(基準値は1961〜1990年の30年平均値)

3.まとめ
 数値予報資料では、太平洋高気圧の日本付近への張り出しは平年並程度と考えられ、現段階では平年と同様の天候経過が予想される。
 北日本の気温と相関の大きいアジアモンスーンの活動度やフィリピン付近の対流活動については、現段階では平年並程度と予想される。しかし、数値予報資料でオホーツク海高気圧が強まる可能性や最近の循環場の傾向、夏(6〜8 月)の気温の年々変動の増大などからも、東北地方では低温の可能性も考慮する必要がある。予報では平年並の確率は40%だが、低いと高いの確率もともに30%で大きな差はない。
 夏(6〜8 月)の降水量や梅雨の時期(6〜7 月)の降水量は、数値予報資料や統計予測資料で東北地方の多雨傾向が予想され、平年並か多い可能性が大きい。
 この夏のエルニーニョ監視海域の海面水温は、基準値よりやや高めに経過するものの、エルニーニョ現象の発生に至る可能性は今のところ小さいと判断され、今夏にエルニーニョ現象による影響は考慮していない。
 ただし、エルニーニョ現象に関連する熱帯海面水温の状況は春に大きく変わることが多く、今後の動向に注意する必要がある。

 なお、今後も太平洋赤道域の大気・海洋や北半球循環場の推移等を注意深く監視し、3 月及び4月の3か月予報(毎月25 日頃発表)に合わせて暖候期予報の内容を再検討し、変更がある場合には修正して発表することにしている。

 
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