2005年仙台管区気象台発表予報

2月24日発表暖候期予報


 本情報は仙台管区気象台発表の暖候期予報内容をお知らせします.


○2月24日発表 東北地方暖候期予報(3月から8月までの天候見通し)
<予想される夏(6月から8月)の天候>
 夏(6月から8月)の出現の可能性が最も大きい天候は以下のとおりです。
 6月から7月は、平年と同様に梅雨前線やオホーツク海高気圧の影響で曇りや雨の日が多いでしょう。その後は、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多いですが、前線や寒気の影響で曇りや雷雨となり、一時天気がぐずつく見込みです。
 この期間の平均気温は平年並、降水量は平年並か多いでしょう。梅雨の時期(6月から7月)の降水量は平年並か多いでしょう。
 なお、5月までの予報については最新の3か月予報等をご覧下さい。

夏(6月から8月)の気温、降水量の各階級の確率(%)

1.長期的な傾向
(1)最近の夏(6〜8 月)の天候
 東北地方の夏(6〜8 月)の平均気温は、1950 年代後半から70 年代前半は年々の変動が小さかったが、70 年代後半からは年々の変動が大きくなっている。1990 年代以降も、93 年の記録的な冷夏、94 年の記録的な暑夏、99 年、2000 年は2 年連続して暑夏、03 年は記録的な冷夏、昨年( 2004年)は暑夏と極端な天候が現れている。
 また、昨年(2004 年)は6、7 月に高温、8 月は低温と、月別に見ても変動が大きかった。
 なお、5 年移動平均値の経年変化からは年や夏(6〜8 月)以外の季節の平均気温に顕著に現れる昇温傾向など長期的な傾向は見られない。

東北地方の夏(6〜8月)の平均気温平年差の推移
東北地方の6〜7月の2か月間降水量(概ね梅雨期間の降水量に相当)平年比の推移

 東北地方の6〜7 月の2 か月間降水量(概ね梅雨の時期の降水量に相当)は、1960 年代後半から年々の変動が大きく、1990 年代に入っても91 年や93 年の多雨、94 年の少雨と変動が大きかった。しかし、1990 年代後半から平年並か多雨が続いている。
 昨年(2004 年)は平年並だったが、平成16 年新潟・福島豪雨など梅雨末期の集中豪雨が発生した。

 下表は、1991 年以降の東北地方の夏(6〜8 月)の天候である。ただし、夏の特徴については全国的な天候の特徴を示す。


1991年以降の東北地方の夏(6〜8月)の天候の特徴
平均気温
平年差(℃)
降水量
平年比(%)
日照時間
平年比(%)
特   徴
19910.2(0)145(++)87(-)梅雨活発 盛夏期短い 東北・北陸梅雨明け遅い 冷害 南西諸島高温
1992-0.2(0)78(-)100(0)梅雨低温少雨 梅雨明け後猛暑 西・北日本8月低温
1993-2.0(--)123(+)71(--)冷夏 冷害 多雨寡照 西日本大雨被害 南西諸島高温少雨
19941.5(++)63(--)121(++)空梅雨 7〜8月高温顕著 全国的な少雨多照
19950.2(0)117(+)80(-)梅雨期前半の低温寡照 後半の多雨寡照 盛夏期高温 北日本寡照
1996-0.3(0)80(-)93(-)北冷西暑 北・東日本の気温の変動大 北日本寡照 南西諸島多照
19970.4(+)87(0)102(0)梅雨後半活発日本海側多雨 台風3個上陸 北日本・南西諸島寡照
1998-0.6(-)167(++)69(--)夏型安定せず 北・東日本気温変動大 寡照 台風発生少ない
19991.4(++)120(+)107(0)北・東日本高温 西日本では梅雨明け後も多雨寡照 南西諸島寡照
20001.3(+)80(-)109(+)高温 東・西日本少雨 太平洋高不安定 雷雨 熱帯擾乱
20010.2(0)101(0)95(0)東日本以西高温 太平洋側少雨多照 7,8月北日本多雨寡照
20020.2(0)136(+)92(-)東日本以西高温 北日本多雨寡照 西日本少雨多照 南西諸島寡照 7月に台風2個上陸
2003-1.3(--)118(+)65(--)北〜西日本低温寡照 南西諸島7〜8 月高温少雨
20040.9(+)96(0)115(+)北〜西日本高温多照 南西諸島多雨寡照 太平洋高気圧強く梅雨前線不活発 台風6個上陸

++:かなり高い(多い) +:高い(多い) 0:平年並 -:低い(少ない) --:かなり低い(少ない)

(2)最近の夏(6〜8 月)の循環場
 オホーツク海高気圧指数は、オホーツク海付近に現れる高気圧の強さを示す指数で、高指数の場合はオホーツク海高気圧が北日本に張り出し、北から冷たい空気が流れ込んで東北太平洋側を中心に低温やぐずついた天候となりやすい。
 この指数の夏(6〜8 月)平均の経年変化を見ると、1970 年代から経年的な上昇傾向が見られ、1980 年代後半からは高指数傾向が続いていたが、昨年(2004 年)は大きな低指数で、オホーツク海高気圧はほとんど現れなかった。
 極東中緯度高度指数は、日本付近の高度場の高低を示す指数で、高指数の場合は寒気が南下しにくく、日本付近は高気圧に覆われて高温となりやすい。
 この指数の夏(6〜8 月)平均の経年変化を見ると、経年的な上昇傾向が見られ、1980 年代後半からは1993 年(極端な冷夏年)を除き高指数で経過している。
 最近は、オホーツク海高気圧指数や極東中緯度高度指数共に高指数の傾向を示しており、オホーツク海高気圧や太平洋高気圧の張り出しの有無や時期によって、東北地方では気温の変動が大きくなっていると考えられる。
 オホーツク海高気圧指数や極東中緯度高度指数共にここ数年は平年並に戻る傾向も見られるが、この夏(6〜8 月)のオホーツク海高気圧指数にはっきりとした傾向は無く、極東中緯度高度指数は引き続き高指数になると予測される。このため、太平洋高気圧の勢力は平年より強いと考えられるが、オホーツク海高気圧も強まる時期があると考える。東北地方は、寒気が入って天気がぐずついたり、梅雨前線の活動が活発になる時期や、太平洋高気圧に覆われて高温となる時期がある見込み。

(3)熱帯の大気・海洋と日本の天候
 エルニーニョ監視海域(北緯4 度〜南緯4 度、西経150 度〜西経90 度)の海面水温の基準値(1961〜90 年の30 年平均値)との差の経年変化を見ると、エルニーニョ現象が2003 年2 月に終息した後は春を中心に下がる時期があるものの、2003 年秋頃から基準値を上回る状況が続いている。2004年11 月の値は+0.9℃と前回のエルニーニョ現象の終息後では最も高い値となったが、2005 年1月には+0.4℃となった。
 2005 年(平成17 年)2 月10 日発表のエルニーニョ監視速報(No.149)によると、エルニーニョ監視海域の海面水温は春には一旦基準値に近づき、その後は基準値よりやや高い値で推移すると見られる。予測期間中(2005 年2 月〜8 月)にエルニーニョ現象が発生する可能性は現時点では高くないものの、今後の大気・海洋の状況には注意を要する。
 このため、現段階ではこの夏(6〜8 月)の日本の天候の予報においてエルニーニョ現象による影響は考慮しない。
 西部太平洋熱帯域(北緯14 度〜赤道、東経130 度〜東経150 度)の海面水温平年差の経年変化を見ると、この海域の海面水温は1990 年代後半から平年より高い状態が続いている。西部太平洋熱帯域の海面水温は、エルニーニョ現象発生時には下がる傾向があるが、1997/98 年や2002/03年のエルニーニョ現象時は下降したものの平年値付近であった。
 東北地方の夏(6〜8 月)の平均気温と上層雲量の関係は、日本付近で負相関、フィリピン付近で正相関となる。
 東北地方が低気圧や前線の影響を受けやすい場合、東北付近の上層雲量は多く低温となる。一方、フィリピン付近で対流活動が活発な場合はフィリピン付近の上層雲量が多くなるが、日本付近は対流活動に伴う下降流で太平洋高気圧が強まり、高温となりやすい。
 夏(6〜8 月)に西部太平洋熱帯域の海面水温が高い場合には、一般的にフィリピン付近で対流活動が活発となりやすい。
 この海域の海面水温は、2004 年夏に一時平年を下回ったが、その後は平年を上回る状況が続いており、2005年1 月には+0.2℃となっている。偏差が小さくなる傾向にも見えるがはっきりせず、この夏(6〜8 月)は平年並程度で経過すると考える。

2.数値予報(アンサンブル予報)による大気の流れの予想
 夏(6〜8 月)平均の500hPa 高度の予想図では、オホーツク海から北海道にかけて負偏差となるが、極東域は広く正偏差に覆われる。本州以南は正偏差だが北海道が負偏差となることから、東北地方は前線の影響を受けやすく、一時的に寒気が南下する可能性もある。しかし、日本の南の亜熱帯高気圧は正偏差で平年より強い。
 夏(6〜8 月)平均の地上気圧の予想図は、日本の南に太平洋高気圧が平年より強く張り出すが、北海道の東は負偏差でオホーツク海高気圧は平年より弱い。日本の東には梅雨前線に対応する等圧線のくびれが見られる。
 ただし、夏(6〜8 月)平均の500hPa 高度の予想図、地上気圧の予想図とも偏差は非常に小さく、平年からかけ離れた予想とはなっていない。

3.まとめ
 夏(6〜8 月)のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値よりやや高い値で推移するとみられるが、エルニーニョ現象が発生する可能性は現時点では高くないと判断される。このため、この夏(6〜8 月)にエルニーニョ現象による日本の天候への影響は考えない。ただし、エルニーニョ現象に関連する熱帯海面水温の状況は春に大きく変わることが多く、今後の動向に注意する必要はある。
 東北地方の夏(6〜8 月)の平均気温に長期的な傾向は見られない。しかし、最近の極東中緯度高度指数は高指数で経過しており、この夏(6〜8 月)の太平洋高気圧の勢力は平年より強いと考えられる。また、東北地方の気温と相関の大きいアジアモンスーンの活動やフィリピン付近の対流活動は、西部太平洋熱帯域やエルニーニョ監視海域の海面水温について明瞭なシグナルが無いことから、現段階では平年並程度と考えられる。ただし、最近のオホーツク海高気圧指数の高指数傾向により東北地方で気温の年々変動が大きくなっていることを考慮すると、東北地方の夏(6〜8 月)の平均気温は平年並程度と考えられる。
 数値予報資料では、東北地方は前線の影響を受けやすいが、太平洋高気圧の日本付近への張り出しは平年より強く、オホーツク海高気圧は平年より弱い見込み。ただし、予想図の偏差は非常に小さく、平年からかけ離れた予想となっていないため、現段階では平年と同様の天候経過を考える。
 東北地方の夏(6〜8 月)の降水量や梅雨の時期(6〜7 月)の降水量は、長期的な傾向や数値予報資料、統計予測資料で多雨傾向が予想され、平年並か多い可能性が大きい。

 なお、今後も太平洋赤道域の大気・海洋や北半球循環場の推移等を注意深く監視し、3 月及び4月の3か月予報(毎月25 日頃発表)に合わせて暖候期予報の内容を再検討し、変更がある場合には修正して発表することにしている。

 
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