東北農業試験場

水稲冷害研究チーム通信

No.17

1996年7月2日


目次

  1. 早期警戒情報
  2. 作柄診断
  3. 3ヶ月予報と1ヶ月予報
  4. 旬別気象経過
  5. 図説東北の冷害
  6. ホームページ紹介
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1.早期警戒情報(7月2日,第11号)

 
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2.作柄診断

東北農政局が発表した6月15日現在の水稲生育情報を表1に掲載します。
 東北地域の水稲生育の全貌が明らかになりましたので、作柄診断モデルの評価とあわせて概要をみることにします。

青森県:
 田植え時期は5月上中旬の低温の影響で平年より2〜4日遅れ。活着は平年並みであったが、6月中旬の低温と日照不足により草丈は短く、茎数がやや少ない状況です。
 生育は全域でやや不良となっている。
 
岩手県:
 田植え時期は平年より1、2日の遅れ。活着は田植えの早い北上川下流地域と東南部でやや不良で、その他の地域は平年並み。北上川上流地域の生育は並み、その他の地域はやや不良となっている。茎数はすべての地域でやや少ない状況である。
 生育は北上川上流地域で並み、その他の地域はやや不良である。特に県北部の生育の遅れが心配される。

宮城県:
 田植え時期はほとんど平年並みであり、5月上中旬の低温が大きく影響して、活着は全域で不良となった。この活着障害で茎数は少ない状況である。6月中旬のの低温と日照不足により生育の遅れは回復していない。
 生育は全域でやや不良となっている。

秋田県:
 田植え時期は県南部で2日遅れであり、他の地域は平年並み。活着は田植え時期の早かった県中央部でやや不良、県北部並み、県南部やや良となった。草丈は全域でやや短く、茎数は県中央部で少ない、他の地域はやや少ない状況である。
 生育はほぼ順調に推移しているとみられる。

山形県:
 田植え時期は村山と置賜で数日遅れ、他の地域は平年並み。活着は田植え時期の早かった庄内でやや不良、他の地域はやや良。茎数は村山と置賜ではやや多く、最上並み、庄内やや少ない状況である。
 生育はほぼ順調に推移しているとみられる。

福島県:
 田植え時期はほぼ平年並み。活着は田植え時期の早かった中通りと浜通り地域でやや不良、会津地域は並み。茎数は浜通りで少なく、中通りでやや少なく、会津では並みとなっている。
 生育は浜通りでやや不良という状況である。
 
 上の生育状況は6月中旬を経過した時点での作柄診断モデルの作柄指数とほぼ一致するものです。
 やはり、田植え時期の早かった地域は5月上中旬の異常な低温で生育に大きな障害を受けたことが明らかとなりました。それに加え6月中旬の低温と日照不足により生育を完全に回復するまでには至らなかったと推定されます。
 さて、生育の前半を終え、いよいよ7月に入りました。7月中旬からは作柄が天候に大きく影響される時期に突入します。後にある1ヶ月予報では7月中旬に低温が来ると予想されています。今後の天候の推移が気になります。

    
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3. 3ヶ月予報と1ヶ月予報

○ 6月20日発表 3ヶ月予報

○ 6月28日発表 1ヶ月予報

 
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4.旬別の気象経過

1) 6月中旬(表2参照)
 平均気温は14〜20度程度,青森県では平年に比べ1度程度低く、福島県中通り南部では1〜2度高かった。他の地域はほぼ平年並みであった。
 最高気温は17〜25度程度,青森県では平年に比べ2〜3度程度低く、岩手県・宮城県・秋田県・山形県では1〜2度程度低かった。福島県中通り南部では1〜3度程度高いところが多かった。
 最低気温は12〜17度程度,平年に比べ1〜2度程度高いところが多かった。
 降水量は平年に比べて著しく多かった。特に青森県・秋田県・山形県でその傾向が顕著であった。
 日照時間は全域で平年に比べて著しく少なかった。
 この期間は5月中旬までの低温による生育遅れを取り戻せるものと期待された。しかし、雨の日が多く最高気温が平年より低く、最低気温は平年より高いという気温日較差が小さく、日照不足であったことから、分げつ形成には良くない気象経過であった。

2) 6月下旬(表3参照)
 平均気温は15〜20度程度,ほぼ平年並みであった。
 最高気温は19〜24度程度,平年より低めであった。
 最低気温は13〜17度程度,ほぼ平年並みであった。
 降水量は青森県・岩手県北上川流域・宮城県・秋田県で平年より多いところが多かった。
 日照時間は全域で平年に比べて著しく少なかった。特に宮城県・秋田県南部・山形県・福島県会津で平年の50%にも達しなかった地点が多い。
 この期間は中旬と同様日較差がなく、日照時間の少なく、分げつの形成後期には良好な天候とは言い難い。新聞記事等で各地の生育状況が報じられているが、依然生育の遅れが残っている状況である。7月上旬は有効茎数(穂となる茎)数が決定される時期である。このままの天候が続くと、穂数の減少が懸念される。

 
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5.図説東北の冷害:前歴深水灌漑

  図説東北の冷害:前歴深水灌漑
 
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6.ホームページ紹介

  本ホームページを開設して2ヶ月が経過しました。水稲冷害の早期監視業務に新たに気象衛NOAAの雲と地表面温度分布画像情報が加わりました。これは、東北大学大気海洋観測研究センターの川村 宏教授が東北大学大型計算機センターに公開している日本画像データベースを利用したものです。
 早期警戒のための利用をお願いしたところ、川村教授からは快諾いただき実現することになりました。
 メニュー項目7「気象衛星NOAAによる監視」に可視画像による雲の分布と熱画像による地表面温度分布が掲載されています。
 気象監視業務は現在まで61アメダス指標地点の気象データのリストで日々の概況を見てきましたが、これら2つの画像は東北地方全域の概況を如実に表すもので、監視業務の強力な武器になります。画像はほぼ毎日更新されています。画像をインターネットで取り込みます。そして可視画像はそのまま利用し、下に気象監視コメントを付加して掲載しています。例えば、5月17日の画像をみると、青森県南部地域、岩手県沿岸部、宮城県、福島県にヤマセによる雲が押し寄せている様子がよく分かります.
 また熱画像は神田君が作ってくれたプログラムで色表示して、その下に気象監視コメントを付けて掲載しています。例えば、5月14日の画像を見ると、東北北部に低温域が広く広がっている様子。また5月28日の画像によると、内陸部で高温域が広がっている様子が分かります。
 このように面情報の威力が遺憾なく発揮されます。皆様に活用いただけましたら幸いです。
 最後になりましたが、本ホームページは研究者仲間には少しづつ知られはじめましたが、今後は生産者の方々にも見ていただき、忌憚のないご意見をいただきたく思っています。
 
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