
6月上旬を経過した時点での作柄診断の概要は次の通り。
1)冷害危険地帯1
対象アメダス指標地点
岩手県:遠野・岩手松尾・一関・千厩,宮城県:築館・鹿島台・大衡・仙台・亘理・白石,福島県:相馬・浪江・小名浜・福島・二本松・船引・石川・東白川・
5月下旬の最高気温,6月上旬の最低気温と日照時間が作柄に影響する。いずれの要素も作柄にはマイナスに作用したと推察される。次の診断ポイントは6月下旬の日照時間です。
2)冷害危険度地帯2
対象アメダス指標地点
青森県:五所河原・鰺ヶ沢・弘前・黒石,岩手県:盛岡・紫波,山形県:尾花沢
5月上旬の日照時間と下旬の最高気温,6月上旬の最低気温が作柄に影響する。5月下旬の最高気温は青森県津軽では作柄にプラスに,一方盛岡・紫波・尾花沢ではマイナスに作用し,他の要素は作柄にマイナスに作用したと推察される。次のポイントは6月中旬の最低気温です。
3)冷害危険度地帯3
対象アメダス指標地点
秋田県:大館・能代・大潟・本荘・角館,山形県:狩川・新庄・米沢,福島県:若松
5月下旬の最高気温,6月上旬の日照時間が作柄に影響する。両要素も作柄にはプラスに作用したと推察される。次の診断ポイントは6月中旬の日照時間です。
4)冷害危険度地帯4
対象アメダス指標地点
青森県:十和田・八戸・三戸・青森,岩手県:雫石,秋田県:鹿角(毛馬内)
5月下旬の最高気温と最低気温が作柄に影響する。両要素も作柄にはマイナスに作用したと推察される。次の診断ポイントは7月下旬の日照時間です。
5)冷害危険度地帯5
対象アメダス指標地点
秋田県:大曲・横手・湯沢,山形県:酒田・鶴岡・楯岡,福島県:喜多方
5月下旬の最高気温と6月上旬の日照時間が作柄に影響する。5月下旬の最高気温は作柄にはマイナスに,6月上旬の日照時間はプラスに作用したと推察される。次の診断ポイントは6月中旬の日照時間です。
6)冷害危険度地帯6
対象アメダス指標地点
岩手県:宮古(他に軽米,宮城県気仙沼,福島県川内・飯舘)
作柄に影響する時期に至っていない。次の診断ポイントは6月下旬の最低気温です。
7)冷害危険度地帯7
対象アメダス指標地点
岩手県:北上・江刺・若柳,宮城県:石巻・米山・古川,福島県:猪苗代・郡山・白河
5月下旬の最高と最低気温,6月上旬の最高気温が作柄に影響する。いずれの要素も作柄にはマイナスに作用したと推察される。次の診断ポイントは7月上旬の最低気温です。
8)冷害危険度地帯8
対象アメダス指標地点
青森県:三沢・むつ(蟹田・六ヶ所・小田野沢),岩手県:久慈
5月上旬の日照時間,下旬の最高気温が作柄に影響する。両要素も作柄にはマイナスに作用したと推察される。次の診断ポイントは6月下旬の最低気温と日照時間です。この地帯の生育の進み具合が特に心配される。
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(解説)
1) 500hPaの高度分布
長期予報を行う前に,実況解析を行う。実況解析に用いる天気図は,半旬平均,月平均などある期間の平均的な状態を表す天気図です。特に500hPaの高度分布図は偏西風や北極寒気の動向を見るのに有効で,一般に等高度線の混んでいる領域で風が強く(偏西風帯:中緯度地方の帯状の領域で約3,000kmの幅を持つ),高・低気圧の発生や移動と密接に関係する。分布図には平年偏差(高度の平年値と実況値との差)の分布も示され,大気の流れの平年との違いがわかる。平年より高度が高い(低い)領域では地上でも平年より気温が高い(低い)ことが多くなる。
2) 西谷
日本の西側に気圧の谷が形成されている状態で,日本付近には南西からの暖湿流が入りやすくなる。前線や低気圧の影響を受けやすくなる。
3) 東谷
日本の東側に気圧の谷が形成されている状態で,日本付近には北西の気流(寒気)が入りやすくなる。冬期は冬型の気圧配置が強まり,北日本には寒気が流入しやすくなる。
参考資料:仙台管区気象台技術部予報課(1996年)「長期予報の解説資料(第3版)−長期予報で使用する用語の解説」。
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1) 5月上旬
平均気温は9〜13度程度であり,特に青森・岩手両県で10度を下回った地点が多い。これらの地点では平年に比べて1度程度低かった。
最高気温は13〜17度程度で,平年に比べて1〜3度程度低かった。
最低気温は5〜10度程度で,ほぼ平年並みかやや高かった。
降水量は平年に比べて2〜4倍程度あった。,
日照時間は青森・岩手・秋田・山形・福島県会津で平年に対して4〜6割程度であった。
この期間は不順な天候で本田の準備等に支障がないか心配された。
2) 5月中旬(表1参照,前号のものは日照時間が統一されていなかったので再録)
平均気温は8〜13度程度で,特に青森・岩手両県で10度を下回った地点が多い。平年に比べて2〜4度も低かった。
最高気温は13〜18度程度で,平年に比べて1〜5度も低かった。
最低気温は4〜8度程度で,平年に比べて1〜3度も低かった。
降水量は全般に少なかった。
日照時間は東北南部や秋田県で平年並み以上あったが,青森県むつ・五所川原,宮城県石巻・米山・古川・仙台・亘理,福島県相馬では平年に対して7割以下であった。
この期間,早いところでは田植えが始まる時期であり,この著しい低温による各種障害が懸念された。先の調査報告にあるように,活着の障害や遅れが現れている。天候に一日も早い回復が望まれる。
3) 5月下旬(表2参照)
平均気温は13〜19度程度で,大平洋側では平年に比べ1〜3度程度高かった。
最高気温は17〜25度程度で,平年に比べ2〜4度程度高いところが多かった。
最低気温は9〜13度程度で,平年に比べ2〜3度程度高いところが多かった。
降水量は全般に少なく,特に大平洋側でその傾向が顕著であった。
日照時間は宮城県・山形県・福島県では平年より多かったが,その他の地域は少なかった。
この期間は5月中旬までの低温による生育遅れを取り戻せるものと期待された。しかし,一方では急激な高温への変化で土壌の還元化が促進され,それによる悪影響も心配された。
4) 6月上旬(表3参照)
平均気温は14〜19度程度,ほぼ平年並みであった。
最高気温は19〜24度程度,ほぼ平年並みであった。
最低気温は9〜14度程度,ほぼ平年並みであった。
降水量は平年より少ないところが多かった。
日照時間は恵まれ,ほとんどの地点で平年を上回った。
この期間はやや低温傾向ではあったが,日照時間が多く,水稲の生育にはまずまずの条件であった。
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