
今、東北地域の水稲は出穂・開花時期を迎えています。8月上旬の低温が一部地域と一部の品種の障害不稔の発生に影響したかどうかは、今後の調査で確認します。ここでは、作柄診断モデルによる作柄概況をまとめておくことにします。今月末ごろには東北農政局が発表する8月15日現在の作況指数が公表されます。なお、本作柄診断モデルは61アメダス監視地点の気象経過に基づくものであり、稲の生育情報を加味したものではないことを予めお断りしておきます。
参考までに、7月15日現在の生育情報(東北農政局発表)を表1に示します。
1)地帯1
田植え時期の早かった岩手県南部と宮城県では5月上中旬の低温で植え傷み受け、初期生育が遅延した。
5月下旬から6月上旬の気温と6月下旬の日照が作柄に不利に作用したと推定される。7月中旬の日照と7月下旬の気温は作柄に有利に作用したが、8月上旬の気温は作柄にやや不利に作用したと推定される。
今までの気象経過を総合すると、北部ほど作柄に不利に、南部ほど有利に作用したとみられる。特に、岩手県岩手松尾・千厩周辺や宮城県築館・鹿島台周辺は気象経過が不利に作用した程度が大きいと推察される。
この地帯の作柄は9月中下旬の気象条件で最終的に決定される。
2)地帯2
5月下旬の気温は青森県津軽地域では有利に、一方岩手県盛岡・紫波や山形県尾花沢では不利に作用したと推定される。6月上旬と7月中旬の気温過は全域で不利に作用したと推定される。7月中旬の日照は津軽地域では不利に、盛岡・紫波や尾花沢では有利に作用したと推定される。7月下旬の気温は全域で有利に作用したと推定される。8月上旬の気温は津軽地域と尾花沢ではほとんど問題にならなかったが、盛岡・紫波では不利に作用したと考えられる。
今までの気象経過を総合すると、作柄に不利に作用したとみられるが、その程度は津軽地域に比べ盛岡・紫波・尾花沢でやや大きいと推察される。
この地帯の作柄は9月上旬と下旬の気象条件で最終的に決定される。
3)地帯3
この地帯内では田植え時期の早かった秋田県中央部では5月上中旬の低温で植え傷みを受け、初期生育が遅延した。
5月下旬の気温は秋田県能代・大潟周辺では有利に、山形県狩川・新庄・米沢周辺と福島県会津若松周辺では不利に作用したと推定される。6月上旬の日照は全域で有利に作用し、その程度は特に秋田県北部と沿岸部、山形県米沢と福島県会津若松周辺で大きかったと推定される。6月中旬の日照は特に山形県狩川・新庄と福島県会津若松周辺で不利に作用したと推定される。7月中旬の気温は山形県米沢と福島県会津若松周辺で不利に作用したと推定される。
今までの気象経過は作柄に大きな影響を及ぼしていないと推察されるが、山形県狩川・新庄周辺ではやや不利に影響したものと考えられる。
この地帯の作柄は8月中旬と9月上旬の気象条件で最終的に決定される。
4)地帯4
5月下旬の気温は全域で不利に、7月下旬の気温は全域で有利に、また8月上旬の気温は全域で不利に作用したと推定される。
今までの気象経過を総合すると、総じて不利に作用し、その程度は青森県十和田・八戸・三戸と岩手県雫石周辺でやや大きいものと推察される。
この地帯の作柄は8月下旬から9月下旬までの気象条件で最終的に決定される。
5)地帯5
5月下旬の気温は秋田県湯沢と山形県楯岡・山形市周辺で不利に作用したと推定される。その後は特に不利な気象経過ではなかったものと推察される。
この地帯の作柄は8月下旬から9月下旬までの気象条件で最終的に決定される。
6)地帯6
監視地点は岩手県宮古のみであり、下の作柄概況は宮古についてのものである。
7月上旬まではほぼ問題なく経過した。7月中旬の気温は作柄に有利に作用したと推定される。8月上旬の気温は不利に影響したと推定される。
今までの気象経過はやや不利に影響したものと推定されるが、その程度は大きなものではないとみられる。
この地帯の作柄は9月中下旬の気象条件で最終的に決定される。
7)地帯7
これらの地帯の内、岩手県と宮城県の田植え時期の早いところでは、5月上中旬の低温による植え傷みを受け、初期生育が遅延した。
5月下旬から6月上旬の気温は作柄に不利に影響したと推定される。7月上旬の気温は岩手県と宮城県ではほとんど問題とはならないが、福島県猪苗代・郡山・白河周辺では不利に作用したと推定される。7月中下旬の気温は有利に、一方8月上旬の気温は不利に作用したと推定される。
今までの気象経過を総合すると、総じて不利に作用したものと推察される。
この地帯の作柄は8月中下旬と9月中下旬の気象条件で最終的に決定される。
8)地帯8
監視は青森県むつ・三沢と岩手県久慈の3地点である。
5月の気象が作柄に不利に作用したと推定される。6月下旬の気温は岩手県久慈で不利に、同日照は3地点とも不利に作用したと推定される。7月下旬の気温は3地点で有利に作用したと推定される。
今までの気象経過を総合すると、総じて不利に作用したものと推察される。
この地帯の作柄は8月中旬と9月上中旬の気象条件で最終的に決定される。
東北地域の水稲作柄は出穂期以降の8月中旬から9月の気象条件で大きく変動します。冷害で最も恐ろしい障害不稔の発生はほぼ回避されると思われます。一部地域と一部品種では8月上旬の低温と減数分裂期とが重なった可能性がありますが、それら地帯では日照もあり、最高気温も平年並み程度あり、被害の可能性は小さいものと推察されます。この点は、8月下旬の現地調査で確認してみたいと思います。
現在、台風12号と気圧の谷が日本付近に近づいています。台風通過後の気圧配置がどのようになるかが注目されます。
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1) 7月上旬(表2参照)
平均気温は16〜21度程度、ほぼ平年並みであった。
最高気温は19〜24度程度、青森県・秋田県・山形県では平年より1〜2度低かった。他の地域はほぼ平年並みであった。
最低気温は14〜17度程度、平年並みないしは高かった。
降水量は青森県・岩手県南部・秋田県北部・福島県南部で平年より多かった。
日照時間は青森県・岩手県(一関・千厩除く)・秋田県・山形県・福島県会津では著しく少なかった。一方、福島県浜通り・中通りでは平年より多かった。
この期間の初めは高温で経過したが、その後オホーツク海高気圧が張り出し、大平洋側を中心として急激な気温の低下が続いた。また、日長不足は6月中旬以降約1ヶ月続き、初期の生育不良がどの程度回復したか心配された。
2) 7月中旬(表3参照)
平均気温は20〜25度程度,平年に比べ1〜3度程度高いところが多かった。
最高気温は23〜30度程度,大平洋側を中心に平年に比べ2〜4度程度高かった。
最低気温は17〜20度程度,大平洋側を中心に平年に比べ2度程度高かった。。
降水量は平年より少ないところが多かった。
日照時間は大平洋側では多照であったが、日本海側では少照であった。
この期間は大平洋側では高温・多照で経過し、これまでの生育の遅れが回復するものと期待された。一方、日本海側は少照で経過し、穂数確保への影響が心配された。
3) 7月下旬(表4参照)
平均気温は23〜26度程度,平年に比べ1〜3度程度高いところが多かった。
最高気温は25〜30度程度,大平洋側を中心に平年に比べ1〜3度程度高いところが多かった。
最低気温は20〜23度程度,平年に比べ1〜3度程度高いところが多かった。
降水量は平年に比べて少なかった。
日照時間は東北北部を中心に平年に比べてく少ないところが多かった。特に、青森県津軽、岩手県、秋田県ではかなり少なかった。一方、東北南部は平年並み程度の日照時間であった。
この期間は幼穂の発育時期であり、また茎葉の急生長期でもあるため、高温多照であることが望まれたが、大平洋側では生育遅れの回復が期待された。一方、日本海側では7月上旬から日照不足が続き、穂数確保への影響が心配された。
4) 8月上旬(表5参照)
平均気温は20〜25度程度,東北北部を中心に平年に比べ1〜2度程度低いところが多い。
最高気温は24〜29度程度,東北北部を中心に平年に比べ1〜2度程度低いところが多い。
最低気温は16〜20度程度,全域で平年に比べ1〜2度程度低いところが多い。
降水量は平年より少ないところが多い。
日照時間は平年並み以上で経過している。。
気温は8月1日を境として低下した。期間の前半はオホーツク海高気圧が一時的に張り出し、その後寒気が南下して最低気温が急激に低下した。十和田の平均最低気温は6.38、岩手久慈・岩手松尾、秋田県鹿角(毛馬内)の平均最低気温は16度台であった。これらの地点の水稲は減数分裂期から出穂期に相当した。最高気温の低下はそれ程でもなく、また日照もあるが、低温による障害がやや心配された。
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