水稲冷害研究チーム
2000年 早期警戒の活動を振り返る
2000年 早期警戒の活動を振り返る
1.2月8日(火) 地域総合研究評価推進会議の開催
・5つの総合研究チームと県の関係者が実施しているプロジェクト研究の進捗状況について、外部委員による評価推進会議が開かれる。最終年に向けての重点研究項目について報告し、ご教示を頂く。
・松山町のモニターから早期警戒紹介パンフレットの推薦の言葉がメールで届く。
「大変御無沙汰しています。ホームページの表紙がなんとも言えません。遅くなりましたが推薦の言葉と、安全作期についてのコメントを送ります。「早期警戒システムのモニターに参加して3年目になります。以前は地域の限られた情報、知識しか得られませんでしたが、リアルタイムのホームページの情報で稲の冷害対策情報と栽培管理、作業計画を進めるにあたり大変役立っています。又年々農業関係・以外の方々との情報交換もでき、システムのホームページも研究チームの努力により年々情報内容が充実しています。是非一度多くの方々にホームページに参加をお願い致します。」
・石巻のモニターから推薦の言葉が届く。
「東北地方において水稲を栽培する時避けて通れない問題として冷害があります。近年では平成5年に誰も経験したことの無い大冷害がありました.これを契機として、東北農業試験場では、新しい農業機械 「コンピュータ」 で冷害を克服する為、水稲冷害早期警戒システムを作り活動中です。私は、モニターの一員として日々刻々の気象データの取得及び、水稲栽培に関連する情報が入手できるインターネット通信を利用し農業経営に大いに役立てています。又、生産者、消費者等のモニターの生の声を知ることも出来夢を膨らませています。私は、これからの水稲経営の新しい農業機械として「コンピュータを使った水稲冷害早期警戒システム」を多くの皆様に推薦します。」
2.2月11日(金) たろし滝の豊凶占い
・例年14日に行われる石鳥谷町のたろし滝の豊凶占いが本日にあるとわかる。早朝に神田君と小林君に電話を入れ、現地に向かう。例年なら雪道で田んぼは雪に深く覆われているのだが、今年は雪がほとんどなく快適なドライブとなり、異常さが良くわかる。たろし滝に向かう山道脇には小さな小川ができ、フキノトウが姿を現す。春のような気配である。
・たろし滝の現場に到着する。そこには崩落した氷柱があり、滝には水が滴る。私たちの到着後マスコミ関係者、地元の人々などが続々と到着する。いよいよ神事が始まる。まず神楽が奉納される。その後、たろし滝保存会の会長板垣さんが、測定の方法、たろしの語源とその意味(山の神、水の神、田の神が宿る)、作柄区分(豊作、並作、不作、凶作)、過去の予測と適合度などを概説。その後、いよいよ本年のことに移る。
・本年は、暖冬でたろしの氷柱の成長が遅れ、寒さが加わりはじめてやっと成長が始まった。滝の上と下とから氷柱の形成が始まり、もう少しでひとつの氷柱となると期待されたが、2月7日朝に崩落したとのこと。いよいよ恒例の川柳による託宣が次のようにある。
『米あまり心配してか姿消し』
板垣さんはこの意味を次のように説明する。慈悲深いたろしがわれわれのおかれている状況に配慮し、あまり太っても減反が強化されるようになっては可哀想なので、本年は早く姿を消しますよといっていると。作柄は"不作かな?"知恵でカバーして並作にもっていきたい。平成5年の託宣にあった"知恵でカバーする"を特に強調する。ちなみに、平成5年の託宣は「たろし滝無いので知恵でカバーする」である。その年の作況指数は岩手県で30%であった。予感していた結果に、感慨深いものがある。
・岩出山町のモニターからメールが届く。
「いつもお世話になっています。だいぶ日が長くなり、古川市の街中では福寿草が咲いているそうですが、私のところでは春の足音が未だ聞けません。川渡と古川の安全作期を見ました。岩出山はその中間に位置するので、私からデータ提供できればこの地域をカバーできることと思います。前年に現代農業に依頼された原稿が、現在発売中の「現代農業三月号」に掲載されました。よろしかったらお読みください。その記事を読んだ石垣島の方電話をいただき、過燐酸石灰と珪酸カリの施用を試験的にやって診るそうです。現在田植え中で六月までには稲刈りが終わり、また田植えをして十月には稲刈りをするそうです。とてもうらやましい。日本はとても広いことを感じました。それでは!」
3.3月10日(金) 松山町モニター訪問
【研究活動】
・松山町の4モニターを訪問する。春の大雪で一面の雪景色となっている。今シーズンの夏の天候、米作り、麦・大豆作、経営方針、政策など諸点について意見交換をする。皆さんお元気で安心する。
・仙台管区気象台予報官から計画中のシンポジウムについて問い合わせがある。
4.3月27日(月) 宮城県一迫町の篤農家を訪問
【研究活動】
・宮城県一迫町の篤農家を大阪経済大学の友人とともに訪ね、シンポジウム企画を説明し参加をお願いする。快諾を頂く。同氏は「寒試し法」による一年間の天気予報を行い、それをキク栽培に活かす。寒試し法は寒の時期(1月6日〜2月4日)の天候、雨水、風および気温を一日4回観測し、その結果を一年間に展開して予報するものである。稲作との関連で今年最も注意すべきは、6月上旬から7月下旬気温低い(冷たい梅雨)と8月下旬〜9月中旬気温低いなどである。大阪経済大学の友人が集めた同種の情報によると、各地とも同様な結果となっているとのこと。また同氏のキク栽培技術は東北地方では一級のものと評価されている。
5.4月3日(月) 小林さん辞令
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「明日、ハウスに苗を並べます。溶りんを掛け土にした育苗機に入れた箱苗800枚(採種用ひとめぼれ)です。未だ梅の花がちらほら咲き、藪つばきは咲かず、庭のクロッカスがやっと咲きました。苗が風邪を引きそうな天候がつづいています。 先日、東京に行ってきましたが、桜の花の蕾が膨らみ、梅はとっくに終わって、レンギョウと白木蓮が満開でした。岩出山がこれらの花が咲くのは4月20日くらいなると予測しています。農作業は、今年は急がなくてもよさそうです。」
【研究活動】
・小林さんの入所式に参列し、場内の挨拶回り。
・種籾の塩水選と浸漬が始まる。
6.4月16日(日) モニターパソコン設置
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「 どうもご無沙汰しております。こちらもやっと梅の花が咲き、藪つばきやカタクリなども咲いて、今年最初のひばりの声も聞いて春になったことを実感しております。ハウスの苗も緑の絨毯になり、今現在1.5葉になっております。稚苗1800枚、中苗1800枚で合計3600枚の種蒔き、箱置きなど育苗作業は潅水を除きすべて終了しました。 ここ2日間は田圃の弾丸暗渠を施して終わり、田圃が乾き具合をみて、あぜ塗りと田打をしようとと考えています。今年の天候は寒暖の差が大きく、苗の管理も大変です。昨年の田植え初日が4月30日であった事を考えると気温の上がりしだいだと思っていますが、連休前後の天候の予想はいかがなものでしょう。このように雨が多い年は私の浅い過去の経験からはないことなので、急激な気温変化ということがないと思うので、苗の育ち過ぎを心配しております。弾丸暗渠を施していると穴から水が噴出すほどで、地下水位がかなりあがっています。このことから考えますと土壌窒素の発現が少なくなると思いますので化成肥料の量を通常より多く施したほうがいいと思っています。以上 報告まで」
【研究活動】
・新しくモニターになって頂ける石巻市と河南町の自宅を訪問し、パソコンなどのインターネット環境を整える。
・石巻市は水仙やレンギョウが咲き、春本番といった感じである。ハウス内にはイネの苗が育つ。田植えの準備も少しずつ始まる。
7.4月25日(火) 青森県藤坂支場
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。本年も生育調査を行い、データを送付していただけるとのこと。
「本当に、変な天候です。1日のうちに春夏秋冬が有るみたいです。ハウス内の、最高最低温度計は日中で10〜35度を示しています。突如のスコール状態の雨や、初冬のような寒風が吹いたり、あっというまに晴天になったり、苗だけでなく体調も変になりそうです。平年と同時期に播種した所は、緑化がかなり遅れたりで心配している人もいるようです。通年に比べ、育苗管理にかなり神経質になっています。」
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「田圃が乾かず、作業が遅れています。一方、ハウスの稚苗は2.5葉になり、田植えを待つばかりになっています。桜は3分咲きで、白木蓮、コブシ、レンギョウが一世に咲き、川原の柳も青くなってきました。しかし、苗代の中苗はまだ1.5葉ほどで田植えができるのは5月15日過ぎになると思います。田植えの初日は5月3日頃になりそうですが、近隣の田圃の田おこしが小さなトラクターの方が出来そうもないので、水路に水が流れてから、代掻き作業に入るのでまだ田植えはその後になるので本当のところまだ決まっていません。
田植えが始まってからの作業日数は約2週間となります。昨年は4月30日から5月15日だったので、今年は5月3日から5月20日ぐらいで15ha終わるはずです。」
【研究活動】
・青森県農業試験場藤坂支場を訪問し、青森県関係者と篤農家の小林福蔵さんにお会いし、シンポジウム企画の説明と小林さんの対談内容について詳細を打ち合わせる。同氏の人柄と稲作技術の一端を知ることができ、感激であった。
8.4月30日(日) 松山町モニター直播
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「連休中お仕事ご苦労さまです。先日の大雨で管内の土地改良区の取水口が壊れ修復中のため100%の水が確保できず、さらに一斉に代掻き作業が始まったため作業が遅れています。ことし初の田植えは5月5日になりそうです。今現在、桜が満開です。代掻き作業中にツバメを見かけました。管内では、遅く種蒔きをした方たちの苗に障害が出ています。過湿度のためのムレ苗になっています。今年のハウス内の温度差が激しいため、苗も伸びにくくなっています。波瀾の稲作のスタートとなりました。今年の出来はどうなることやら?報告まで」
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「水田には、水がたまっており手がつけられない状態です。今日も、一日中曇りで冷たい風が吹き通しでした。苗の方は、育苗器から出したときに日照が有ったためになんとか順調ですが、かなり悪い農家も有るようです。(1回目の方が、2回目より遅れていました)毎年春に、約2000袋の土壌改良資材を共同散布しているのですが、その目処が立たないのが一番の心配です。(その後に、耕耘に入る)」
【研究活動】
・松山町のモニターが直播をするので見学にいく。別のモニターのパソコンが不調なので点検する。
・直播は打ち込み点播播種機を用い、催芽生籾を一定の間隔で代かきした土壌中に播く方法である。「ひとめぼれ」「ササニシキ」「蔵の華」の3品種各1ヘクタール圃場で行われた。作業時間は1ヘクタール当たり2時間と早い。石巻のモニター2人も見学に来る。
・松山町では一斉に田植え作業が始まり、田植え中の農家も多い。われわれのモニターも代かきに追われている。5月3,4日頃から田植えが始まるとのこと。
9.5月6日(土) モニター調査区設定
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「メールありがとうございました。お察しのとおり作業は大変遅れています。連休中も雨の降らない日はないといってもよいほど、よく降りました。その為田圃を見ると片方では代掻きも終わり苗を運んでいる人がいるかと思うとその隣では水がたまって柔らかくなった田圃を必死で耕している人もいる状態です。私の場合は代掻きを始めて二日目です。もう4日は掛かりそうです。天気予報を見ると今日は良さそうなので雨で遅れていた枝豆の定植をしようかと思います。このペースで行くと田植は早くても12日頃になりそうです。
苗の方は十分換気をしていますが、伸びてきています。今年は昨年より1週間を遅らせて播種した事が幸いしています。毎日苗の伸び方を気にしつつ、必死で作業している状態です。今まで悪かった分田植頃には良い天気が続くことを期待しているところです。」
・岩手県種市町のモニターから大雨見舞いに対する返信メールが届く。
「3日続きの雨でしたが、凡そ200mm程だと思います。雨水を溜めています。この地区ではいっこうに作業をする姿を見ていません。昨年は7戸の農家が作付けをしましたけれど、今年は半数になるのでは。6月には必ず参加させて頂きますので宜しくお願いします。其れでは叉。」
【研究活動】
・宮城県岩手山町のモニターの調査圃場に試験区を設定する。やませの影響で気温は低く、調査する手がかじかむ。
・宮城県河南町のモニターのパソコンをチェックする。設定ミスがあり、不便をお掛けした。
・岩手県南部も移植が始まる。
10.5月17日(水) 生育・作柄診断試験区の手植え
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区(東北基幹品種12品種、40a)の手植えを関係者37人で行う。天気は曇りで風もなく、順調な田植え作業となる。過去2年雨中の田植えだっただけに、一同平穏に作業を行う。いよいよ稲作の本番を迎える。
・夜は"早苗ぶり"で本年の豊作を祈る。
11.5月22日(月) モニター圃場調査
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターからメールが届く。
「15日に全て田植えおわりました。毎日苺に追われ片づけまで手が回りませんがお立ち寄り下さい。田、ハウス、自宅のいずれかにいます。カラスの撃退法ですが未だカラスの被害にあったことがないのでわかりません。私の直播きはすずめにかなり食い荒らされました。でもうっすらと播種のあとが筋条にみえてきました。それでは明日おまちしています。」
【研究活動】
・石巻市・松山町・岩出山町のモニター圃場の生育調査を行う。各圃場とも活着は順調で、ほぼ予測モデルの葉齢に達している。
・数人のモニターとお会いして、楽しく歓談する。他地域のモニターの直播や田植えの状況を心配してくれている。田植えが最後になるのは山形県最上町のモニターか。早く田植えが終わったとの連絡を期待したい。
・宮城県岩出山町のモニターは田植え最終日であった。親子コンビで15ヘクタールほど田植えを行ったとのこと。お二人の笑顔がさわやかであった。
・カラス撃退法をモニターにお聞きする。ミシンの黒糸や釣り糸を一定の間隔に張りめぐらすのが最良とのこと。特にミシンの黒糸は低コストで後の処理が容易だとのこと。
・日本農業新聞の第一面に「水稲冷害早期警戒システム」が紹介される。アクセスが平日の約2倍以上に跳ね上がる。
12.6月2日(金) 陸羽132号田植え
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「現在、稲の成育は順調そのものですが、かなり生育予測より早まっているように思えます。昨年と同様、カセキと珪酸カリの散布を6月20日頃から始めたいと考えております。今は、遅れているトルコキキョウの定植をしています。私の年度はじめの天候の予測(勝手な判断)とかなり似通ってきているので、7月下旬の低温を心配していますが、全体的に気温が高く経過しているので、それほど心配はしておりません。ただかなり天候の変動にはかなり落差があり、大きな台風が来襲するのを心配しております。私のHPにもそちらの公開シンポジウムへのリンクをつけました。ご了承ください。私のところへは農家ファンが集まりますので!!(http://www.lares.dti.ne.jp/~komatuya) 紹介ではありますが、NHKBS地球法廷"食と環境を問う"を現在インターネット上で討論しています。世界中の方々(市民、学者、農業者、企業)が活発に意見交換しています。皆様も参加してみてください。(http://www.nhk.or.jp/forum/menu.htm)私のところでもカッコウが鳴き始めました。一番気候がよいときです。それではまた!!」
【研究活動】
・シンポに参加いただく板垣さんが賢治の会関係者と陸羽132号を田植えするとのことで、田植えの現場に出向く。板垣さんと賢治の会関係者は素足で田には入り、丁寧に陸羽132号の苗を土の温かさを感じながら植える。
・宮城県亘理町の友人が仕事で盛岡に来る。夜は酒を酌み交わせて、田植え時には話す時間がなかったため、積もる話題に話が弾む。
13.6月10日(土) 早期警戒情報第8号
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「調査ご苦労さまです。お会いできず残念でした。頂いたデータを見ると各地モニターのバラツキがなく、順調に生育してことがわかります。私のところの葉齢が進んでいるのは種蒔きが早いのが要因と思います。珪酸区はカラスにヤラレ、対照区は分げつ促進のため浅水管理しているためと思います。過石区が私のところの平均的な値と思います。6月19日頃から一週間をかけて珪酸、カセキの散布をする予定です。稲作りはこれからが勝負だと思います。今日はしばらくぶりの雨で、ゆっくりと家で過ごしていました。これからの一週間は残った稗の処理と畔刈りで毎日が暮れます。それでは!」
・山形県鶴岡市のモニターから生育調査結果がメールで届く。
「6月10月生育調査データを送り致します。モニターの皆さんの参考データありがとうございました。葉令はすでに一枚違うようですね。最も今年はいつもより遅く植えているので特に差が開いたかもしれません。茎数は一株あたりの本数なのでしょうか。もしそうだとするととても大きい稲に育っているようですね。此方の方も少々遅れているかのように思いますが、徐々に追いついていくと思います。これからの生育の仕方に注目です。」
・宮城県河南町のモニターから生育調査結果が届く。
【研究活動】
・早期警戒情報第8号を作成する。1か月予報は気温が高い確率が高いが、北の高気圧の影響で太平洋側などでは海風の影響もありえる。
・シンポ関係者の古澤さんを板垣さんのお宅にお連れする。午前9:30から午後3時まで、途中"たろし滝"や葛丸ダム・近くで野営した宮沢賢治の歌碑(葛丸−ほしぞらは しづにめぐるを わがこころ あやしきものにかこまれて立つ−)などをご案内いただき楽しい一時を過ごす。葛丸川を長靴を履いてわたり、夏のたろし滝を初めて拝見する。滝とはいえ、糸を引いたような水が無数に滴り落ちている。板垣さんによると、年間3,000人が訪れるという。
14.6月30日(金) 公開シンポジウム「自然を読み、稲と語り、そして心を耕す」
【研究活動】
・今まで長い間準備を進めてきた公開シンポジウム「先人の知恵を活かす−自然を読み、稲と語り、そして心を耕す−」が開催される。篤農家である白鳥文雄さん、板垣 寛さん、小林福蔵さんの自然の読み方、菊や稲の見方と管理の仕方、地域社会への貢献などが対談者の努力で存分に引き出され、感銘を受けるものであった。また、早期警戒システムのモニター小松さん、太田さんも篤農家に負けることなく、それぞれの持ち味を発揮していただいた。仙台管区気象台天気相談所長の竹谷さんからは地球温暖の実態を気象庁の地道な観測データを用いて説明頂いた。われわれがあまり見ることのできないデータであり、参集の皆さんも温暖化の実態が良くわかったものと思う。
・他のモニターの方々も遠路駆けつけてくれた。感謝。
・貴重な記録を取ることができた。今後はテープを起こし、資料として公刊する作業が残る。
公開シンポジウムパンフレット(PDF版)のダウンロードページ
15.7月4日(火) 松山町・岩出山町モニター圃場調査
【研究活動】
・宮城県松山町と岩出山町のモニター圃場に調査に行く。稲は驚くほど姿を変えた。幼穂を解剖観察したところ、幼穂形成期に入ったものや今週中にはほとんどのものが入るとみられる。追肥時期でもあり、今後の天候と追肥の時期や量についてモニターと検討する。モニターの稲は予想していた通り、見事な姿となっている。このような生育型では冷害や高温障害を回避できるものと思う。
16.7月22日(土) モニター訪問(第2日目)
【研究活動】
・午前中に宮城県亘理町の友人を訪ねる。夫婦で出迎えてくれる。葉齢進度予測モデルに適合していた「まなむすめ」は分げつ数も過剰ではなく、美しい草姿をしていた。走り穂が出始め、今月末には穂揃い期に達するものと推定される。穂も大きく、着粒数も多い。下位の葉も緑が濃く、上根の発達も良好である。高温障害などが心配されるが、この稲なら乗り越えられるのではと期待される。ただ。カメムシが散見されるのが少々心配だ。
・午後は宮城県石巻市と河南町のモニター3名を訪問する。それぞれの圃場を見学し、稲の生育状況を検討する。ここにも期待通り、またそれ以上の稲の姿があった。鳥害で騒いでいた圃場も今では立派な直播圃場となっている。移植の稲は穂ばらみ期にあり草姿も良く、それぞれ多収が期待される。高温障害も乗り切れるものと期待できる。またモニターはそれぞれ独自の技術改善を積極的に試みているのに感心した。
・2日間にわたるモニター訪問も無事終了する。久しぶりの再会と素晴らしい稲を見せていただき、私たちにとっては最良の日々であった。出来秋が楽しみである。
17.7月23日(日)
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「本日は、遠路いらしていただきまして有り難うございました。東北南部の梅雨明け宣言とは裏腹に、明日から天候が不順のようです。いもち病の蔓延が心配されますが、早急な予防+治療防除の追加を行いたいと思います。現在体調が最悪なので、こちらの回復が先決かも知れませんが・・・。出穂前にする作業が山積みなので、本当の意味の梅雨明け宣言が欲しいです。早いものは、今月中に出穂しそうな勢いで生育しています。生育を見守っている状態なら良いのですが、完全に遅れてしまっています。「俺達は、今年頑張っているよ!」と言っている稲の声に、答えきっていない自分に腹立たしい現状ですが、早急に体調を戻して出穂までは挽回したいと思っています。出来秋を、素晴らしい黄金色で迎える為に!!」
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「昨日は遠路お越し頂き本当にありがとうございました。久しぶりの再会でお話ししたいことが沢山あり、気持ちばかりあせりあっという間に時間が過ぎてしまいました。昨日は稲について色々教えて頂いた訳ですが、もう一つ大事なことを聞き忘れてしまいました。それは今年度以降の早期警戒システムの存在についてです。私の場合早期警戒システムを通じて天気予報の読み方から始まり、冷害の発生のメカニズムやその予防法などを勉強させて頂きました。それに生育予測といもち予察情報、各県の技術情報など毎日の経営管理に不可欠の存在になってしまいました。現在では各県の農業改良普及センターや試験場でもHPを開設しているところが増えてきましたが、内容としては断片的なものが多く更新もなかなかされず、その情報の鮮度にも問題がある場合も少なくないようです。このような状況の中において早期警戒システムは先駆者的な役割を果たしていると思います。インターネットの特徴である双方向性という面を十分生かしながら常に新鮮であり、また生育予測の精度が昨年に比べ飛躍的に向上したことにより、穂肥え時期の判定など農家の意思決定支援に大いに役立っています。ここまで農家に関係する総合的な分野をカバーし「使えるサイト」は他にありません。是非このまま存続させていけますようお願い致します。他のモニターの方々ともこの件に関して是非意見交換したいものです。これからますます暑くなりますが、お体に気をつけてご活躍頂きますようお願い致します。次回お会いすることを楽しみにしています。」
18.8月24日(木) 航空機実験実施
【研究活動】
・航空機計測と地上調査のため秋田県大曲市周辺に行く。天候はやや計測には不適だが、航空機が飛行予定コースを飛んだので地上での計測を実施する。高高度と低高度の2コースでの計測が行われたが、高高度の計測はコースの南部で雲の影響を受けたとのこと、低高度では2回計測を行い、そのうち一つのデータは利用できそうとのこと。実験終了後、皮肉にも空は透き通るように晴れる。
・NHK盛岡が実験を取材するために同行する。彼等の監視のもとに実験を行うことになる。4時間以上に及ぶ実験中、邪魔することなく暑い中忍耐強くカメラを回す。
・私たちの動きを不審がる近くの農家の人がスイカを差し入れしてくれる。乾いた喉には最高の美味しさであった。実験の概要をご説明し、納得して家に帰られる。
・盛岡に帰り、航空測量会社の担当者と打ち合わせを行う。明日、再度実験に挑戦することになる。週間予報から判断すると、最後の挑戦になる模様。
19.8月31日(木) 大阪府立大学農学部谷井君の研修終了
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターから近況を知らせるメールが届く。
「おはようございます。出穂後少し安心してしまいました。酒米の収穫は9月7日に刈り取りをします。続いて,9日にスノーパールの収穫に入り、11日からひとめぼれの収穫に入ります。ササシグレの収穫は9月20日を予想しておりますが鳥越さんの観測ではいかがでしょうか。現在の様子は次の通りです。酒米:穂軸の先が枯れてきた。下の方に青モミが残っている。全体にモミ粒が大きく大きく弓なりに倒伏しています。スノーパール:穂全体が黄熟してまもなく刈り取りが出来ます。ひとめぼれ:穂先が黄熟してぬれると透けて見えるようになりました。もう少し時間がかかる様です。直播ササシグレ:傾穂期から一部乳熟期に入っています。田んぼの低いところに根返り倒伏が見られます。今後の雨と台風の被害の無いことを祈りたいです。昨日は松山と岩出山の方に出向かれるとのこと、毎日の業務ご苦労様です。もう少しですので頑張ってください。」
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。昨日は、調査ご苦労様でした。お会いできず申し訳ありませんでした。稲のほうは多少、水不足はあるせよ春の弾丸暗渠が利き、高温障害の葉先枯れは少ない感じがします。トルコキキョウの出荷や、パンジーの定植に手間取り、稲刈りの準備ができずまた、9/1.2は大豆の防除の予定(無人ヘリ、私の家では作付けしていない)あったりして、稲の成育に人間がついていってない今日この頃です。私もお盆頃より、目をいため調子がいまいちです。予定では、9/5から稲刈りをする予定です。稲の姿はいいのですが、どのくらい収穫があるかはモミスリをして袋に収めない限りわかりませんが、昨年より少しいい反当り540kgではないかと予測しています。高温障害はどの程度出るかは予測できません。」
【研究活動】
・大阪府立大学農学部学生谷井さんが研修を終えて、盛岡を去る。2週間研究活動を共にする。青春の思い出が得られたなら幸いである。
・明日は松山町の酒米研究会の一行が研修視察に来る予定。
20.9月7日(木) モニター圃場刈り取り調査
【研究活動】
・宮城県石巻市・河南町・松山町のモニター調査圃場の坪刈りを行う。稲の顔にはそれぞれの栽培者の特徴が現れるが、いずれも素晴らしい出来のように感じる。刈り取り後の収量・品質の報告が楽しみである。
・明日は山形県最上町・鶴岡市のモニター圃場を刈り取るため、山形県内に移動する。不覚にも携帯電話が使用できないため、情報の更新ができない。
21.9月21日(木)
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターからうれしいメールが届く。
「昨日「ひとめぼれ」を210袋出荷しました。倒伏程度3程度に傾いて更に雨と高温で穂発芽を心配していたのですが、1等に格付けされ一安心です。今年は未熟米が極端に少なく、整粒もとても充実してきれいです。収量については最後にならないとわかりません。今日で移植「はえぬき」の収穫も終わりました。直播き「はえぬき」の刈り取りは25日頃にと考えています。枝梗も1/3程度黄化してきてるところもありますが、まだ青未熟の多いところもあったりと生育にばらつきがあります。これも播種時の鳥害のために追い播きしたところに起因するところが大きいかと思います。私の直播きは8月10日の出穂期なので積算気温1000℃に達するのは、山形農試庄内支場のある藤島で9月22日なそうなので25日の刈取りは妥当なところかと思われます。今年は9月いっぱいで収穫がすべて終わりそうです。その日を楽しみにもうひとがんばりです。」
22.9月30日(土) 懐かしの京都
【研究活動】
・恩師渡部忠世先生の喜寿のお祝いの会に出席する。満78歳におなりになったが、まだお元気で著作活動をなされている。最近小学館から出版された「稲にこだわる」を拝受。大学時代の仲間が多く集まり、近況を語り合う。
・大学時代お世話になった故長井先生の奥様にお会いする。突然の訪問に大変驚かれる。お元気のようで安心する。
・久しぶりに大学を訪れ、農場や研究室を訪ねる。
・夜、母の待つ岡山に移動する。
23.10月27日(金) 島根県の中学生と電話で話し合う
【研究活動】
・島根県教育研究大会で中学校2年生の生徒の方々と電話で話をする。「平成5年の冷害のこと、また私の体験」「農家の稲作への取り組み」「品種改良のこと」「いもち病のこと」「ササニシキが減ってきた理由」などについて説明する。最後に生徒のみなさんに次のようなメッセイジを託した。
「農業、農作業などは"きつい""きたない"など外見から判断して言われることがあります。しかし、思い起こしてください。日本の長い歴史の中で稲作を中心とした農業が私たちの文化と国民性を培ってきたのです。そのことは身の回りをみればよく理解できると思います。今、米が余り、やもえなく生産調整を行っています。これは一時的であって欲しいと思います。もし、日本から稲作、さらには農業が衰退していき、多くの食糧を外国から輸入することになると、将来の日本の文化的な発展、いいかえれば心の豊かさに大きく影響するのです。稲作、農業、そしてその心はとても貴いものなのです。このことは一般によく認識されていません。みなさんのご両親も農業をやっておられる方が多いと思います。そのような方々は、経済活動とはいえ、とても貴いことをなさっているのです。そのことを忘れないで欲しいのです。これは、東北の農家の想いを私が代弁するものです。よろしくお願いいたします。」(昼休み、先生からお礼の電話が入る。私の思いは生徒につながったとのこと。)
24.12月19日(火) 宮城県石巻市・松山町・岩出山町のモニター訪問
【モニターネットワーク】
・宮城県亘理町の友人からメールが届く。
「来年度も形を変えて「水稲冷害研究チーム」の活動が継続出来そうとのこと、おめでとうございます。我々農家にとっては大変にうれしいことですが、鳥越さんにとってはシステムの管理(および閲覧者・マスコミ関係への対応)、研究活動、および組織の管理職としての雑用(本来はこれが主な業務でしょうか?)に割く時間の配分に頭を悩ます日々が続くことになるのではないでしょうか。今年は鳥越さんとチームの皆さんにはすっかりお世話になりました。お陰さまで、稲に対する認識が一歩深まったように思っております。この年末年始は、なぜ自分が稲作りに惹かれるのかをゆっくり考えて見ようと思っています(生まれた時からずっと稲に接して来たためか、土/稲藁/籾/玄米/白米の感触と匂いを毎年確認しないと落ち着かないのです。これもあわれな刷り込み現象の一種でしょうか。)。寒さが厳しい季節となりましたが、健康に注意してご活躍下さい。」
・山形県鶴岡市のモニターからメールが届く。
「今年度は3月に皆さんにお会いできる機会を設けて頂けるそうですがとても楽しみにしています。来年度は早期警戒システムも更に発展できる体制になるようでますます期待が膨らみます。」
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「初冬は、一気に雪が降りまして大雪かと心配していましたが、最近は落ち着いてきまして、雨も手伝い随分雪も少なくなっています。昨日、来年の施肥設計のために、やっと乾燥した圃場毎の土壌を町の産業振興センターに分析依頼してきました。21世紀に向けた稲作が、少しづつですがスタートしました。依然厳しい農業情勢ですが、"安全で美味しいお米"を生産する事が使命と感じております。今年1年、本当に有り難うございました。」
【研究活動】
・宮城県石巻市・松山町・岩出山町のモニターを訪問し、本年の稲作、転作、経営、将来の農業展開などについて話し合う。数カ月ぶりの再会なので、話は止まらない。楽しい一日であった。
25.2001年2月17日(土) モニター交流会第1日目
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから突然の大雪に参加できなくなったとメールが届く。とても残念だ。
「今朝起きて外を見てびっくりしました。きのうの夜から更に20cmくらい積もって車庫に車を入れた時のわだちがすっかり見えなくなっていました。きのうの日中も断続的に降っていたので夕方ハウスを見まわりに行き、もう峰まで雪に埋もれて除雪の間に合わないハウスは潰される前にビニールを裂いてきました。まだ何とかなりそうなところを守るため今週末も雪かきをしなければならなくなりました。庄内は風が強いため一度降った雪が更に地吹雪となり移動して障害物のあるところに吹き溜まりを作ります。ビニールハウスもそのひとつになります。このような理由で折角楽しみにしていた交流会ですが、欠席せざるを得ない状況です。東北農試のスタッフ、モニターの皆様と意見交換し刺激を頂く事で、私の今年の活動のエネルギーにしようと思っていたのですが出来なくなりとても悔しいのです。早期警戒システムの今後についてもいろいろお聞きしたかったのですが...。出席できなくて本当に残念ですが皆様によろしくお伝えください。当日キャンセルということで鳥越さんにも大変御迷惑をお掛けしますがよろしくお願い致します。」
【研究活動】
・モニター交流会第1日目。鶴岡市のモニターが除雪のため参加できなくなったが、山形・宮城・岩手の3県から12名のモニター・友人が東北農試に集まる。
・「私の理想的な水稲生育型と稲作」をテーマに相互に情報交換を行う。直播研究の第1チーム長も参加いただき、モニターで直播きを行っている人から発表。
・山懐の温泉に宿をとり、各地から持参いただいた地酒で交流を深める。
2001年の早期警戒の活動は、日誌にどのように記録されるのか?!
reigai@tnaes.affrc.go.jp