水稲冷害研究チーム
2001年 早期警戒の活動を振り返る
2001年 早期警戒の活動を振り返る
1.1月29日(月) 岩手県種子生産者全体研修会講演
【天気概況】
・冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に雪となる。盛岡も早朝5センチ程度の積雪がある。
【研究活動】
・岩手県農産物改良種苗センターが主催する「岩手県種子生産者全体研修会」に参加し、『農を貴しとする−新渡戸稲造と宮澤賢治の心−』の講演を行う。300人を超える聴衆が静かに話に聞き入っていただいた。早期警戒システムの紹介パンフも配布したので、モニターに参加していただける方が現れることを期待したい。
2.1月31日(水) 秋田県農業試験場佐藤さん研修修了証書授与
【天気概況】
・移動性高気圧に覆われ、概ね穏やかな天気となる。
【研究活動】
・モニターの皆さんに交流会の開催要領をメールでお送りする。本年の主要検討事項を「私の考える理想生育型と稲作」で提案する。篤農技術・秘密の技などを引き出せたら興味深いのでは。
・公開シンポでお世話になった大阪経済大学日本経済研究所長の徳永さんから著作『日本農法の天道−現代農業と江戸期の農書』が送られてくる。公開シンポと白鳥さんの寒だめしのことが書かれている。
・秋田県農業試験場佐藤さんの依頼研究員修了証書の授与式が場長室で行われる。3か月という期間は長いようで短い。
・早期警戒と管内4県のプロジェクトの合同推進会議資料を作成する。
・農林水産省のネットワークシステムが更新されるため、各種作業が必要となる。早期警戒システムのホームページが順調に移行されることを願う。トラブルが起こるかも。
3.2月11日(日) "たろし滝"豊凶占い
【天気概況】
・寒気が入り、日本海側を中心に雪となる。盛岡も今朝の気温はマイナス10度まで下がる。厳しい寒さが続く。
【モニターネットワーク】
・宮城県松山町のモニターから交流会の発表内容に関するメールが届く。
【研究活動】
・東北6県市町村別収量推移に関する情報を作成する。
・岩手県石鳥谷町"たろし滝"の豊凶占いを見学に神田君とともに行く。午前9時に現地に到着。昨年は道路には雪はなかったが、本年は除雪された雪が路肩に高く積まれている。大きく成長した"たろし"を期待していたが、崩落して谷筋に横たわる。行事が始まる午前10時近くには、取材のヘリも上空に舞う。午前10時、行事が始まり、拝礼、神楽の奉納、測定と進む。途中は折れてなくなっているが、地面からのびる"たろし"を測定、5メートル80センチ。いよいよ計測保存会会長の板垣寛さんの結果報告がある。"たろし"は1月25日時点で5メートル20センチに成長したが、1月下旬に気温が上がり、同28日午前に崩落したとのこと。豊凶占いの結果を次の川柳で表現する。「減反に たろしの涙 流れ過ぎ」、本年の作柄は並作以上とのこと。
4.2月17日(土) モニター交流会第1日目
【天気概況】
・弱い冬型の気圧配置が続く。冷え込みはやや緩むが、かなり低めの気温となる。
【モニターネットワーク】
・山形県鶴岡市のモニターから突然の大雪に参加できなくなったとメールが届く。とても残念だ。
「今朝起きて外を見てびっくりしました。きのうの夜から更に20cmくらい積もって車庫に車を入れた時のわだちがすっかり見えなくなっていました。きのうの日中も断続的に降っていたので夕方ハウスを見まわりに行き、もう峰まで雪に埋もれて除雪の間に合わないハウスは潰される前にビニールを裂いてきました。まだ何とかなりそうなところを守るため今週末も雪かきをしなければならなくなりました。庄内は風が強いため一度降った雪が更に地吹雪となり移動して障害物のあるところに吹き溜まりを作ります。ビニールハウスもそのひとつになります。このような理由で折角楽しみにしていた交流会ですが、欠席せざるを得ない状況です。東北農試のスタッフ、モニターの皆様と意見交換し刺激を頂く事で、私の今年の活動のエネルギーにしようと思っていたのですが出来なくなりとても悔しいのです。早期警戒システムの今後についてもいろいろお聞きしたかったのですが...。出席できなくて本当に残念ですが皆様によろしくお伝えください。当日キャンセルということで鳥越さんにも大変御迷惑をお掛けしますがよろしくお願い致します。」
・宮城県松山町のモニターから資料がメールで届く。
【研究活動】
・青森・岩手・宮城県市町村別平年的収量推移情報を作成する。
・モニター交流会第1日目。鶴岡市のモニターが除雪のため参加できなくなったが、山形・宮城・岩手の3県から12名のモニター・友人が東北農試に集まる。
・「私の理想的な水稲生育型と稲作」をテーマに相互に情報交換を行う。直播研究の第1チーム長も参加いただき、モニターで直播きを行っている人から発表。
・山懐の温泉に宿をとり、各地から持参いただいた地酒で交流を深める。
5.3月12日(月)山形県鶴岡市のモニター夫妻来室
【天気概況】
・低気圧が通過し、日本海側を中心に天気がぐずつく。寒気の影響で気温の低い状態が続く。
【モニターネットワーク】
・山口県のモニターから春の便り(伊予柑)が届く。
「お元気でしょうか?ぼつぼつ、水稲の種まきの時期がきました。中旬頃消毒し浸水しようかと考えております。退職したら、ゆっくりと時間が流れるか思っておりましたら、案外と時間が早く流れます。主夫(主婦)業を、仰せつかり毎日頭を悩ましております。少しですが、春の香りを送りました。ご笑味ください。」
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「こちらは、相変わらず雪は多いです。3月に入っても、春の陽気は感じられず、以前寒さが続いています。3月7〜8日に、「活力ある土づくり実践集団事業検討会」で上山に行って来ましたが、3月と思えない国道13からの風景でした。明らかに、今年の冬は異常な感じです。稲作の関係機関と、充分な連絡を取りながら播種に向けての準備をしたいと考えています。町も、融雪剤その他助成の対策を出していますが、未だ新雪が降る状態で して、まだ実行を先送りしている所です。私のハウス設置予定場所は、除雪で飛ばした雪がまだいっぱいでして、その撤去順番待ちの状態です。その後でないと、融雪剤・他は意味しないです。気が競ってくる現状ですが、気候と相談?しながら、冷静に対処したいと考えています。」
・宮城県石巻市のモニターから雪の予報に関する電話が入る。最新の予報では宮城県内に雪がかなり降るという、今があまりにも天気が良いので問い合わせてくる。私も今日朝から日本海に南北に広がるベルト状の発達した雪雲を追跡していた。可能性は大いにありそうだ。松山町のイチゴハウスをもつモニターにも注意するようにメールと電話を入れる。
【研究活動】
・他の研究室とも協議して種籾の準備を始める。作柄診断試験区の12品種に関しては各県に依頼する。
・山形県鶴岡市のモニターがご夫婦で来室される。モニター交流会では大雪のため参加できなくて悔しかったとのこと。昨年の稲作と次年度の稲作に関して情報交換を行う。楽しい一時を過ごすことができた。本年度の稲作シーズンが始まったことを痛感する。
6.4月1日(日) 独立行政法人農業技術研究機構・東北農業研究センター誕生
【天気概況】
・寒気が入り、日本海側を中心に天気がぐずつく。
【研究活動】
・研修に来られていた秋田県農業試験場の関係者から、試験場のホームページに稲作ホームページを立ち上げたのメールが届く。研修中に作成した情報がどのように発信されるのか楽しみである。
・気象衛星NOAAによる雲分布と地表面温度画像の処理態勢を整える。
7.4月11日(水) 新居に引越完了
【天気概況】
・遙か東海上に中心をもつ高気圧に覆われ、概ね晴れの良い天気となる。高気圧の縁を南から暖かい空気が入り、気温は急上昇する。ただ、寒冷前線が明日には通過するため、天気は下り坂となる。通過後は気温が下がる予想。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「おはようございます。稚苗、中苗 約3300枚の苗の播種及びハウスへの箱並べ終了しました。気温が高く、日射量とも多く生育が順調です。やっと、椿、梅が咲き、庭もにぎやかになってきました。川原の柳も芽吹き、いっきに春本番です。4月13日のJAビルで行う、鳥越さんの講演の紹介を私が行うことになりました。シンポで使用したプロフィール内容を紹介したいと思います。講演でお会いすること楽しみにしています。」
【研究活動】
・宮城県農協青年連盟主催の通常総会における記念講演「異常気象にも対応できる足腰の強い米づくり−ササニシキの復権を目指して−」の準備を行う。依頼内容は、@冷害研究チームの活動、Aササニシキの特性と栽培管理、B食と農、稲作への思いなどである。モニターにも会えるので楽しみである。
・作業室引越、またまたたくさんの荷物の移動で疲れる。これでやっと早期警戒態勢に入ることができそうだ。
8.4月17日(火) 種まき−いよいよ稲作が始まる!−
【天気概況】
・東海上に中心がある高気圧に広く覆われ、快晴の季節はずれの陽気となる。気温は一部監視地点で25℃を超す。
【モニターネットワーク】
・一般の方から作柄表記に関する問い合わせがメールで届く。
<質問>「公開情報において下記のような表現をされていますが、「平年並み」や「やや不良」などどのようにレベル分けをされているのでしょうか?また、その基準値は、平年値比何%までといった取り決めがあるのでしょうか?あればその数値についても教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。」
<回答>「私たちの情報提供が不完全で大変失礼いたしました。作柄表記は次のような平年収量に対する指数で区分しています。良:106以上、やや良:102〜105、平年並み:99〜101、やや不良:95〜98,不良:91〜94、著しい不良:90以下となっています。参考になれば幸いです。」
・宮城県松山町のモニターから返信のメールが届く。
「ご無沙汰して申し訳ありません。4月13.14.15日と種まきが無事終了しました。順調です。玉ねぎも今年は今まで以上に順調です。こちらこそよろしくお願いします。」
【研究活動】
・新システムにおいてアメダス監視地点の気象経過図などが正常に作成されているか検討する。
・早期警戒システムモニター参加のお願いを作成する。参加の仕方は問わないで、いろいろな方の参加が得られればと思う。
・生育・作柄診断試験区の種まきを行う。基幹12品種は、青森県「むつほまれ」「つがるロマン」「ゆめあかり」、岩手県「かけはし」、宮城県「ササニシキ」「ひとめぼれ」「まなむすめ」「こいむすび」、秋田県「あきたこまち」「めんこいな」、山形県「はえぬき」、福島県「コシヒカリ」。冷害被害を予測するために、作付面積の多い品種と今後作付面積が増える品種を選択する。
・神田・小林両君と新監視システムへの準備に追われる。
・秋田県・岩手県の試験場関係者が来室される。直播に関する会議があるとのこと。
9.5月3日(木) モニター調査区設定
【天気概況】
・オホーツク海高気圧が停滞して張り出し、太平洋側を中心に気温が低くなる。低温注意報が各地に出される。
【モニターネットワーク】
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「5月3日は寒くなければ、30aを田植えして、午後から代かきをします。気温が低く、活着は未だしていないと思います。幸い風が少ないため、枯れてはいません。明日、雨がふればいいなーと思っています。近くまで、いらしたら携帯に連絡ください。」
【研究活動】
・宮城県中田町の新モニターが田植えを行うので、調査区の設定に伺う。稲作の技術を長年蓄積したお母さん、奥さんと子供たち総出で田植えが始まる。
・宮城県石巻市のモニター圃場で複粒による直播が当センター総合研究第1チームによって行われるので見学に出向く。ほかのモニターや普及センターの方々も見学に訪れる。鳥害に秘策を練るモニターの努力が実って、順調な苗立ちを期待したい。
・宮城県岩出山町のモニター圃場に移動し、採種圃場の「ひとめぼれ」に調査区を設定する。
10.5月12日(土) 早期警戒情報第3号、小林福蔵さん圃場試験区設定
【天気概況】
・高気圧に広く覆われ、概ね良好な天気となる。気温も上がる。
【研究活動】
・青森県六戸町の小林福蔵さんの圃場に試験区の設定に伺う。
・調査区を設定していて驚いたことは、苗質が良くて揃っていること。また機械植だが、1株本数の植え付け精度がきわめて高いことである。今まで経験したことのないものである。育苗期間中に一度来るべきであった。
・親戚の6人の早乙女たちが移植と同時に補植を行っている情景もはじめてである。稲作環境の厳しい故か。
・育苗のこと、堆厩肥施用、本田耕起、代かき、植え付け後の水管理などについてお話をお聞きする。稲作に対する篤い情熱が伝わる。まさしく北の稲作名人といえよう。
・これから定期的に調査に訪れ、小林さんの稲と技術を学びたい。
11.5月17日(木) 生育作柄診断試験区の手植え、早苗振り
【天気概況】
・北からの高気圧に覆われ、概ね晴れの良い天気となる。最高の田植え日よりとなる。
【モニターネットワーク】
・岩手県種市町のモニターからメールが届く。
「やませ報告が疎かになりご迷惑をおかけしました。久慈市夏井町、種市とも一番早く田植えを済ませた人は5月14日です、16日までに凡そ1%ぐらいの進捗率だと思います。今度の土日から本格的なさなぶりとなるかと思っています。ヤマセですが少し小休止の感があり、20日以降のオホーツク高気圧の張り出しを見て(低気圧等の邪魔者が無い時)日を決めたいと思いますが、如何でしょうか?取りあえず近況報告まで。」
【研究活動】
・生育・作柄診断試験区の田植え。総勢35名で恒例の手植えを行う。夜は"早苗振り"で豊作をみんなで祈念する。
12.5月24日(木) 東京の中学生来室
【天気概況】
・低気圧の影響で太平洋側南部はまとまった雨となる。北部太平洋側は海風が入り気温が上がらない。
【研究活動】
・ある大学の附属中学校生徒5人が「やませと戦う」を研究テーマに来室。NHK制作の平成5年大冷害の記録(ビデオ)、早期警戒活動、生育作柄診断試験区などを紹介する。卒業旅行を兼ねているとのこと。数人のグループでテーマをもち岩手県内を調査研究しているとのこと。午後は岩手県庁を訪問し、岩手山の火山活動と監視の実態を勉強するという。
・民間企業の方が共同研究の打ち合わせに訪れる。相互の知恵を出し合って良い研究ができれば最高である。
・明日は小林福蔵さんの田んぼの調査に伺う予定。ここ4日間、最高気温が12.3℃程度で経過。小林さんの稲の姿が楽しみである。
13.6月3日(日) 賢治の羅須地人協会を訪問
【天気概況】
・南からの高気圧に覆われ、南部を中心に良い天気となる。北部は寒気の影響で天気が崩れる。
【研究活動】
・国際協力事業団筑波国際センターの講義の準備を行う。
【その他】
・宮澤賢治と新渡戸稲造に関係する賢治記念館、羅須地人協会と花巻新渡戸記念館を見学する。花巻農業高校にある賢治が晩年に農業と農家の人々のために力を尽くした舞台である羅須地人協会が心をうたれる。自由に入ることができ、賢治が生活した質素な家の細部を知ることができる。玄関脇には「下ノ畑ニ居リマス 賢治」と書かれた黒板がある。貧しい家庭の児童や勤労者を対象とした日本最初の夜学校「遠友夜学校」を設立し、自ら校長を務めた新渡戸稲造との共通性を発見することができた。
14.6月19日(火) 青森県六戸町小林福蔵さんの生育調査
【天気概況】
・低気圧の接近で各地で雨となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県河南町のモニターから生育データがメールで届く。
「6月17日調査の結果です。ササニシキBL:葉齢9,4葉、茎数25,1本、草丈31,6cm。直播ひとめぼれ:葉齢7,3葉、草丈 21,4cm。明朝、いもち病の航空防除があります。」
・大学の学生さんから水管理に関する問い合わせがくる。
「返信ありがとうございます。大変参考になりました。水温の調節は現在どのように行われているのですか。水深を変化させて水温を調節しているのですか?もし、水深で調節しているならば、詳しい水深を教えてください。」(水温は水深だけでなく、様々な要因に影響されるので、まず圃場の水温などの参考データをお送りし、水温がどのように変化するかをご理解頂くことにする。)
・宮城県岩出山町のモニターからメールが届く。
「今日は雨で農作業は中止しています。 6/20、明日より早く植えた分、採種ひとめぼれの珪酸カリ、燐酸の散布を開始します。例年、昨年にも増し、生育が早く、過剰ぎみでもう稲色がついてきた田んぼもあります。22日は、田んぼに行ってみます。追肥作業は遅くとも28日くらいで終える予定です。ご報告まで。」
【研究活動】
・青森県六戸町の小林さんの水稲生育調査を行う。低温傾向が続いていたが、予想以上の立派な稲に感心する。今の生育をどのようにみるかと質問すると、やや遅れているが良いできだといわれた。気象経過図、生育経過図、水温などの経過図と質問事項を基に、圃場で1時間程度お話をお聞きする。6月下旬の穂首分化期に向けて徐々に重要な時期にさしかかり、中干しのタイミング、追肥のタイミングの重要性を強調される。いよいよ素足で田圃に入り、3カ所で稲の硬さ、根の張り方などを観察されるとのこと。是非ともその時は私も素足で田圃に入り、小林さんのセンサ機能の一部でも修得したいと思う。その時は何をおいてでも、お伺いしたいとお願いする。
・小林さんから青森市周辺の稲の色が悪いということをお聞きし、急遽青森市周辺の水稲の生育状況を調べる。田植え時期との関係か、生育の良否が田圃ごとに顕著に現れているように見える。
15.7月6日(金) 青森県六戸町小林福蔵さんの生育調査
【天気概況】
・梅雨前線が南下し、日本列島に沿ってのび各地で雨となる。
【モニターネットワーク】
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「おはようございます。システムの移管作業ご苦労様です。新しいホームページのアドレスが変更になったようですが、正しいホームページアドレスを照会ください。なお、東北農試系統はすべて同じようです。ちなみに、7月5日発売の現代農業8月号に紹介されているホームページアドレスは旧式のアドレスでした。」(回答:東北農業研究センターホームページの公式表紙は"http://www.tohoku.affrc.go.jp/"です。水稲冷害早期警戒システム表紙は"http://ss.tnaes.affrc.go.jp/cgi-bin/reigai.cgi"です。)
・山形県鶴岡市のモニターから現代農業の紹介文を読んだとのメールが届く。
「いつもお世話様です。今年の梅雨はしっかり雨が降る本格的な型のようです。中干しはしているもののぜんぜん乾きません。稲の生育も旺盛でササニシキやひとめぼれでは倒伏が心配される圃場もあるようです。葉令としては11.3葉位ではえぬきはそろそろ穂肥えの時期になってきました。ところで今日現代農業をみていたら早期警戒システムの紹介のページを見つけました。これにより更にアクセスが増えてくるのではないでしょうか。より良いシステムにするために私に出来る事で協力させて頂きます。今後ともよろしくお願い致します。」
【研究活動】
・幼穂発育期間低温障害の問題構造−監視のポイント−を作成する。前歴・危険期深水管理を基本技術とすることを説明に加える。
・青森県六戸町の小林さんの圃場を調査する。小林さんが理想的とする稲は隣の別の品種が相当するようだ。見るからに色が落ちて貧弱な感じがするが、葉は真上にのびている。この稲には4日に深層追肥を行ったとのこと。この水田に素足でともに入り、土の感触、うわ根の張り方をどのようにみるかを伝授頂く。調査水田は中干し中でまだ色も濃い。追肥は10日頃という。私の目には、まさしく理想的に稲に見える。葉はやはり直立している。これらの稲は高校の上級生に相当するとのこと。小林さんの稲作りで最もポイントとなる時期に、ともに稲を観察し、語ることができたことはとても良い勉強となった。
・早期警戒情報第11号の原案を作成する。
16.7月7月12日(木) 宮城県モニター訪問
【天気概況】
・梅雨前線がかかり、日本海側や北部を中心に雨となる。
【モニターネットワーク】
【研究活動】
・宮城県中田町のモニターを訪ねる。ご両親が草刈りをしながら待ってくれる。稲(品種ひとめぼれ)は予測通り花粉母細胞分化期にある。草型も良好で、多収が期待できる。調査後稲作技術について茶菓子を頂きながら聞き取りを行う。今後は深水管理を実行し、葉いもち・紋枯病・カメムシの防除が残される。
・宮城県石巻市のモニターを訪ねる。2人のモニターが待っていてくれる。酒米品種は花粉母細胞分化期にある。草型も良く、順調な生育である。東北172号は予測より遅く、平年並みで推移している。ササシグレと直播ササニシキも平年並みで推移し、モデルの葉数設定を変更する必要がありそうだ。どれも良好な生育で多収が期待できそうだ。昼食を共にとり、松山町に移動する。
・松山町のモニター圃場を訪ねる。品種ひとめぼれは花粉母細胞分化期から幼穂形成期にある。草型と生育も良好であり、多収が期待できそうだ。モニターとは月曜日にお会いしていたので、岩出山町に移動する。
・岩出山町のモニター圃場を訪ねる。品種ひとめぼれとササニシキは花粉母細胞分化期にある。ひとめぼれは多収が期待できる草型である。モニターとは都合が悪くお会いすることができなかった。
・山形県に移動し、山懐の温泉に宿をとる。
17.7月13日(金) 山形県のモニター訪問
【天気概況】
【研究活動】
・天気予報ではかなり高い確率で降雨が予想されたが、運が良く晴れ間が後を追う。
・鶴岡市のモニターを訪問する。ご夫妻で歓迎してくれる。モニターの稲は葉齢予測モデルと大きくずれたため、どのような生育か興味深く観察する。草型と生育は良好であり、葉数の設定を検討する必要がある。分げつが多くなっているのではと心配されたが、深水によってうまく制御しているので安心する。昼食をお世話になり、一時楽しく歓談する。稲のあるときに交流会があれば、もっと良いのではとの意見もでる。
・最上町のモニターを午後訪問する。モニターの稲はモデルの予測値とのよく適合し、盛岡の稲の姿と類似する。品種あきたこまちは幼穂形成期で追肥の可能な葉色となり、品種はえぬきは幼穂形成期には達していない。追肥、葉いもち防除などについて話し合う。ゆっくりと話し合いたかったが、時間がなく失礼する。申し訳ないことをした。
・出来秋に笑顔で再会できることを楽しみに恒例の遠隔地のモニター訪問旅行を終える。
18.8月8日(水) 青森県六戸町小林さん圃場調査と実態調査
【天気概況】
・オホーツク海高気圧に覆われ、太平洋側を中心に気温の低い状態が長く続く。
・午前5時現在、ほぼ全地点で気温が20℃を下回る。秋田県鹿角と阿仁合は15℃を下回る。
【研究活動】
・青森県六戸町の小林さん圃場の調査に伺う。小林さんはけい畔の草を整理しているところ。出穂は進んでいるが、穂揃いが悪く、開花は進んでいない。穂が出始めて、約10日が経過するが開花している花は少ない。出すくみ状態にある。白ふや葉鞘褐変病も散見される。白ふの発生に関して、気温と水温経過のデータを基に小林さんと"いつ頃の低温が問題だったのか"を分析する。どこに管理の不手際があったのか、小林さんはしきりに反省する。この姿勢が篤農家といえるのだろう。
・小林さんの圃場調査後、十和田−三沢−八戸−久慈−軽米のコースで水稲の生育状況を調査する。私の生育ステージの把握が適切であることを確認する。減数分裂期最中から出穂始めのイネがある。また、白ふ、葉鞘褐変病、上位葉の葉いもちなどが各地で確認される。午後4時頃にイネの花が咲いているのには、生命力の強さと反面痛々しさを感じる。早く天候が回復することを祈りたい。
19.8月17日(金) 青森県太平洋側実態調査
【天気概況】
・午前4時現在の気温は、福島県川内12.5℃、飯舘14.9℃まで下がる。
・午前5時現在の気温は、福島県川内11.8℃、船引14.7℃まで下がる。
・オホーツク海高気圧に広く覆われ、太平洋側を中心にやませで気温が上がらない。
【モニターネットワーク】
・宮城県河南町のモニターから生育データがメールで届く。
「8月16日調査データです。<サニシキBL>穂数26.2本、草丈99cm。<直播ひとめぼれ>茎数39.0本、草丈87.0p、3〜4日中に出穂すると思われます。<散播ひとめぼれ>8月16日出穂が3割程度、87.0cm。褐変籾の件ですが我が地域では昨年も結構ありましたが、今年は前年以上に多いように見られます。特に亀の尾に多く見られ 籾が空の状態が多いようです。点状のものが多く中には穂の下部に連続したものも見られます。昨年農協に聞いてみたところ出穂期に風に擦られて出来たのではないかとの事でした。やはり出穂期の日照不足 低温が影響しているのでしょうか。」
【研究活動】
・青森県太平洋側の水稲の生育状況を所の関係者と共に調査する。小林さんの圃場はやっと穂揃い期となり、穂が傾き始める。出穂・開花に約15日を要したことになるが、穂揃いの状況は良好である。太平洋側の水稲は早いものが穂揃い、遅いものはまだ出穂を始めていない。8月上旬の低温とその後の低温傾向がいかに厳しい環境であったか、稲の姿を見ると判然とする。
20.8月25日(土) 宮城県モニター圃場調査、早期警戒情報第18号
【天気概況】
・高気圧に覆われ、良好な天気となり、気温も上がる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「台風は、勢力が弱まったのと、コースの直撃が無かったので、倒伏等の被害は有りませんでした。ただ、風で穂がもまれたので、穂揃い直前のはえぬきの籾ズレの心配は有ります。もう少し立たないと、判りませんが・・・。被害が、思ったより少なかったのが幸いです。」
・宿題に追われていた一般の方からお礼のメールが届く。
「いつも、とても詳しく説明していただいて、本当にありがとうございます。おかげで宿題は、おえることができたし、勉強もできました。本当にありがとうございました。」
【研究活動】
・早期警戒情報第18号を作成する。登熟期、特に遅延型冷害の監視を重点にして気温指標と警戒メッシュを作成する。
・宮城県モニター圃場を調査する。出穂・開花期の低温が不稔障害を及ぼしているかどうかが調査の目的。各圃場から最長稈の20穂を集める。生育の早いものは糊熟期、遅いものは乳熟期に達している。傾穂の状況は概ね良好であり、不稔籾が多発している様子はなく、一安心。詳細は穂相調査によって確かめる予定。
・宮城県各地で青刈りが行われている。圃場全部を刈り取るのは少なく、圃場の一部を部分的に刈り取っている場合が多い。
21.9月14日(金) 山形県・宮城県モニター圃場刈り取り調査
【天気概況】
・秋雨前線が北上を始め、天気はぐずつく。
【研究活動】
・山形県最上町モニターの「あきたこまち」が成熟期に達したので、刈り取り調査を行う。熟色・粒の張りも良好であった。出穂期が8月上旬にあった「ヒメノモチ」には太平洋側と同じように葉鞘褐変病や褐変籾がみられる。
・宮城県石巻市の酒米が成熟期に達したので、刈り取り調査を行う。倒伏していて刈り取りがやや困難であったが、粒の張りはまずまずである。
・宮城県中田町モニターの「ひとめぼれ」が成熟期に達したので、刈り取り調査を行う。ご両親が私たちを迎えてくれる。当該圃場の作柄や地域の作柄について意見を交換する。収穫適期の判断が今年は難しいとのこと。日射量不足のためか、確かに登熟が遅れている。
22.10月4日(木) 青森県六戸町小林さん圃場坪刈り
【天気概況】
・午前5時現在、気温はほとんどの監視地点で10℃以下となる。岩手松尾や福島県川内では5℃以下となる。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「はえぬきは、葉の葉色は落ちましたが、枝こうは生きており緩やかですが登熟が進んでいます。根のダメージは、考えていたより少ないかもしれません。私のはえぬきは、10/7で積算温度1000℃の予測になっていますが、1050℃になる、10/11頃まで様子を見て刈り取りしたいと考えています。スノーパールも、心配していた低温障害後の登熟進展が見られます。ただ、刈り取り初期と違い枝こうの枯れも進んできていますので、品質が心配です。天候の回復を待って、刈り取りを急ぎたいと思っています。あきたこまちは、刈り取りが終了し結果が出ました。精玄米重は597kg/10a、屑米は15.5kg/10aでした。等級も1等米で良好です。」
・宮城県石巻市のモニターからメールが届く。
「今年の収穫は直播を残して終了しました。9月後半の低温では一晩で葉色の変化があり驚きました。収穫量は平年作以上です。思ったより取れました。ただ、米が細く、亀の尾は品質がよくありません。ササシグレはきれいな米になりました。まだ忙しくて炊飯していませんが今年のササシグレは特においしさが期待できそうです。鋳物のかまどで籾殻を焚いて釜で炊飯しようと思っています。結果は後日報告します。亀の尾サミットを記念して、本を出版しました。題名は"浪漫 亀の尾列島"です。つたない文章ですが寄稿して掲載されましたので送ります。」
【研究活動】
・青森県六戸町の小林さんの圃場に坪刈りに伺う。いつものように水田で待ってくれている。本年の水稲作について感想をお聞きする。「今稲はその一生を終えようとしている。このような冷害年に稲はよく頑張ってくれた。22,23日の低温はショックだった。あまりにも早すぎた。このような経験は最近ではない。ただ昭和29年、9月に霜があり、不作になったことがある。収量は11俵程度かな。」坪刈り後、一同で記念写真を撮る。稲束は確かに思い。来年は種まきのときから伺うことにする。
・青森県十和田市の篤農家(女性)の圃場を訪ねる。ちょうど、収穫のために圃場に居られ、久しぶりの再会を喜ぶ。水稲は成熟期に達しており、坪刈りさせて頂く。彼女の笑顔が技術の確かさと作柄をあらわす。
・その後、各定点圃場の生育の状況を観察する。前回調査時にはなかった共済の検査用の札が一斉に水田の片隅に立ち並ぶ。
23.10月16日(火) 青森県十和田市の新渡戸記念館
【天気概況】
・高気圧に覆われ概ね良い天気が続く。寒冷前線が近づき、天気は下り坂に向かう。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターからメールが届く。
「早期警戒態勢解除ということで、今年も長期にわたりご苦労様でした。新体制になって初年度でしたが、7月の低温が原因と思われる穂と葉鞘の褐変症状や部分不稔、9月には早すぎた極低温での黄化と登熟低下等、厳しい気象変化で大変だったと思います。私の方は、はえぬきのコンバイン刈りも無事終了し、残っていた農産加工施設で使用する減農薬・自然乾燥米のヒメノモチの脱穀も昨日で全て終えました。これからは、籾摺り調製とコンバインで立てた稲藁の回収が当面の作業です。近年、暖かい年が続いた為に低温障害への意識が薄れつつ有ったので、なおのこと課題が見えてきた年でも有りました。それらを整理・対応しながら、来年に向け準備して往きたいと考えています。今後とも、よろしくお願いします。」
【研究活動】
・一般公開の代休を利用して、家内と青森県十和田地域にドライブする。
・遅れていた稲刈りもほぼ終盤にあり、コンバイン収穫や南部地域に固有の"にお積み"が各地で行われている。にお積み中のおばあさんがおられたので、写真を撮らせて頂く。風を入れる入り口は西向き、そこに稲穂が集められる。そして東には風が流れ出る小さな出口があり、20日間程度乾燥させて脱穀するとのこと。米の味はコンバイン収穫・乾燥のものよりは良いとのこと。コンバイン収穫したいくつかの圃場では、片隅にいくつかにお積みあがる。自家用にするものと思われる。
・十和田市の新渡戸記念館を訪れる。新渡戸稲造を含めて、十和田の農地開墾に尽力した新渡戸一族の活動が紹介されている。敷地の片隅には、新渡戸家代々のお墓があり、静かな空間がつくられている。
24.11月6日(火) 収穫感謝祭と家畜慰霊祭
【天気概況】
・低気圧が発達しながら通過し、その後寒気が入る。
【研究活動】
・生育作柄診断試験区の褐変籾歩合の調査を行う。
・図説「秋田県の作付品種」を作成する。
・収穫感謝祭と家畜慰霊祭が行われ、その後各部で慰労の酒を酌み交わす。
25.1月16日(水) 山形県最上町のモニターから懐かしい画像が届く
【天気概況】
・低気圧が近づくため、天気は下り坂に向かう。
【モニターネットワーク】
・山形県最上町のモニターから伝統行事を知らせるメールと写真が届く。
「こんばんは、ご無沙汰しています。1月初旬に降った豪雪も、寒に入ってからの雨でかなり少なくなりました。エルニーニョ現象も出ているとかで、本当に変な天候です。冬の雨の後は、決まって天候が荒れますので心配しています。このまま、暖冬傾向で行けば冷夏になるのでしょうか?
今日1/15は、「おさいど」で無病息災をお願いします。「火入れが遅くなると、1年中遅くなる・・・」とかで、雨の中でしたが、古い御札と一緒に燃え、無事終了しました。最近は、集落行事で開催する「おさいど」しか行わない家も多いですが、ワラ集めから作成まで中心は子供会ですので、こちらの方はどうしても休日になります。その時の写真を、添付します。(日曜は天候が良かった!)」
【研究活動】
・研究評価の関係資料をとりまとめる。部内研究成果検討会が明日から2日間の予定で始まる。
26.2月11日(月) "たろし滝"豊凶占い
【天気概況】
・強い冬型の気圧配置が続き、日本海側を中心に雪となる。
【研究活動】
・岩手県石鳥谷町葛丸渓谷にある"たろし滝"の豊凶占いに神田君とともに行く。9時半に現地に着く。"氷柱はなかった。"保存会関係者やマスコミの方々が既に準備を始めている。9時45分に保存会会長の板垣寛さんが到着する。
・神事が10時に始まり、祈願の後、神楽が奉納される。いよいよ測定となるが、氷柱がないために、測定不能と宣言される。会長の板垣さんから"たろし滝"の由来と経過が紹介され、恒例の川柳が紹介される。今年は要注意の年と指摘し、"いい兆し 皆で創れと 滝が言い"とご託宣がある。一同、御神酒を頂き、滝を後にする。
27.2月17日(日) モニター交流会第2日目
【天気概況】
・低気圧の影響で南から暖かい空気が入り、気温は上がる。
【モニターネットワーク】
【研究活動】
・モニター交流会第2日目。昨年の作柄の特徴、モニターの稲作技術情報交換、本年の抱負などをみんなで話し合う。午後1時に、来年の再会を約束して名残惜しく解散する。小林福蔵さんは、若いモニターが新しい技術に果敢に挑戦する態度と楽しく農業を行っている姿に感銘を受けたと、特急"はつかり"で盛岡駅を後にする。種まきの頃にお会いできることを楽しみにする。
2002年の早期警戒の活動は、日誌にどのように記録されるのか?!
reigai@ml.affrc.go.jp